北海道新幹線工事現場からの排水で清流がドブ川化…

北海道新幹線工事に伴う排水で、どの河川もドブ川化が止まらない。

ルコツ川同様に、北海道新幹線トンネル工事「山崎工区」からの排水と、溶出量が国の環境基準を超えるヒ素・セレンなどを含む重金属含有残土の投棄場所からの排水で、ホタテの大規模養殖場に注ぐ山崎川は、酷いドブ川化となっている。

こんなドブ川に魚が棲めるはずがない。魚がたくさん泳ぐ清流だったのに…
ドブ化した同じ場所の写真。排水前は、川底の礫がこんなにもきれいに見えていたのに…。撮影:2020年4月25日

山崎川はドブ化し、魚の姿も見られなくなってしまった。

山崎川の橋から川を覗いたら、ドブ川化していた。魚の姿ナシ。
排水基準は遵守されているのだろうか…?
工事が始まれば、汚染は止まらない…
こうして「沈黙の川」となる。これを「影響ナシ」と言う機構の一言で、北海道の清流は悉く失われてゆく。恐ろしいものだ。

国や道の認可された事業なのに、こんな川に成り果てるのだ。魚が群れる清流は、悉く失われている。

機構は、国の環境基準の溶出量が130倍超えるヒ素含有の掘削残土を、八雲町に無断で、沢の埋め立て地に運び込んでいた。その現場を住民に見つけられたことから、その後、国家権力を行使して、力尽くで住民の目を排除するようになった。

監視カメラが設置されており、工事が休みの時でも、中に入れば、担当者がすっ飛んでくる。
問答無用の対応だ。

では、この中で彼らは何をしているのだろうか…?

八雲町「山崎工区」から掘り出された溶出量が国の環境基準を超える有害重金属含有残土の農地を利用した仮置き場。農地が汚染されることは無いのか…?

上流には環境基準超えの有害重金属含有残土の捨て場があり、排水は山崎川に流されている。ではどうなっているのだろうか…?

環境基準超えの有害重金属含有残土捨て場「黒岩B」の排水は白濁していた。

残土捨て場「黒岩B」からの排水は白濁していた。なぜ排水は白濁しているのか…?

濁水処理を行わずに、山崎川へ排水するようになっていたのである。

濁水処理施設があり、濁水処理されて排水されるようになっているが…疑わしい配管があった。
沈砂池から濁水処理施設に送られる送水管が2本ある。また、濁水処理施設を経由しない送水管が山崎川へ伸びている。

ルコツ工区の沈砂池の濁水収容量は、付近の最大雨量時に対応した規模になっているのだが、これは、沈砂池が”空”という条件だと判った。即ち、濁水処理施設を経由せずにルコツ川へ排水する送水管が設置されていたのである。これと同じ事が山崎川でも行われているのだ。

こんなことが現場の施工業者間でまかり通っていたのでは、生物多様性保全など達成出来るはずがない。SDG’sにも反しているこうした手法、状況を工事主体者である独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、しっかりと現場で行われていることを精査し、是正していただきたい。

 

北海道新幹線トンネル工事の排水が、川を殺した。

北海道新幹線トンネル工事「ルコツ工区」のその後を取材した。濁水処理施設から流される排水先のルコツ川が、ドブ化しており、以前の清流は酷い有様になっている。

URL:新幹線トンネル工事現場で、謎の配管と恫喝。 | 流域の自然を考えるネットワーク (protectingecology.org)

ルコツ工区の濁水処理施設の配管は、案の定、またおかしな配管がされていた。

ルコツ工区。白い建物が濁水処理施設。裏にルコツ川へ向けた謎の配管が2本。撮影:2023年4月28日。

ルコツ工区の下流は、清流からドブ川に変貌していた。

 

さらに下流では、濁水処理後の水を排水している。川の汚染は、排水処理が適正に行われているとは考えられない。濁水処理を行わず、送水管にも繋がっていない管から直捨てしているからだ。見つかっては、改善と再犯を繰り返す。鉄道運輸機構は業者に丸投げで汚染の事実も見て見ぬふりだ。かつて清流に群れていた魚の姿は無い。川は死に、ここで遥か昔から命を紡いできた生物は消えた。

私たちは機構と、工事着手前にルコツ川を汚染させない為の話し合いをして来た。担当職員は、群れる魚や川石にビッチリと産み付けられた卵を目の当たりにして「凄い。こんなに魚がいるんですね」と息をのみ、「排水は適正に行い、川を汚染させません」と言った。

誰も見に来ない。誰にも知られない。現場はやりたい放題だ。環境配慮などに、お金はかけない。そんな予算があれば、儲けることに知恵を絞る。「配慮は見せかけにやったふりしていれば儲かる」と…。莫大な血税を使って「環境影響評価(環境アセス)」のための調査が行われているのです。この環境アセスとは、いったいなんのための事業なのでしょうか…?

