青山ダムと当別ダムによる河川荒廃と危惧される当別活断層の存在

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巨大ダムは、微細な砂やシルト分(泥)ばかりを選り分けて下流へ流す。だから、川は泥川になり、川から魚がいなくなる。

非灌漑期に貯水をカラにする農業用ダムの底を見れば分かる。カラになった巨大ダムの底は泥ばかりになっている。水が抜かれてカラになった石狩川支流当別川の青山ダムを取材した。

非灌漑期に水を抜いた青山ダム。撮影:2019年11月3日
青山ダムの底は泥ばかりだ。撮影:2019年11月3日
青山ダムの底は泥ばかりだ。撮影:2019年11月3日
青山ダムの底は泥ばかりだ。撮影:2019年11月3日
青山ダムの底は泥ばかりだ。撮影:2019年11月3日
青山ダムから流れ出る水は濃い泥水だ。撮影:2019年11月3日

青山ダムは、泥ばかりを溜め込んでいることがお分かりいただけるだろう。流れ出す水はご覧のように泥水だ。その結果、川底には微細な砂やシルト分(泥)が堆積し、魚は繁殖が出来なくなる。川底に産み落とされた卵は、微細な砂や泥を被り、窒息してしまうからだ。かつてはサクラマスやサケ、カワヤツメなど魚類が豊富な川だったというが、その面影はもう無い。そして、青山ダムの下流には更に巨大な当別ダムが建設された。

石狩川水系当別川

 

当別ダムは多目的ダムである。青山ダムで見たように、ダムの底は泥だらけ。そして、その泥が大量に下流に放流されることになるわけだ。撮影:2019年11月3日。
巨大な当別ダム。撮影:2019年11月3日

巨大な当別ダムは、溜め込んだ泥を下流に流す。その泥は、石狩川を経由して石狩湾を泥で染めることになる。そればかりか…

この当別ダムには一抹の不安がある。ダム付近に活断層とされる「当別断層」があるからだ。実際に活断層が動き、地表がずれた痕跡がある。青山中央地区にある「道民の森」公園の敷地内に当別断層の露頭があり、当別断層を直に見ることが出来る。下の写真で分かるように右側と左側で大きな段差が出来ている。これがずれた断層面である。地面には亀裂が走っている。

当別断層公園。左の平らなところと右側の一段高くなったところが当別活断層の断層面がズレたところ。.断層の露出部。撮影:2011年10月28日

この当別断層の位置がよく分かる図は、下記のサイトで見ることができる。

当別断層

https://www.jishin.go.jp/main/chousa/03nov_tobetsu/f04.htm

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/ktk/bousaikaigi/zisin/08sankouzuhyou.pdf

活断層「当別断層」と「当別ダム」の位置関係が分かるように地図とGoogle Earthの衛星写真に重ねて表示してみた。

元図に加筆している。当別ダムと当別活断層の位置関係の図。
Google Earthの衛星画像と当別活断層の位置を重ねた。出典:Google Earth

当別断層とダムの位置関係を図示してみれば、ダムのこんなにも近くに断層があることが分かる。もしも当別断層が動けば、ダム湖に面した山が湖面に崩れ落ち、ダム津波が発生する。そうなった時、当別ダムの堤体は津波に耐えられるのだろうか?

地すべりで発生するダム津波の怖さは、イタリアの「バイオントダム」の事例で知ることができる。

衝撃の瞬間「ダム津波の脅威」

また、当別ダム直下の地層がずれれば、堤体そのものが崩壊するかも知れない。地図や衛星写真にダムと断層を重ねてみれば、この場所に巨大ダムを建設することが果たして適切だったのか、疑問を感じるばかりである。当別ダムの下流には住民の暮らしがある。こんな場所に巨大ダムの建設を認めるだけの安全を担保する科学的な裏付けはあるのだろうか?

