十勝川水系渋山川
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渋山川は十勝川水系の、火砕流性火山灰大地を流れる川である。
Google Earthで見ると、沢山の砂防ダムをひと目で見ることができる。最下流部の砂防ダム建設後、急激に川底が下がり始めた。工事が繰り返し行われているが、既に手に負えない深刻な状況になっている。
川底の砂利を失えばどうなるか、砂防ダムが川にどのような影響を与えるのか、川の変貌を学ぶことができる川だ。
砂利は川底が浸食されないように護る大事な役割を持っていることを教えてくれる川だ。
このわずか数年間、取材をする度に、川の姿は急激に変わり、工事が繰り返し行われ続けている。もう手が付けられない状況の中、それでも工事が続けられており、対策工事は泥沼化している。すでに莫大な税金がドブに捨てられてきたハズだ。公共事業評価委員会は冷静に現場を見て、税金のムダ使いをこれ以上させないようにビシバシとメスを入れてほしい。税金を浪費する犯罪行為のように思えてならない現場だ。
工事が行われる以前はどうだったのか? 平成15年(2003年)の写真を「株式会社伊豆倉組」のwebサイトで見ることができる。
http://www.izuarc.com/izuarchome/izukura/koji-h15shibusangawa.htm
![最下流の砂防ダムより上流に古い砂防ダムがあった。昔の川底はこのレベルだった。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/①-1・2004-06-20-A・及川氏・芽室・渋山川グランドキャニオン・美生川-078-300x225.jpg)
![古い砂防ダムは最下流の砂防ダムのすぐ上流にある。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/①-2・2004-06-20-A・一つ手前の・砂防ダム・及川氏・芽室・渋山川グランドキャニオン・美生川-105.jpg)
![たくさんある砂防ダムのうち、最下流の砂防ダムの直下が深く浸食されたために現在の砂防ダムに改築された。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/②・2004-06-20-A・及川氏・芽室・渋山川グランドキャニオン・美生川-105.jpg)
![】砂防ダム直下。砂防ダムの建設で左岸を掘削している。また、左右の崖の上の樹林帯は、この位置が川底だ。7~8mは堀下がっている凄まじい場所だ。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/③・2004-06-20-A-及川氏・芽室・渋山川グランドキャニオン・美生川-082-300x225.jpg)
![砂防ダム直下の右岸にはコンクリートブロックが積み上げられている。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/④・2004-06-20-A-及川氏・芽室・渋山川グランドキャニオン・美生川-093-300x225.jpg)
![砂防ダムの下流には左岸の崖が浸食されないように基礎に消波ブロックを置き、その上に金網に石を積めた「布団カゴ」が積み上げられている。布団カゴの両脇にはコンクリートブロックを積み上げて固めている。しかし、そもそも、川底が下がるから、基礎の消波ブロックやコンクリートブロックは沈み込み、布団カゴもずり落ちる。おびただしい数のコンクリートブロックを置いても、川底の浸食を食い止めることはできていない。川底の砂利がいかに大事かがよくわかる。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑤・2004-06-20-A・及川氏・芽室・渋山川グランドキャニオン・美生川-089-300x225.jpg)
![砂防ダム下流の布団カゴとおびただしい数のコンクリートブロック。川底が下がるから、グシャグシャに崩れている。これが、砂利の流下を止める砂防ダムの影響そのものなのである。科学者と言われる人たちは、上流から砂利を供給する視点は持たない。川を固める方向でしか考えないし、議論しようともしない。生物多様な自然環境を損なうばかりか、川底が下がれば地下水が抜かれ水不足が生じ、多くの水産資源を育む川の仕組みそのものを破壊するばかりである。こうした川を破壊するダムそのものも、それを補う場当たりの工事もすべて私たちの税金で行われている。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑥・2004-06-20-A・及川氏・芽室・渋山川グランドキャニオン・美生川-100-300x225.jpg)
![ここに再び【③】2004年6月20日に撮影した砂防ダムの下流の様子。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/③・2004-06-20-A-及川氏・芽室・渋山川グランドキャニオン・美生川-082-300x225.jpg)
![2005年4月21日には左岸が大きく削られ、川幅が大幅に広げられていた。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑦-1・2005-04-21・渋山川・砂防ダム・-161136-300x199.jpg)
