厚沢部川水系鶉川

厚沢部川水系鶉川の最新ニュース

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上流に石を組み上げた農業用のロックフィルダム「鶉ダム」がある。「鶉ダム」は完成当初、水漏れが止まらず、長く可動出来なかったダムである。

ダムは水を貯める際に、湛水域に面した山の斜面が地滑りを起こすことが知られている。農業用ダムでは非灌漑期には貯めていた水を全て流しきる。そして次の灌漑期にまた水を貯める。貯めたり出したりの水位操作が行われる。この操作が、湛水域に面した山の斜面の地滑りを誘発することが知られている。

ダム沿いには国道227号線がある。気になるのが、路面に亀裂が生じていることだ。

また、ダムの湛水域に面した山腹のトンネルは、トンネルとトンネルの間にダムに流れ込む谷川があり、「旭橋」で繋がれている。この「旭橋」の繋ぎ目がたびたび補修工事されている。ダムの湛水によって、山腹で地すべりのような動きでもあるのだろうか、それによって橋脚が動き、つなぎ目がずれているのではないかと、ここを通過するたびに不安を感じている。

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度々、工事が行われている鶉ダム脇の国道227号線。
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国道227号線旭橋補修工事。2010年2月22日。
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旭橋の繋ぎ目の補修工事。2010年2月22日。
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橋の繋ぎ目が補強されている。2010年2月22日。
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完成した補修工事。2010年4月12日。
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国道227号線旭橋。2010年4月12日。

 

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橋の右手が鶉ダムの湛水域。2010年4月12日。
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小さな川が鶉ダムに流れ込む。ここに架かるのが旭橋。2010年4月12日。
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鶉ダムの湛水域。2010年4月12日。
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旭橋から見た鶉ダムの湛水域。堤体は右端の方にある。堤高52.2m、堤長220m。

http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranA/All.cgi?db4=0119

鶉ダムからは砂利は一切流れ出さない。従って、ダムの下流では川底の砂利が流され続けることになる。その為、川底が下がり、川岸との落差が開き、川岸が崩れるようになるので、護岸工事が行われている。

既に、厚沢部川水系河川整備事業は、20年以上続けられ、今も工事が続いている。

洪水時の流量が飲み込めないという理由で、川幅の拡幅工事が厚沢部川の本流、支流の全てで行われているのだ。河川管理者は流量計算を行い、河道拡幅の規模を決定しているが、そもそも、この厚沢部川支流には雨量をはかるアメダス計器はなく、したがって実測値も無いのだ。

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工事前、2010年4月7日に撮影した川。水際までアシヨシが生え、安定した川岸だ。ここも工事で失う。
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工事標識。これは事業名を知る手がかりになるので、写真撮影しておくと後々役立つことも多い。
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河畔林を伐り払い、重機で川岸を掘削し、川幅を広げている。業者は、工事で発生する泥水を、沈殿槽で沈澱させて、上水を流すように指導されているが、沈殿層は使われていない。取材したら「いちいち使ってられるか。金がもったいない」と怒鳴られた。立ち合っていた河川管理者の担当者が慌てていた。2011年2月4日。
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重機の周りは酷い泥水だ。これが下流へと流れ出していた。2011年2月4日。
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濃い泥水だ。撹拌されるから大丈夫という声もあるだろう。だが、微細な砂やシルトは川底に沈澱し、石の間に潜り込み堆積してしまう。この時期、越冬魚や水生昆虫は石の間にいるので影響は大きい。また、サケやサクラマス、下流のアユなどの卵が、石の下で育っている時期である。卵が泥を被ってしまうと、呼吸が出来ず窒息死するのだ。水の少ない渇水期は、その影響も大きい。2011年2月4日。
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泥水を処理するための沈殿槽が下流に置かれているが、ホースは繋がれていない。泥水は垂れ流しである。その下流でも重機が河道内に入り、川底を掘削している。魚や水生昆虫を踏み潰し、産卵後の卵は、泥を被せられ窒息させられていることに。2011年2月4日。