当別断層が動く確率は低いと言われても、福島第一原発事故や熊本地震のように事後になって「未知の断層」が動いた「想定外」だとして始末される。一昨年の2018年9月6日未明には、胆振東部で震度7の地震(平成30年北海道胆振東部地震)が発生し、JESEA地震科学探査機構「MEGA地震予測」のホームページには、この地震の前に苫小牧から札幌にかけての地表が沈降する現象が見られ、震源となった胆振地方では沈降と隆起が見られたとある。この地震でも、震度や震源が事前に予測された訳ではない。

https://www.jesea.co.jp/earthquake/003/

https://shizensaigaichosashi.jp/higashinihon-zishinhasseikikendo-katsudansou/

https://www.jishin.go.jp/main/chousa/03nov_tobetsu/index.htm

科学的な地震予知が確立されていないのに、巨大な当別ダムを当別断層と接するような位置に建設したことは、大きな過ちを犯したのではないか?

「人間の愚かさ、自然への理解の欠如、管理の失敗」

人間の過信が引き起こす人災は、日本の巨大ダムでも起き得る。

ダムは安易に建設してはいけない。

 

 

ダムの影響がよくわかる暑寒別川

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北海道北部の増毛町にある「サクラマス保護河川」の暑寒別川は、ダムの影響がよくわかる。1号砂防ダムは、もう砂利で満杯で、川水は堤体を乗り越えて流れている。ダム下流は、砂利の殆どが流されてしまい、川底の岩盤が剥き出しになっている。これがダムの影響の典型的な姿である。そして、川岸は浸食されて垂直の崖化し、川岸の土砂・巨石が立木もろとも流されて、川幅が異常に広がっている。

暑寒別川1号砂防ダムの下流は砂利が流されて岩盤が露出し、川岸まで流されて川幅が広がっている。撮影:2019年11月3日

「土石流防止」の砂防ダムが、その下流で新たに土砂を産出して土石流や流木を発生させている。そうして流された砂利はすぐ下流の頭首工に溜まっている。その為、頭首工から流れ出す砂利の量が極めて少なく、下流側は岩盤の露出が広がっている。

1号砂防ダムの下流の頭首工のところで、砂利が止まり、下流側に砂利が流れる量がごく僅かになっているのが分かる。撮影:2019年11月3日
頭首工の直下ではたくさんのコンクリートブロックが敷き詰められているが、土台の砂利が流されてしまったので、バラバラに壊れている。撮影:2019年11月3日
頭首工の下流側は砂利が流れてこないので、岩盤の露出が広がっている。巨石を組んで砂利を食い止めようとした痕跡があるが、悉く失敗して流されている。撮影:2019年11月3日
コンクリートブロックを敷いて、川底の砂利を止めようとした工作物があるがご覧の通りに壊れている。ダムで砂利が止められると、何をやっても壊されるのだ。税金がこうして無駄に失われている。撮影2019年11月3日
川底の砂利が失われ、川底は下がり続ける。川岸の崩壊を防ぐために自然石の護岸やコンクリート護岸にしていたが、すべて壊された。川岸の崩壊はさらに拡大している。撮影:2019年11月3日
頭首工の下流側は、川岸崩壊を防止するためのコンクリートブロックが水面のはるか上部にあり、壊されているのが分かる。川岸が崩壊すれば土砂・流木が流れ出し、災害を生み出すダムの影響は深刻である。撮影:2019年11月3日
ダムの下流では砂利が流されて、川底が下がり、さらに岩盤が露出してしまっている。川底が下がるのだから、川岸が崩壊して、そこから土砂・流木が流れ出し、下流に災害をもたらすことになる。撮影:2019年11月3日

