鉄道運輸機構の職員と面談…その②その③

「その①:八雲町内の全トンネル工事で発生する有害重金属含有の掘削土の全てを山崎地区山崎川源流部の沢へ投棄することについて」からの続編。

その②:各工区の沈砂池の収容能力についてと、その③:PAC処理能力について

八雲町黒岩地区の水道水源であるルコツ川上流にある新幹線工事ルコツ工区での排水処理能力不足の改善を求めた。住民の水道水源が汚染されるかどうかの重要な問題なのである。

有害重金属含有の掘削土からの浸透水を集める集水溝が土砂崩れで埋まったまま放置されている。2018年7月8日。
大雨が収まってから5時間ほど経ていても、まだ、満水状態。撮影:2018年7月5日
有害重金属含有掘削土の浸透水を集める集水溝は土砂で埋まっていた。撮影:2018年7月5日
個人所有の庭園がルコツ工区となっている。庭園の池はルコツ工区から流れ出してきた泥水で濁っていた。撮影:2018年7月5日

有害重金属含有掘削土からの浸透濁水を集水溝でA沈砂池に集めてPAC処理施設へ送って処理している。工事敷地内の有害重金属の粉塵で泥だらけになった濁水は、B沈砂池に集めてPAC処理施設へ送って処理している。両沈砂池から50%+50%で送水して処理している。「A+B沈砂池」の総収容量は995㎥。PAC濁水処理施設の処理能力は100トン(㎥)/時間である。入手したデータを表にした。

最大雨量の53㎜/時間を基準に設計しているそうだ。しかし、雨は1時間降ってピタリと止むとは限らない。53㎜/時間降った後、雨量16㎜/時間が2時間続いた場合、PAC処理3時間分の300トン(㎥)を除しても尚、A+B沈砂池には1098㎥の濁水が集まる。沈砂池から有害重金属含有の濁水が溢れ出す計算になる。何より驚くことに、機構が示す53㎜/時間雨量に耐えられるという設計条件は「初期値がゼロ」、つまり、A+B沈砂池は「カラ」という条件であることが分かった。A、B沈砂池に泥砂が堆積していたり、濁水が溜まっていたりすれば想定雨量以下でも「簡単に溢れ出す」のである。

このお粗末な設計に対して我々が指摘すると、機構職員は「ルコツ工区は長万部工事事務所の管轄だ」として説明を避けたのである。管轄は機構の都合に過ぎない。八雲町民の水道水源が汚染される危機的な最たる重要な問題なのに、おかしな対応がされたのである。機構職員で説明できると言って専門家を同席させることを拒否し、札幌から工事第三課課長補佐 落合洋則氏が面談にやってきたのだが、いざ説明できないことは管轄外だと言うのだ。核心に触れた質問には説明しない、出来ない。それでも根拠も無く問題無いと言い切る。核心をはぐらかし、言葉巧みに住民をたたみ掛ける。機構は、こういう人物に対応をさせているようだ。こんな不誠実な対応で、住民の理解と協力など得られる筈もない。水源汚染などの影響が出たときには、そのすべてを被らなければならないのは、機構職員ではなく、この地で暮らす住民たちである。このことを忘れてはいけない。「地域の住民の理解と協力」で成り立つ事業は地域の住民の安全・安心な暮らしを担保するものでなければならない。

2018年6月14日放送のHTB「イチオシ!」で重金属土問題について、「自然にあったものをここからこっちへ移動させるだけなのに、何が問題なの…」と発言したが、こういう未熟な発言をテレビで堂々と放映するものだから、「北海道民はバカでお人よし」のようなレッテルで地域住民たちが軽侮されるのである。このコメンテーターは、自然由来という言葉に騙されているのだろう。有害重金属が存在していない場所へ自然由来の有害重金属含有の掘削土を持ち込むことが問題なのだ。そこで風化が始まり、有害な作用が始まるからである。

