臼別川
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日本海に注ぐ清流。北海道指定のサクラマス保護河川である。
地元の漁師は、砂防ダムが出来てからサクラマス資源が減少したとして、河川管理者である北海道渡島総合振興局・函館建設管理部に対して、ダムの撤去を求めている。サクラマス保護河川に指定しているのも、サクラマス資源を減少させているのも同じ北海道の行政機関だ。
雨が降れば泥川になる。まさに、ダムがある川の特徴である。
![川底は岩盤が露出している。川底や川岸、中州に微細な砂やシルトが目立つ。つまり、砂利が足りないということだ。清流の臼別川だが、雨が降ると…2011年8月3日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/③・2011-08-03・加工済・臼別川・DSC_0006-300x199.jpg)
![ひどい泥水が流れ下る。時間の経過とともにきれいな水に戻っても、泥水の痕跡が川底、川岸、中州にしっかりと残る。2011年8月3日に見た微細な砂やシルトがこうした泥水の痕跡なのだ。2014年8月5日。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/④・2014-08-05・加工済・臼別川・泥水・DSC_0224-300x200.jpg)
![急勾配の渓流なのに川の石は小さく、増水したら流されるような石だ。川底は下がり、川岸は段差ができているのが分かる。これが河床低下の特徴で、上流にダムがある証拠だ。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑤・2011-08-03・加工済・臼別川・河床が下がったのが分かる・DSC_0035-300x199.jpg)
![蛇行し、流れが弱まるところには大量の微細な砂やシルトが堆積している。対岸の河畔林の根元は崩れて根っこが見えている。流木に根っこが付いているのは、川岸が崩れて河畔林とともに流れ出た証だ。 これもダムの影響を示す特徴である。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑥・2011-08-03・加工済・臼別川・DSC_0031-300x199.jpg)
根付きの流木が大量に流れる川は、河床低下が進んでいる川であり、上流に必ずダムがある。ここ臼別川にはダムがたくさん建設されている。
砂防ダムに満杯に溜まっている砂利の大きさは小さい。河口で見るような小さな石ばかりだ。増水時にダムから流れ出すのは小さな石や砂や泥ばかりだ。なぜそうなるのか…。ダムの水面は水平なので、流速が小さくなり、大きな石を下流へ押し流すことが出来ずにダムに溜まり続ける。だから流されるのは、小さな石や砂や泥だけになるのだ。
砂や泥が大量に流れ出すと、大きな石をドロまみれにして押し流し、テレビで見るような土石流になるのではないかと気になる。ばらけたパチンコ玉の上を歩いたら転倒するのと同じように、大きな石が砂や泥の上を”滑りながら”転がっているということだ。
![ダム直下では川底の砂利が抜かれて流されるため、本来は水に沈んでいなければならないコンクリートブロックが水面状に露出している。砂防ダムがある限り、ダムの下流では砂利が押し流されて、川底が下がり続けることになる。砂防ダムの脇に魚道が取り付けられている](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑧・2011-08-03・加工済・臼別川・砂防ダムと魚道・DSC_0039-300x199.jpg)
ダムに魚道さえ付いていれば、ダムが容認される風潮があるが、よく考えていただきたい。ダムの下流で産卵する魚たちの卵は、砂利ごと流されたり、ダムから流れ出す砂や泥を被って窒息していることを。ダムの下流で魚が減少するのだ。
川底に産み落とされた卵は、川底の石の間を流れる水にさらされて育っている。ダムの堆砂域には川底を浸透して流れる水流はないので、ダム上流でも広い範囲で魚たちは繁殖することが出来ない。ダムの数だけ、魚が繁殖できる場所を失っている。魚道を付けても解決はしない。まやかしである。ダムの愚業に対する免罪符だ。
![砂防ダムはすでに小砂利で満杯になり、草木が密生し、樹林化が広がっている。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑨・2011-08-03・加工済・臼別川・砂防ダムの堆砂・樹林化している・DSC_0045-300x199.jpg)
「砂防ダムは砂利で一杯になれば、流れ出すから大丈夫」
これは北海道大学の砂防学教授の弁だ。しかし、現場はそのようにはなっていない。上流へ向かってどんどん砂利は溜まり続け、写真をご覧のように草木が生える。砂利が流れ出すような気配は全く見られない。ダムの上流域は、樹林化しているのが現実だ。
![2015-07-06・加工済・臼別川・堆砂域では立ち枯れが目立つ・KAZ_0912](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-07-06・加工済・臼別川・堆砂域では立ち枯れが目立つ・KAZ_0912.jpg)
![2015-07-06・加工済・臼別川・砂防ダムの堆砂域では立ち枯れが目立つ・KAZ_0925](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-07-06・加工済・臼別川・砂防ダムの堆砂域では立ち枯れが目立つ・KAZ_0925.jpg)
砂防ダムの下流では川底の石が流され、河床が下がり、川岸が崩れ、川に面した山の斜面が崩れて大量の砂・泥が流れ出し、災害が多発するようになる。
![川底の砂利が流されて川底が下がり、川岸が崩れる。左岸は崩れたために布団カゴ(金網に石を積めたカゴ)で補修されている。対岸も川岸が崩れて、段差が出来ている。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑩・2011-08-03・加工済・臼別川・DSC_0069-300x199.jpg)