暑寒別川は、サクラマスやサケの資源保護の為の禁漁河川である。勿論、釣りは出来ない。でも、考えていただきたい。保護を目的に釣り人を排除しているが、こんな川の状況にしておいて、サクラマスやサケの資源を保護していると言えるのだろうか?そもそも岩盤が露出した処でサクラマスやサケが繁殖出来るとでも言うのだろうか?川がこのような状況になっているのに、河川管理者は1号砂防ダムの上流に、更に複数の床固工(堤高の低いダム)を建設した。これで川全体でサクラマスやサケが産卵できないようにしてしまったのである。

釣り人が、この川でヤマメを1尾でも釣りあげれば逮捕!処罰される。しかし、河川管理者が造ったダムの影響でサクラマスやサケの資源が根こそぎ失われることになっても、誰かが罰せられることは無い。

暑寒別川

魚道を取り付けていても、産卵する場所がなければ、魚道を上っても役に立たない。ダム下流では卵を産み落としても卵が砂利ごと流されるのだから、魚が減るのは当然だ。川岸崩壊で流れ出す泥(微細な砂)やダムから流れ出す微細な砂を被り、卵は窒息して死んでしまう。

何度も言うが、この川は「サクラマス保護河川」だ。河川管理者のやるべきことは、釣り人に責任転嫁するのではなく、卵が育つように川の仕組みを蘇らせることではないか。

北海道南部せたな町「良瑠石川」や「須築川」に学ぶべきだ。

良瑠石川のスリット化は…効果絶大!

須築川ダムのスリット経過報告会と現地視察

 

 

須築川ダムのスリット経過報告会と現地視察

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2020年2月14日、函館建設管理部による関係機関と協議会員を対象とした「須築川砂防えん堤報告会」が開催され、パタゴニア札幌スタッフの方と参加しました。

これまでスリット化が進むにつれ、現地を経過観察していた私たちの予想通り、報告会ではサクラマスが遡上し、上流で産卵していたことが明らかにされました。スリット化の効果が認められた訳です。スリットの間口は3.5m、切り込みの深さは6.75m。

撮影:2019年11月4日

ダムの堆砂は、スリット化によって流れ出したものの、粒径は全体に小ぶりなものばかりで、下流の国道276号線(229号線)までは河床が上昇するような量には到達していないとの事。また、心配された土砂災害も無く、泥水の影響もヘドロによる水質の劣化も無いことが報告されました。

国道276号線(229号線)橋。河床低下が進行しているために、橋脚の基礎は剥き出しのまま。まだ、ここまでは十分な量の砂利が到達していない。撮影:2019年12月19日

報告会の後、段階的スリット(少しずつ切り下げていく)次の工事着手直前の現場を視察しました。

須築川砂防ダムのスリット化工事現場視察。撮影:2020年2月14日
澪筋を切り替えて、更なるスリット化工事が進められている。堤体は塗り付けたコンクリートで厚みを増していた。撮影2020年2月14日。
間口3.5mのスリット部からダム上流側へ。撮影:2020年2月14日。
須築川砂防ダムの上流側(堆砂側)からスリット部を見る。左右の管は須築川の川水を送水する管。撮影:2020年2月14日。
須築川砂防ダムの堆砂は徐々に抜けていたが、堆砂は樹林化し陸地化しているので、全量が一気に出るような心配は無かった。撮影:2020年2月14日。
堆砂の中の腐葉土などの有機質は押し固められ、ちまちまと浸蝕されて流れ出した痕跡が認められた。大量の泥やヘドロの影響が無かったのはこのためと思われる。撮影:2020年2月14日。
大きな石がゴロゴロしていた河口は、普通の砂浜のように砂礫の渚が蘇ってきている。漁港の出入口が、スリット化によって須築川から流れてきた砂利で閉塞すると言われていたが、現在その兆候は無い。撮影:2020年1月10日。

ダムのスリット化で砂利が流れてきたので、「サケがあちらこちらで産卵していたし、今まで見たことが無かったアユがたくさん産卵していた」と地元の漁師が語った。また、河口付近の海域ではスリット化が始まってから海藻の育ちがよくなり、今までにない大型のワカメが育ち、ホンダワラが密生するようになってきたとも言う。

