活動報告 : 北海道新幹線

トンネル残土の搬入場で、高濃度のヒ素を検出。

函館近郊の北斗市は、北海道新幹線トンネル工事で発生する掘削土(残土)を近隣町からも受け入れている。環境基準超えの有害重金属含有の要対策土(有害残土)である。保管場所は、村山地区の国道227号線沿い砕石跡地。この下流側の砂泥から0.015mg/Lという環境基準1.5倍超えの高濃度のヒ素が検出された。

水を採水:2020年4月26日
砂泥を採取。この砂泥から高濃度のヒ素が検出された。:2020年4月26日

高濃度のヒ素が検出されたことから、分析調査を行った市民団体は、北海道民の生活環境を護る立場である渡島総合振興局に事実確認の調査を申し入れた。ところが振興局は、市民団体からの情報を、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構へ漏洩。機構は早々と分析調査を行い、「ヒ素は環境基準値以下だった」と公表。市民団体への聞き取りなど一切無いままにである。ヒ素を含んだ砂泥の採取場所すら聞こうともしない。だから逆に機構が調べた場所が何処なのか分からない。機構は市民団体の分析調査なんて相手にもしないという態度である。何より恐ろしいのは、この調査で周辺ではありえない高濃度のヒ素検出したことである。村山の要対策土保管場所からヒ素が漏れ出したことが示唆され、それを機構公式認めるかたちになった。

出典:北海道新聞(渡島・檜山版)・2020年8月25日
出典:北斗民報・2020年年9月号(9月6日発行)

ヒ素の環境基準値は0.01mg/L以下だが、機構の調査では、0.01mg/Lが2地点、0/008mg/Lが1地点あることが示された。他の地点はこの数値よりもず~っと低い数値だ。ヒ素0.01mg/Lの数値は、そもそも自然状態ではあり得ない高い数値と言える。

8月24日に開催された北斗市議会の調査特別委員会で、市側は市民団体の検査機関の分析方法は、機構のJIS規格の分析方法とは異なり、信憑性が無いとして一蹴したという。市民団体が分析を依頼したのは全国組織の農民連の検査機関であり、農民が安全・安心な農業生産を営むために検査を依頼している機関である。(0.015mg/Lという環境基準1.5倍超えの高濃度のヒ素が検出されたことから市側は都合の悪いデータを認めないようにする一心で、口にしてはいけない「農民連は信憑性が無い検査機関である」と市議会で思わずうっかり公言しちゃったのである。北斗市の農業者がよりどころにしている検査機関の信頼性を著しく損ねるものだ。

公務員は「国民全体の奉仕者」だ。北斗市民が支えている北斗市は、市民のために奉仕する行政機関だ。市は市民が生業にしている農業を護るのが職務の一つだ。それなのに、なぜ、農業者の生業を護ろうとしないのだろうか。公務員の基本に立ち返り北斗市民の生業を護るための奉仕に励んでいただきたいものだ。

村山の砕石跡地。鉄塔の下部に左右に白く広がっているのが有害残土。雨水や浸透水で崩壊している崖の直下に。有害残土は、まだまだ山積みされる。2020年4月26日

今ならまだ間に合う。市民の生業の農業を脅かす村山の有害残土捨て場について、北斗市は、保水能力の低い牧草地が広がる「きじひき高原」の直下で、雨水や浸透水による浸蝕により既に崩壊が拡大している場所が、本当に適切な場所なのか?科学的な裏付けに基づいた正しい判断がされたものか?情報を公にして、今一度、北斗市民と向き合い、互いに情報を持ち寄り、智恵を出し合って、見直しも含めた再検証を行っていただきたい。

 

 

トンネル排水の恐ろしい環境汚染が止まらない。

春の川には多くの魚たちがやって来る。濁水を川へ排水する北海道新幹線トンネル工事。有害重金属混じりの濁水をPACとアクリルアミドで処理し、その処理水に含まれる残留成分を放流水槽(沈澱水槽)で沈澱させて、その上水を川に流す。この処理法を怠れば、川も海も汚染させることになる。流域の環境汚染は、私たちの飲料水や海産物をも危険に曝す。

八雲町の「ルコツ工区」では、2017年に沈殿物を垂れ流していたことから、私たちの指摘を受けて、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は改善を行っている。

今はどうなっているのだろうか?2020年4月30日に現場を取材した。

北海道新幹線トンネル工事現場「ルコツ工区」からの排水口の周辺は白くなっていた。撮影2020年4月30日。

白いもやもやが漂う白濁した水が川に流れ込んでいた。この白い沈澱物は一体、どういうことなのか…?

排水は白濁し、川に流れ込んでいた。排水口の周辺は白い物質が堆積している。撮影:2020年4月30日。
排水口の周辺は白い物質が堆積し、長期間にわたり、流されていたことがわかる。撮影:2020年4月30日。

まただ!2017年と全く同じ、沈澱物を水中ポンプで吸い上げて川に排水をしていたのだ。有害重金属含有の沈殿物をである。

2017年と同様に、放流水槽(沈澱水槽)の底に沈澱させた沈澱物を水中ポンプで吸い上げて排水していた。撮影:2020年4月30日。
2017年に、改善の申し入れで増設された放流水槽(沈澱水槽)から排水されている。ところが、なんと、放流水槽(沈澱水槽)で沈澱させた沈澱物を水中ポンプで吸い上げて排水していたのだ。呆れるばかりだ。撮影:2020年4月30日。

有害重金属混じりの処理濁水を放流水槽(沈澱水槽)で沈澱させて、その上水を川に流すという改善を2017年に行い、放流水槽(沈澱水槽)を増設して配慮するという機構は、その約束を全く反故にした。沈澱した残留物をわざわざ水中ポンプで吸い上げて、川に流しているのだから、悪質極まりない。呆れた組織だ。

排水口の周辺は白い沈澱物で覆われていた。撮影:2020年4月30日。
排水と沈澱物を採取して分析する。撮影:2020年4月30日。

北海道新幹線工事の沿線の人たちは、こんな不誠実な現場があることをよく知ってほしい。

住民説明会では環境に配慮するといいながら、この有様なのだ。機構の説明は決して鵜呑みにしてはいけない。この現場が、「機構の説明は信じるな」と教えてくれている。

工事沿線地域の人たちは、常に現場を監視する目が必要だと自覚していただきたい。

2017年には放流水槽(沈澱水槽)の上水ではなく、沈澱させた沈澱物を吸い上げて川に排水していた。機構に改善を申し入れ、改善されたハズだったのだが…。撮影:2017年11月17日。

八雲町内だけでも11箇所でトンネル工事が行われ、それぞれに排水がされている。排水量は膨大だ。噴火湾では養殖ホタテ貝の斃死が問題になっている。北海道新幹線トンネル工事が始まり、排水が始まった頃と妙に符合するから気味が悪い。

指導的立場にある国土交通省および、道民の生活と安全を護る立場の北海道はこうした現場があることを知り、現場を監督し、徹底した指導を行って早急に改善をしていただきたい。そして、こうした公共事業は誰のためのものなのかを認識し、大いに反省していただきたい。

以下は2017年に残留物を吸い上げて排水していた記事。

新幹線トンネル工事の排水問題。その2

鉄道運輸機構の嘘。濁水処理は、見せかけだった。

 

トンネル残土の有害・無害の判別方法は?