![川岸に段差が出来て、崩れているのが分かる。川岸が崩れるから、次第に川幅が広がっていく。急流河川の石が、異常に小さいということは、上流にダムがあり、このダムによって流下する石の大きさが選り分けられていることを示している。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑪・2011-08-03・加工済・臼別川・DSC_0066-300x199.jpg)
![臼別温泉だ。谷川の脇に湯船がある露天風呂だ。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑫・2011-08-01・加工済・臼別川・臼別温泉・DSC_0139-300x199.jpg)
![この温泉のすぐ上流に大きな砂防ダムがある。もともと川底にあった構造物が水面から出ている。河床低下が進行していることが読み取れる。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑭・2011-08-03・加工済・臼別川・DSC_0078-300x199.jpg)
![この温泉のすぐ上流に大きな砂防ダムがある。もともと川底にあった構造物が水面から出ている。河床低下が進行していることが読み取れる。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑮・2011-08-03・加工済・臼別川・DSC_0088-300x199.jpg)
![砂防ダムの下流](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2011-08-03・加工済・臼別川・砂防ダム・DSC_0094-300x199.jpg)
![コンクリートブロックが露出している](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2011-08-03・加工済・臼別川・砂防ダム・DSC_0109-300x199.jpg)
![温泉脇にあった看板。立派な内容なのだが…こうした絵を「絵に描いた餅」というのだろう。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2013-06-30・加工済・臼別川・砂防施設の看板・DSC_0462.jpg)
2015年7月4日、桧山漁協と釣り団体「一平会」が砂防ダムの魚道に詰まった流木やゴミの清掃を行うというので、参加した。
![2015-07-04・加工済・臼別川・砂防ダム・魚道清掃・ひやま漁協・一平会・流域の自然を考えるネットワーク・KAZ_0098](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-07-04・加工済・臼別川・砂防ダム・魚道清掃・ひやま漁協・一平会・流域の自然を考えるネットワーク・KAZ_0098.jpg)
![2015-07-04・加工済・臼別川・砂防ダム・魚道清掃・KAZ_0126](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-07-04・加工済・臼別川・砂防ダム・魚道清掃・KAZ_0126.jpg)
![2015-07-06・臼別川・砂防ダム・アメマスがジャン](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-07-06・臼別川・砂防ダム・アメマスがジャンプしていた.jpg)
![2015-07-04・加工済・臼別川・魚道清掃・KAZ_0135](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-07-04・加工済・臼別川・魚道清掃・KAZ_0135.jpg)
![2015-07-04・加工済・臼別川・魚道清掃・宮崎代表+ひやま漁協・斉藤組合長・KAZ_0176](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-07-04・加工済・臼別川・魚道清掃・宮崎代表+ひやま漁協・斉藤組合長・KAZ_0176.jpg)
![2015-07-06・臼別川・砂利で埋まった砂防ダム](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-07-06・臼別川・砂利で埋まった砂防ダム.jpg)
![2015-07-04・加工済・須築川・魚道清掃・ひやま漁協・一平会・流域の自然を考えるネットワーク・KAZ_0257](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-07-04・加工済・須築川・魚道清掃・ひやま漁協・一平会・流域の自然を考えるネットワーク・KAZ_0257.jpg)
![2015-07-04・加工済・トリム・臼別川・最上流の治山ダムに魚道・檜山支庁水産課・KAZ_0274](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-07-04・加工済・トリム・臼別川・最上流の治山ダムに魚道・檜山支庁水産課・KAZ_0274.jpg)
![2015-07-04・加工済・臼別川・固くしまった渕尻を確かめる宮崎代表・KAZ_0289](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-07-04・加工済・臼別川・固くしまった渕尻を確かめる宮崎代表・KAZ_0289.jpg)
渕尻に溜まる砂利は、サクラマスやアメマスなど多くの魚たちの繁殖の場所になっている。しかし、固く締まっていたのでは繁殖に適さない。サクラマスの保護河川でありながら、ダムが川石の仕組みを壊しているので繁殖すら出来なくなっている。
![2015-07-06・加工済・臼別川・上流・KAZ_0619](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-07-06・加工済・臼別川・上流・KAZ_0619.jpg)
現在、地元の漁師や釣り人たちが、北海道渡島総合振興局函館建設管理部へ、サクラマス資源を回復させるために砂防ダムのスリット化を求めている。
北海道は、漁業資源であるサクラマスを保護する為に、この臼別川を保護河川に指定し、釣り人を徹底して排除している。しかし、ダムをスリットしてサクラマスがいる川に戻してほしいと、声を上げているのは、その釣り人であり、地元の漁業者である。北海道水産部からの声は全く聞かれない。実に奇妙なことだ。
臼別川の砂防ダムのスリット化実現を、是非、応援してください。