私たちは、これからもドローン空撮による河口域の海藻の回復状況も含め、自然河川の復活、水産資源の回復など取材を続け、ダムのスリット化の効果を検証します。

 

 

「桜鱒の棲む川」水口憲哉:著(フライの雑誌社刊)

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「ダムをやめ、川を川として活かす。乱獲はしない。何もしなければサクラマスは増える」

フライの雑誌社から気になる本が出版されましたのでご紹介します。著者は水口憲哉さんで、東京水産大学時代から原子力発電建設に関わる環境問題を長く手がけて来られた方です。

出典:フライの雑誌社

水口 憲哉(みずぐ ちけんや)
1941年生。原発建設や開発から漁民を守る「ボランティアの用心棒」として全国を行脚し続けている。著書に『釣りと魚の科学』、『反生態学』、『魚をまるごと食べたい』、『海と魚と原子力発電所』、『魔魚狩り ブラックバスはなぜ殺されるのか』、『放射能がクラゲとやってくる 放射能を海に捨てるってほんと?』など多数。千葉県いすみ市岬町在住。夷隅東部漁協組合員。資源維持研究所主宰。農学博士。東京海洋大学名誉教授。「『桜鱒の棲む川』は、今までに書いた本の中でもっとも気持ちの入った一冊です」(水口憲哉)

 

完成したサンルダム。サンル川は?サクラマスは?どうなるか。

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2018年6月29日に試験湛水を開始、2019年2月11日に試験湛水が終了し、3月17日に竣工、4月から運用開始。サンルダムは完成したのである。

サンル川をせき止めたサンルダム。これでもう上流から砂利は流れて来ない。流れて来るのは泥ばかりになる。
  • 2013年11月18日

日本有数のサクラマス産卵河川として有名なサンル川に、巨大なダムが建設された。そのサクラマス資源を保全しようという魚道は、高さ46mのダム堤体に長さ440m、段差が25cmの階段が、ざっと数えて126段。更にサクラマスがダム湖に迷入しないようにダム湖を大きく迂回させて上流まで幅が3.7m、深さが1.4mの長さ7kmに及ぶ長大なバイパス水路(魚道)なのである。

サンルダム堤体からサンル川上流の魚道施設までは、延々7kmのバイパス水路(魚道)が敷設されている。
サンルダムの湛水域は広大だ。その湛水域を迂回するようにバイパス水路(魚道)が敷設されている。
サクラマスが産卵のために遡上していた支流はダム湖に水没し、その支流の上をバイパス水路(魚道)が跨いでいる。

ダム湖に注ぐ複数のサンル川支流の沢は、橋を架けてその上にバイパス水路を通しているので、サクラマスはこれらの支流で産卵することは出来なくなった。

サクラマスが産卵のために遡上していた支流の上をバイパス水路(魚道)が跨いでいる。
かつてサクラマスが産卵に上っていた多くの支流はサンルダムに水没した。つまり、本流と支流の産卵場所の多くを失ったのである。
バイパス水路(魚道)の水は、サンル川の川水を上流から取り入れた水のみだ。7kmを流れる間に水温の変動は避けられない。既に水路の底の石は泥を被っているので、水質劣化も進むだろう。魚たちは微妙な水温変化や水の臭いをかぎ分ける。この魚道を魚たちはどう判断するのか。
延長約7kmのバイパス水路(魚道)
バイパス水路(魚道)の底に敷き詰められた石。泥を被り、苔が生えている様から、水温は高いようだ。