今や、北海道新幹線の延伸が進むにつれて、トンネル掘削土の投棄場所や方法が問題になっている。その中でも、有害な重金属を含んでいる汚染土(機構用語「対策土」)と、そうでない土(「無対策土」)は、一体どうやって調べて選別しているのか?皆さんは、ご存知ですか?

このGoogle Earth写真の場所は、八雲町遊楽部川に注ぐ支流の「音名川」の扇状地である。川と川とが合流する扇状地は、地下水が豊富な場所だ。赤点線で囲ったところには窪地があり、いつも水が溜まっていた。

川と川が合流する扇状地は地下水豊富な場所だ。赤点線円のところに窪地があり、いつも水が溜まっていた。北海道新幹線の「新八雲駅」の正面にある。出典:Google Earth

地下水が浸みだして出来たこの窪地の水たまりをオオハクチョウやマガモなど水鳥たちが利用していた。

水溜まりで羽を休めているオオハクチョウ。撮影:2017年4月9日

ここに、北海道新幹線立岩工区のトンネル掘削土と、野田追(南)工区の掘削土が投棄されて埋められた。

オオハクチョウやマガモたちが羽を休めていた水たまりが掘削土で埋められてしまった。撮影:2019年2月7日

持ち込まれた掘削土に、有害重金属は含まれていないのだろうか?これが汚染土なら、地下水豊富な場所への投棄は土壌や地下水が汚染される懸念がある。

音名川と周辺の小高い山から流れ出す川水は、扇状地の地下へ浸透して、遊楽部川に湧き出している。こうした湧水の吹き出す川底にサケたちは産卵し、この湧水に我が子の命を託している。そして、遊楽部川の水が注ぐ噴火湾は、大規模なホタテ養殖場になっている。また、残土が投棄された扇状地帯では農家の人たちが、井戸水を生活用水に使用している。そうなると、この窪地に持ち込まれたトンネル掘削土が、有害な重金属を含んでいるかどうかは、重大な問題になる。

八雲町春日地区に立岩工区及び野田追(南)工区から掘削土が持ち込まれた。この掘削土は有害重金属が含有されているのか、いないのか…。撮影:2019年2月7日

八雲町は、「機構から無害(有害重金属は含まれていない)と聞いている」と言う。しかし、現場に投棄された掘削土を、見れば見るほどに疑問を感じてならない。それは、なぜか…?立岩工区から窪地に持ち込まれた「無害」な掘削土と、工区内で保管している「有害」な掘削土は、見た目は酷似しており素人目には区別がつかず、同じに見えるからだ。

下に「無害」と「有害」の写真を並べる。皆さんには違いが分かりますか…?

写真・左は立岩工区から春日の農地に持ち込まれた無害とされる掘削土。写真・右は立岩工区内に保管されている有害重金属含有掘削土。撮影:左・2019年1月25日:右・2019年2月17日

八雲町は有害・無害を区別する方法を確認したわけではない。「機構の第三者委員会の専門家が判断しているから問題は無い」と繰り返す。疑問を訴えても、機構の説明する「言葉」を右から左に伝えるだけで、同じ答えしか返ってこない。

では、機構は「有害」「無害」をどのように区別しているのだろうか…?住民説明会で配付された料資がある。

出典:機構提供の住民説明会用の資料

資料では、工事着手前に、トンネルのルートに沿って地上から垂直にボーリングし、「採取したコアを用いて重金属等の溶出量・含有量を調査します」と、説明が添えられている。

次の資料では、実際にトンネルを掘り進めながら掘削方向に100mごとに進行方向に水平にボーリングを行い、「コア」を採取して、有害重金属の含有の有無を判別することが示されている。

トンネル掘削前のボーリング調査図。出典:機構提供の住民説明会用の資料

二段構えで確認するという分かりやすい説明資料だ。しかし、ボーリングの大きさ”直径”は説明されていない。機構に説明を求めたところ、ボーリングの直径は僅か6.6cmであることが分かった。約80㎡もの広い掘削面積に、針の穴のような極めて小さな規模である。

針の穴のようなコアであることが分かるように、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の資料に直径6.6cmのコアを入れてみた。

例え図に描くと、有害重金属含有の地層を外す可能性が極めて高いと分かる。トンネルの掘削面積に対してこんな小さなコアを抜き取って全体を判定しているというのだから、有害重金属含有の地層を外す可能性は拭えない。地層は均一な構造にはなっていない。地層中には断層もあり、物質も異なり複雑に混在し、地層の配置も重なりも単純ではない。

有害重金属含有の地層を外せば、100m区間の全部が有害重金属含有の無い地層と判断され、掘削土は無害として扱われる。そこで、機構に「有害重金属含有の地層を見落とすことがないのかどうか?」の説明を求めた。機構は、各トンネル工事現場には「地層を判別できる専門の職員」がおり、掘削面の地層を「目視」で「有害・無害の判別」をしていると言う。各トンネル工事現場には、地層を目で見て見分けることができる専門家がいると言うのである。

出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の住民説明会用の資料
出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の住民説明会用の資料

「有害・無害の判別は科学的な裏付けが無い」ということが分かった。職員個人が、目で見て判断するという恣意的な判断で決めているという信じられない恐ろしい話だ。

北海道新幹線トンネル工事にかかわる沿線市町村の住民の方たちは、科学的な裏付けが無いまま、有害・無害を判別した掘削土を市街地建物の地盤材や畑の嵩上げ、また、農地そのものに持ち込んでいることを知っていただきたい。科学的な裏付けのない判別なのだから、判断を誤れば、有害な重金属が紛れ込んだ掘削土を何らの対策をすることなく、機構が言う「無対策土」として投棄することになる。将来、汚染が確認された時には地下水や土壌に汚染が広がり、手に負えなくなる。

