十勝川
十勝川の最新ニュース 一覧
大雪山から始まり、広大な十勝平野を流れ、太平洋へ注ぐ大河だ。流域には多くのダムがある。下流域では河床低下を起こしている。河床低下の進行は地下水を抜き、地下水位を下げ、川の水を減少させる。
昔は水が多かったという話を聞くが、流域の保水能力の低下に加えて、河床低下による地下水の減少が水を消失させているのだ。
http://eprints2008.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/14384/1/40_p23-30.pdf
十勝川には温泉も多く、肌がスベスベになるモール温泉の十勝川温泉郷はよく知られている。この地には大きな千代田堰堤がある。毎年、秋には十勝川をサケがそ上してくるのだが、この堰で行く手を遮られ、人工採卵用に捕獲されてしまう。
この大きな堰では、この堰を乗り越えようとするサケのジャンプが見られ、多くの観光客が訪れる。サケには乗り越えられない堰だが、ジャンプして跳ね返され、跳ね返されてはまたジャンプする姿は痛々しく哀れである。
20年ほど前になるが、大雨の増水で千代田堰堤の川岸が大きく崩れることがあった。洪水を飲み込めないということで、その後、広い河川敷を掘削して、放水路が建設された。
ここ十勝川源流域には巨大なダムが複数ある。岩松付近から取材を始めた。
さらに上流へたどると、巨大なロックフィルダムの十勝ダムがあった。
碑文
建設記念碑。立派な石碑に刻まれる名前は?よく知事の名前を見ることはあるが、「帯広開発建設部長 稲垣 浩司」とある。そして、碑文字は「前北海道開発局長 舘谷 清氏の筆による」そうだが、とても違和感を感じる。部長が自費で作ったのだろうか?
十勝ダムから更に上流を取材する。
その上流に、北海道電力の上岩松ダムがあった。
川底の石は、掘られないように川底を護っている。その砂利の供給を本流のダムが止め、支流から細々と流れ込む砂利ですら、何重にも治山ダムで止めている。十勝川の河床の砂利は、どんどん失われていく。川底を安定させていた大きな石も失ったので、川底は、今後も急速に下がり続けて行く。
河床が下がれば、川岸が崩れる。川岸が崩れたら、コンクリートで護岸する。その護岸も、川底が下がればまた基礎が抜かれて壊れる。護岸が壊れたら補修する。補修した護岸が、また基礎が抜かれて壊れる。壊れたら補修する…延々と河川事業が続くのだ。
科学は歪になっている。生きものたちの暮らしを支えている自然界の仕組みをことごとく破壊し続けている。川の仕組みがあってこそ、生まれてくる生命がある。悠久の時を紡いで来た生き物たちの終末は、人間の暮らしにも必ず反映されることになる。やがて大混乱の時代を迎え、もはや後世に自然資源は残せないだろう。