バイパス水路(魚道)は、サンル川の上流に出口が設けられている。水路を上ってきたサクラマスは、ここからサンル川本流に入り、それぞれに産卵場へと移動して行くというシナリオだ。卵から孵化して春先に泳ぎ出し、1年の間、川で育ったサクラマス幼魚は降海するために春に川を下る。しかし、サクラマス幼魚がダム湖に入れば、ダム湖を海に見立てて、降湖型のサクラマスになってしまうのである。そこで、ダム湖に入れないようにサクラマス幼魚のすべてをバイパス水路(魚道)に導く仕掛けがされている。それは、サンル川本流の流れを堰で止め、その流れを施設に呼び込んで回転するドラムを通して、再びサンル川本流へと戻すというものだ。この回転するドラム仕掛けに、サクラマス幼魚が驚いて寄りつかないようにしているらしい。つまり、回転ドラムによって、サクラマス幼魚をふるいにかけ、バイパス水路に導くというのだ。果たして、そう上手くいくのか…?

サンル川から魚道施設に水を導くために設置された堰。上流側では、堆砂が上流に向かって溜まり始めている。増水したら容易に堰を越流するだろう。サクラマス幼魚も越流と共にダム湖に向かい、やがて湖沼型のサクラマスが出現することは目に見えている。

2019年11月2日に、この施設のすぐ上手の橋の上から観察したが、サクラマス幼魚をえり分ける施設へ本流の水を送り込むために造られた堰が、あまりにも低いもので驚いた。

サンル川上流の魚道施設に本流の水を呼び込み口。本流の水をせき止める堰の高さを見ていただきたい。低い!そして、堰の手前には堆砂が溜まっている。増水時には簡単に越流するだろうから、サクラマス幼魚は容易にダム湖に流れ込み、湖沼型サクラマスが出現することになるだろう。十分な検討がなされた施設とは思われない。

莫大な税金を投入したサクラマス資源の保全策の問題点。

1.サクラマス幼魚がバイパス水路(魚道)施設の堰を越えて、ダム湖に流れ込むことは免れない。何故ならサンル川の流れをバイパス水路(魚道)施設に呼び込むための堰には、既に堆砂が溜まっていて増水すれば、ひとたまりも無くこの堰を越流するからだ。サンルダム管理所長は「堆砂は取り除き、工事等で使用する」と言っているが、砂利を取り除くのは平水時である。だが、砂利が流れついて堆積するのは増水の時であるから、越流は免れない。サクラマス幼魚はダム湖へ流れ込むことになり、やがて降湖型のサクラマスが誕生してしまって漁獲は激減するだろう。

2.サクラマス幼魚は、1年の間、川に残り厳冬期を過ごす。越冬場所が随所に多くあったのだが、ダムの湛水によって悉く失われた。越冬環境に関する配慮はされていないのである。

左がサンル川。右に見えるのがバイパス水路(魚道)。サンル川の川岸にはアシヨシが張り出し、魚の越冬場所がたくさん見られていた。また、沼地や湿地があり、湧き水が多いことから、サクラマス幼魚の一大越冬場所になっていた。そこが水没してしまった(下の写真)のである。
良好な越冬場所(上の写真)が湛水域になり、水没してしまった。もっとも、サクラマス幼魚はこの場所への立入が禁止されている訳で、入ることは出来ない。
  • 撮影:2017年7月31日

3.サンルダムの126段もの階段魚道をどのくらいの数のサクラマスが上るのだろうか。魚道の下に100きたものが、100上がれば魚道の効果ありと言えるだろうが、それは誰も確認出来ない。魚道を上れなかったサクラマスや上らなかったサクラマスが、ダム直下にある一の沢川に押し寄せて産卵することになるだろう。そこには太古から繰り返し産卵を営むサクラマスがいるのに、新参者と競合し重複産卵し、互いに減らし合う事になるから資源は減少することになる。共にダム下の本流で産卵しているサクラマスも、重複産卵によって減少することになるだろう。