地下水は人間を含むすべての生きものたちの命の水である。農林水産業を支える水でもある。市町村の住民の生命・財産を守るのはその地の行政の役目だ。地域の産業を守るのも行政の仕事の筈。地元の行政の担当職員はその責任の重さを意識して、責任を持って、機構に対して科学的なデータの有無を確認し、裏付けのないものは拒否するくらいの断固たる姿勢で臨んでいただきたい。現状のように有害無害の判断を機構に丸投げにして、汚染が発覚した時には、機構という組織があるのかどうかすら分からない。つまりは責任の所在すら無くなっているかも知れない。

「汚染が発覚したら機構に補償してもらえばよい」という声も聞く。だが、重金属含有掘削土と汚染の影響の因果関係を証明することは時間と莫大な経費がかかるだけで、不可能と思った方がよい。因果関係が分かったとしても、対策や改善ができるかどうかも分からないだろう。その結果、憂き目に遭わされるのはその地で暮らす住民である。北海道新幹線の工事が遅れるから…などと言っている場合ではない。

北海道新幹線・野田追(南)工区から持ち込まれるトンネル掘削土。有害・無害の判別には、受け入れする側がしっかり確認する必要がある。

残土を投棄した後、芝やシロツメクサの種子をばらまいて植栽している。盛り付けた残土は重機で粉砕されているので、風雨・雪にさらされて効率よく土壌中に溶出していく。有害重金属含有の有無が曖昧のまま扇状地に投棄されたのだから、土中の有害成分が土壌に浸透して地下へと潜り込み、地下水に流れ込むかと思うと心配でならない。売り土地になっている場所もある。土地の所有者が変われば、管理の手は町から離れる。

芝やシロツメクサの種子を撒いている。
残土を盛り付けた上面の芝やシロツメクサの育ちは悪い。側面は残土が剥き出しのままだ。
植栽もままならず剥き出しのまま、残土を捨てた土地が売りに出されている。

住民の健康被害が出た場合、水産資源や農作物に影響が出た場合も因果関係を証明するのは住民、農漁業者側であり、莫大な費用と時間をかけて証明するのは至難の業だ。機構は、因果関係を被害者側が証明しない限り、責任は認めない。その時に機構の組織があるのかどうかすら分からない。こんな係争が起きないようにできるのは「今」しかない。今できることは、安全性の裏付けの無い掘削土の持ち込みは即刻中止させることだ。十分に時間をかけて、安全・安心が確保されるように有害・無害の判別を科学的に適性に行い、有害重金属含有掘削土は安全・安心が確保できる場所を選定して、汚染物質が土壌に浸透しないように完全に遮水した施設に保管し、常にモニタリングしながら未来永劫に保管し、万全の態勢を担保しておくことが必要だ。残土を受け入れる責任として自治体の長は、これを機構に申し入れ、未来永劫に保管・管理する責任の所在と対策を取るように機構に念書を書いてもらうぐらいは出来る筈であり、やるべきことである。

 

 

進む農地への残土投棄…看板すら無い。

北海道新幹線トンネル工事で排出される掘削土は、すでに農地に投棄され始めている。機構が独自に有害重金属の有り・無しを判定するボーリング調査は、直径が僅か6.6cmのコアを抜き取る判定法であり、含有層を外す可能性がある。これを指摘したところ、「現場の職員が目視で判定している」と言う。科学を逸した嘘のような主観的な判別が行われている。こうして搬出される残土の投棄場所には工事標識の看板が置かれていないので、何を投棄しているのかすら分からない。

残土が投棄されている場所の出入口には何を持ち込んでいるのか、看板もないので、誰も知ることはできない。国道227号線(厚沢部町鶉の農地)
農地の表土を剥がして、そこに掘削土を投棄。
農地の表土を剥がして、その上に掘削土を直に投棄。
投棄されている掘削土は重機で踏みつぶされて粉塵化されている。

そこで北海道のホームページから質問し、下記の回答を得た。

北海道渡島総合振興局保健環境部環境生活課としての   見解について下記のとおりお応えいたします。

質問1.当該掘削土に環境基準を超える有害重金属が含有されていても当該掘削土の投棄場所には有害物が投棄されている旨の看板等の表示は不要ということでよろしいでしょうか…?

【回答1】当課所管法令において、掘削土の堆積場に係る看板の設置・表示に関しての規定はございません。

質問2.環境基準を超える有害重金属を含有する掘削土を投棄した場所には、その掘削土の出所(履歴)や所属先(持ち主・責任者の所在・連絡先など)の表示をしなくても、法的な問題は発生しないのでしょうか…?

【回答2】質問1と同様の回答となりますが、当課所管法令において、掘削土の堆積場に係る看板の設置・表示に関する規定はございません。

質問3.環境基準を超える有害重金属を含有した当該掘削土を運搬するトラックにはそのような看板等の表示がありません。これは表示しなくてもよいのでしょうか…?。周辺に粉塵が飛び散っているので、土壌汚染や人体への吸引による健康被害が心配なので、教えてください。環境基準を超えた有害重金属物質が土壌浸透して汚染が広がる可能性や粉塵として周辺地域にばらまかれている可能性がありますので、上記のことについて確認したいので、北海道としてのご判断をご回答ください。

【回答3】当課所管法令において、掘削土を運ぶトラックへの積載物の表示に関する規定はございません。

北海道の河川や道路などの工事では残土が発生したら、その発生の理由と共に、看板を掲げているのに、膨大に出てくる掘削土については何らの表記がされないことは奇異である。そして、粉塵は飛散し放題となっている。

残土を運び込むトラックが入るたびに、写真のように粉塵が舞い上がる。
残土は農地に直置きであり、重機で踏み固めて平にならしているので、膨大な量が粉塵化している。強風で煽られるだけでも飛散する。
投棄された残土。粉塵化しているのが分かる。
投棄された残土。粉塵化されている。
運搬しているトラックから降ろされると、重機で前後に踏みつぶして、平にならされていく。こうして粉塵が生成され、粉塵の量は膨大になっていく。
農地に膨大に投棄される掘削土。強風にさらされるだけで膨大な量の粉塵が舞い上がる。本流に支川が合流するところにある農地。扇状地であり、地下水が豊富なところだ。有害重金属含有掘削土が含まれていれば、土壌浸透して土壌成分に吸着される間もなく、有害重金属成分は地下水に流れ出すことになるだろう。そもそも学識経験者等の第三者による委員会が言う有害成分が土壌成分に吸着されるから問題無いとする条件は、どのような成分の土壌で、土壌の厚みがどのくらいあって成り立つのか、全く説明されていないのである。