河川工事は水量が少ない冬場に行われることが多い。サケが上り、産卵する時期だけは配慮するが、そのサケたちが産んだ卵へ配慮する意識は全く無い。何故か専門家も黙認している。

北海道渡島総合振興局函館建設管理部は河川事業で泥水を出さないように指導はするが、監督はしない。事業さえ出来れば現場は気にならないらしい。

2008-03-05・加工済・厚沢部川・護岸工事・泥水が直接川に流されていた・DSC_0149
工事現場で泥水は、直接川に流されている。2008年3月5日。
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工事現場では沈殿槽が持ち込まれているが、川岸に置いたままで、使用されていない。泥水はそのまま川に流されている。サケやサクラマスの稚魚が泳ぎ出し始めている時期だけに、水産資源への影響は大きい。2008年3月5日。

この泥の発生源を取材するきっかけは、下流域に住む町民からの連絡だった。「川がすっごい汚いんだけど、何でこんなに泥泥なの?」
当時の函館土木現業所から説明を受けて分かったことは、指導はしても、それが実施されているかどうかの監督を怠っていることだった。こうした現場を指摘されると、業者は入札の制限をうけるらしい。職員が法令を遵守し、現場の監督をすれば、泥水を出さない工事が業者に浸透する筈だ。北海道の公務員として法令遵守が徹底されていないところに問題がある。公務員は国民の税金で事業を行っていること、いつも側にある川を大事に思っている住民がいることを真摯に自覚し、法令を遵守し、川の仕組みを壊さないで欲しい。

2015-03-01・遊楽部川・上八雲工事現場・無処理排
どの川でも見る無処理排水。2015年3月1日、八雲町遊楽部川の工事現場でも全く同じ事が行われていた。

現場の監督と指導が徹底されていないことに、驚くばかりである。自浄作用が無い組織なのだろう。

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鶉川の下流では河畔林の伐採と川岸の掘削をした川幅の拡幅工事が延々と続いている。2008年4月22日。

支流の川幅を広げれば、流速が速まり、水が集まり易くなる。 ところが、専門家たちは「川幅広げれば流速が小さくなる」と言う。狭い水路を流れる水量を、広い水路に流せば流速は弱まるだろう。しかし、それはあくまで実験室での話である。

自然の川は、川底は軟弱であったり大小の石や岩盤の凹凸もある。流速が均一に流れる実験室のような条件ではない。

※川幅を広げても流速が小さくならない映像が「石狩川水系真駒内川」にあるので、是非、見ていただきたい。

支流で川幅を広げれば、短時間に大量に本流に集まることになる。それは本流の水位が急激に水かさを増すということになる。水が集まれば水の破壊力も大きくなり、災害が発生した時の規模は拡大する。

近年、ニュースで中洲に取り残されたキャンパーがヘリで救助されたり、沢登りで雨が降った直後、溺れるという事故を聞く。被害に遭った人々が一様に言うことは、「一気に水が増えた」と。また、地元の人たちは「昔はジワジワと増えたから逃げる余裕があったが、今は、急に水が増えるようになったから逃げる時間が無くなった」と。

川幅を広げる工事が、むしろ河川の災害を多発させ、災害の規模を大きくし、危険にしているのではないだろうか。
本来の自然河川は、各々の支流ごとに水が流れ出る時間に差がある。従って本流の増水はゆっくりしたものになる。

厚沢部町の主幹産業である農業者の中には、流域の森林を伐採して山が荒れ、保水能力が低下し、更には田畑の開墾で、一層、保水能力を失い、水が出るようになったと言う。

河川管理者や専門家は口を揃えて、地球温暖化で短時間に大量の雨が降るようになったから、川水が予測を超えて増水するようになったと言う。

立場が違えば、見方は様々だが、急激に水かさが増す本当の原因を、皆さんにもよ~く考えていただきたい。