北海道新幹線のトンネル工事のどの現場でも、地域の自然を愛しみ関心のある住民や環境団体などの皆さんは、鉄道運輸機構に対して環境配慮の為の協議、嘆願の努力をなされて来られた筈だ。しかし、その現場が今、どうなっているのか?約束は守られているのか?このルコツ工区からの排水は、大規模なホタテ養殖場でもある噴火湾に注がれている。漁業者も無関心なんでしょうか?その後の”無関心”の怖さは、私たちの身の回りで進行しています。

環境配慮とは、約束を取り交わしたことで終わった訳ではない。配慮されているか確かめあってこそ、成立するものだ。皆さんの現場でも今一度、「排水処理は適正にされているか?水質に重金属汚染などは無いか?川に変化はないか?魚は元気か?」精査していただきたいと思います。

 

トンネルで出水!日本最長32㎞「渡島トンネル」工事現場

北海道新幹線札幌へ延伸工事中の日本最長32kmの「渡島トンネル」北斗市側の「台場山工区」で、2022年3月17日から大量の湧水と土砂がトンネル内に流れ込み、工事を一時中断。工事再開の見通しは立っていない。

発生したのは17日で、公表されたのは22日。報道は23日である。

出典:2022年3月23日付北海道新聞。

下記の「Response.」さんのwebには現場の写真が添えられ、さらに詳しく掲載されている。https://news.yahoo.co.jp/articles/3135baed05c597f142c6af2320a1190e75de8764

川は、橋で渡るものだと思っている人が多いだろうが、この土砂流入区間は新幹線を、2級河川・大野川の下を走らせる工事だ。当初は、北斗駅から村山トンネルを抜けて、大野川を橋で渡ってから渡島トンネルに入る計画だったが、急遽、村山から直にトンネルを掘り下げ、大野川の地下50mほどのところを通り抜ける日本一長大な「渡島トンネル」に変更された。そのトンネルに湧水が流れ込んだのであれば、大野川本川からの出水も否定できない。小沢からの出水であれば、小沢の水が涸れる可能性もあり得る。

出典:Response:資料提供:独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
台場山工区の地層図。出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の資料(色加工)
渡島トンネル内の湧水出水と土砂の流入現場・出典:Response:写真提供:独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(トリミング加工)

こうしたトンネル工事では、水脈を切ることが度々発生する。東北新幹線工事では宮城県二本松で集落の水源が涸れている。九州新幹線工事では田畑の水源の水が涸れた。本州の屋台骨をくり抜くリニア新幹線トンネル工事では富士川の水量への影響が懸念され、議論が続いている。

危惧するのは、工事現場で発生している不都合な情報の公表が遅れたり、隠蔽されることだ。北海道新幹線の工事主体である独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、極めて不誠実な組織である。北斗市では溶出量が国の基準を270倍も超えるヒ素含有の有害なトンネル工事掘削土の存在を2年間も地元議会に報告せず、八雲町では、溶出量が国の基準の130倍超えのヒ素含有土を掘り出していながら、機構と役場が結託して、地元町議会には溶出量が国の基準の14倍のヒ素含有土であると、虚偽資料を提出している。いかに機構が地方行政を軽視しているかが伺える。不都合な真実は教えない、知らせない。嘘も平気のへのかっぱである。

この真っ黒な紙は、八雲町役場所蔵の公文書を開示請求した町民に対し、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構が、役場に黒塗り開示にするように指示した公文書である。

溶出基準が国の環境基準を遙かに超えるヒ素などを含有した掘削土の捨て場について、機構と取り交わした町所蔵の協定書に関する文書を、町役場に開示請求したところ、機構の指示で黒塗り開示。2022年4月4日現在、不服審査請求を受けて審査が続いている。

