遊楽部川水系ペンケルペシュペ川
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上流に、さほど大きくなく堤体も低く、造った目的が理解出来ない治山ダムが1基ある。落差が広がっている訳ではないが、この治山ダムの下流で巨石が流されるようになり、確実に川底が下がっているのである。川岸が崩壊するようになり河畔林が倒れ込むようにもなった。崩壊箇所も規模も増え、次第に拡大している。川沿いの林道は度々崩壊し、規模が拡大するそばから、新たな崩壊が起きている。これによって微細な砂・シルトが大量に産出され流れ出し、川底に堆積するようになり、サケの産卵場が失われるようになった。たくさんいたウグイは、激減した。
この治山ダムは、堤体が低いので影響は然程無いのかと思っていた。しかし、その影響は少しづつジワリジワリと現れて来るものだということを思い知らされた。ダムは既に砂利で満杯になっている。ところが、その堆砂域はどんどん上流へと広がっている。つまり、ダムの堆砂容量を遙かに超えた量が、このダムによって止められているのである。その結果、治山ダムの下流では川底の砂利は流され続け河床が下がり、岸との落差が生じ河岸が崩れ、林道が崩れるようになった。この治山ダムの影響は、広域に波及している。早急にダムを撤去しなければ荒廃と災害は加速し甚大な被災を起こすことになる。
治山ダムをこのままにしていれば、林道の崩壊は再び繰り返されることになる。林道が崩壊する仕組みを考えていただきたい。川底が下がり、基礎が抜かれて崩れる。砂山崩しと同じ原理である。2015年5月27日には、この下流にある遊楽部川との合流点300m手前の農地で、縁が崩れる新たな崩壊が起きた。河床低下の影響は、全流域に広がっている。
この支流は源流奥深く、ヒグマの多い川でもある。人里にまで降りずに十分な餌資源を獲得し生きていく為には、野生のサケがいることはとても重要なことである。そして、野生のサケは再生産性が高く漁民の生活の糧となる。安定した水産資源の増産になる野生サケを回復させるには、砂利供給を止め産卵を阻害している治山ダムを撤去、スリット化するしかない。資源枯渇のみならず、川を荒廃させ災害を甚大化させるダムは要らないのである。