軍川「ダムのスリット」までの…道のり

ラムサール条約登録湿地である北海道大沼国定公園。水質悪化の改善や上流域の農地崩壊を抑止するためにも、この大沼に注ぐ流入河川である「軍川」の数ある砂防ダムや治山ダムの改善が必要だと訴え続けてきた。上流域にある国有林内にある治山ダム3基のスリット化が、実に9年の協議を経て決まった(以下の記事を参照下さい)。

2024年7月着工の予定が9月に遅れたが、計画通りに12月には3基同時に間口6mでスリット化の工事が完了した。

大沼の環境改善に1歩踏み出す「軍川」治山ダム3基のスリット化決まる!

工事終盤の2024年11月29日、渡島森林管理署より治山ダム「D-1(下流側)、D-2(真ん中)、D-3(上流側)」のスリット工事の進捗状況の現地説明が協議関係者に行われた。

上流側の治山ダム(D-3)。

「流域の自然を考えるネットワーク」宮崎代表。スリット化された治山ダム(D-3)の堆砂上端。砂利を左右に振り分けている。
現場担当者から説明を受ける。
スリット化された治山ダム(D-3)
治山ダム(D-3)のスリットの間口幅は6m。堤体の不必要な肉付けはされていない。

次は、真ん中の治山ダム(D-2)。これから提体が切られる準備でダイヤモンドカッターが装着されていた。

これから堤体のスリット化が行われる治山ダム(D-2)。
これからスリット化が行われる治山ダム(D-2)。
堤体に穴があけられ、タイヤモンドカッターが到着された治山ダム(D-2)の堤体。間口幅は6m。
下流側から見たスリット化される治山ダム(D-2)。

既にスリット化が終わった下流側の治山ダム(D-1)。

治山ダム(D-1)の堆砂は左右に振り分けられて積み上げられていた。
治山ダム(D-1)の堆砂は左右に振り分けられ、積み上げられていた。
スリット化された治山ダム(D-1)で説明を受ける。
間口幅6mでスリット化された治山ダム(D-1)。堤体の不必要な肉付けはされていない。
間口幅6mでスリット化された治山ダム(D-1)。
治山ダム(D-1)の下流では、右岸の山の斜面が下部を浸食されて、砂山くずしのように崩れ落ちているのが見られる。スリット化後は、砂利で下部は埋まるので崩壊は解消されるだろう。
川岸が崩れ、倒れ込んだ倒木が見られるが、スリット後は解消するだろう。

治山ダムの影響で、川底が下がり、川岸の崩壊や、山の斜面の崩壊が拡大していたが、スリット化によって、砂利が供給されるようになれば、こうした問題は解消されることになる。また、下流にある高台農地の崩壊も改善される。川岸が崩れなければ、泥水の流出は解消され、大沼の水環境も格段に回復していくだろう。

その後、入林・ダムスリット視察の申請許可を得て、12月17日に私たちで現地確認を行った。

駒ヶ岳と大沼を望む。この軍川にスリット化した治山ダム(D-1)がある。
真ん中の治山ダム(D-2)。
間口幅6mでスリット化された治山ダム(D-2)。
スリット化した治山ダム(D-3)。
スリット化した治山ダム(D-3)。
スリット化した治山ダム(D-3)。
スリット化した治山ダム(D-3)。
スリット化した治山ダム(D-3)。私たちは、河川の再生産の仕組みを蘇らせる取り組みをしています。

3基すべての治山ダムがスリットされたことを確認して来ました。

春先の雪解けで「軍川」は、最初の増水の洗礼を受けることになる。どのように河川が蘇って行くのか?大沼の水質はどのように改善するのか?今後の変遷を記録して報告します。