茂辺地川
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北海道で最初につくられた民間のサケのふ化場として知られる川だ。
http://www.city.hokuto.hokkaido.jp/bunkazai/data/setsumei/setsumeik3.htm
勾配の緩やかな、山奥深い川だ。人工ふ化事業の歴史は古く、事業の効率化も行われてきた。現在ではサケは河口から僅か数百メートルまでしか上れず、川に上ったサケのほぼ100%がこの範囲で捕獲されている。水質良好な水が綺麗な川で、湧き水も多くサケの繁殖環境も広い範囲で可能なようだ。自然産卵を促していれば、茂辺地川に最適化したサケが堅実な水産資源として確実に定着したと思われる。
国道228号線の橋向こうは津軽海峡である。函館山を左手に望み、海峡の先は青森県の竜飛岬を臨む。上流に上れないサケたちは、やむ無く河口から数百メートルの区間で産卵しているが、それも虚しく、すべてのサケは捕獲されてしまう。
川岸の崩れが目立ち、川底は下がっている。川底が下がると、砂山崩しのように川岸が崩れ、崩れた面が崖化する。河床低下の特徴が見られる。河原の石は、小さいものばかりである。これは、上流に砂利を止めているダムがあると読み取ることが出来る。
上流を取材すると、やはりダムがあった。ダムは砂利で満杯になり樹林化し、そこを川の水が蛇行して流れていた。
砂防ダムの建設は、土砂災害・流木災害を防止する目的に建設される。しかし、ダムの下流では川底が下がる為に川岸が崩れ、川に面した山の斜面が崩壊する。一方、ダムの上流ではダムが止めた砂利で川幅が広がり、その上を川の水が蛇行して流れるようになる。今まで水が当たることがなかった山の斜面に、水流が当たるようになり、浸食されるようになる。山の斜面は崩壊して、新たに土砂や立木が流れ出す。
本来は土砂災害・流木災害防止の目的で建設された砂防ダムなのである。しかし、現場では、新たな土砂や流木を発生させている。不思議なことに砂防学や河川工学の大学教授、研究者たちは、それに触れるような話はしない。
川は人が造ったダムによって壊され、母なる川へ戻ってきたサケたちは、その川すら人の手によって上ることも許されず、全ての命の営みは、人工孵化で繰り返される。もはや、これを「サケが遡上する北海道の川」だと言えるのだろうか。