スリット化先送りのための試験施工・調査で消える莫大な税金

本日(2015年7月9日)、突然、函館建設管理部から下記のような「お知らせ」が届いた。

「砂蘭部川河床低下対策検討委員会」では、これまでの協議で、砂利が不足している中で、工作物を作っても浸食が上回るので、無駄だとして「設置した工作物が壊れても補修はしない」「新たなに工作物は作らない」ことを確認していた。しかし、この「お知らせ」は、検討委員会に諮ることなく、いきなり作業を行うとの通告である。検討委員会での取り決めを反故にし、委員を軽視する行為である。

2015-07-09・砂蘭部川のこと・加工済・001

2015-07-09・砂蘭部川のこと002

 

2015-03-23・第7回砂蘭部川河床低下対策検討委員そこで、以下のように函館建設管理部へメールを送った。

1.の置き土工について:

①なぜ委員会で言わなかったのでしょうか…?

②このようなことになることは当初から予測できていなかったのでしょうか…?これまでの試験施工で十分にデータが取れているはずです。同じ事を何度も繰り返すことほどばからしいことはありませんし、何よりも税金の無駄遣いになるばかりです。反省していないのですか…?

置き土をしても、見せかけに過ぎないことが分かったわけですし、砂利不足のために見えないところでどんどん浸食が進行していくばかりです。

③したがって、もうこれ以上の税金の無駄遣いを止めるためにも、置き土工はやらないでください。ご返事をいただきたいと思います。

2.置き土の粒度試験について:

④これまで何度も置き土、土砂の投入をしていますので、データが取れているはずです。したがって、もうこれ以上、目的がはっきり分からない試験はやらないでください。税金の無駄遣いになる粒度試験はやらないでください。ご返事をいただきたいと思います。

3.濁度調査について:

⑤これまでも冬期を含めて土砂を投入し濁水を流していることから、すでにデータが取れていると思いますし、これまでも何度も濁水を発生させておりますので、濁度調査をしても意味がありません。したがって、税金の無駄遣いになる濁度調査は止めてください。ご返事をいただきたいと思います。

4.水質調査について:

⑥これまで何度も濁水を出さないように申し入れをしてきたのに、サケやサクラマスの卵が川底にある時期にも係わらず濃い濁水を流しておりましたので、いまさら水質調査をする必要性は全くありません。河床内で息づいている多くの卵・仔魚を死滅させたと見られ、今年の春先、サケやサクラマスの稚魚をほとんど見ることができませんでした。このようなサケやサクラマスを見殺しにした心ない人たちが水質調査をする目的はどこにもありません。したがって、税金の無駄遣いになる水質調査は止めてください。ご返事をいただきたいと思います。

委員会で決めていないことをやらないでください。以上

事業者は、サケやサクラマスの卵や仔魚が川底で息づいている時に大量の泥水を流している。この春先に稚魚の姿を見ることは無かった。小さな命への配慮すらできない人たちに、さも魚たちへ配慮しているかのように見せかけた、このような調査をしても何の意味もない。こうした申し入れは一度ではない。20年も以前から申し入れ続けている話だ。これに対し事業者はとことん無視してきた。今なお無視を続けている。どこも同じだが、保護団体が環境に配慮するように申し入れをすると、改善を先送りする為に調査を繰り返す。これが行政の一つの手法だ。申し入れ者は、調査したから由とせず、何のために調査したのか、その結果がどこにどのように活かされたのかなどチェックし、是正を求め続けることが大切である。

治山ダムや砂防ダムがあることで、ダムの下流で川が壊れる。川が壊れるから工事が始まり、終わってからも再び被災する。被災してはまた再補修し、その後も被災と補修が延々と繰り返されて来た。莫大な税金を失っている。一体、誰が?何が?このようなドブに捨てているような工事を容認し野放しにしているのだろうか。

ダムをスリット化して砂利を下流に供給すれば、かなりの改善が期待できることを事業者は認めた上での検討会発足だったのだが、はなからスリット化する気はないようだ。函館建設管理部八雲出張所のこれまでの対応のふてぶてしさには、恐怖すら感じるものがある。

 

産廃ガレキの放射線量データ

ダムのスリットは「堆砂物に含む泥や有機物が沿岸に流れ出すから、漁場を汚染させる」と言った事業者が、その川に「産廃ガレキ」を持ち込み、増水時に大半を沿岸に流出させた。

産廃ガレキを川に持ち込んだ事業者:北海道渡島総合振興局函館建設管理部八雲出張所及び今金町出張所

産廃ガレキを持ち込まれた川:須築川。北海道指定のサクラマス保護河川。

漁師の念願だった須築川砂防ダムのスリット化が決まり、その工事に着手しはじめた矢先のことだ。作業用道路が造成されたが、流水が当たる水衝部だった為、春の増水で大半が流された。その大量に流出した材料が、何と「産廃ガレキ」だったのである。

河川管理者は、砂防ダムをスリット化すると、堆砂物が沿岸に流れ込み、漁場が損なわれ、隣りの島牧村の沿岸へも影響を与えると説明し、スリット化に難色を示していた。ダム堆砂物にはヘドロがあり、産廃だからそのまま海に流せず、その処分に莫大な費用がかかるとも説明していた。その本人が、自ら産廃ガレキを海に流したのである。

写真のように産廃ガレキは細かく砕かれたものが使用されている。水衝部だから、増水すれば浸食されて流されるのは自明の理。河川管理者がそんなことも分からない筈がない。長年、難色を示していたダムのスリットが、漁師の願いで、ようやく実現しようとする中で、スリットの準備にかかる作業の矢先がこれでは、産廃ガレキを増水に乗じて海に投棄処分した「嫌がらせ」としか思わざるを得ない。管理者がこの程度の認識でしかないから、保護河川からも海からも、自然資源は消えていくばかりだ。

2015-06-07・須築川・工事用道路に産廃がれきが使

2015年7月6日、産廃ガレキの線量を計測した。

2015-07-06・加工済・須築川・国道橋付近・産廃の無いところ・0.09マイクロシーベルト・KAZ_0046
比較の為、須築川の国道229号線橋付近の産廃ガレキの無いところで計測。
2015-07-06・加工済・トリム・須築川・国道橋付近・産廃の無いところ・0.09マイクロシーベルト・KAZ_0046
産廃ガレキの無いところは、0.09マイクロシーベルト。
2015-07-06・加工済・須築川・産廃・0.14マイクロシーベルト・KAZ_0238
国道229号線から上流、須築川砂防ダムまでの産廃ガレキの作業用道路で計測。
2015-07-06・加工済・トリム・須築川・産廃・0.14マイクロシーベルト・KAZ_0242
産廃ガレキの有るところは、0.14マイクロシーベルト。

取材で移動中、比較の参考に線量の値を計測した。

八雲町市街地では0.04マイクロシーベルト。

八雲町から北桧山へ抜ける「日進峠」では0.09マイクロシーベルト。

北桧山市街地やせなた町市街地では0.09マイクロシーベルト。

須築川の国道229号線橋の産廃ガレキの無いところでは、0.09マイクロシーベルト。

須築川の上流、須築川砂防ダムまでの間の産廃ガレキの作業用道路では0.14マイクロシーベルト。

産廃ガレキの有り、無しで、同じ河川内の線量に大きな違いが見られた。この違いは、何を意味するのかお分かりだろうか。