これまで事業者や研究者側は、自然由来のという言葉を巧みに利用し、あたかも危険が無いように説明している。しかし、自然由来であっても健康被害への区別の理由がないことから環境省は平成22年に土壌汚染対策法を改正している。旧法においては、「土壌汚染」は、環境基本法(平成5年法律第91 号)第2条第3項に規定する、人の活動に伴って生ずる土壌の汚染に限定されるものであり、自然的原因により有害物質が含まれる汚染された土壌をその対象としていなかったところである。しかしながら、法第4章において、汚染土壌(法第16 条第1項の汚染土壌をいう。以下同じ。)の搬出及び運搬並びに処理に関する規制が創設されたこと及びかかる規制を及ぼす上で、健康被害の防止の観点からは自然的原因により有害物質が含まれる汚染された土壌をそれ以外の汚染された土壌と区別する理由がないことから、同章の規制を適用するため、自然的原因により有害物質が含まれて汚染された土壌を法の対象とすることとする。(平成22年3月5日付け環境省水・大気環境局長通知「土壌汚染対策法の一部を改正する法律による改正後の土壌汚染対策法の施行について」から抜粋)

北海道立総合研究機構 環境・地質研究本部の遠藤祐司氏は自然由来の重金属について以下のようにも述べている。

北海道新幹線トンネル工事…まだまだ出る出る有害重金属土…疑問だらけの処分の仕方…汚染水が人体や生物、農海産物に与える危険な投棄場所…。いよいよ札幌でも有害重金属土の投棄保管場所の問題が始まる。

 

鉄道運輸機構の職員と面談…その①

2018年7月18日、北海道新幹線トンネル工事に関わる問題について独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構と町議3名と共に面談し説明を受けた。その①:八雲町内の全トンネル工事で発生する有害重金属含有の掘削土の全てを山崎地区山崎川源流部の沢へ投棄することについて その②:各工区の沈砂池の収容能力について その③:PAC処理能力について

その①:住民説明会用「2018-04-19・北海道新幹線建設工事の発生土への対応について(八雲町黒岩地区発生土受入地)」の抜粋資料。

八雲町内の工区が示され、全工区から発生する有害重金属含有掘削土を山崎川の源流部に投棄する予定と示されている。

河川の源流部すなわち地下水源への投棄は、地下水及び河川水の汚染が懸念されることから、我々は、この場所を○とした専門家からの説明を求めていたが、これを機構は拒否。替わりに職員が説明できると言って札幌から工事第三課課長補佐 落合洋則氏が面談にやってきた。

まず驚いたことに、投棄する場所を選定するにあたり、専門家は山崎川の投棄場所を見ていないということである。(先日、山崎川源流部の沢を有害重金属含有掘削土で埋める計画を取りあげたHTBテレビ「イチオシ!」では、大学教授が「地すべりはあるかも知れないが、影響は少ない」と述べている)何れも現地を見もしないでの発言である。

我々は、機構と面談する事前に、山崎川源流部の沢を埋める現場の地質を調査した。地質は7月5日に道央自動車道の八雲町黒岩で土砂崩れで通行止めになった同じ地山である。山崎川源流部でも地すべりの痕跡が多々あり、軟弱で崩れ易い地質であることが分かる。

道央道八雲町黒岩地区の土砂崩れ現場。撮影:2018年7月5日
道央道土砂崩れ現場と同じ地山の有害重金属含有掘削土で沢を埋める山崎川源流部。地すべりの痕跡がいたるところで見られている。撮影:2018年7月10日
有害重金属含有掘削土で埋める沢の地質が見られる林道。ちょっとした雨で土砂崩れが発生。地下水脈から水が噴き出して崩壊していた。撮影:2018年7月13日
土が固まったような地質で、地質は均一ではなく、礫質が見え、そこから水が浸みだしていた。つまり、地下水脈が複雑に存在していることが示唆される。撮影:2018年7月13日

崩れ面は、礫があり、すき間があり、そこから水が浸みだしていた。

Q:「有害重金属含有の掘削土で埋める沢は土を固めたような地質なので、脆く、地すべりしやすいのではないか」「有害重金属が土壌浸透することはないのか」➡A:「投棄する沢の地質は岩盤だから地すべりしない。」「岩盤だから土壌浸透することもない」