2004年の中越地震では上越新幹線で10両編成車両のうち8両(80%)が脱線、2022年3月16日の震度6強の地震では、東北新幹線で17両編成車両のうち16両(94%)が脱線。しかし、北海道新幹線は、これまでと訳が違う「もぐら新幹線」である。日本最長32kmの「渡島トンネル」内で脱線したらどうなるのだろう…?火災が重なったら…?出水したら…?厳冬期に山間部豪雪の中、脱出した乗客の生命は…?その日本最長のトンネル工事を担っている機構が、こんな真っ黒な闇体質なのかとわかると、一層不安だらけにさせられる。

北海道新幹線のトンネルの途中には水脈は勿論、活断層もある。それをトンネルでぶち抜いているわけだが、地層を動かす「地球の力」に耐えられるのだろうか?工事沿線の環境汚染ばかりか、乗客の安全の担保も危ぶまれてならない。そんなことより、何が何でも一刻も早く札幌まで北海道新幹線を開通させることだけにご邁進のようだ。機構の「節穴」で掘られる穴で…だ。

北海道新幹線トンネル工事付近で見られる褶曲・断層(遊楽部川・八雲町)。大地をぐにゃりとねじ曲げる強大な地球の力を示している(八雲町)。
北海道新幹線トンネル工事付近で見られる断層(遊楽部川・八雲町)。地面を垂直にぶった切る強大な地球の力を示している(八雲町)。
北海道新幹線立岩トンネル脇の活断層の露頭(立岩・八雲町)。

 

 

「住民を警察に突き出す」までに追い詰められた機構…!

2021年12月13日に札幌市手稲区山口で残土搬入が始まったと報道された。機構は、手稲区山口の住民には、「粉じんの飛散防止」や「粉じん泥の洗い落とし」などを説明したようだが、現場は機構の説明通りにはなっていない現実を、知っていただきたい。しかも、改善を求めるために現場に行ったところ、名指しで「**が来たら警察に通報しろ」と機構から指示が出されており、問答無用で警察に通報され突き出された。

「黒岩受入地A」は、八雲町山崎の山崎川上流の3つの小沢で、トンネル工事で掘り出した国の溶出量の環境基準16倍を超えるヒ素などの有害重金属含有残土394万を投棄し、さらに盛土する沢が追加され、33万㎥の残土投棄も始まった。4つの沢の残土量は427万㎥。膨大な量だ。砕石残土を2.5tとして計算すれば、10,675,000tになり、軽く一千万トンを超える。この現場には公衆災害の防止が掲げられていながら、搬入道路は有害重金属含有残土の粉じん泥で、ドロドロの状態になっている。

16倍ヒ素など有害重金属含有の残土の粉じん泥で町道は泥だらけ。どうするかと言えば、散水車で道路を水洗いし、道路の回りに洗い流した有害重金属含有の粉じん泥をばらまいて汚染させている。
坂道のカーブでは対向車が来たときにブレーキをかければ車はスリップして事故を起こしかねない。粉じん泥でぬかった危険な町道にした独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構をこそ警察は取り締まるべきだ。
有害重金属含有残土の粉じん泥で、町道は搬入出入口から泥だらけになっている。
出入口には交通整理をかねたガードマンが、粉じん泥落とし器の使用状況を見せないように、機構から指示されている。カメラの前に立ち塞がる。
16倍ヒ素などの有害重金属含有残土を運んできたダンプカー。出入口は泥だらけでぬかっている。
そうこうするうちに現場にJV責任者がやって来て、携帯で機構に私の名前を告げたところ、「警察に通報しろ」と指示が出され、証拠写真を撮っている。警察に突き出すためだ。
使用痕跡の無いダンプカーの「乾式・粉じん泥落とし器」。回りの雪は汚れていないし、ダンプカーの轍も無い。
JV責任者に「乾式・粉じん泥落とし器」がきれいなので使用痕跡が無いと指摘したところ、「朝に洗った」という。洗っていないことを指摘したら、「あんた、洗っているところ見たのか、見てないだろう」と切り返してきた。洗ったことが無い証拠として「きれいな雪」を指摘したら、黙った。いったんウソをつけば、ウソをつき続けなければならなくなる。機構は人をも泥まみれにさせる罪作りな組織だ。

機構は、現場の不具合を住民から教えてもらったことに感謝し、現場の状況を確認して改善に着手するのかと思いきや、そうでは無かった。改善の申し入れをするために現場を見に来た住民を、機構は、問答無用で警察に突き出したのだ。

独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、自分たちに不始末があっても、平穏に暮らしたいと願う一人の住民を公権力の警察に突き出し、前科者に仕立てあげる。改善を求める声を潰すのだから怖ろしい組織だ。

