北海道ヒグマ管理計画:hokkaido_bear_management_plan05
URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/higuma/hokkaido_bear_management_plan05.pdf
参考資料:keikaku-siryou
URL:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/higuma/keikaku-siryou.pdf
北海道自然環境課
北海道は、人とヒグマの共存する社会やヒグマの地域個体群の保護を目途に、30年以上に亘りヒグマ対策に取り組んでいる。しかし、札幌市近郊の住宅地にヒグマが出没する度に、檻罠を設置して問題グマ以外も含めた無差別な捕獲を行い、容赦なく猟銃で殺処分している。この現状について、「北海道の羆問題を考える会(ヒグマ研究者の門﨑允昭氏らで構成)」は、北海道ヒグマ管理計画(平成29年4月1日~平成34年3月31日)が、本年度中に改正されるのを機に、2021年4月5日に、北海道知事宛に質問書を提出した。
驚くことに、現行のヒグマ管理計画では、情報を得た時点での出没を抑止する対策がされていない。この管理計画は、ヒグマの出没情報を得ると、まず「出没個体の有害性判断フロー」の手順に従って、出没しているヒグマを抑止ではなく徘徊させたままにし、その間に「経過観察」や「調査研究」を行い、その結果をもって、どのような対策にするのかの選別をする手順になっている。つまり、ヒグマの出没を迅速に抑止することよりも、「出没個体の有害性判断」を目的にしたものなのである。こんな対策では、いつまで経っても人とヒグマとの共存は確立できない。ヒグマの地域個体群の保護もままならず、ヒグマの出没騒ぎが収束する気配は無い。
このような計画では、同一個体が徘徊を繰り返すと出没情報が増えるため、あたかもヒグマの生息数が増えたかのように錯覚させる。研究者や専門家ですら、「ヒグマは確実に増えている」と豪語する始末である。判断能力や学習能力などヒグマの習性の考慮に欠けた無知な研究者や専門家の提言を鵜呑みにしているとヒグマは絶滅に導かれてしまう。
ヒグマの徘徊を放置していれば、その間にヒグマは身に危険が無いことを学び行動範囲を広げ、食べ物があれば食し、居心地がよければ居座るようになっていく。ヒグマに限らず、エゾシカ、キタキツネ、エゾタヌキなど学習能力のある野生動物に共通したごく普通の習性である。
札幌市南区のヒグマ出没騒ぎの報道では出没時間帯は夜で、昼間はどこかに身を潜めているという。それならば、一刻も早く出没経路を特定し、ヒグマが人里で諸々のことを体験する前に、学習する前に、間髪を入れずに出没経路を電気柵で封鎖して出没を抑止しなければならなかった。それを怠った為に、ヒグマは徘徊を続け、住宅地を歩き回り、警察官やハンターが出動したもののヒグマを目の前にして、手も足も出せない状況を作ってしまったのである。北海道が、「人とヒグマとの共存」を目指しているのであれば、野生のヒグマを初期に「しつける」。「やっていいこと、悪いこと」を学ばせる。つまり、電気柵を活用して、そこから先は「人間のなわばり」という境界線をヒグマに学ばせることが”要”となる。
最近では、「人を見ても逃げない、人を恐れない”新世代ベアー”が出現するようになった」とヒグマの研究者や専門家たちが苦言しているが、己の無知さに気付くことなく、手に負えなくなると、新たな習性を持ったヒグマが出現するようになったと言い訳しているに過ぎない。この”新世代ベアー”なる新語の発祥の地は、世界自然遺産登録の知床ウトロである。管理する知床財団は、ヒグマが現れたら人が引き下がるように指導し、推奨している。
知床五湖の遊歩道ではヒグマが現れたら、案内人がヒグマの目の前で観光客を引き下がらせ、遊歩道をヒグマに明け渡す。その後、遊歩道は閉鎖にする。この対応は、ヒグマの習性に基づいた、正しい対応と言えるだろうか?