粉塵が飛散する現場を目撃し、大気汚染防止法の観点から、現地を管轄している檜山振興局環境生活課にも問い合わせた。

【回答】土の置き場につきましては、大気汚染防止法に基づく一般粉じん発生施設(土石の堆積場)に該当することから、当振興局で届出を受けており、***から提供いただきました情報につきましては、今後の監視業務の参考にさせていただきます。施設の種類等を掲載した届出書類については、ホームページ等で公表しておりませんが、情報公開条例による手続きをしていただければ、閲覧(無料)やコピー(有料)ができますので、ご希望される場合は、御手数をおかけしますが申請願います。

つまり、「”大気汚染防止法”に基づく一般粉じん発生施設に該当する」として、届けを受けておりながら、現場に工事看板が無いのだから、粉塵の飛散を危惧しても、どこに訴えてよいのかすら分からないようになっている。また、粉塵飛散防止の為の対策がどのように行われているのかすら誰も知ることは出来ないのだから、おかしな話である。

有害重金属含有の掘削土の運搬や投棄場所についても、「大気汚染防止法」や「土壌汚染対策法」がありながら、看板の設置が義務づけられていないのだから、一般人は知る必要が無いとでも言うのだろうか。直接被害を受けるのは粉塵を吸い込みながら暮らしている現場地域の人たちである。

大気汚染や土壌汚染によって住民(国民)の健康が損なわれることが無いように、住民(国民)の健康を守る目的で作られた国の法律でありながら、こんな扱いをするのなら、絵に描いた餅と同じで「掲げておくだけのアリバイ法律」同然である。

北斗市の村山工区の出入口。粉塵がついたまま運搬トラックが出入りするので、道路は粉塵で真っ白になっている。大野新道の路面も真っ白だ。粉塵が広域に飛散し、住民や通行車両のドライバーはこの粉塵を吸い込んでいることになる。大気汚染防止法は全く機能していない。

有害重金属含有の粉塵を否応なしに吸わされている恐ろしい状況にある。

 

 

「農業を守る!」住民が猛反対

2019年2月19日に八雲町落部地区で、落部川上流域の未利用農地へ新幹線トンネル工事による有害重金属含有掘削土を投棄する計画について、鉄道運輸機構から住民説明会が行われた。

住民は、機構に対して「有害な重金属の汚染土を投棄する計画についての説明は不要」「調査をしようがしまいが絶対に受け入れない」と、猛反対をした。

通常なら、事業者が「調査してみなければ分からない」と説明した上で、住民側が反対しにくい雰囲気をつくり出し、つい調査を受入れる方向になってしまう。ここをよく考えてほしい。調査にはお金がかかる。事業者がダメな調査にムダにお金をかける訳がない。つまり、押しきるための調査にしか過ぎないのである。かつて、リゾート開発事業全盛の頃、環境アセスメント(環境影響評価)調査は事業実施のための「合わせすメント」と揶揄されたことは名高い。「調査しようがしまいが絶対に受け入れない」という声は、地元を必死に守ろうとする住民の心の叫びだ。住民が声を上げなければ地元は将来に取り返しがつかない禍根を残す羽目になる。地域の良さを失いかねない。地元を守るのは住民にしか出来ない。落部地区の住民はそれを貫いたのだ。

落部川流域の有害重金属含有掘削土を投棄しようとする場所は、以下に示した道立地下資源調査所が作成した八雲町の地質・地層図によると、地層は礫質や砂岩質である。地中の地層は亀裂あり、ズレあり、曲がりあり、盛り上がりあり、窪みあり、複雑な形で存在していると思った方がよい。

釜別林道沿いの赤点線の円内付近が投棄計画場所。銀婚湯の近付近。出典:八雲町の地層図・道立地下資源調査所
出典:八雲町の地層図・道立地下資源調査所

一方で機構が住民説明会で配布した資料は、地中の地層が均一になっている以下のようなお粗末な絵だ。地熱発電事業者でさえ、「地中のことは一寸先は闇だ」とこぼしているし、道立地下資源調査所の職員も、井戸に塩を入れて地下水の動向を調べたが、わずか1m離れたところでも検出されず、地下水の流れは不明と言っている。即ち、こんな絵に惑わされてはいけない。

住民説明会で配られた資料。出典:住民説明会資料・独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構北海道新幹線建設局

落部川は、周辺から浸み流れ出した水を集め、流域の田畑を潤し農業が営まれている。そして、カキやホタテ養殖が行われている漁場である噴火湾へと注いでいる。農水産業は八雲町の基幹産業だ。八雲町の基幹産業を守り育てるのは八雲町役場の仕事ではないのか。国策の北海道新幹線札幌延伸工事に惑わされて、役場としてやるべき理念をどこかに置き忘れてしまったのではないか。国は住民を見ていない、ましてや助けてもくれない。自分たちで自分たちの暮らしを守り、地域を守るしかないのだ。

以下の北海道新聞記事は、この落部地区の住民説明会の顛末が報道されている。

出典:2019年2月21日朝刊(地方版)・北海道新聞

 

出典:2019年3月14日朝刊(地方版)・北海道新聞

 

 

 

 

何故、こんな配管をするのか?

立岩工区での排水の為に新設された配管は、全く不可解である。

これまで立岩工区の排水は、国道277号線の側溝に流して遊楽部川へ出しているのだが、機構は排水量を増やす計画で写真のように配管を敷設した。わざわざ遠く離れた支流へ山を越えてまで配管を延ばす必要があるのだろうか?しかも、サクラマス幼魚が越冬する支流にだ。生物多様性保全・自然資源を損なわないように、プラント現場から国道277号線の下を潜らせて遊楽部川へ排水する私たちの提案は何故、受け入れられないのだろうか?

