遊楽部川水系ペンケルペシュペ川

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上流に、さほど大きくなく堤体も低く、造った目的が理解出来ない治山ダムが1基ある。落差が広がっている訳ではないが、この治山ダムの下流で巨石が流されるようになり、確実に川底が下がっているのである。川岸が崩壊するようになり河畔林が倒れ込むようにもなった。崩壊箇所も規模も増え、次第に拡大している。川沿いの林道は度々崩壊し、規模が拡大するそばから、新たな崩壊が起きている。これによって微細な砂・シルトが大量に産出され流れ出し、川底に堆積するようになり、サケの産卵場が失われるようになった。たくさんいたウグイは、激減した。

この治山ダムは、堤体が低いので影響は然程無いのかと思っていた。しかし、その影響は少しづつジワリジワリと現れて来るものだということを思い知らされた。ダムは既に砂利で満杯になっている。ところが、その堆砂域はどんどん上流へと広がっている。つまり、ダムの堆砂容量を遙かに超えた量が、このダムによって止められているのである。その結果、治山ダムの下流では川底の砂利は流され続け河床が下がり、岸との落差が生じ河岸が崩れ、林道が崩れるようになった。この治山ダムの影響は、広域に波及している。早急にダムを撤去しなければ荒廃と災害は加速し甚大な被災を起こすことになる。

堤体のあまり高くない治山ダムだ。
堤体の高くない治山ダム。ダム下流の石は小ぶりなものが多く、微細な砂が目立つ。
治山ダムの下流では石の大きさが小ぶりのものが目立つ。
ダム下流は小さな石や礫、砂が多い。
治山ダムにはいろいろな呼び名があり、コンクリート谷止工と」表示されていた。
治山ダムにはいろいろな呼び名がある。「コンクリート谷止工」と表示されている。1977年に建設されてから2015年の今年で築後38年になる。38年間、止めてきた砂利の量は膨大だ。
治山ダムはすでに砂利で満砂になっている。
ダムは既に砂利で満砂になっている。ダムから下流に流れ出す砂利は小さなものばかりだ。
治山ダムから下流は、砂利が流され、川底が下がっている。
ダムから下流の石は、微細な砂に埋もれている。つまり、微細な砂だけが大量にダムから流れ出していることが分かる。
巨石があったのだが、石が小ぶりになってきている。
巨石が流され砂利が止まらず岩盤が露出した。
ここには巨石があったのだが、流されてしまった.川底が下がり、川沿いの林道が崩壊した。
挟まり合って川底をしっかりと固定していた巨石が流された為、砂利が抜け流され、岩盤が露出した。林道の基礎も抜かれ、崩壊した。
林道が崩壊した。
治山ダムが無ければ、巨石は挟まり合って川底を固定し、川自らが安定させる。このように林道が崩壊することは無かった。
少し下流でも林道が崩壊した。
下流でも林道が崩壊した。巨石の量は圧倒的に少ない。
少し離れた下流でも、林道が崩壊した。
その更に下流でも、林道が崩壊した。渓流から巨石が失くなり、小さな石と微細な砂だけになる異常な状態を、ダムが創り出す。
昨年も林道が崩壊した。
2014年、更に下流で林道が崩壊した。「砂山崩し」と同じ仕組みで崩壊した姿である。林道が崩壊すれば困ったことになる。

治山ダムをこのままにしていれば、林道の崩壊は再び繰り返されることになる。林道が崩壊する仕組みを考えていただきたい。川底が下がり、基礎が抜かれて崩れる。砂山崩しと同じ原理である。2015年5月27日には、この下流にある遊楽部川との合流点300m手前の農地で、縁が崩れる新たな崩壊が起きた。河床低下の影響は、全流域に広がっている。

2015-05-27・加工済・ペンケルペシュペ川・道道橋の上流側の農地の縁が崩壊した・KAZ_0006
道道八雲今金町線の橋から上流側を見る。農地の縁が崩れた。災害申請の為に川岸の草木が切り払われている。2015年5月27日
2015-05-27・加工済・ペンケルペシュペ川・道道橋の下流側・農地の縁が崩れ始めた・KAZ_0016
八雲・今金線の道道橋の下流側・川岸が崩れて垂直に崖化した。川底は大きな石が少ない。気が付かない程ゆっくりとダムの影響は進行している。2015年5月27日

この支流は源流奥深く、ヒグマの多い川でもある。人里にまで降りずに十分な餌資源を獲得し生きていく為には、野生のサケがいることはとても重要なことである。そして、野生のサケは再生産性が高く漁民の生活の糧となる。安定した水産資源の増産になる野生サケを回復させるには、砂利供給を止め産卵を阻害している治山ダムを撤去、スリット化するしかない。資源枯渇のみならず、川を荒廃させ災害を甚大化させるダムは要らないのである。