活動を支える調査
「流域の自然を考えるネットワーク」は、主に以下の調査活動に取り組んでいます。
オオワシ・オジロワシの越冬数カウント調査
国際保護鳥であるオオワシ・オジロワシの越冬を支えているのは野生サケ資源であり、その野生サケ資源は、川の健康状態に支えられています。20年を超えた調査は、川の健康状態を知る重要な手掛かりとなっています。
![オオワシ・成鳥・KAZ_0148](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/オオワシ・成鳥・KAZ_0148.jpg)
![オジロワシ・成鳥・KAZ_0301](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/オジロワシ・成鳥・KAZ_0301.jpg)
![オオハクチョウ親子・KAZ_0207](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/オオハクチョウ親子・KAZ_0207.jpg)
サケの産卵床調査
野生サケが産卵する状況を知ることで、地下水の噴出箇所や噴出量を知ることが出来ます。つまり、河床低下を起こしている川は、地下水が抜かれ、地下水位が低下するという状態を知ることが出来るのです。サケの産卵場所の変化や水温など適宜調査を行い、川の健康状態を知ることに努めています。
![・サケ・KAZ_0099](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/・サケ・KAZ_0099.jpg)
![サケのペア・上が♂で、下が♀・KAZ_0085](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/サケのペア・上が♂で、下が♀・KAZ_0085.jpg)
![産卵するサケたち・砂が目立つ・KAZ_0032](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/産卵するサケたち・砂が目立つ・KAZ_0032.jpg)
![産卵を終えたサケ・DSC_0189](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/産卵を終えたサケ・DSC_0189.jpg)
野生サケは多くの生きものたちの生活を支えているので、野生サケがどのように利用されているのかを裏付ける調査もしています。
河畔林調査
河畔林をGPSデータで記録することで、河床低下で起きる河岸崩壊や、河道の変化を確認することが出来ます。消失した河畔林は、止まり木に利用しているオオワシ・オジロワシにも影響を与えています。河畔林の役割を総合的に知るための調査でもあります。
![2009-04-10・加工済・河畔林調査・DSC_0038](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/2009-04-10・加工済・河畔林調査・DSC_0038.jpg)
![2009-04-10・加工済・河畔林調査・DSC_0020](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/2009-04-10・加工済・河畔林調査・DSC_0020.jpg)
![河岸崩壊もろとも河畔林も倒れ込んだ・DSC_0152](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/河岸崩壊もろとも河畔林も倒れ込んだ・DSC_0152.jpg)
ダムの位置と河川事業の位置情報
ダムの下流では河床低下が発生し、河岸崩壊・道路崩壊・農地崩壊・山脚崩壊などが発生することから、災害復旧工事が行われることになります。そして、ダムの上流では堆砂が膨大に増え、川幅が広がる為、林道崩壊・山脚崩壊などの災害復旧工事が行われることになります。従って、ダム建設後から起きた災害と、復旧工事の情報を集めることで、ダムの影響(問題)が見えてくるようになります。
ダムの上下流の追跡記録
ダムの上流では砂利の堆砂で川幅が広がり、ダムの下流では河床が低下し、砂利の大きさの構成が変わるなどの変化が見られます。ダムの上流側と下流側での違いや、河床の石の状況を記録することで、ダムの影響について良く分かるようになります。
![2013-05-25-A・加工済・岡春部川・DSC_0689](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2013-05-25-A・加工済・岡春部川・DSC_0689.jpg)
![2013-05-25-A・加工済・岡春部川・DSC_0705](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2013-05-25-A・加工済・岡春部川・DSC_0705.jpg)
![2013-05-25-A・加工済・岡春部川・DSC_0724](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2013-05-25-A・加工済・岡春部川・DSC_0724.jpg)
![2015-05-06・砂蘭部川・砂が目立つ](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/2015-05-06・砂蘭部川・砂が目立つ.jpg)
![2015-05-07・加工済・遊楽部川・清流建岩橋下流側・泥の堆砂・KAZ_0147](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/2015-05-07・加工済・遊楽部川・清流建岩橋下流側・泥の堆砂・KAZ_0147.jpg)
![戸切地川・2001-04-05・DV-00444-036](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/戸切地川・2001-04-05・DV-00444-036.jpg)
![川底の砂利がきれいに流されて、軟弱な岩盤が露出している。この付近でワイヤーに石を付けたものを横断させて、砂利を止め、サクラマスの産卵場の造成試験が行われた。失敗した後はすっかり砂利が失われてしまった。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2011-10-03・加工済2・真駒内川・DSC_0182.jpg)