トンネル工事現場の立岩工区から遊楽部川へ配管すれば良いだろうに…。2本の鋼管を山の上に配置し、その先の農地を掘り起こし鋼管を埋めて、町道の下を潜らせて支流まで引っ張るという遠い道のりだ。
立岩工区から山の方へ延びる2本の配管。わざわざ山越えさせる理由がわからない。

鋼管を山に上げてしまうと、排水にはポンプが必要になるばかりか、農地を掘り起こして鋼管2本を埋設しアスファルト舗装の道路の下を潜らせる大がかりな工事だ。使われる大量の鋼管にも費用が膨らむのは誰が見ても分かる。

排水を遠くの支流河川に送るための2本の配管。山越えさせている。
2本の配管は農地を掘り返して埋められ、アスファルト舗装の町道下を潜らせて、その先の小さな川に…。
立岩工区から遠くの小川まで配管する資材は、大量に必要になる。私たちの税金が、必要性のよく分からないこうした工事で使用されている。
町道の下を潜らせて、小川まで配管している。
立岩工区から遠く離れたこの小さな川に、PAC処理後の排水が流される。この川には多くのスジエビが生息し、小さな淵がいくつもあり、それぞれの淵には越冬に集まっているサクラマス幼魚(ヤマメ)が50尾前後身を寄せ合っている。多様な生物が生息している良好な川に、PAC処理後の排水をするのだから、影響は大きいことは間違いない。PAC:注(凝集剤)は、神経毒など生物に与える影響が懸念されていることから大手の建設会社は使用を止めている。しかし、PACは安価であり北海道では常用されている。                                                             注:【濁水処理にはPAC(ポリ塩化アルミニウム)と発がん性のある有機系凝集剤と共に使用される。神経毒、蓄積毒であるアクリルアミドのモノマーは魚のエラに吸着する。ヒメダカは48時間で50%が死亡、粉末凝集剤では100%死亡するという毒性が認められているものだ。プランクトンであるミジンコでは、100%が遊泳阻害を受けることも解っている。噴火湾に注ぐ川にはサケやサクラマスが遡上している。川底に産み落とされた卵、ふ化したばかりの稚魚はメダカ以上に影響を受ける可能性がある。しかし、トンネル掘削工事の濁水処理に添加されるPAC凝集剤の8年にも及び使用し続けることによる影響については、鉄道・運輸機構も建設会社も「わからない」と言う。噴火湾は沖合5,000mまでホタテのケタを吊り下げた大養殖場でもある。ホタテの子どもはプランクトンである。ホタテが食べる餌もプランクトンである。そのホタテは北海道の大事な産業であり、学校給食の献立にも推奨されている。神経毒、蓄積毒、発がん性があるPAC凝集剤を長期使用することに、北海道は黙っているのだろうか?どうしても解せないのが、なぜ、このPAC凝集剤を使用しなければならないのかだ。本州では、既に大手建設会社は環境保全・生態系保全の観点からダムやトンネル工事で使用してきた有機系凝集剤を、現在では天然素材に転換している。しかし、北海道でトンネル工事に着手している建設会社は、「コストがかかる」「既に薬剤を購入している」「作業効率が悪い」という理由で代替はしないと結論している。そして、鉄道・運輸機構は、「環境基準を満たしていれば、咎めない」と言う。有機系凝集剤の環境基準値は「国交省」と「環境省」が設定しているが、基準値の甘い方の「環境省」基準に基づいている】
2018年12月16日に大学教授の指導の下、私たちが行った調査。ちょっとすくってみただけで、こんなにもたくさんの魚が採れた。この川にはサクラマス幼魚がたくさん集まっていた。如何に、この小さな川を越冬に利用しているかが伺える。他に多くのスジエビ、ウグイ、ウキゴリが生息していた。特にサクラマス資源は激減している状況にあるので、このように多様性ある川は、北海道として生物多様性保全条例を適用し、機構に対して資源の保護・保全を訴え、排水の見直しを指導するべきである。
調査後には全員無事に元の川に戻しました。
2本の送水管から、こんな水量の極僅かな小さな川にPAC処理水が排水される。国が掲げる生物多様性保全戦略は、現場では全く機能していない。身を寄せ合って厳冬を生き抜いているたくさんのサクラマス幼魚やスジエビたちに影響が無いハズは無い。PAC処理水の排水は見直すべきだ。

国道管理者・函館開発建設部八雲道路維持事務所と側溝への「排水の増量」について協議したという。だが、側溝の容量が足りないため断られたという。しかし、国道管理者とは国道の下をくぐらせる「配管案」について協議していないことが分かっている。

立岩工区の脇は国道277号線があり、その傍に遊楽部川が流れている。既設の側溝の排水は、国道下を潜って遊楽部川へ流されている。

機構は、「今までの側溝の利用が出来なくなったので、山を越えさせて遠くの川まで配管することになった」と説明する。本当にそうなのだろうか…?。

国道脇の既設の側溝に集められた水はこの排水溝から遊楽部川へ排水されている。
遊楽部川への排水口には「逆止弁」が取り付けられている。

落合洋則課長補佐は「既設の排水溝には”逆止弁”があり、遊楽部川が増水した場合、逆流しない仕組みになっている。増水時にはPAC処理水の排水ができない」と説明する。これはおかしな説明だ。国道下をくぐらせる配管には逆止弁は不要である。何故なら、立岩工区内の濁水処理施設は濁水を高い位置(水槽)まで押し上げてPAC処理し、この高低差を利用して排水しているからである。これは内水氾濫防止用に設けられた揚水場(ポンプ場)と同じ仕組みと言える。つまり、遊楽部川が増水しても排水は可能ということになる。それでも排水できないと言うのであれば、送水用のポンプを取り付ければ良いことである。機構の説明は意味不明で、不可解である。

小さな川への排水についても、「サクラマスの産卵が終わったころに調査を予定していたので、10月30日に実施した」と言う。しかし、樋口所長は「(10月19日の問い合わせの時点で)指摘を受けて現在魚類調査を行っている。都市のどぶ川と同じ認識でいたので魚がいるという認識はなかった」と説明している。そもそも、既に配管が終わってからの調査、サクラマスの産卵が終わってからする調査とは、いったい何を目的にしたものだったのか?国民の税金を使った調査なのだから、専門家の指導を受けて行わなければならない筈だ。この不可解な工事は、税金の使途としても問題だと思う。当該工事に関わる一切の開示請求に必要な文書名(工事名)の再三にわたる請求にも、今だに返事はない。このような経緯を2019年2月19日に独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構及び国に告げ、指導を求めたところ、2019年3月1日に以下(大略)のように国土交通省と機構コンプライアンス担当から回答があった。

国土交通省鉄道局施設課「北海道新幹線新函館北斗・札幌間の事業では詳細な構造及び施工計画の検討に際し、専門家等の意見を踏まえ、必要とされる調査を実施し、生息・生育環境に対する影響が最小限になるように適切な保全策を講じるよう機構に意見をしている。また、事業費管理では、関係機関等との協議や現地状況等を踏まえ、事業費管理を徹底するように機構を指導する国土交通省としては事業の推進にあたっては、地域住民の方等に、工事実施に関する情報提供を十分に行い、理解を得るよう最善の努力を行うよう、機構を指導している