Q:「岩盤の岩質は何か…?」➡A:「・・・・・」絶句の後、詳しく説明できると公言していた機構職員は「調べてから回答する」と答えた。

この職員は「岩質が必要なのか…?」と逆に切り返してきた。専門家に代わって説明すると言っていたのに、自分たちが説明するのではなく、住民側に説明させ本題を逸らそうとする独特の話法で切り返してくる。我々は、崩壊した面から水が浸みだしている写真を示し、岩盤に水がしみ込んでいること、また岩盤の質は均一ではなく、礫が存在しているので水は均一に浸透しているのではなく「地下水脈」のように岩盤の中を流れていると指摘し、即ち岩盤の岩質を知る必要があると説明した。しかし、職員は現場の状況も岩質の意味すら理解しておらず、説明する能力は無い。どうせ、こんなことだろうと専門家から話しを聞きたいと事前に強く申し入れていたのに、この始末だ。誠実さは全く感じられない。

住民説明会用のP24の図を見ていただきたい。雨水・浸透水への対策が描かれている。まず、暗渠排水管が土砂で塞がらないという保証は無い。更にこの暗渠排水管の外を水が流れる可能性も否定できない。また、浸透水は図のように排水層のみを流れるという裏付けもない。流水には侵食作用があるのだから、暗渠排水管や排水槽の周辺を侵食すれば空洞ができ、水が滞れば水圧がかかって剥離面が生じ、その結果、陥没したり地すべりする。解説のように雨水や土壌中の水が流れる保証は一つもないのだ。この図は絵に描いた餅である。

更に、機構職員の傲慢さが続く…「地すべりや土壌浸透で、有害重金属が地下水や川に流れ出して汚染した場合、生物蓄積などの影響はないのか」と我々が質問すると、この職員は言葉尻を捉えて「汚染とは何をいうのか…?」「調査が先ではないか…」とたたみ込んで本題をそらしてくる。そして、なんと同席していた若い職員が「あなた方で調べたらよいではないか」と言ったのだ。住民の理解を取り付けるために丁寧な説明をすることを放棄し、無理難題をふっかけてくるのだから、もう、むちゃくちゃな話である。「専門家でなくても我々が説明できる」と言ってやってきたこの機構職員の真意は単に言葉巧みに住民を欺くものだと分かった。

機構職員は、生物蓄積は「無い」と断言している。根拠は「知見がないから」だそうだ。つまり、「知見がない」から、確認する必要が無ければ、調査する必要もないし、我々に指摘されたことに応じる必要もないというわけだ。重金属のうち「銅」は「サケの嗅覚細胞数を減少させる」ことが知られている。ならばヒ素はどうなのか、鉛はどうなのか、ふっ素はどうなのか…影響が十分に推定されることだが、何れも知見がないことを逆手に取って、「影響は無い」と言い、「文句があるならお前たちで調べろ」というわけだ。札幌へ帰ったこの職員は、北海道新幹線建設局局長にどう報告したのだろうか?このような対応をする職員を派遣するということは、局長は事業現場で起きている問題には無関心だということなのか?

北海道新幹線トンネル工事…まだまだ出る出る有害重金属土…疑問だらけの処分の仕方…汚染水が人体や生物、農海産物に与える危険な投棄場所…緊張も責任も微塵も感じていない機構職員…その②その③へつづく。

 

6月14日午後6時15分からHTBテレビ「イチオシ!」で有害残土問題…

614日午後615から、HTBテレビイチオシ!

北海道新幹線トンネル工事で掘り出される「有害重金属含有の掘削土」の処分の問題がテレビで放送されます。

ぜひ、ご覧下さい。

北海道新幹線トンネル工事現場。持ち出せない有害重金属含有の掘削土は風に飛ばされないよう、雨で流れ出さないようシートで覆われ、保管されている。2018年現在、有害掘削土は写真の左手の農地に拡張し、積み上げられている。立岩工区(八雲町立岩)。撮影2017年11月2日。
北海道新幹線トンネル工事現場。立岩工区(八雲町立岩)。撮影2017年11月2日。
北海道新幹線トンネル工事現場。PAC処理された排水は遊楽部川へ流され、噴火湾に注ぐ。立岩工区(八雲町立岩)。撮影2017年11月2日。

この持ち出せなくなった有害掘削土及び八雲町内の工事で発生する全有害掘削土を八雲町黒岩地区の山崎川の源流部に投棄し、谷を埋めるという計画です。下記に住民説明用の資料を添えます。

出典・新幹線建設工事の発生土への対応について(八雲町黒岩地区発生土受入地)説明資料・平成30年3月28日・独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構・北海道新幹線建設局…以下に同資料を添えます。

