見市川
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見市川はサクラマス保護河川に指定され、この川が見渡せるところに北海道立水産ふ化場がある。源流域は、遊楽部岳(標高1,277m)登山コースがある急峻な岩山を流れる。
湧き水の透き通った水が流れる。上流は岩壁の迫る狭い流れとなっている。
水質良好な清流であるが、この写真から下流域にはたくさんの治山ダム、巨大な砂防ダム、古い発電ダムがあり、ダムが砂利を止めている影響で、下流では川底が下がり、川岸の崩壊や国道の崩壊が多発し、通行止めになることも多い。
堤高23m、堤長84m、貯砂量944,000㎥の「見市川砂防ダム」。既に砂利で満杯になっているが、更に上流へと砂利が堆積し続けている。貯砂量944,000㎥を遙かに超えた量が、この砂防ダムによって止められ、その分量だけ下流に供給されなくなった。その為、今尚、川底はどんどん下がり続け、川に面した山斜面の崩壊が拡大している。
見市川砂防ダムが、土砂から微細な砂とシルト(泥)を選り分けて下流へ流している。更に、河床低下によって河岸及び山脚崩壊を招き、少量の降雨でも泥が流れ、川底に大量の泥を堆積させている。
サクラマスの保護河川でありながら、サクラマスは減少し続けている。過去にはよく見たウグイやウキゴリ、ヨシノボリやカジカなどの姿も見ることが希になってしまった。
保護河川の管理者は、北海道である。更に、この見市川には同じ北海道の機関である水産ふ化場もある。これだけの保護する態勢があるにも関わらず、サクラマス資源が激減した。禁漁河川にして釣り人を排除さえすれば、資源が保護されると思っているのだろうか。北海道水産部や水産ふ化場の人たちは、サクラマスの繁殖や幼魚・稚魚の生活を支える仕組みを知らないとでも言うのだろうか。繁殖し、生息できる川の仕組みが損なわれているから資源が減少しているのだ。現場を直視し、損なわれた理由を真摯に考えていただきたい。
上流の治山ダムや砂防ダムによって砂利が止められると、川はどうなってしまうのか。現場の写真を見ていただきたい。
治山ダムから流れ出す砂利の大きさは、小石や微細砂、シルト(泥)ばかりである。ダム下流では川底の石はどんどん押し流されて、河床が下がっていく。その為、川岸は崩れ、川に面した山斜面が崩壊し、大量の土砂と流木を流し出す。
川底の砂利が流されると、川底が下がり、山斜面が水流で浸食され崩壊する。それを防ぐ為に、治山ダムが建設される。川底の砂利が流れ出さないように砂利を止める目的である。
しかし、現場で実際に起きているのは、治山ダムそのものが下流域の川底を低下させ山を崩壊させている。更に上流域ではダムに貯まった砂利が川底を上昇させ、広い河原を形成し、その上を川水が蛇行して流れ、その水流が山の斜面を侵食して、新たなる山崩れを引き起こしている。
山が崩壊しないように建設した治山ダムが、実際には上流でも下流でも山崩れを発生させ、増加させている。ダムがある限り、ダムが引き起こす負の連鎖は止まらない。
左手の黄土色の所は、かつて水が溜まっていた所だ。現在は、全て微細な砂・シルトで埋め尽くされてしまった。そればかりか上流へと、どんどん堆砂域が広がり、深いV字の谷は川底が上昇し、川幅が広がり続けている。自然河川では有り得ない、異常な姿だ。
どの川も、増水すればひとたまりもなく崩れ、壊れていく状況にある。河川を管理する事業が、川を壊す。
この見市川は、道路との間に小高い盛土があって川と道路は離れていたが、いつの間にか道路際まで浸食が進み、小高い盛土は姿を消し、ついに道路は決壊した。こうした災害を引き起こす、起こさないは、河川管理の在り方次第である。もはや、災害復旧工事が「創出」されていると言われてもおかしくはない。北海道の産業は、災害関連の河川事業が主力となっていると言われても仕方ないだろう。
考えられないような道路崩壊である。川底の砂利がどんどん失われ、川底が下がり続けているのだから、補修しても崩れ、何度も被災することになる。その都度、国からの災害復旧工事費を費やす。まるで自分の体を傷つけて、保険金を貰っているようなものである。これを繰り返している間に、体は壊れていく。北海道の河川管理は、まさに川(地域)を壊して、貪る既得者にお金を与えているとしか言い様がない。こうした災害興しのような河川管理を無くし、私たちが共有する自然環境や資源を保ち回復させる為には、私たち道民が、しっかり見て関心を持つことが必要なのだと思う。