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農業用の取水堰(頭首工)がサクラマスやアユ、ウグイ、ウキゴリなどのそ上を妨げているとして、魚道を付ける計画がされた。本当に魚道が必要なのか…?現地を取材した。

取水堰の下流側
取水堰の下流側。 下流域は、小さな集落で営む昔懐かしい長閑な田園風景が見られる。
取水堰(頭首工)
取水堰(頭首工)…取水されていない時の様子。
取水堰を越えた魚の姿が見られた。
上流には取水堰を越えた魚の姿が見られる。

さて、ここで、よく考えていただきたい。

魚は川が増水したときに動く。滝などの障害は、水位が上昇すれば落差は緩和するから、この時に滝を乗り越えて上流へと上るものだ。この農業用取水堰は、増水すると自動的に堰板が下がるようになっている。堰板が下がった時には多くの魚が通過でき、何ら支障はない。現に、取水堰の上流にはウグイなどの魚がたくさんいる。また、取水は、春先の雪解けの増水が終わって、田植えの頃に始まり、稲刈りの時期には終わる。では、取水が必要な農業繁忙期に、堰を上れない魚種はどれくらいいるのだろうか。魚は増水の引き際の水位が高い時に上流へ上る。このときは堰板は下がっているから魚のそ上には何ら支障は無い。それなのに魚道を作らなければならないという。

変でないかい…?

行政とコンサルタント会社は何が何でも魚道を作りたいのだそうだ。

かくして、魚道建設の論議がされ、魚道の形について、実験が行われた。

魚道を川の中に設置すると、砂利が溜まりメンテナンスが大変だから、引き込み方式の魚道案が採択され、魚道が建設された。

魚道は不要だと思うのだが… 川に張り出す魚道案と川に張り出さない魚道案が出された。
魚道は不要だと思うが、「何も造らない」という選択はない。二者択一で川の中に「張り出す魚道」と「張り出さない魚道」案で、採択された。
川に張り出さない魚道の建設が進められていた。
川に張り出さない魚道の建設が進められた。
取水の堰を迂回するように魚道建設が進められていた。
取水の堰を迂回し、魚道建設が進められる。
引き込み型の魚道が完成していた。
引き込み型の魚道が完成した。
魚道の入口
魚道の入口
中央部がややV字型に低くなった魚道で、苔が着くと魚道の中を歩くのは大変危険だ。
中央がV字型になった魚道。 砂利や流木で閉塞した際、除去する作業は危険を伴う。
魚道の上流側の出口。砂利で塞がらなければ水が流れるのだろうが…本当に必要なのだろうかという疑問を感じる。
魚道の上流側の出口。造った直後は水は流れているが、必ず、砂利で閉塞する。地元に財産として引き継がれるが、維持管理にメンテナンスの労力と費用は大変なものだ。どこの頭首工でも「出来た魚道はどうですか?」と地元農家に取材すると、「こったら、面倒なものなら要らねえ」と言う声を聞く。
取水中の堰(頭首工)。
取水中の堰(頭首工)。

取水中の堰を見れば、確かに、「これでは魚は堰を上られない」と誰もが思うだろう。だが、待てよ、「そもそも、こんな時に魚は上るのだろうか…?」 多くの魚は、増水した時に川を上ったり、下ったりする。この農業用取水堰は、増水した時には堰板を倒して、水を流す仕組みになっている。川を上る魚の障害にはなっていないのだ。

国土交通省北海道開発局は、川を仕切ることなく水を取水する方式を考案し、敷設を進めている。

堰の問題は、魚が上る上らないではなく、魚の減少の原因が「川を流れ下る砂利を止めること」にあることが問題なのである。これを解決する方法は砂利を止めないことにあり、砂利を止めないで取水する方法を導入することの方が必要なのだ。

魚道という見当違いの対策は、まさに税金の無駄遣いであり、川を壊し、魚を減らすことになるのだ。