独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構が責任を持つ期間は2年間とされております。

厚沢部町の山中に汚染土。その処理法は他にない粗雑な扱いである。

厚沢部町鶉地区から滝野方向へ右折した山中に、厚沢部川の支流である意養川に注ぐ小さな沢がある。この沢の源流部に新幹線トンネル掘削土の捨て場がある。真っ黒な粉塵にまみれた南鶉工区で掘削している有害な重金属を含んだ掘削土は、ここに運ばれている。

鉄道運輸機構は、有害重金属含有の掘削土を小沢の源流部に捨てても、「①・有害重金属は土中の吸着層に吸着させて外に出さない。②・沈澱池をつくり、有害重金属含有の濁水対策をする。③・モニタリングをして監視する。」から問題は無いと厚沢部町民に説明している。

P14の図には有害重金属含有掘削土の下部に「吸着層」、「基盤排水層」、「明渠(きょ)排水」が描かれ、その下が岩盤になっている。

ここで問題なのが、「吸着層」で説明通りに吸着される裏付けは実験室とは異なる。流れる水は「浸食作用」があるので「基盤排水槽」や「明渠排水」の下部が浸食されて空洞化がすることが考えられ、有害重金属含有掘削土の重みで陥没すれば容易に流れ出すことが想定される。そもそも川の源流部での投棄は、汚染が広範囲に及ぶので下流一帯の居住地域までが汚染されることになる。土壌浸透して地下水が汚染し、有害重金属含有の濁水が流れ出したりした場合、どのような対策が出来るというのか。変事の際は、その時点で汚染されているわけだから、元へは戻せない。

「モニタリングをして監視する」…このモニタリングというのは概ね2年で終了する。八雲町民にはそう説明している。しかし、何故か厚沢部町の住民説明用の資料には期限が書かれていない。機構の対応は、自治体によって相違するようだ。土壌汚染の進行は緩慢なので、汚染が確認されるのは2年よりもず~っと先になる。2年のモニタリングで発見できる筈もなく、住民を欺いているとしか言いようがない。独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は真摯に住民に向き合い、危惧されるリスクを正直に説明するべきである。

捨て場近隣では井戸はないと説明しているが、これはヒ素が検出されるかもしれないと言う事を示唆している。そもそも井戸があろうがなかろうが汚染は許されない。厚沢部町は、メークイン(じゃがいも)やアユの友釣りで知られる。これらには清らかな水資源が不可欠だ。その大切な水の源流部に有害な物質を投棄することを何故、厚沢部町は決断したのだろうか?

有害重金属含有の掘削土はこの場所に置かれたまま、未来永劫雨水にさらされ続けることになる。そして、影響が露呈した場合には被害を被るのは他でもない地元住民である。その時になって声を上げても、「問題無い」とお墨付きを与えた専門家や独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の職員も、責任を負う者はいないのである。

 

渡島トンネル(南鶉)工区で真っ黒な粉塵。

北海道新幹線の長大なトンネルは、一本のトンネルだけではない。本坑から出る大量の掘削土を搬出するために、多くの横抗を掘り進める。その一つ、国道227号線「渡島トンネル(南鶉)工区」での粉塵について疑問を抱く。

この工区の敷地の雪が異様に真っ黒なのだ。粘土状の塊も見える。敷地内の粉塵を無造作に敷地外に投棄したかに見える。

新幹線トンネル工事では、ヒ素や鉛、フッ素など有害重金属含有の地層を掘り進むため、掘削土には環境基準を超えた有害重金属が含まれている。独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、有害重金属含有の掘削土を搬出する際には荷台から粉塵が飛散しないようにシートで覆い、かつ、トラックのタイヤに付着した粉塵(泥)を落として、敷地外に飛散しないように対策を講じると地域住民には説明している。

出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構・地元住民への説明用資料

しかし、敷地傍の雪が真っ黒なのは何故なのか?敷地内の粉塵をそのまま投棄しているとしか考えられない。交通量の多い幹線国道227号線は、函館方面と江差方面を繋ぐ。粉塵は乾燥して周辺に飛散し、通行中の車内、人体に吸引される。この真っ黒な物質が環境基準値を超えた有害重金属含有の粉塵であれば、健康被害も起こり得る。

