軍川(いくさ)
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北海道南部・大沼に注ぐ急流河川で、扇状地は畑や水田になっている。大雨で、周辺の農地は水浸しになる。いわゆる内水氾濫だ。現在、農地を買い上げて、遊水池の建設が始まっている。
![2015-04-06・大沼・軍川・新・遊水池・KAZ_0165](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-04-06・大沼・軍川・新・遊水池・KAZ_0165.jpg)
今から5年前、大規模に川幅を広げて長い堤体の砂防ダムを4基建設する計画がされた。河川管理者は、ダムを建設する理由として、農地から出る泥が川底を押し上げて越流するから、川幅を拡げて水位を下げると説明している。しかし、私たちが、冠水の原因は、「内水氾濫」であり、遊水池を設けることで対処出来ることを指摘すると、今度は下流域にある老人ホーム施設を冠水から守るという説明に一変させたのだ。ダム計画の段階では内水氾濫を認めず、ダムが完成してから今になって、遊水池の建設を進めているのだ。全くの理不尽である。
また、上流域にある治山ダムが、砂利を止めているので、その下流では河床低下を起こし、河岸が崩れ始めているのだが、その河床低下を防ぐ対策として出された案は、上流から流れてくる砂利を堰を設けて止めるというものだ。既に複数の堰があるが、それでも足りないと言って次々に堰が建設されて来たのだ。河川管理者は原因を見極めずに、対症療法的な工事を繰り返すばかりである。
![撮影:2004年3月16日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/①・2004-03-16・加工済・軍川・同・161331.jpg)
![砂利を止めるために設置した堰。さらに上流にはいくつもの堰が設けられている。2004年3月16日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/②・2004-03-16・加工済・軍川・160259.jpg)
![砂利を止めるための堰。2004年3月16日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/③・2004-03-16・加工済・軍川・160822-300x190.jpg)
![同。2004年3月16日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/④・2004-03-16・加工済・軍川・160600-300x192.jpg)
![堰が敷設された後の現場。2010年12月10日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑤・2010-12-10・加工済・大沼・軍川・DSC_0265-300x193.jpg)
![大量の砂利が堆積している。流れてくる砂利を止めると考える前提に、砂利がどこから、どのような仕組みで流れてくるかのメカニズムを突き止めてから対策をとることが重要だ。このような対症療法ではいつまでも見せかけの対策を繰り返すばかりで、解決することはない。2010年12月10日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑥・2010-12-10・加工済・大沼・軍川・DSC_0278-300x198.jpg)
![軍川の下流部。このあたりは微細な砂やシルトが大量に堆積している。増水時には大量の泥水が流れ出している痕跡だ。2010年12月10日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑦・2010-12-10・加工済・大沼・軍川・DSC_0296-300x198.jpg)
![流れゆく先はラムサール条約指定国定公園の大沼だ。これでは大沼の環境は泥で埋まり改変してゆく。2010年12月10日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑧・2010-12-10・加工済・大沼・軍川・DSC_0300-300x198.jpg)
![この砂利はどこから流れてきたのだろうか。2010年12月10日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑪・2010-12-10・加工済・大沼・軍川・DSC_0161-300x198.jpg)
左手の川岸(右岸)がコンクリートブロックで補修されている。川岸が崩れたのである。2010年12月13日
微細な砂・シルトの発生源とされる農地を見に行った。確かに畑地を水が流れ、土が流された痕跡はあるが、川に堆積して周りを冠水させる程のものではない。しかも、農地から出るのは微細な砂やシルトであり、川底を押し上げる砂利ではない。更に土の流出は、堰では止めることは出来ないから、発生源で対策を行えば良いことだ。このことは、地元住民からも意見が出ているが、聞き入れられない。河川管理者は、何が何でも原因や対策よりも、ダム建設が絶対なようだ。2010年12月10日
![農地を買い上げて沈澱できるような巨大な堰をつくった。2010年12月10日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑮・2010-12-10・加工済・大沼・軍川・DSC_0157-300x198.jpg)
長大な堤体の砂防ダム4基が建設された。
![2015-04-06・大沼・軍川・新・砂防ダム・KAZ_0093](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-04-06・大沼・軍川・新・砂防ダム・KAZ_0093-300x200.jpg)
この4基の帯工砂防ダムは、Google Earthで見ることが出来る。