「人は引き下がり、道を譲ってくれる」と学んだヒグマは、次に人に出会った時、逃げるどころか人を見ても恐れもしない。やがて、彼ら研究者や専門家の言う”新世代ベアー”に仕立て上げられていく。この誤った対応によって、ヒグマは知床五湖の遊歩道を自分の「なわばり」と認知する。その結果、世界遺産登録後の知床五湖の遊歩道は、人は自由に利用することが出来なくなった。野生動物の習性を知っていれば、誰もが読み解ける流れである。
では、管理計画の出没を抑止しない理由は何故なのか?それは、学術調査が目的になっているからである。下記の表、北海道のヒグマ関連予算を見れば一目瞭然である。
ヒグマの研究者や専門家たちは、人里に出没したヒグマを個体識別する目的で、ビデオ撮影やDNA分析用に体毛採取をしている。その目的のために、「芳香剤」や「餌」でヒグマを誘引する「餌付け」をしているのである。この「餌付け」行為は、調査や研究が目的なら良いと言う事は断じてあってはならない。
道新NEWS:https://www.hokkaido-np.co.jp/movies/detail/6050307841001
北海道や知床財団は、食べ物などでヒグマを誘引すれば、人と食べ物を関係づけるようになるので、食べ物などで誘引しないように指導している。一般人には「餌付けはするな。誘引するような物は置くな。」と指導していながら、研究者・専門家たちが、調査の為にやる「餌付け」行為は、容認しているのだから、呆れた話である。2021年4月、第204回国会に提出された自然公園法の改正案には、ヒグマの「餌付け」行為を厳罰化する目的で、国立公園や国定公園の中の「特別地域」などの範囲に限って野生動物への「餌付け」行為を規制し、30万円以下の罰金を科すとしている。地域限定とはなっているが、国立公園であろうがなかろうがヒグマはヒグマなのだから、調査や研究目的で芳香剤や餌で誘引する「餌付け」行為が招く問題も同じなのだ。調査、研究目的においても「餌付け」行為は即刻禁止すべきである。
そして、芳香剤や餌で誘引する「餌付け」調査は止めさせることだ。「餌付け」行為により、問題が発生し、何よりも人とヒグマとの関係が歪められてしまう。よって、現状のような調査が続く限りは、いつまでも人とヒグマの軋轢は低減することもなければ、人的被害の危険性はますます高まるばかりとなる。今のままでは、「人とヒグマとの共存」など到底実現し得ず、地域個体群の保護も出来る筈もない。
現在のヒグマの調査・研究は、芳香剤や餌でヒグマをおびき出す「餌付け」や、GPS発信器の首輪をつけたり、家畜の牛につける耳タグを付けたりしての調査を続けているが、こうした、うわべだけの、こぎれいで、安直な調査を繰り返している限りは、ヒグマという動物を理解し得ることは出来ない。自らが山に入り、汗をかき、踏査して野生のヒグマにたどり着き、ヒグマと長く対峙してこそ、ヒグマという動物がどういう動物なのかが見えてくるものだ。判断力や学習能力のある動物の気持ちまで読み取れるようにならなければ、相手を理解することなど出来るはずもない。手早く成果を挙げたいがために、短絡的に研究対象として扱っていれば、ヒグマ対策は根拠の無いものになってしまい、いつまで経っても功を奏しない。
現行のヒグマ管理計画は、ヒグマの徘徊を抑止しておらず、その間にヒグマは諸々のことを学び、徘徊を繰り返している。その結果、手に負えなくなったという理由で、檻罠で捕獲して殺処分する…という流れになっている。北海道は、現行の計画がこうした流れになっていることに早く気がついて欲しい。もうこれ以上、無意味で無差別なヒグマ惨殺劇は止めるべきだ。よって、現行の「北海道ヒグマ管理計画」は、ヒグマの習性を考えた計画に練り直し、何よりも真っ先に出没を抑止する対策に変更した新しい計画を立案して欲しい。ヒグマが人里を体験し、学習する前に、すみやかに出没経路を特定し、人里への出入口に間髪を入れずに電気柵を設置して封鎖する「抑止」対策を行えば出没騒ぎは解決するのである。
以下に「ヒグマ出没抑止策の概念図」と北海道知事宛てに提出した質問書を添える。
北海道新幹線・野田追トンネル北工区の坑道の真上の住民は、「地下からの振動や音が気になる」と言う。ダイナマイトも使用しているのだから、不快さや不安は計り知れない。開通すれば車両が通過する毎に、振動と騒音に悩まされることになる。
2021年3月20日、そのトンネル内で崩落が起き、地上は直径20mが陥没した。
北海道新聞には詳細は無いが、web記事:《佐藤正樹(キハユニ工房)》に、八雲町で行われている北海道新幹線トンネル工事の野田追トンネル北工区で、2021年3月20日、坑口から3.997km付近の地下約40mの坑内で、トンネル掘削面が崩壊して約600㎥の土砂が流入し、地上部に直径約20mの陥没が生じたという写真が添えられている。
札幌延伸を目指す独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、事あるごとに「工事の完了時期の遅れに影響はない」と説明している。陥没が発生した野田追北工区では、2018年7月17日にトンネル工事現場で死亡事故まで起きている。工事を急ぐ余りの意識の陥没こそが事故を招く。沿線住民が、北海道新幹線トンネル工事にかかわる危険と隣り合わせにいることを忘れてはならない。
トンネル工事と地上部の陥没事故は多い。2020年10月、東京都調布市で地下47mで行われていた東京外郭環状道路(外環道)トンネル工事で市道が陥没した。また、2020年6月30日には、トンネル工事で横浜市港北区大豆戸町の環状2号線で縦横約7メートルが陥没した。2016年11月8日、福岡県福岡市博多区の博多駅前付近で行われていた地下のトンネル工事で、道路が大規模に陥没したことも記憶に新しい。 地下40m以深を「大深度地下」と定義し、トンネル工事など地下利用のために、首都圏、近畿圏、中部圏において地権者の許諾を得なくても事業が着手できるように2001年に「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(大深度法)」が施行された。この「大深度法」は、トンネル掘削技術の安全性が担保された上での施行なのか、甚だ疑問だ。住民の安心、安全な暮らしよりも、事業に便宜を図る目的でしかない。
ヒ素など有害重金属含有掘削土の処分方法の安全性への疑問に加えて、トンネル工事そのものの技術的な安全性にも疑問があることが露呈した。