雪が融けて国道の側溝を経由して大野川に流れ込み、汚染は広がる。流れてしまえば誰も気がつかない。この真っ黒な物質は何だろうか?機構は、粉塵の対策は万全だとしか説明しないが、実際にこのような事象を把握しておらず、検査もしない。機構が調べないのなら、知りたい者が検査するしかないのが実態だ。我々でサンプリングした粉塵は、専門機関で検査し公表する。

掘削土を運搬中のトラックの後ろを走ると、粉塵が飛散しないような対策をしているとは思われない。風でバタバタとはためくシートは粉塵を煽り立て、まき散らして走行している。

掘削土は、バタバタと煽られる。

独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は現況を確認し、即刻に改善していただきたい。

 

 

排水先からヒ素が検出。沈砂池を検証する。

北海道新幹線トンネル工事ルコツ工区での濁水処理の稼働が開始される直前、2017年4月27日に排水先になるルコツ川とロクツ川の合流点を撮影。安定した川底の砂利は、多くの魚たちの営みと産卵を育んでいる。美しい自然河川だ。住民の飲用水でもある。ところが、工事が始まると、濁水や微細砂が堆積するようになったのである。

2017年4月27日に撮影したルコツ川(左)とロクツ川(右)の合流点。

2017年11月14日には、白濁した酷い状態になった。上空から撮影したところ、トンネル工事現場のルコツ川から流れていることが分かった。ロクツ川との合流点へ行ってみると、これまで見られなかった(4月27日撮影)微細な砂が大量に堆積していた。この堆積物は直ちに採取し、専門機関に分析を依頼した。

撮影:2017年11月14日

● 検液の作成方法:平成3年環境庁告示第46号(溶出試験)による方法

その結果、微量ではあるが「ヒ素」が検出されたのである。これは、「謎の配管」(12月20日当HP記事)で、JV筆頭奥村組加藤所長が説明した沈砂池A及び沈砂池Bから未処理のまま濁水を川に排水する目的で敷設された配管から、実際に垂れ流していたことを示唆している。

この沈砂池A及び沈砂池Bの貯水容量について、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構が示すデータについて検証する。

設計条件のうち、全沈砂池がカラであっても、8,250㎡の敷地の土壌が目詰まりすれば、流出係数0.5は1.0に近づき、流出係数1.0の場合はA+B沈砂池の全容量は1,026,61㎥となり、PAC処理量100㎥を減じても926.61㎥なので、沈砂池の余裕はわずかに68.39㎥でしかないことが分かる。従って、時間雨量57㎜を超えれば、PAC処理量100㎥を減じても、1,004,09㎥となり、沈砂池の全貯水量995㎥を軽く超えて沈砂池から濁水が溢れ出すことになる。

撮影:2018年1月14日
撮影:2018年1月14日

設計条件の前提は、沈砂池Aおよび沈砂池Bがカラの状態、つまり、貯水量がゼロという条件なのだから、現実的には常時メンテナンスが実施されて、常に全沈砂池がカラの状態が維持されていなければならない。写真のように現場では積雪あり、結氷ありの沈砂池となっている。さらに貯水あり、堆砂ありで、カラの状態が維持されることはあり得ない。

撮影:2018年1月14日

従って、機構が説明するような設計条件は、あくまで前提であり現実的ではない。また、この配管には濁水を吸い上げる水中ポンプが取り付けられていたことから、11月14日の濁水流出の痕跡が裏付けられる。この川にはルコツ工区以外から濁水が流れ出すような背景は全く存在しない。

八雲町と長万部町の最近10年間の時間最大雨量の変遷を示す。

最近では、スコールのように短時間に大量の雨が降ることが多い。過去40年のアメダスから最大降雨量を設計条件としているが、最大値53㎜は、2013年のつい最近のことである。

私たちは、これまで何度もルコツ工区の沈砂池の規模が不足していること、PAC処理施設の処理能力が不足していることを訴えているが、機構は頑なに改善を拒否している。北海道の自然、水資源・水産資源を犠牲にした新幹線トンネルの闇は深い。

 

新幹線トンネル工事現場で、謎の配管と恫喝。

北海道新幹線トンネル工事・ルコツ工区に於いて、笹薮の中にある川へ引いた2本の鋼管(パイプ)について、施工者であるJV筆頭・奥村組の所長が、「2つの沈砂池が満水になったときに、処理することが出来ないので、そのまま川に排水するために設置した」と説明している。(詳細は、排水問題その3を参照ください)