サンルダム直下。魚道の入口は左側の隅っこにある水路だ。サクラマスが100来たものが100上るという裏付けは全くない。1尾でも上れば効果有りと容認されるのだ。おかしな科学がまかり通る今流行の「忖度」魚道そのものである。上らない、上れないサクラマスは、やむを得ず付近で産卵する。他のサクラマスと産卵が競合し、互いに減らし合うことになる。大きな問題なのだが、何故か誰からも声が上がらない。
橋から見た一の沢川。水辺はなだらかで、石は苔むしている。しかし、ダムの影響で川底の砂利が流れ出すようになり、川底は下がり、川岸に段差が出来て崩れるようになっていくことだろう。ここもサクラマスの産卵場所は不安定になり、資源は減少することになるだろう。
水面までなだらかな水辺の一の沢川。サンル川の川底の砂利の減少と共に、河床の砂利が失われ、段差が出来てくるだろう。また、苔むした石もなくなる。こうした変化はダムの影響の特徴なので、ぜひ着目していただきたい。
サンル川と一の沢川の合流点。一の沢川の河床の砂利が流れ出すようになると橋と道路の取り付け部にある「橋台」の基礎部が次第に剥き出しになってくる。また、川岸にも段差が表れてくる。河床低下を視覚的に捉えることができるので、ぜひ、着目していただきたい。

サンル川は濁りの少ない川である。岩盤の上の砂利がサクラマス資源を支える要になっている。ダムによって下流に流れる砂利は、完全に止められてしまった。しかし、ダム下流の流れは砂利を運ぶ「掃流力」があるので、ダム下流の本流の川底の砂利が持ち去られることになる。岩盤の川であれば、露盤化し、そこに支流があれば、支流の砂利まで抜かれていくことになる。ダム管理者が「堰に溜まった堆砂は取り除き、工事等で使用する」と言っていることは、川の砂利がサンル川の河床を安定させる役割を担っていることに気が付いていないと言う事である。こうした意識でいる限り、やがてサンル川には、続々とコンクリート構造物が造られることになり、川は壊されていくだろう。

サンル川が注ぐ名寄川の合流点付近の川岸に堆砂している礫は、微細な砂やシルト分が見られず、粗い礫になっている。

サンルダムの下流、名寄川との合流点付近。サンル川の方には大小の砂利が多く見られるが、合流地点の名寄川は岩盤が露出しているところが多い。
サンル川と名寄川の合流点から100mほど下流の名寄川の右岸。学生がいる側がサンル川の流れが強く影響し、ここにある砂礫はサンル川から流れてきたものと思われる。
水辺の砂を一握り採取してみた。微細な砂やシルト分は全くない。粗い礫砂で、さらっとしている。
近くの川で、水辺の砂を見てほしい。こんなにもさらっとした礫砂はどこにもないだろう。微細な砂やシルト分が見られない良質な川だ。
流れる水にはうっすらとお醤油を薄めたような色が。流域の林床土壌を抜けてきた栄養分豊富な水。川の幸、海の幸を支える大切な水質だ。

サンル川の良さは、微細な砂やシルト分が少なく、森林土壌を抜けてきた栄養豊かな水が流れているところにある。サンル川が育むサクラマスは豊穣な川の証でもある。そこにサンルダムを建設してしまったことは、取り返しがつかぬ失政である。サクラマスが減少するばかりか、巨大なダムの底には膨大な泥が溜まり続け、ひいては名寄川から天塩川、沿岸に至るまで広域に影響を与え、不毛の川に変えてしまうことだろう。近年、毎年のように想定を超える豪雨があり、各ダムは「異常洪水時防災操作」による緊急放流を行い、その下流を水没させて人命財産を奪っている。川の水は集めず分散させればエネルギーは小さく被害は軽微で済むが、その水のエネルギーを膨大に集めて、わざわざ破壊力を高めてから緊急放流する。すなわち「異常洪水時防災操作」によって流入量と同じ量を短時間に放流するため、下流では水位が急激に上がるので、破壊力が増大するのだ。ダムは、まさに百害あって一利無しのやっかいな代物である。