独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構コンプライアンス窓口当機構では、北海道新幹線の建設にあたり、様々な形で地域住民の方等へのご説明や意見交換等を行っており、今後とも丁寧な対応を行うよう努めてまいります」

しかし、こんなご丁寧な回答だけを頂戴したところで、現在においても現場の八雲建設所の樋口哲哉所長及び落合洋則課長補佐からは、回答も無ければ説明も無い。サクラマス幼魚の越冬河川への排水に関わる扱いがどうなるのかすら解らないままである。

 

 

 

サクラマス幼魚の越冬河川に汚染水。

北海道新幹線トンネル工事によるPAC処理後の有害重金属を含む水を、サクラマス幼魚が越冬する小さな川に排水する計画について、私たちは事業担当者に見直しを求めており、2018年12月26日に札幌工事第三課課長補佐・落合洋則氏と、八雲建設所長の樋口哲哉氏ほか数名の職員と面談することになった。

サクラマス幼魚の越冬河川にPAC処理排水管は既に敷設されていた。撮影:2018年10月17日

これまで真摯に対応されてきた担当者が転勤された後、機構の対応はガラリと変わり、報道関係者の同席を毎回拒否し、求める資料を示すこともなく面談の度に、「問題は無い」を繰り返すだけで実に不誠実な対応しかない。

前任の浦川所長は、環境負荷を軽減するために出来ることは配慮を実践し、住民や環境団体、議員や報道関係者に至るまで、嫌な顔一つせず具体的な資料を揃えて、厭わず実に丁寧な対応をされてきた。ところが、人事が変わるだけでこうも簡単に環境が危うくなる…現場人の裁量次第だということを思い知らされる。

それどころか、この侮蔑な対応しかしない樋口所長と落合課長補佐は、面談とは関係の無い話題を持ち出し、我々のホームページに発言の責任の所在として名前を表記したことについて、名前の公表は「人の命に関わる問題がある」と切り出した。「人の命は何よりも重たい」と言う。全く理解できず、意味不明だ。独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は現場の職員の命を危険にさらすような説明を住民にするように強要しているのだろうか?呆れた話である。国税を使った事業についての説明に、その説明の責任の所在を表記することがなぜ命に関わることなのか…? (国は「誰と話したのか?担当者の名前もわからないような相手と話したのか?」と言うから、表記したまでだ)莫大な血税を使用した北海道新幹線だが、地域貢献を一つの目標に掲げているのであれば、地域の基幹産業を損ない、住民生活や住民の生命を脅かすことがあってはならない筈だとこちらが言いたくなる。見直しや改善を求めて、面談を申し入れているのである。その面談を公表することが職員の命に関わるとはいったいどういうことなのだろうか…?独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、落合洋則課長補佐が命の危機にさらされているというのだから、現場を適切に指導すべきではないだろうか。

くような内容で、貶める粉飾文言を交えたメールが届いた。以下(青字)は、当会「流域の自然を考えるネットワーク」の問い合わせメールに届いた機構職員の実際の文言である。

八雲建設所 樋口です。ご質問いただいた件に関して下記のとおり回答致します。

当方が専門家へ環境調査結果やその結果を踏まえた対処などについて説明を行う際、調査や対処に関することのほか、当該調査に関して関係機関や住民の方からの意見や提言がある場合は、必要に応じてそのことも含めて説明し、意見を聞くことがあります。環境調査結果やその結果を踏まえた対処について、専門家と打合せを行う一環で説明を行っていることであり、その内容を公表するものではなく、個人情報や守秘義務に関して問題となることではありません。

宮崎氏と稗田氏がネット上に弊社職員の氏名や所属部署を記載したことについて、そのことによる計り知れない悪影響や不測の事態を引き起こすおそれがあることを伝えたが、被害妄想、自業自得と言語道断で理不尽な発言を行った。さらに他の弊社職員の氏名をネット上に記載すると平然と発言した。計り知れない悪影響や取り返しがつかない事態が引き起こすおそれがあるにも関わらず、しかも、笑いながら、人を陥れようとしていると思われる発言を行うこと自体、恫喝の何物でもない卑劣な行為。

自分の名前を他の方に言われるとなると、保身なのか身勝手なのかわからないが、個人情報守れとか、守秘義務違反だと言う。甚だ矛盾している。しかしながら、当方は他の方に悪影響や不測の事態を引き起こすおそれがあると考えられることは行いません。上記の回答に対して弊社に質問された場合、弊社が回答しても堂々巡りになると判断したら、回答を行わないことを含み置きください。

機構は私たちの指摘を受けて10月30日に調査を行ったという。「魚影は薄く、ヤマメ(サクラマス幼魚)は数尾」で、すでに、漁業関係者及び魚類等に関する専門家に説明し、排水が認められたという。排水先に生息する魚類について助言した専門家が誰であるのか尋ねると、個人情報なので教えられないという一方で、「専門家は、あんたの名前を知っていた」と答えたのだ。明らかな矛盾である。

サクラマス幼魚を多数観察していた私たちは、この調査に疑問を持ち、12月16日に魚類調査を行った。その結果、機構のデータと大きく異なり、50尾前後のサクラマス幼魚の越冬集団を確認することができた。本来なら、縄張りを持ち分散して生息しているのに、冬場に水量の少ない小さな川淵にサクラマス幼魚が50尾いる事実は、越冬河川であることを示していることを説明した。すると、落合課長補佐は「違法な漁具を使用したのではないのか」と、揚げ足取りをする呆れた始末。機構の調査方法は「目視」だ。排水の温度は11~18℃、水位は10cm上昇し、水温は4℃上昇すると言う。排水先の川の水温・水量の季節変動を含め、説明を裏付けるデータや資料の提示は無い。開示請求の問い合わせにも今だ無視である。

撮影:2018年12月16日・田中邦明氏

サクラマス資源は今や希少種になるほどに激減している。そのサクラマス幼魚が越冬している河川を保全するために、当河川への排水は避けるように、私たちは2つの代案を提案した。最善は立岩工区から国道の下をくぐらせて遊楽部川本流へ排水する案。もう一つは、サクラマス幼魚の越冬河川への排水管をさらに延長させて、コンクリートブロックが敷設された堤防から排水する案である。

今、八雲町遊楽部川はダムの影響で河床低下が進行しており、地下水の水位が低下して、冬でも凍らない細流が失われつつある。即ち、サクラマス幼魚が越冬できる場所が無くなってきている。機構が重金属汚染水を排水しようとしているサクラマス幼魚の越冬河川は非常に貴重な場なのである。この事実を漁業関係者や魚類専門家に伝えなければ、「排水が認められた」という機構側の解釈だけで判断を誤ることになる。私たちは再調査と、この川への排水の見直しを求めている。

