釧路川
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広大な釧路湿原を流れる川である。水の色は湿原独特の透明なチョコレートブラウン色。お醤油を薄めたような色だ。草木の繊維質も流れている。水中で撮影すると写真が茶色味を帯びる。日本最大の淡水魚イトウの生息地として知られているが、現在では繁殖出来るところは1箇所しかない。周辺の沼では、フナやウグイ、ドジョウにカワエビなどの漁が行われている。しかし、年々繁殖できる環境が損なわれている。果たしてどの程度の資源が残っているのだろうか。
一頃、湿原が乾燥化していることが話題になって久しいが、最近はあまり聞かれなくなった。理由はよく分からないが、なす術もなく乾燥化が進んでしまっているのかも知れない。
釧路川の東に細岡展望台があり、ここから釧路川を一望できる。大雨の日に、細岡展望台から釧路川を眺めていた。蛇行した川を流れていたのは濃い茶色の泥水だった。水位が上がってくると、濃い泥水は川筋から溢れ出し周りを水浸しにし、やがて全体が大きな湖のようになった。濃い泥水が湿原全体に、きめ細かく流れ込み、微細な砂やシルトを万遍なく注いでいることが読み取れた。これをずっと繰り返しているわけだから、湿原には大量の微細な砂やシルトが堆積して地盤が固く締まって来ているに違いない。湿地は乾燥して地盤が固くなると、ハンノキが進出し、樹林化が広がるのは当然なことである。
増水の様子から、釧路湿原全体が乾燥化してしまうメカニズムが分かる。では、濃い泥水はどこから流れてくるのだろうか…?釧路湿原そのものは法の網をかけて保全したけれど、そこに流れ込む上流の川については保全しなかったからだ。
みなさんにお考えいただきたいのが、この下流は法律で保護・保全されている広大な釧路湿原であることを。