ペレケ川

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ペレケ川(ウトロ)

ウトロ市街地を流れる川である。川はコンクリートで護岸にし、所々にコンクリート製の小さなダムが沢山造られている。魚道あり、河床をコンクリートで固めた遊歩道あり、の河川敷を利用した公園の川だ。
こうした川には、上流に必ずダムがある。
何故なら、ダムがあるとダムの下流では川底が掘られて河床が下がり、川岸が崩れるので、コンクリートの護岸で固めてしまうからだ。
それでも川は生きているから、川底の砂利は動き続ける。そして、川底がまた掘られるから施した護岸も崩れることになる。今度は、護岸を護るために、更にダムを建設していくことになる。
それでもダメなら最後の手段として、川底が掘られ続けないように、写真のように川底そのものをコンクリートで固めてしまう。生きた川を殺すわけだ。

どうしてこうなってしまうのだろうか…?
上流で森林伐採や畑地化によって保水能力が低下し、少しの雨でも河川が増水するようになり、土石流などの災害が多発するようになったのだろうか。
こうした流域で暮らす人たちに「ダムがあれば大丈夫だ」「ダムが無いから被災する」と言われれば、当然、建設を受け入れることになる。
しかし、どの川でもダムが出来た後、その流域で暮らす人々に取材すると「魚がいなくなった」「怖くて近づけなくなった」「水が一気に増えるようになった」「昔は良かった」「もっと、水は綺麗だった」と、懐かしむ声、嘆く声を聞くことが多い。

上流のダムは堆砂で満杯になっているが、まだ川の仕組みが残されているので、ダムによらない治水を考えたら、すばらしい川になるだろう。
カラフトマスやサクラマス、サケなどがそ上し、水産資源を育む川であり、観光資源としても活用できる川だ。この変貌は水が良質な川だけに実にもったいない。
今一度、根底から見直して欲しい川だ。

2009-10-31・加工済・ウトロ・ペレケ川・DSC_0849 ウトロ市街地の親水護岸(川岸が階段状の護岸で、川に簡単に近づける。親水護岸の怖さは、階段に苔が生えると滑って転倒し、川に転落する危険がある。かつて北海道南部の八雲町の遊楽部川では、冷たい春の雪解け増水時に、親水護岸から転落して小学4年生が死亡する痛ましい事故があった。

2009-10-31・加工済・ウトロ・ペレケ川・DSC_08542. 川はコンクリート製の小さなダムで仕切られ、河床はコンクリートで固められている。魚道があるものの、そ上したカラフトマスやサクラマス、サケはどこで産卵したら良いのだろうか。また、川岸に陰を落とす木々が無い。川の周りに木がなければ、川に虫が落ちることも無い。つまり、魚たちの餌の供給が無いともいえる。漁業者が「魚付林」として川岸に植樹しているところもあるが、ここにはその視点は無い。

2009-10-31・加工済・ウトロ・ペレケ川・DSC_08553. 川そのものが階段状に作り変えられている。元々は右に左に流れが別れて、淵があり、瀬があり、たくさんの魚の姿があっただろう。自然の川を公園の水路のように造り変えることが本当に正しい判断だったのか。もったいないことである。

2009-10-31・加工済・ウトロ・ペレケ川・DSC_08644. 上流までコンクリートで固められている。

2009-10-31・加工済・ウトロ・ペレケ川・DSC_08665. 上流にダムがあると、行く末は川をがんじがらめに固めてしまわなければならなくなる。その典型的な川の姿である。

2009-10-31・加工済・ウトロ・ペレケ川・DSC_08726. 巨大な砂防ダムが上流に建設されている。魚道はあるが効果の裏付けは無い。魚道の効果の判定方法はたった1尾でもそ上したら「魚道の効果あり」とされている。魚類の専門家も含めて科学者と称する人たちは誰も疑問を挟まない。この無責任さが、その川固有の魚を絶滅に追いやっている。

2009-10-31・加工済・ウトロ・ペレケ川・DSC_08737. ダムの堤体まで土砂が貯まっている。土石流の痕跡はない。本当にこの砂防ダムが必要だったのか疑問だ。水質が良いだけに、もったいない川である。

2009-10-31・加工済・ウトロ・ペレケ川・DSC_08768.山々に抱かれた源流域。この美しい流域に、この治山ダムは本当に必要だったのだろうか…?