サクラマス資源保護・保全のために、越冬河川を失うような事業は避けてほしいと願うばかりである。

 

 

 

鉄道運輸機構の職員と面談…その②その③

「その①:八雲町内の全トンネル工事で発生する有害重金属含有の掘削土の全てを山崎地区山崎川源流部の沢へ投棄することについて」からの続編。

その②:各工区の沈砂池の収容能力についてと、その③:PAC処理能力について

八雲町黒岩地区の水道水源であるルコツ川上流にある新幹線工事ルコツ工区での排水処理能力不足の改善を求めた。住民の水道水源が汚染されるかどうかの重要な問題なのである。

有害重金属含有の掘削土からの浸透水を集める集水溝が土砂崩れで埋まったまま放置されている。2018年7月8日。

大雨が収まってから5時間ほど経ていても、まだ、満水状態。撮影:2018年7月5日

有害重金属含有掘削土の浸透水を集める集水溝は土砂で埋まっていた。撮影:2018年7月5日

個人所有の庭園がルコツ工区となっている。庭園の池はルコツ工区から流れ出してきた泥水で濁っていた。撮影:2018年7月5日

有害重金属含有掘削土からの浸透濁水を集水溝でA沈砂池に集めてPAC処理施設へ送って処理している。工事敷地内の有害重金属の粉塵で泥だらけになった濁水は、B沈砂池に集めてPAC処理施設へ送って処理している。両沈砂池から50%+50%で送水して処理している。「A+B沈砂池」の総収容量は995㎥。PAC濁水処理施設の処理能力は100トン(㎥)/時間である。入手したデータを表にした。

最大雨量の53㎜/時間を基準に設計しているそうだ。しかし、雨は1時間降ってピタリと止むとは限らない。53㎜/時間降った後、雨量16㎜/時間が2時間続いた場合、PAC処理3時間分の300トン(㎥)を除しても尚、A+B沈砂池には1098㎥の濁水が集まる。沈砂池から有害重金属含有の濁水が溢れ出す計算になる。何より驚くことに、機構が示す53㎜/時間雨量に耐えられるという設計条件は「初期値がゼロ」、つまり、A+B沈砂池は「カラ」という条件であることが分かった。A、B沈砂池に泥砂が堆積していたり、濁水が溜まっていたりすれば想定雨量以下でも「簡単に溢れ出す」のである。

このお粗末な設計に対して我々が指摘すると、機構職員は「ルコツ工区は長万部工事事務所の管轄だ」として説明を避けたのである。管轄は機構の都合に過ぎない。八雲町民の水道水源が汚染される危機的な最たる重要な問題なのに、おかしな対応がされたのである。機構職員で説明できると言って専門家を同席させることを拒否し、札幌から工事第三課課長補佐 落合洋則氏が面談にやってきたのだが、いざ説明できないことは管轄外だと言うのだ。核心に触れた質問には説明しない、出来ない。それでも根拠も無く問題無いと言い切る。核心をはぐらかし、言葉巧みに住民をたたみ掛ける。機構は、こういう人物に対応をさせているようだ。こんな不誠実な対応で、住民の理解と協力など得られる筈もない。水源汚染などの影響が出たときには、そのすべてを被らなければならないのは、機構職員ではなく、この地で暮らす住民たちである。このことを忘れてはいけない。「地域の住民の理解と協力」で成り立つ事業は地域の住民の安全・安心な暮らしを担保するものでなければならない。

2018年6月14日放送のHTB「イチオシ!」で重金属土問題について、「自然にあったものをここからこっちへ移動させるだけなのに、何が問題なの…」と発言したが、こういう未熟な発言をテレビで堂々と放映するものだから、「北海道民はバカでお人よし」のようなレッテルで地域住民たちが軽侮されるのである。このコメンテーターは、自然由来という言葉に騙されているのだろう。有害重金属が存在していない場所へ自然由来の有害重金属含有の掘削土を持ち込むことが問題なのだ。そこで風化が始まり、有害な作用が始まるからである。

これまで事業者や研究者側は、自然由来のという言葉を巧みに利用し、あたかも危険が無いように説明している。しかし、自然由来であっても健康被害への区別の理由がないことから環境省は平成22年に土壌汚染対策法を改正している。旧法においては、「土壌汚染」は、環境基本法(平成5年法律第91 号)第2条第3項に規定する、人の活動に伴って生ずる土壌の汚染に限定されるものであり、自然的原因により有害物質が含まれる汚染された土壌をその対象としていなかったところである。しかしながら、法第4章において、汚染土壌(法第16 条第1項の汚染土壌をいう。以下同じ。)の搬出及び運搬並びに処理に関する規制が創設されたこと及びかかる規制を及ぼす上で、健康被害の防止の観点からは自然的原因により有害物質が含まれる汚染された土壌をそれ以外の汚染された土壌と区別する理由がないことから、同章の規制を適用するため、自然的原因により有害物質が含まれて汚染された土壌を法の対象とすることとする。(平成22年3月5日付け環境省水・大気環境局長通知「土壌汚染対策法の一部を改正する法律による改正後の土壌汚染対策法の施行について」から抜粋)

北海道立総合研究機構 環境・地質研究本部の遠藤祐司氏は自然由来の重金属について以下のようにも述べている。

北海道新幹線トンネル工事…まだまだ出る出る有害重金属土…疑問だらけの処分の仕方…汚染水が人体や生物、農海産物に与える危険な投棄場所…。いよいよ札幌でも有害重金属土の投棄保管場所の問題が始まる。

 

鉄道運輸機構の職員と面談…その①

2018年7月18日、北海道新幹線トンネル工事に関わる問題について独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構と町議3名と共に面談し説明を受けた。その①:八雲町内の全トンネル工事で発生する有害重金属含有の掘削土の全てを山崎地区山崎川源流部の沢へ投棄することについて その②:各工区の沈砂池の収容能力について その③:PAC処理能力について

その①:住民説明会用「2018-04-19・北海道新幹線建設工事の発生土への対応について(八雲町黒岩地区発生土受入地)」の抜粋資料。

八雲町内の工区が示され、全工区から発生する有害重金属含有掘削土を山崎川の源流部に投棄する予定と示されている。

河川の源流部すなわち地下水源への投棄は、地下水及び河川水の汚染が懸念されることから、我々は、この場所を○とした専門家からの説明を求めていたが、これを機構は拒否。替わりに職員が説明できると言って札幌から工事第三課課長補佐 落合洋則氏が面談にやってきた。

