群別川

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上流に、巨大なスリット式ダム(堤高7.0m、堤長246m)がある。更に、その上流には取水堰と3基の砂防ダムが連続している。そして、その上流域には、未だ取材中のダムがある。急流河川であるが、川底の石の大きさは小さい。砂礫が非常に目立つ。増水時には、川岸が崩れ続けている。大量の根付きの流木が転がり、微細な砂やシルト(泥)が多い。

僅か数年の間に、群別川は激変した。川の荒廃は凄まじさを増している。巨大なスリット式ダムを目の前にして、河川管理の在り方は正しいのかと疑問ばかりが浮かぶ。

国道から2kmほど入ったところに1997年10月に完成した「群別川1号砂防ダム」がある。堤高7.0m、堤長246mの大規模なスリット式ダムである。

国道231号線から川を2kmほど上流に、1997年10月に完成した「群別川1号砂防ダム」がある。堤高7.0m、堤長246mの大規模なスリット式ダムである。

スリットダムの上流側(左)と下流側(右)。スリットの間口には流木がひっかかり、間口を塞いでいるため、砂利が堆積している。流木を止め、砂利を下流に供給するのが目的なのだろうが、机の上の計算とは違って現場はそうはならない。
スリットダムの上流側(左)と下流側(右)。スリットの間口には流木が引っ掛かり、間口を塞いでいる為、砂利が堆積している。スリットの目的は、流木を止め、砂利を下流に供給することなのだが、机上の計算とは違い現場はそうはならない。
2011年11月06日に撮影。スリットダムの間口は狭く、流木がひっかかりスリットを塞ぐため、砂利が止められてしまう。期待通りのスリットの効果は認められない。
2011年11月06日に撮影。スリットダムの間口は狭く、流木が引っ掛かる。スリットを塞ぐため、砂利が止められる。これではスリットの効果は無い。

最近は、流行りのようにスリットダムが建設されているが、どれもこれもスリットは塞がって、効果は発揮されていない。ご覧のように、スリットの間口が狭いからである。自然の川は、実験室の川とは異なり、様々なものが流れてくる。机上の設計は、現場では役に立たない。管理者が、川を知り、川から学び、向き合わなければ、血税をドブに捨てるような無駄遣いの現場はいつまで経っても無くならない。

2014年09月08日に、③と同じところを撮影したのだが、流木の量や種類が少ないので、河川管理者らはスリットを塞いでいる流木をかたづけた。しかし、増水すればご覧の通りに流木がスリットを塞ぐことになる。スリットを塞ぐ流木を常に取り除くメンテナンスが必要となる。これまでも何度も流木を取り除いたのだろう。
スリットの間口が狭いので、流木が引っ掛かることは自明の理。素人でも分かることだ。これでは砂利が貯まり、スリットの効果は失われる。まさにこれが無駄な事業というものだ。公共事業評価委員会の委員は、こうした現場を知らないから評価することも出来ないのか。

2014年09月08日に、同じ場所を撮影した。流木を片付けた痕跡があるが、何度、除去しても増水の度に、ご覧通り新たな流木がスリットを塞ぐことになる。常にメンテナンスが必要なのだが、このような設計をした河川管理担当者が、責任を感じ自腹でメンテナンス費を支払っているとでも?

スリット化は、逆台形の大きな間口でない限り効果は無い。例えスリットであっても効果が無ければ、その下流で砂利不足になり、河床が下がり河岸が崩壊し、荒廃が起きる。群別川は、まさに凄まじい荒廃が進行する真っ只中にある。皆さんにも、国道231号線を通過される際には是非、橋の上から荒廃しつつ川の姿を見ていただきたい。

スリットダムのさらに上流に取水堰がある。

スリットダムの更に上流に取水堰がある。

取水堰。
取水堰。
そのすぐ上に治山ダムが連続して設置されている。一番下の治山ダム。
取水堰のすぐ上に治山ダムが3基連続して設置されている。これは下の治山ダム。
真ん中の治山ダム。
真ん中の治山ダム。
上の治山ダム。
上の治山ダム。
さらに上流へ行ったが、国有林のゲートがあった。川底が下がって、川岸が崩れて垂直の崖になっている。川岸が垂直な崖になった川には上流に必ずダムがある。
3基のダムの上流は、国有林。ここでも川底が下がり、川岸が崩れ崖になっている。この上流に必ずダムがあるという証しである。
支流の小さな川では苔むした石が見られる。群別川もかつてはこうした苔むした川だったようだ。
支流の小川は、苔むした石が見られる。群別川も、かつてはこうした苔むした石のある自然河川のひとつだった。