千代志別川
千代志別川の最新ニュース
ニュースはまだありません。
日本海に注ぐ急峻な川である。大規模な治山ダムが13基あり、全断面魚道が付帯されている。また、下流は川底が広範囲でコンクリート構造物で固められ、まるでコンクリートでがんじがらめにされた川となっている。
上流に最初に建設された治山ダムが引き金になって、川底が下がり始めたのだろう。
ダムがある川に共通した現象は、「川底が下がり」、「苔むした石が消え」、「巨石が消え」、「石が小ぶりになり」、「川岸が崩れ」、「山の斜面が崩れ」、「砂や泥が目立つようになる」ことが特徴だ。
ダム1基の建設をきっかけに、壊れはじめた川を制御しようと、次々にダム建設が始まるわけだ。
その現場を「石狩市民ネットワーク」の皆さんと現地調査を行った。
日本海に注ぐ千代志別川。美しい急峻河川に泥が流れるようになった。2011年8月9日
国道231号線の千代志別川の橋。国道は山が竸った海岸線にある。長い年月を経て安定した川に、土砂が出るようになるのは、人為的な原因がある。2011年8月9日
国道の橋から上流を見る。急峻な川だが、川底の石は小さい。上流には川底をコンクリートで固めた横断構造物がいくつも設置されている。2011年8月9日
コンクリート護岸に埋め込まれ、護岸の飾りつけに使用されている巨石は元々川底にあった石だ。この巨石が川底を安定させていたのに、それを取り除いたのだから、川底が掘られるのは自明の理だ。
急峻な川にはこうした巨石があって川底が安定しているのに…どうして理解しないのだろうか…?
河川管理者や川の専門家がそれを疑問にしないことや、工事計画や工事に際しても、そのことに触れないことが不思議でならない。
住宅脇の橋から上流を見る。川底に川を横断する工作物が設置されている。2011年8月9日

石狩市民ネットワークとの合同現地調査。治山ダムには、大規模な全断面の魚道が付けられている。このすぐ上流にも治山ダムがある。2011年10月27日
治山ダムの全断面を魚道にしている。2011年10月27日
翌年の石狩市民ネットワークとの合同現地調査。治山ダムに引き込み型の全断面魚道が付けられている。治山ダムの堤体に切り込みを入れて、引き込むという手の込んだ魚道だ。これをスリットダムと誤解しないようにしていただきたい。魚道の上流側は治山ダムの堤体と同じ高さになっているので、魚道を含めた全体が治山ダムと同じ機能になる。高額な引き込み魚道付き治山ダムということだ。2012年10月31日
引き込み魚道付き治山ダム。魚道の上端の高さと治山ダムの堤体の高さが同じである。2012年7月27日
治山ダムの引き込み魚道の上端で砂利が止まっている。治山ダムと同じ高さで砂利を止めている。2012年7月27日
ダムを、スリット化したかのように錯覚させる「引き込み型魚道」
魚道上端の高さは治山ダムと同じなので、砂利は上で留まったままになる。スリット式ダムではない。ダムに押し込んだ、引き込み型の魚道だ。スリット式とは、ダムの堤体そのものを切り開く。この違いを理解していただきたい。
千代志別川はかなりの急流河川だ。だから、巨石が多く見られ、互いに噛み合い、石が動かないようになっている。これが長い年月をかけて川自らが川を安定させた姿である。2011年10月27日
千代志別川は急流河川だ。巨石が互いに噛み合って、安定した川となっている。上流には沢山の治山ダムが建設されたので、今後、巨石は動き出し、大規模な災害が発生することだろう。2011年11月6日
途中に小さな支流があった。川岸は石を積み上げた護岸になっている。苔むした石が安定した川であることを示している。川底は下がっていないので積み上げただけの昔の「石積み」護岸が残されている。ところが、この小さな川の上流に大きな治山ダムを建設したのだ。本当に必要なのだろうか。2012年10月31日
石狩市民ネットワークと、この小さな川を辿ってみると…。2012年10月31日
そこに治山ダムがそびえ立っていた。コンクリートの塊の下部に開けたパイプから水が流れ出ている。ここに生息するオショロコマやアメマス、カジカたちに、こんなパイプで上れというのか。2012年10月31日
信じられないことに、治山ダムに人為的に土砂を埋めた痕跡が。建設する際に掘削した土砂や岩石を埋め込んだようだ。水は表面に出ておらず、潜り込んでいた。つまり、そもそも上から土砂が流れてくることは無い、安定した川なのである。2012年10月31日
治山ダムの上流は、岩盤で、苔むした石のある安定した川だ。ダムを建設しなければならない根拠は何だろうか。実に不可解な治山ダムである。
今後、治山ダムが原因となって、この小さな川は壊れて土砂災害を発生させるだろう。その時になってダムの効果を謳う魂胆なのだろうか。これでは自作自演の災害興しの仕掛けを作ったようなものだ。災害が発生した場合には、河川管理者はこの矛盾についてどう答えるのだろう。しっかり検証していただく。2012年10月31日

本流の上流域では、治山ダムの新設工事が行われていた。すぐ下流に既設の治山ダムが見える。2012年10月31日
大規模な引き込み魚道付きの治山ダム。すぐ上流にもダムがある。本当に必要なのだろうか。北海道には公共事業評価委員会があるが、どんな評価がされたのか。評価書の公開を求めよう。2012年10月31日
何と、13基目の治山ダムだ。ひしめき合う巨大ダム郡。
治山ダムの完成後。大規模な引き込み式の全断面型魚道も贅沢に取り付けられている。ざっと5基もの治山ダムが連続している。こんなにひしめき合う治山ダムが本当に必要なのか。北海道の公共事業評価委員会は機能しているのか?
この治山ダム建設に関わった科学者、魚類学者はどんな理念を持っているのだろうか。私たちが現場の取材で知り得たことは、川を治山事業に利用し、自然河川を壊しているということだ。2013年11月21日。
治山ダム群の一番上のダムである。中央部に鋼鉄製アングルが設置されている。巨石や流木はここで止まる。そこに砂利が滞るから全面ダムと何ら変わらぬ効果を発揮する。スリットは、あたかも砂利が流れるかのように見えるが、全面ダムと全く変わらない見せかけだ。
治山ダム下流の左岸の山裾が崩れている。今後一層、大きな崩落を起こすだろう。
2012年10月31日
この治山ダムの上流。苔むした巨石が、噛み合って動かないようになっている。人が手を加えれば、容易く石が流されるようになることの違いをよく見ていただきたい。
2012年10月31日
急峻な千代志別川は、今後、災害が多発することだろう。コンクリートで遮れば、川は手の施しようがなくなるほど荒れて暴れることを知っていただきたい。今後の取材に、ご注目を。