モセカルベツ川
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知床半島の羅臼側、知床世界自然遺産地を流れる川。
水質の良い、巨石の多い川である。この川に、林野庁の治山ダムが複数建設されている。林道は、ダム建設のために開削されたのか、最上流の治山ダムで終わっている。
この峡谷は、ヒグマに遭遇する可能性がありそうだ。ダム取材の為には、止むを得ない。覚悟して川沿いを上って行くと、想像以上にたくさんの治山ダムが建設されていた。
ヒグマと遭遇しそうな林道を行く。途中で林道は土砂で埋もれていた。
堤体の一部に魚が上れるようにV字型に削った細工が施されている。だが、砂利は止められたままなので、魚の繁殖環境や再生産性には乏しい対策でしかない。
治山ダム一杯に貯まった砂利の上を水が流れ、川岸を削り、川幅を広げている。ここからも泥が流れ出すことになる。
この治山ダムから下流を見た。川底が下がり、左岸が崩れているのが分かる。川岸が崩れると、山の斜面が崩れ落ちるようになる。
林道の終点付近では、雪崩防止柵の鋼鉄製の防護柵が張られ、土砂崩落の防止がされているが、既に山は崩れて土砂が防護柵を壊し、林道は埋まっていた。山の斜面の崩壊は、この林道開削が引き金になったのだろう。
治山ダムは山崩れを防止するために建設すると説明を受ける。一連の写真を見れば、分かっていただけると思うが、治山ダムの下流では川底が下がり、それが原因で山が崩れ落ちるようになる。また、ダムに貯まった砂利が、川底を押し上げ、川幅を広げるので、水が届かなかった高いところに水流が当たるようになり、斜面が削られて山が崩れ落ちることにもなる。
それなら治山ダムは、山を崩す効果しかないということになる。河岸崩壊、山脚崩壊を起こし、土石流や流木災害を生み出す。更に、沿岸海域を泥の海にし、海藻資源に影響を与える。
前浜は昆布の漁場だ。泥水が出ないように、治山ダムを撤去するか、スリット化する対策を講じた方が良いだろう。
魚のそ上対策に、ダムの堤体を削っているが、見せかけの対策よりも、繁殖環境の保全、再生産を考えた取り組みこそが必要である。
近年の河川災害の多くの原因は、こうした治山ダムに起因して発生していることを認めるべきだ。大学教授や専門家は、「災害と治山ダムの因果関係」から目を背けず、行政に都合の良いことしか言わない、ではなく、現場で起きている真実を、ありのままに評価し、河川管理の在り方を、改め指導する側に立つべきだ。科学を志す良心を持っているのなら…