![2007年4月22日には左右両岸とも、浸食されている。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑦-2・2007-04-22・渋山川・-039-300x199.jpg)
![2013年10月20日には新たにコンクリートブロックが両岸に敷設され、川底は更に下がっていた。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑦-3・2013-10-20・渋山川・砂防ダム直下・DSC_04071-300x199.jpg)
![10年後の姿だが、もうメチャクチャとしか表現のしようがない川の姿だ。川底が大幅に下がり、崩れるに任せるだけになっている。2014年5月17日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑦-4・2014-05-17・渋山川・砂防ダム・DSC_1541-300x194.jpg)
![10年後の姿。火砕流性の火山灰の地質は非常に軟弱だが、砂利が川底を侵食させないように護っていた。一つ一つの砂利が安定した川にさせていたことは、奇跡的な仕組みだと痛感させられる。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑧・2014-05-17・渋山川・砂防ダム・DSC_1595-300x200.jpg)
砂防ダムが砂利の流下を止めてしまっていることが原因なのに、ダムには一切、触れようとしない。ダムを壊すということは「間違って造ったもの」になってしまうから、絶対にダムの影響は認めない。下流側の対策のみに手をかけてきた管理者や科学者は、この川の「パンドラの蓋を開けてしまった」のだ。
![2007年4月22日に撮影した。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑨-1・2007-04-22・渋山川・-035-300x199.jpg)
![2014年5月17日に撮影した。「⑨-1」と比較すると川幅を広げ、左右のコンクリートブロックを更に延伸して敷設している。繰り返し、莫大な税金が投入されている。2014年5月17日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑨-2・2014-05-17・渋山川・砂防ダム・DSC_1525.jpg)
![10年後の姿。③の写真の水面の位置と比較すると水面が下がったことが分かる。川幅を広げると、河床低下を食い止める方法は失くなる。コンクリートの三面張りに固めるしかなくなる。それもダムから下流の末端に至るまで全域をコンクリートの水路に置き換えるしか術がない。なぜ、科学者たちは砂利を供給することを考えないのだろうか。2014年6月8日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑨-3・2014-06-08・渋山川・砂防ダム・DSC_0271-300x196.jpg)
![2007年4月22日に撮影した。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑨-4・2007-04-22・渋山川・-014-300x199.jpg)
![10年後の姿。コンクリ-トは使い放題だ。こうした事業は北海道にある事業評価委員会が評価している筈なのだが。現場を見る限り事業評価委員会は全く機能していないと言わざるを得ない。それどころか、更に次の事業が計画されている。税金はドブに捨て続けられるようなものだ。③2014年5月17日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑨-5・2014-05-17・渋山川・砂防ダム・DSC_1496-300x200.jpg)
![農地の脇を流れ、渋山川に注ぐ極小さな支流だが、本流の川底の低下に伴い、ここも砂利が流れ出して川底が極端に下がった。その結果、農地の縁が崩れ、補修が行われた。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑩-1-A・2007-04-22・渋山川・-141-300x196.jpg)
![農地の脇を流れ、渋山川に注ぐ極小さな支流だが、本流の川底の低下に伴い、ここも砂利が流れ出して川底が極端に下がった。その結果、農地の縁が崩れ、補修が行われた。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑩-1-B・2009-07-10・渋山川・こんな小さな川が掘り込んだ・DSC_0211-300x199.jpg)
![農地の脇を流れ、渋山川に注ぐ極小さな支流だが、本流の河床低下に伴い、ここも砂利が流れ出して川底が極端に下がった。その結果、農地の縁が崩れ、補修が行われた。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑩-2-A・2004-06-20-A-及川氏・芽室・渋山川グランドキャニオン・美生川-057-300x221.jpg)