![2011年5月22日。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2011-05-22・加工済・ニセパオマナイ川・DSC_0132.jpg)
![2004-08-20・加工済・泥水・八木川・004](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2004-08-20・加工済・泥水・八木川・004.jpg)
ダムを境にして、上流も下流も川岸が崩れ、山が崩れるようになり、濃い泥水が流れ出すようになります。
![こんな泥水が出るような川で果たして魚たちは生きていける者だろうか…?](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2004-05-01-A・加工済・空撮・鵡川の濁り海-133.jpg)
こうして、いろいろなダムを記録していくと見えてくるものがあります。
川底に何気なく転がっている石や砂利は、川を安定させる重要な役割を担っていることが見えてきます。また、高い方から低い方へと、只々流れているだけの水ですが、実は、そこには多くの生命を育んでいる仕組みがあることも見えてくるのです。
河川生物と河床の砂礫調査
河床の砂利の大小や砂・シルトなど、河床の礫と、そこに棲む生物の種類(生物相)を知ることで、川の健康状態を知ることが出来ます。
![ヤマメ・KAZ_0363](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/ヤマメ・KAZ_0363.jpg)
![イトウのペア・左がオス、右がメス・015](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/イトウのペア・左がオス、右がメス・015.jpg)
![活きた川にはたくさんの生きものがいる。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/川底の石・小・File1156.jpg)
![森林伐採で土砂で埋まった小沢にすんでいたニホンザリガニたち](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/about11.jpg)
![エゾアカガエルの卵塊・DSC_0466](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/エゾアカガエルの卵塊・DSC_0466.jpg)
![エゾサンショウウオの卵塊・DSC_0120](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/エゾサンショウウオの卵塊・DSC_0120.jpg)
![2007-10-14・加工済・人住内川・谷止工・イワナ 097](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2007-10-14・加工済・人住内川・谷止工・イワナ-097.jpg)
![苔むした石。小さな礫は荒くさらさらしている。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2011-10-06・加工済2・遊楽部川支流ナンマッカ川・DSC_0117.jpg)
![2015-05-06・加工済・砂蘭部川・堆積した泥・KAZ_0121](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/2015-05-06・加工済・砂蘭部川・堆積した泥・KAZ_0121.jpg)
![水は透明できれいだが、川底を長靴でグズグズと掘れば、煙のように泥が舞い上がり、大量の泥が堆積していることが分かる。これでは魚類や水生生物は繁殖も生活もできなくなる。こうして川は不毛の川になり果てていく。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/⑤-01・せせらぎ公園・サケ産卵場だが、ドブ化した堆積泥が舞い上がるDV-00793-094.jpg)
![ヒグマの多い川でもある。林道に「サルナシの実」食べた糞が残されていた。](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2006-10-18-D・ヒグマのコクワ糞・ペンケルペシュペ川.jpg)
森林伐採現場や林道開削現場の調査
![2006-09-16・加工済・上ノ国奥湯ノ岱国有林 086](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/2006-09-16・加工済・上ノ国奥湯ノ岱国有林-086.jpg)
![2013-06-15・加工済・立ち枯れが目立つ国有林・DSC_0027](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/2013-06-15・加工済・立ち枯れが目立つ国有林・DSC_0027.jpg)
![2013-06-15・加工済・立ち枯れが目立つ国有林・DSC_0031](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/2013-06-15・加工済・立ち枯れが目立つ国有林・DSC_0031.jpg)
![2008-04-19・加工済・南館・247&248林班・作業道・クマゲラ営巣木・ヒバ&ブナ 034](http://protectingecology.org/wp/wp-content/uploads/2014/06/2008-04-19・加工済・南館・247248林班・作業道・クマゲラ営巣木・ヒバ&ブナ-034.jpg)
川の水は、森林源流域の広範囲から集まって来ます。森林は「緑のダム」といわれるように、雨水の貯水能力があります。しかし、伐採地の作業道や集材路、林道の開削で、表土が掘削される為、腐葉土層・腐植土層が失なわれます。これらへ染み込んで地中をゆっくりと流れていた水は、作業道、集材路、林道に流れ出し、川と見まごうほどの水量となって流れ出しています。
こうした現場の調査は、川の保全を考える上でも大切な調査です。実際に管理担当者に現場を見て貰うことで、流域の自然を損なわない施業手法の陳情を行うことも出来ます。大事な流域は、施業される(入札)前に、森林計画について知ることが必要です。