石狩川水系真駒内川
石狩川水系真駒内川の最新ニュース 一覧
札幌大都市圏の近郊でサクラマスが上る、素晴らしい河川だったが、上流に建設されている沢山の治山ダムや砂防ダムが、川底の砂利を失わせ河床を下げている為、災害が多発するようになっている。河川管理者は、河床低下を認め、平成24年に「真駒内川流域河床低下対策検討会」を設置した。しかし、ダム下流域に残っている砂利を止める構造物を建設することしか検討されず、次々に構造物を造り続けている。そして、河床低下の対策に見当違いの構造物は、再被災を繰り返すばかりとなっている。既に河床低下を補う構造物を20基も建設しておき乍、機能していないことを反省するどころか、更に38基もの河川横断構造物を建設すると提案している。
この行政委員は、前任の函館土木現業所の担当河川で河床低下を更に悪化させる工事を行い、川を荒廃させた実績がある。今度は、転勤先の札幌建設管理部で担当となった真駒内川でも全く同じ事業を興している。恐ろしい人災人事である。また、この河川管理担当者は、河床低下による護岸ブロックの崩壊を、「崩壊は起きていない」と言い張り、国に「河床低下は発生していない」と虚偽の報告をした人物でもある。(学術委員と行政委員で構成された検討会。流域の地域住民は蚊帳の外である)
真駒内川の担当河川管理者である北海道・札幌建設管理部による、川幅の拡幅工事によって、変貌してゆく真駒内川をご覧いただきたい。
この「真駒内川流域河床低下対策検討会」で、河川管理者や専門家たちは、川幅を広げることで流速が弱まり、川底に砂利が溜まると説明している。しかし、川幅を広げた結果、川底の砂利は流されて、川底は下がり、岩盤が露出してコンクリートの基礎も水面から出てしまっている。増水時のビデオ映像を添えますので、ご覧下さい。(撮影:堀江忠夫氏。映像は「川の自然と治水を考える会」から引用させていただきました)
http://www.facebook.com/video.php?v=706294562772267&set=vb.526473630754362&type=2&theater
真駒内川は、札幌の市街地を流れる川である。豊平川へ流れ込み、合流点付近には札幌市「豊平川さけ科学館」がある。
2014年9月6日 「川を身近に!・第10回渓流保護シンポジウムin北海道」、翌7日は「川めぐり」で、さけ科学館と真駒内川を視察。
新興住宅に囲まれた学園橋から川を視察していると、小さな子供を抱いた3人の若いお母さんたちが、私たちに「また、工事するんですか?」と話しかけてきた。事情を聞くと、「ここに住むきっかけになった一つに、子供が楽しく川遊びが出来ることだったけど、もうこんなに変わってしまって、怖くて川に近づくことも出来なくなった。工事の説明会があっても、区長が取り仕切って、私たちの意見は全然、聞いてもらえない」と、嘆いた。河川管理者は、この河川事業に疑問と失望を抱く住民の言葉に真摯に耳を傾けるべきである。また、そういった人たちを無視し、決して恫喝や報復などしてはいけないことを、あえてここで述べておく。
渓流シンポジウムの後、まとまった雨が降り、激しい増水に見舞われた。真駒内川の上流域を視察した。
真駒内川が、これほど大規模に河川改修されるきっかけとなったのは、昭和56年(1981年)の台風による大雨被害にあるという。この時は、石狩川周辺をはじめ道内各地で洪水被害が発生した。この洪水をきっかけに、道内各地で大規模に河川改修が展開され、たくさんの治山ダム・砂防ダムが建設されて来た。真駒内川での河川改修後は、大きな水害は発生しなくなったというが、流木が橋脚に引っ掛かかったことがあり、現在の大規模な河川工事に至ったという。2011年から真駒内川を記録しているが、自然豊だった川は大きな水路の様に作り変えられてしまった。
大都市圏の真っ只中で、サクラマスが産卵する素晴らしい川だっただけに、残念でならない。河川の復元が、どこまで可能かは分からないが、真駒内川を知る人たちが「川の自然と治水を考える会」を立ち上げ、元の川に戻す取り組みをはじめている。当流域ネットは、2011年から関わりを持って僅か5年足らずだが、その間にも真駒内川は激変した。その変動のめまぐるしさは驚くばかりである。真駒内川の惨状は、河川管理の方向を見誤れば、大変なことになると教えてくれている。この川から河川管理の在り方を、考えていただきたい。
帯工の下では、砂利が流され、札幌軟石といわれる軟弱な岩盤が広く露出し、浸食されて溝状に水が流れている。
この真駒内川では、岩盤が露出してサクラマスの産卵場が失われて来たことから、2007年に産卵場造成の実験が行われ、その報告がある。
■真駒内川における礫河床の復元に関する実験的研究について
(中間報告)
Experimental research on restoration of the gravel bed of the Makomanai River,
Sapporo Hokkaido (interim report)
http://www.rfc.or.jp/rp/files/18-01.pdf
実験が旨く行ったかのように報告されているが、増水時に砂利はすっかり流され、岩盤河床に戻ってしまい幻の中間報告となった。現在は、岩盤河床が急速に広がっている。サクラマス産卵場造成の実験は、上流から砂利を供給するところに軸足を置くべきだった。
2011年08月26日から撮影し始めた写真を紹介する。
札幌の都市圏にありながら、樹林に囲まれた川が残されている。いつまでこの風景が残っているだろうか…。
川幅を広げたらどうなったのか?増水時の様子を見ていただきたい。(2014年09月11日撮影:堀江忠夫氏。映像は「川の自然と治水を考える会」から引用させていただきました)
人道橋の上流で、川底をコンクリートで固める工事が行われていた.泥水を流さないようにする沈殿槽が置いてはあるが使用していない為、濃い泥水が流されていた。河川管理者の監督・指導が適切に行われない為、どこの工事現場も同じである。こうして投棄された土石の影響は、川底に沈澱して魚の繁殖阻害を引き起こす。合法的土石の投棄は、実質的に生息地を奪い、生物への影響や再生産を阻害する。河川法や動植物の保護法に違反する行為そのものである。函館の松倉川には、「土石の投棄は違法行為であり罰せられ、懲役または罰金が科せられると明記されている。(函館土木現業所は、自らは法に抵触しておき乍、民間人には法を振りかざす組織のようである)
2011年に現場の撮影を始めてから5年足らずで、真駒内川は驚くほど変貌し荒廃した。現在も工事が続けられている。下の4枚の写真は、同じ場所を撮影したものです。
2014年09月11日に増水した。川幅を広げた為に、水が流れ易くなることで、流速を増し破壊力も増す。(撮影:堀江忠夫氏。映像は「川の自然と治水を考える会」から引用させていただきました)
河川管理者や大学教授、専門家たちは、川幅を広げると流速が小さくなると言うが、それは数字で考えるからだ。実際の現場では、恐ろしいことが起きている。工事をすればするほど、次から次に問題が発生し、収拾がつかなくなり泥沼化している。既に方向を見失い、科学の領域から遠く離れてしまったようだ。
この「真駒内川流域河床低下検討会」の委員たちは、地域の住民たちを騙し欺き、税金をドブに捨てる対策工事をこれからも繰り返すつもりのようだが、悔い改め真摯に川の復元を考えなければならない。地域住民は今は黙っているが、この対策工事は失敗であることを知っている。そしてこの実情は近い将来、広く人々に知れ渡り、評価されることになるだろう。