![農地の脇を流れ、渋山川に注ぐ極小さな支流だが、本流の川底の低下に伴い、ここも砂利が流れ出して川底が極端に下がった。その結果、農地の縁が崩れ、補修が行われた。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑩-2-B・2009-07-10・渋山川・こんな小さな川が掘り込んだ・DSC_0236-300x199.jpg)
![農地の脇を流れ、渋山川に注ぐ極小さな支流だが、本流の川底の低下に伴い、ここも砂利が流れ出して川底が極端に下がった。その結果、農地の縁が崩れ、補修が行われた。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑩-3-A・2004-06-20-A-及川氏・芽室・渋山川グランドキャニオン・美生川-056.jpg)
![の小さな川のすぐ先は本流だ。本流の川底が下がったために、急速に川底が下がり、まるで苔の洞門のような姿になっている。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑩-4-A・2004-06-20-A-及川氏・芽室・渋山川グランドキャニオン・美生川-058-300x225.jpg)
![この小さな川のすぐ先は本流だ。本流の河床が下がったために、急速に川底が下がり、まるで苔の洞門のような姿になっている。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑩-4-B・2009-07-01・渋山川・こんな小さな川が掘り込んだ・DSC_0270.jpg)
![凄まじい勢いで川底が下がり、落差が大きくなって、とうとう下に下りることはできなくなった。このすぐ先が渋山川の本流だから、本流がさらに下がったことが読み取れる。2014年05月07日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑩-3-B・2014-05-17・渋山川・砂防ダムの下流・DSC_1466.jpg)
![この小さな川のすぐ先は本流だ。本流の河床低下で、急速に川底が下がり、まるで苔の洞門のような姿になっている。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑩-5-A・2006-09-24-C・芽室町渋山川-098-300x199.jpg)
![この小さな川のすぐ先は本流だ。本流の河床低下で急速に川底が下がり、まるで苔の洞門のような姿になっている。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑩-5-B・2009-07-01・渋山川・こんな小さな川が掘り込んだ・DSC_0303-300x199.jpg)
![この小さな川のすぐ先は本流だ。本流の河床低下で急速に川底が下がり、まるで苔の洞門のような姿になっている。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑪-1・2004-06-20-A・及川氏・芽室・渋山川・渋山川橋・023-300x225.jpg)
![この小さな川のすぐ先は本流だ。本流の河床低下で急速に川底が下がり、まるで苔の洞門のような姿になっている。2004年6月20日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑪-3・2006-09-21-C・芽室町渋山川-062-300x199.jpg)
2006年09月21日
下は別の角度から撮影した写真。
橋の上から下流を見る。2004年06月20日
![2006年9月24日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑫-3・2006-09-24-C・芽室町渋山川・橋脚・-064-300x194.jpg)
![小さな川との合流点。2007年4月22日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑬-1・2007-04-22・渋山川・-122-300x199.jpg)
川底が下がるから岸が引き込まれるように崩れていく。2014年5月17日
![川底が浸食されないように護っていたコンクリートブロックもあえなく崩れてしまった。取材毎に、ぶら下がったブロックを見ると、この川の異常さが怖くなる。2014年5月17日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑮・2014-05-17・・渋山川・魚道の下流・DSC_1167-300x200.jpg)
![川底が浸食されないように護っていたコンクリートブロックもあえなく崩れてしまった。取材毎に、ぶら下がったブロックを見ると、この川の異常さが怖くなる。2014年5月17日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑯・2014-05-17・渋山川・魚道の下流・DSC_1172.jpg)
渋山川の今後も取材を続ける。北海道の河川管理の在り方の異常さがお分かりいただけただろうか。このような現場を異常と感じないで、今尚、工事が繰り返されている。税金の無駄遣いの最たる現場だ。検証する組織は、吃緊にメスを入れて欲しい。手をかければかけるほど工事の規模が拡大するばかりとなっている。これは、もはや意図的な目論見と言ってもおかしくない。このまま放置すれば莫大な税金がさらにさらに失われ続けることになる。