まず驚いたことに、投棄する場所を選定するにあたり、専門家は山崎川の投棄場所を見ていないということである。(先日、山崎川源流部の沢を有害重金属含有掘削土で埋める計画を取りあげたHTBテレビ「イチオシ!」では、大学教授が「地すべりはあるかも知れないが、影響は少ない」と述べている)何れも現地を見もしないでの発言である。

我々は、機構と面談する事前に、山崎川源流部の沢を埋める現場の地質を調査した。地質は7月5日に道央自動車道の八雲町黒岩で土砂崩れで通行止めになった同じ地山である。山崎川源流部でも地すべりの痕跡が多々あり、軟弱で崩れ易い地質であることが分かる。

道央道八雲町黒岩地区の土砂崩れ現場。撮影:2018年7月5日

道央道土砂崩れ現場と同じ地山の有害重金属含有掘削土で沢を埋める山崎川源流部。地すべりの痕跡がいたるところで見られている。撮影:2018年7月10日

有害重金属含有掘削土で埋める沢の地質が見られる林道。ちょっとした雨で土砂崩れが発生。地下水脈から水が噴き出して崩壊していた。撮影:2018年7月13日

土が固まったような地質で、地質は均一ではなく、礫質が見え、そこから水が浸みだしていた。つまり、地下水脈が複雑に存在していることが示唆される。撮影:2018年7月13日

崩れ面は、礫があり、すき間があり、そこから水が浸みだしていた。

Q:「有害重金属含有の掘削土で埋める沢は土を固めたような地質なので、脆く、地すべりしやすいのではないか」「有害重金属が土壌浸透することはないのか」➡A:「投棄する沢の地質は岩盤だから地すべりしない。」「岩盤だから土壌浸透することもない」

Q:「岩盤の岩質は何か…?」➡A:「・・・・・」絶句の後、詳しく説明できると公言していた機構職員は「調べてから回答する」と答えた。

この職員は「岩質が必要なのか…?」と逆に切り返してきた。専門家に代わって説明すると言っていたのに、自分たちが説明するのではなく、住民側に説明させ本題を逸らそうとする独特の話法で切り返してくる。我々は、崩壊した面から水が浸みだしている写真を示し、岩盤に水がしみ込んでいること、また岩盤の質は均一ではなく、礫が存在しているので水は均一に浸透しているのではなく「地下水脈」のように岩盤の中を流れていると指摘し、即ち岩盤の岩質を知る必要があると説明した。しかし、職員は現場の状況も岩質の意味すら理解しておらず、説明する能力は無い。どうせ、こんなことだろうと専門家から話しを聞きたいと事前に強く申し入れていたのに、この始末だ。誠実さは全く感じられない。

住民説明会用のP24の図を見ていただきたい。雨水・浸透水への対策が描かれている。まず、暗渠排水管が土砂で塞がらないという保証は無い。更にこの暗渠排水管の外を水が流れる可能性も否定できない。また、浸透水は図のように排水層のみを流れるという裏付けもない。流水には侵食作用があるのだから、暗渠排水管や排水槽の周辺を侵食すれば空洞ができ、水が滞れば水圧がかかって剥離面が生じ、その結果、陥没したり地すべりする。解説のように雨水や土壌中の水が流れる保証は一つもないのだ。この図は絵に描いた餅である。

更に、機構職員の傲慢さが続く…「地すべりや土壌浸透で、有害重金属が地下水や川に流れ出して汚染した場合、生物蓄積などの影響はないのか」と我々が質問すると、この職員は言葉尻を捉えて「汚染とは何をいうのか…?」「調査が先ではないか…」とたたみ込んで本題をそらしてくる。そして、なんと同席していた若い職員が「あなた方で調べたらよいではないか」と言ったのだ。住民の理解を取り付けるために丁寧な説明をすることを放棄し、無理難題をふっかけてくるのだから、もう、むちゃくちゃな話である。「専門家でなくても我々が説明できる」と言ってやってきたこの機構職員の真意は単に言葉巧みに住民を欺くものだと分かった。

機構職員は、生物蓄積は「無い」と断言している。根拠は「知見がないから」だそうだ。つまり、「知見がない」から、確認する必要が無ければ、調査する必要もないし、我々に指摘されたことに応じる必要もないというわけだ。重金属のうち「銅」は「サケの嗅覚細胞数を減少させる」ことが知られている。ならばヒ素はどうなのか、鉛はどうなのか、ふっ素はどうなのか…影響が十分に推定されることだが、何れも知見がないことを逆手に取って、「影響は無い」と言い、「文句があるならお前たちで調べろ」というわけだ。札幌へ帰ったこの職員は、北海道新幹線建設局局長にどう報告したのだろうか?このような対応をする職員を派遣するということは、局長は事業現場で起きている問題には無関心だということなのか?

北海道新幹線トンネル工事…まだまだ出る出る有害重金属土…疑問だらけの処分の仕方…汚染水が人体や生物、農海産物に与える危険な投棄場所…緊張も責任も微塵も感じていない機構職員…その②その③へつづく。

 

6月14日午後6時15分からHTBテレビ「イチオシ!」で有害残土問題…

614日午後615から、HTBテレビイチオシ!

北海道新幹線トンネル工事で掘り出される「有害重金属含有の掘削土」の処分の問題がテレビで放送されます。

ぜひ、ご覧下さい。

北海道新幹線トンネル工事現場。持ち出せない有害重金属含有の掘削土は風に飛ばされないよう、雨で流れ出さないようシートで覆われ、保管されている。2018年現在、有害掘削土は写真の左手の農地に拡張し、積み上げられている。立岩工区(八雲町立岩)。撮影2017年11月2日。

北海道新幹線トンネル工事現場。立岩工区(八雲町立岩)。撮影2017年11月2日。

北海道新幹線トンネル工事現場。PAC処理された排水は遊楽部川へ流され、噴火湾に注ぐ。立岩工区(八雲町立岩)。撮影2017年11月2日。

この持ち出せなくなった有害掘削土及び八雲町内の工事で発生する全有害掘削土を八雲町黒岩地区の山崎川の源流部に投棄し、谷を埋めるという計画です。下記に住民説明用の資料を添えます。

出典・新幹線建設工事の発生土への対応について(八雲町黒岩地区発生土受入地)説明資料・平成30年3月28日・独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構・北海道新幹線建設局…以下に同資料を添えます。

独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構が責任を持つ期間は2年間とされております。

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