ヒ素が混じった有害重金属含有の泥水を未処理のまま川に排水するのは問題だとして、八雲町長の指示のもと、12月14日に八雲町役場新幹線推進室の職員3人と合同でルコツ工区の現地確認を行うことになったのである。

川に突きだした鋼管は取り外してある。右に塩ビの入れ物が見える。

この川の下流には八雲町黒岩地区の住民の水道水源の浄水場がある。水は、直径4m×深さ6mの井戸から地下水を汲み上げている。その上流でヒ素が混入した未処理水を流すというのだから、重大な問題である。

上の写真は11月9日にJVの所長から説明を受けて撮影したもの。下の写真は12月14日に配管を外したと説明を受けて撮影したもの。配管はパーツの1品が外されているだけで、ほとんどはそのまま残されている。これでは、いつでも使用は可能だ。
つなぎの鋼管を1本(部品一つを)外しただけである。

当日、JV筆頭・奥村組所長は、「配管は外した」と言って、雪を手で払って見せた。その写真をよく見ていただきたい。破線の1本(1部品)だけを外しただけで、配管はそのまま残されている。

配管を確認しに来た八雲町役場新幹線推進室の職員は、この配管がどのように配置され、何の目的で配置されたのか調べることもなく、質問することすらしないので、業を煮やした我々は、奥村組所長から聞いていた通り「この配管こそが沈砂池が満水になった時に、未処理の濁水を川に排水する配管だ」と説明した。すると、いきなり奥村組所長は「そんなことは言っていない」と割って入ったのである。更に、発注者の機構責任者たちの前で、「名誉毀損で訴えるぞ」と激高したのである。我々の目的は配管の事実を確認し、未処理の有害重金属含有の濁水を排水しないように、申し入れているだけのことだ。この視察前に、わざわざ配管の一部を外していたことは、法に抵触している疑念しか浮かばない。工期も予算も決まった中で、立ち止まることは施工者には出来ない。水資源を損なうと分かっていても、やるしかない。それを強いているのは機構である。こういう問題にこそ、環境債(グリーンボンド)を充てるべきだ。

この恫喝に対して、機構は高みの見物であったことにも驚く。水道水源の汚染を心配している住民に対して、発注者である機構の現場担当所長も、札幌から来ていた機構の工事課長も、恫喝した奥村組所長を制止しようともしなかったことは、何故なのか?機構がこの配管を知らなかったはずはない。そして何故、一部だけを外した配管を目の当たりにしながら、黙認しているのか?

独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構札幌の工事第四課長の三谷氏に、恫喝と不可解な配管について見解を求め、12月18日に申し入れを行った。機構からの回答は、このホームページ上で公表する。

 

 

新幹線トンネル工事の排水問題。その3

独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、これまで「濁水に含まれた有害物質は、完全に処理をした上で十分に配慮して排水する」と言ってきた。ところが、記事(その2)のように、放流水槽での不適切な排水どころか、それとは別に「未処理のまま、排水をする」排水管を備えていたことが新たに発覚したのである。

「2本の送水管(白い管)で、PAC処理して放流水槽を経由し、川に排水する」これが、表向きのもの。しかし、その手前の藪の中に、樹脂製のホースと鋼鉄管が別に引かれていたのである。

施工責任者は、「2つの沈澱池が満水になったときに、処理することが出来ないので、そのまま川に排水するために設置した」と言う。ヒ素やセレンなどの有害重金属が混入した濁水を、未処理のまま川に流す行為は犯罪に等しい。追及すると、担当者は慌てて、「まだ流していない…流していない、沈澱池も満水になったことはない…」と、言葉に窮したのである。

排水した先には浄水場があり、直径4m✕深さ6mの井戸から浸透水を汲み上げている。この水を八雲町黒岩地区の住民が、水道水として利用している。

工事敷地内建屋の裏で、沈澱池に溜めきれない濁水を未処理のままルコツ川に排水する送水管口が見える。

排水する場所と浄水場の位置関係を下の写真で示す。

浄水場の脇にある排水口よりも上流から、川は濁っている。赤円はルコツ川からの堆積物。

正規の排水管口よりも、上流から白濁していることが分かる。工事現場があるルコツ川と濁りの無いロコツ川との合流地点では、堆積物が溜まっている。撮影時には、「何故、こんなことが起きているのか?」不思議だったのだが、トンネル工事現場内に「隠し排水管」があった訳である。これまで真摯に対応を行ってきた独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構のルコツ工区担当所長が、この「隠し排水管」で、未処理の排水行為を把握していたとは、よもや信じられない。信じたくはない。

