長く続く河川の治水対策
河川管理者は、流域で暮らす住民の安全、安心な生活を守るために、日本の科学技術の粋を集め、水害を防ぐために最大限の努力をし、様々な治水対策を投入してきました。治水対策は小規模ではなく、莫大な税金を投入して、40年、50年の半世紀に亘る長きの治水対策に取り組んできました。
ですから、水害が低減され、被害の規模も小さくなって良い筈です。
ところが、昨今の新聞・テレビでは悲惨な”水害”の現場が頻繁に報道されています。皆さんは、これをどのように受け止められているでしょうか?
治水対策に取り組んで半世紀、水害が減るどころか、むしろ多発するようになり、水害の規模も拡大しているように感じませんか?
果たして水害防除の治水対策は功を奏しているのでしょうか?
治水対策の手法は正しかったのでしょうか?
現場を見ていくと、実は治水対策や土石流対策など水害防止の対策であるダム建設が、その意図に反して川を壊し、川を不安定にさせて、いつ土砂災害や土石流災害・流木災害が起きてもおかしくないような危険な状態を作ってきたことが分かってきたのです。
各種ダムの下流域で必ず発生する「河床低下」は生命財産に及ぶ危険きわまりない現象なのです。
みなさんの身近な川で、みなさんが誰も気がつかないうちに、ある時、川が突然に牙をむくようなことがこれからはもっともっと頻発していくと思います。
事態は非常に切迫した危険な状態にあることにぜひ気がついていただきたいと思います。
この危険を解消するためには、既設のダムを撤去あるいはスリット化するなどの対策しか方法がありません。ましてや必要性が分からないダムの建設は絶対にしてはいけません。このことをしっかりと心に刻んでいただきたいと思います。