丸平の沢川
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日本海に注ぐ急峻な川。北海道留萌総合振興局(旧・留萌支庁)林務課が設置した沢山の治山ダムがある。
最上流部にある治山ダムの上流は巨石が多く、急峻な川だが安定した渓流となっており、苔むした石が多く見られる。山の斜面は土石流が発生するような崩落はない。苔むした石が見られるということはこの川が安定している証拠でもある。巨石が互いに噛み合って動かないのだ。
おもしろいことに、治山ダムから下流では苔むした石は見当たらない。苔が生える時間も無いほど、常に石が動いているということだろう。ダムを作る側は、川底を安定させると言うが現実はそうはなっていないのだ。苔のありなしがそれを教えてくれるのだ。
ここでは、治山ダムのスリット化の実験が行われている。事業名は「丸平の沢森林土木効率化等技術開発モデル工事」
http://http://www1.hus.ac.jp/~yanai/pdf/hisada.pdf
http://http://www.jsece.or.jp/event/conf/abstruct/2010/pdf/O3-19.pdf
http://http://www1.hus.ac.jp/~yanai/pdf/A4104027.pdf
ここで知っていただきたいことは、
治山ダムを間口の広い逆台形型にスリット化しても、ダムに堆積した大小の砂利は全てが一気に抜けることは無いということだ。
また、急峻な川なのに、川底の巨石は動いていない。
スリット化したらダムに貯まっている巨石が流れ出し、土石流災害が発生するなどと説明するけれど、巨石は互いに噛み合っていればしっかりと固定されて動かないのだ。だから、川底が下がることはないし、川底が下がらないから、川岸や川に面した山の斜面がズリ落ちることもないのだ。
北海道の林務課はダムをスリット化する際の形状は「逆台形型」を採用し、スリット化する前に堤体が軽くなった分量だけ加重をかけるためのコンクリート補強(肉付け)は行っていない。つまり、堤体を切り崩しても強度は十分に残されているということだ。
さて、同じ北海道の機関でありながら、建設管理部はダムをスリット化する際、何故か逆台形型のスリット化を採用せず、垂直に切り込みを入れる垂直型スリット化を採用し、複数の切り込みを入れるなどしている。この工法だと堤体が分離されて中央部に残されるから、軽くなった分量だけ加重をかける補強が必要だと言う。写真のように、スリット化の前に、堤体の厚さを倍になるほどにコンクリートを塗りつける「肉付け」をするのだ。
何故、広い間口にしないのか?
担当者は、土石流を食い止める目的で建設された砂防ダムなので、砂利を止める「扞止」機能を持たせなければならないと言う。
しかし、砂防ダムのこの「扞止機能」があることによって、ダム下流で川底が下がり、川岸崩壊や川沿いの道路崩壊、橋脚の崩壊、川に面した山の斜面の崩壊などなどの災害が多発、頻発しているわけだから、そうした災害を防止するためにスリット化するのではなかったのか。スリット化は扞止機能の問題を解消するのが目的なのだから、扞止機能を残してはスリット化は意味をなさない。建設管理部とは不思議な機関である。
ここ丸平の沢川では、北海道の林務課による治山ダムのスリット化の実験が行われている。しかし、最上流部のダムはスリット化していない。理由は、ここをスリット化すると、河床が下がって近くの旅館の温泉が涸れるかも知れないから手を加えなかったと言う。そもそも治山ダムのスリット化の目的は、下流に砂利を供給して、河床低下を食い止めて河床を安定させ、災害を防止することにある。最上流部の治山ダムをスリット化せずに温存させた条件では、いくら下流のスリット化を手がけてもその効果や評価はできないと思うのだが…。
とにもかくにもスリット化だけは手がけたので、どのような効果があるのかを見ていただきたい。
写真を見てもわかるようにスリット化しても、砂利移動は目立たない。その理由を聞くと、研究者は、「この川は巨石が多く、互いに噛み合って動かないようになっているからだ」と答えた。。じゃあ、最上流部の治山ダムをスリット化しても、石が動かなければ川底は下がらず、温泉も涸れることはないわけだ。巨石が川底を安定させているという川に、では何故、こんなにも沢山の治山ダムを建設したのだろうか?不思議なことではある。
この研究者は川底が下がれば、温泉水が涸れるとことを懸念して説明した。この言葉はとても重要なことを伝えている。
この研究者の説明に従えば、川底が下がっている川では温泉水(地下水)が減少するというわけだから、温泉水を地下水に置き換えてみると、川底が下がると地下水が抜かれて、水不足になると読み取れる。このことをこの研究者は知っているのだ。
この研究者のこの説明はとても重要だから、覚えておいて欲しい。
河川管理者お抱えの御用研究者の「うっかり」発言なのである。