何より、工事を請負う施工業者は、「沈澱池が小さくて溜めきれない」と自らが証明したのだ。「現状の沈澱池の規模では処理しきれない」と言っているのだ。この「隠し排水管」は、発覚した直後に撤去している。では、沈澱池が越水した場合、ヒ素とセレンが含まれる濁水はどうなるのか?更に「放流水槽」に溜まる処理しきれない沈殿物は、あろうことか撹拌して排水しているのである。今の沈殿池規模のままでは、こんな恐ろしい愚行が何年も続くことになる。鉄道運輸機構は、沈殿物をあえて撹拌して排水するような誤魔化しを即刻に中止し、容量不足の沈澱池の拡大増設と、処理施設の能力不足を改善するようにしていただきたい。

北海道新幹線トンネル工事で掘削された有害重金属や排水について、道民の関心は非常に大きい。これまで、私たちのような団体や町民、議員、新聞記者、様々な立場の人たちが現場へ視察に訪れている。誰もが、完璧な処理を行っていると信じてきたのである。そのすべての人々を欺いたのである。道民を、北海道を甚だしく舐めている。

このルコツ工区ひとつでも、このような重大な問題が起きる。北海道新幹線の長大なトンネルの掘削は、トンネル本坑距離の約5km毎に横坑を掘って、本坑に接続して掘り進めている。この横坑だけでも、1km前後もある規模の大きなものなので、有害重金属含有の掘削土は、横坑の分量と本坑の分量を合算した膨大な量になる。例えば、小樽-札幌間の札樽トンネル(約26km)であれば、工区は6工区になり、本坑だけではなく横坑の分量も含めた有害重金属掘削土が産出される。危険な土砂が発生することを事前に分かっていながら、処分の方法も処分場も決まらない。曖昧なままに着手された北海道新幹線札幌延伸工事は、大規模な環境破壊を孕んだ事業であることが分かる。

既に着手された横坑も、これから始まる全ての工区で、有害な重金属を含んだ掘削土が、どのように扱われ処分されるのか?ルコツ工区で露呈した隠し排水管が何を示唆しているのか?道民の皆さんの関心こそが、「北海道の豊かな自然や資源を壊さない新幹線にする」ことが出来るのです。

 

 

新幹線トンネル工事の排水問題。その2

2017年11月6日の当会のHP記事に対して、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の担当者から、PAC処理した排水を一時的に溜めて、川に放流する水槽なので、「沈殿槽」ではなく、「放流水槽」であること、「有害重金属含有沈澱物」は、含まれていないと連絡があった。その説明がされると言うので、9日にルコツ工区の現場へ赴いた。

しかし、「PAC処理」と「放流水槽」について改めて説明を受けて、トンネル掘削土による関連処理能力が、こんなにも不十分だったことに愕然とする。

トンネルで掘削した有害重金属(ヒ素・セレン)を含んだ土は、行き場が無く山積みにされている。これは、その土に浸透した水を集める沈澱池。ここに溜められた濁水は、PAC処理施設に送られる。
工事敷地内にはもう一つの沈澱池がある。トンネル内からの出水や、トンネル内で作業する車両に付着した粉塵など、洗ったり降雨で発生した濁水を集める。これらの濁水も、PAC処理施設(奥の建物)へ送られる。
2つの沈澱池から送られた濁水は、ここで有機系凝集剤(PAC)を加えて懸濁物を凝集させて沈澱させる。処理中の水槽内は、泥が凝集されて塊になっている。
PACで凝集処理された水は、この装置に送り出され上水だけが選り分けられる。
沈澱物と水とが選り分けられた上水は、一旦、この水槽に集められ、吸着マットで油性分を取り除いてから、PAC処理施設の外にある「放流水槽」に排水される。
これが「放流水槽」。PAC処理施設と繋がっている緑色の管から水槽を経て、2本の白い管で川に放流する。この白い送水管は、ルコツ川の下流にある浄水場へ伸びている。その浄水場の脇で、川に排水される。
浄水場と排水口。浄水場は地下水を汲み上げて、地区住民の水道水源となっている。

