厚沢部川水系畑内川
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ヒノキアスナロ保存林に指定された「レクレーションの森」の中を流れる川だ。最下流の扇状地である森の入口は、湧水で湿地のような処もあり、豊かな植生に恵まれている。
この川は国道277号線を潜るボックスカルバート(コンクリートのトンネル)があり、本流の厚沢部川へ注いでいる。このカルバートは、「く」の字に曲がっている為、大雨の時に流木が引っ掛かり、間口を塞ぐので川水が越流し、住宅周辺が水に浸かったことがある。
カルバートの間口を広げるか、設計を変えれば良いことなのだが、何故か厚沢部町は、国道を管理する開発局とは協議をしようとはしないのだ。再三、被災の原因を指摘している住民が、申し入れているのだが、全くの無視である。
何故なのか不思議に思っていたら、治山ダムを建設し、川幅を広げて越流被害を失くすという河川改修事業が計画された。
これには、保護団体からの反発も大きく、治山ダムは一部、建設が見送られたが、川底を掘って、川幅を広げ、階段状に落差工(河川横断構造物)を作り、そこに石をコンクリートに貼り付けて固めた。美しく豊かな自然河川は、単なる無機質な水路へと作り変えられてしまった。この後、水路はドブ化し異臭を漂わせ、周辺の湧水が涸れ、湿地は干上がり、多様な植生も乾燥化したことで失われてしまった。
この沢にも治山ダム2基が計画された。江戸時代から留山として禁伐でこれまで残されてきた直径1mはある天然ヒバの純林の山を切り崩し、掘削し、ヒバも伐り倒された。伐採した大径木の高価なヒバは、なんと夜中に運び出されたのだ。今では手に入らないような超高価な大径木の天然ヒバは、いったいどこに消えたのだろうか?それに、何故か、町には売買した痕跡も台帳もないのだから…奇っ怪な出来事だ。
この小さな川の源流域は豊かな自然環境が残されている。その下流域で川の仕組みを無視した河川改修は、災害防除とはほど遠く、これでは人の生命・財産も救えないし、良好な自然環境も残せない。
更に、事業をかたった”闇”までもが見え隠れする薄気味悪い事業はあってはならないことだ。この場所を管理は、担当する人間の考え方ひとつで、流域の自然も人の暮らしもいとも簡単に失われてゆくことを知っていただきたい。