![2015-04-06・大沼・軍川・新・砂防ダム・KAZ_0048](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-04-06・大沼・軍川・新・砂防ダム・KAZ_0048.jpg)
![2015-04-06・大沼・軍川・新・砂防ダム・KAZ_0112](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-04-06・大沼・軍川・新・砂防ダム・KAZ_01121-300x195.jpg)
![2015-04-06・大沼・軍川・新・砂防ダム・KAZ_0015](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-04-06・大沼・軍川・新・砂防ダム・KAZ_0015-300x200.jpg)
![2015-04-06・大沼・軍川・新・砂防ダム・KAZ_0025](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-04-06・大沼・軍川・新・砂防ダム・KAZ_0025-300x200.jpg)
![2015-04-06・大沼・軍川・新・砂防ダム・KAZ_0163](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-04-06・大沼・軍川・新・砂防ダム・KAZ_0163-300x200.jpg)
![2015-04-06・大沼・軍川・新・砂防ダム・KAZ_0144](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2015-04-06・大沼・軍川・新・砂防ダム・KAZ_0144.jpg)
この、軍川の上流域に、林野庁北海道森林管理局渡島森林管理署の治山ダムが3基ある。中下流域で起きている河床低下の根源は、ここにある。
「大沼の水と緑を守る会」会長の、北見康二氏と共に現地を視察した。
![地図で、渡島森林管理署の治山ダムが上流にある事がわかった。ブヨの群れに襲われながら、ヒグマが徘徊する密林を上り、治山ダムを探した。2011年7月7日](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑱・2011-07-07・加工済・大沼・軍川・DSC_0714-300x198.jpg)
![治山ダム。昭和37年(1962年)に建設された。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑲・2011-07-07・加工済・大沼・軍川・DSC_0738.jpg)
![治山ダムの下流では川岸が垂直の崖になり、河畔林の根元が抜かれ、根っこがむき出しになっていた。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑳・2011-07-07・加工済・大沼・軍川・DSC_0723-300x195.jpg)
![治山ダムの下流では微細な砂利が目立つ。中央が下がって低くなっているので、両岸から苔むした石がのめり込むようにズリ出している。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/㉑・2011-07-07・加工済・大沼・軍川・DSC_0736-300x198.jpg)
![治山ダムは砂利で満杯になっており、流れ出す砂利の大きさは小さい。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/㉒・2011-07-07・加工済・大沼・軍川・DSC_0749-300x198.jpg)
![川の中央部が下がっており、左右両岸から石が中央にズリ出してきている。苔むした石が少なくなっている。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/㉓・2011-07-07・加工済・大沼・軍川・DSC_0751-300x198.jpg)
![苔むした石が前のめりにズリ出し、川岸に段差が出来て、砂利が抜け出している。川底が下がった時の特徴だ。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/㉔・2011-07-07・加工済・大沼・軍川・DSC_0760-300x198.jpg)
川の中央へ向かって傾斜が出来ている。苔むした石が転げ出し始めている。河岸からも石が抜けている。これらは、川底が下がっている特徴である。川を観察する機会があったら、川岸を見ていただきたい。こうした現象を知ることで、川の健康状態が診断出来る。
![治山ダム。昭和52年(1977年)に建設された。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/㉖・2011-07-07・加工済・大沼・軍川・中・DSC_0803.jpg)
![治山ダムは満杯で、微細な砂やシルトが目立つ。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/㉗・2011-07-07・加工済・大沼・軍川・中・DSC_0810-300x198.jpg)
![治山ダムの堆砂域の上流には大きな石が上流へ向かって貯まり続けている。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/㉘・2011-07-07・加工済・大沼・軍川・中・DSC_0831-300x198.jpg)
![治山ダム。昭和54年(1979年)に建設された。堆砂は微細な砂やシルトが目立つ。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/㉙・2011-07-07・加工済・大沼・軍川・上・DSC_0874-300x198.jpg)
![治山ダムは砂利で満杯。上流へ向かって砂利が貯まり続けている。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/㉚・2011-07-07・加工済・大沼・軍川・上・DSC_0873.jpg)