つまり、イラストで解説すれば、このようになる。

左側の緑色の管からPAC処理された水がこの水槽に入り、右側の2本の排水管で川に排水される。だから「放流水槽」だと言う。この「入って、出る」管の位置がおかしいと気づきましたか?綺麗な上水を流すには、2本の排水管は、緑の管口よりも上になくてはならない。

「放流水槽」とは名ばかりで、PAC処理しても、これだけの沈澱物が存在し、沈澱機能を有した水槽は、「沈澱槽」と標記しても間違いではない。何より驚いたことに、水中ポンプを装着した2本の排水管で、底に溜まった沈殿物ごと吸い上げて排水していたことである。この沈殿物について、当会が「有害重金属含有沈殿物」と記事で標記したことに対して、鉄道運輸機構の担当者は、「PAC処理後の沈澱物だから問題は無い」と説明したが、その沈殿物に有害性の有無については調べられておらず、「これから検査に出す」と言う。排水は既に6か月以上も続けていたというのにである。

実際の排水。白濁していたのは、放流水槽の沈澱物を吸い上げて排水していた訳だ。撮影・2017年11月4日

北海道新幹線トンネル工事での濁水処理は、現在、稼働させている処理施設では規模が小さく、沈澱物を取り除くことが出来ないことが露呈した。「処理をしている」という事実だけが免罪符になって、事業者自身「何を排水しているのか」、よくわかっていないのかも知れない。

ヒ素は、岩などの固体に付着したものであれば、PAC処理で除去が可能だが、水に溶融した状態のヒ素は、PAC処理では除去できないとの大学教授の指摘がある。PAC処理後の水、つまり「放流水槽」に沈澱した物質がある以上、処理を免れたヒ素・セレンが含まれたままになっている疑いは濃厚にある。このままでは、地方の小さな町の人が、どんな水を飲もうが、環境が悪化しようが、魚が汚染されようが、所詮は他人ごと。そういう意識しか無いと思わざるを得ないこの現状に、事業担当者、現場責任者も真摯に受け止め、早急の対策と改善を行っていただきたい。

 

 

鉄道運輸機構の嘘。濁水処理は、見せかけだった。

2017年10月26日、北海道新幹線トンネル工事プラント内の視察で、トンネル掘削で出る有害重金属土を含む排水は、「しっかり、配慮して作業する」と工事責任者の所長から説明を受けていた。しかし、その視察後9日目の今日、信じられない排水が行われていることが明らかになった。

八雲町と長万部町の境界でトンネル工事が進むルコツ工区でも、「ヒ素」や「セレン」などの有害重金属含有の掘削土が、いまだ保管場所が決まらないために、工事現場敷地内に管理され、山積になっている。掘削に伴う出水や雨水によって、この有害重金属は川に流れたり土壌に潜り込む。そこで、沈澱槽で浮遊する有害重金属を沈殿させ、川に流さないように沈澱槽の底に堆積させて、堆積物は厳重に保管処理され「有害重金属が含まれていない上水」を排水する……

ところが、なんと驚くことに、沈澱物が堆積している沈澱槽の底を吸い上げて排水していたのである。少なくとも、この日まで沈澱槽の沈澱物つまり、有害重金属含有沈殿物を川に捨てていたことになる。

白濁した排水は、河床への沈澱が認められた。

黄色円内を見れば、川底に沈澱しているのが分かる。

すぐに排水は絞られたが、こんな事が平然と行われていたとは驚きである。直ちに採水した。

これまで視察の度に、鉄道運輸機構は「排水は十分に配慮して行う」と説明していたが、私たちは騙されていたことになる。

沈殿槽は単なる見せかけであり、上図のように信じられない垂れ流しがされていたのである。この事実は、大変な事態になるだろう。漁業者が懸念しているサケやサクラマス、ホタテなどの水産資源への影響どころか、有害重金属含有掘削土の評価や扱いは、人体への影響の有無を基準にしているが、もはや、それすらも危うい。国土交通省河川局、環境省、北海道は指導するだけではなく、全ての工区の排水について点検しなければならない。