通報を受けて警察が来た。改善を求めるために現場確認に来た住民を事情聴取。相手が違うだろう…、取り締まるべきは、有害重金属含有残土の粉じん泥をまき散らして、車のスリップ事故を招きかねない状況にしている側ではないのか…

道路を有害重金属含有の粉じん泥でドロドロにぬからせ滑りやすくし、車の通行の安全をも脅かしている機構こそ取り締まるべき相手ではないのか…。警察の職務は「住民(国民)の安全・安心な暮らし、住民の生命・財産を守る」ことにあるのだから、安全・安心な暮らしを求めて訴える住民を守ってほしいものだ。

ダンプカーに付着した「湿式・粉じん泥落とし器」は十分に泥を落とし切れず、仕事を終えて近くのガソリンスタンドの洗車場で車体を洗ってから帰っている。「乾式・粉じん泥落とし器」は水洗い方式ではないので、タイヤや床面は泥だらけになる。機構に問い合わせたところ、機構・札幌局総務課は「敷地内の洗浄施設で洗浄してから帰るように指導している」と説明したが、現場ではそうはなっていない。だから、住民の監視が必要なのです。

湿式の「粉じん泥落とし器」。タイヤの内側や車の床面全部が洗浄できるのか不明。

八雲町の16倍ヒ素を含む有害重金属含有残土の粉じん泥だらけの道路は町道であり、残土搬入の沢も町が貸し付けた町有地だ。有害重金属含有残土で泥だらけの町道の改善を機構に求め、機構を指導すべきなのは「八雲町長」と八雲町役場「新幹線推進室」の役割だと思うのだが、役場の怠慢を住民が代わりに補おうとしたら、警察に突き出された。しかし、町民が逮捕されても八雲町は感知しないと言う。北斗市村山の村山残土捨て場では、5月14日、9月13日に、セレンによる地下水汚染が発生。機構の説明通りにはならず、住民の理解が得られなくなり、原因も明確に判らず、従って対策も決め手がないようで、いまだに村山への残土搬入再開のめどは立たず、トンネル掘削工事も止まったままになっている。計画通りに工事が進まず、開業が遅れる可能性が高まり、「住民の理解と協力」の元で行う事業でありながら、焦りがこうじて、その言葉すらも脳裏からすっ飛んだようで、住民を問答無用で警察に突き出すまでになっている。なりふり構わね、こうした時に事故は発生するものだ。そして、よからぬことが起きるものだ。

この「黒岩受入地A」八雲町山崎の山崎川上流の3つの小沢では、トンネル工事で掘り出した国の溶出量の環境基準を16倍超えるヒ素などの有害重金属含有残土394万を投棄し、盛土崩壊という災害が発生した熱海と同じように沢を埋め、盛土している。さらに盛土する沢が追加され、33万㎥の残土投棄も始まった。4つの沢の残土量は427万㎥。膨大な量だ。砕石残土を2.5tとして計算すれば、10,675,000tになり、軽く一千万トンを超える

沢は周辺からさらに水が集まって流れるところだ。周辺の沢水を集める集水パイプは直径20cmという。盛土の底には直径30cmの配管がされているというが、水の取り入れ口は稚拙なものだ。集水口は落ち葉・枝で塞がり泥で塞がるので、林業関係者は頭を痛めているというのに…。従ってすぐに集水口は塞がり、埋まってしまい、水が周辺に広がることだろう。地下水の汚染を確認する検査井はナシ。従って、地下水が汚染されても誰にも分からない。未来が怖い。
出典・独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構・八雲鉄道建設所重点実施項目

この黒岩受入地Aについては、八雲町と機構が取り交わした協定書がある。協定には地下水を検査する条文が記されている。だが、機構は、地下水の検査をやっていないし、やらないとしている。

八雲町黒岩地区の発生土受入に関する協定書

 

残土捨て場の配管から流れ出した水だけを調べている。出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構

鉄道建設・運輸施設整備支援機構の公表資料から、有害残土の処分に係る「自然由来重金属等掘削土対策検討委員会」名簿を下記に添える。

機構組織内に置かれ、機構が「第三者」委員会と称する「自然由来重金属等掘削土対策検討委員会」の大学教授らはいったい何者で、何をしているのだろうか。最高学府で教鞭を執り、若い学生を育てる立場にある。プライドがあるのなら、学生に対して、社会に対して、恥ずかしくないように現場をしっかりと読み解き、機構のウソを是正し、培ってきた学問と英知を発揮して議論され、機構の住民を欺くやり方に加担せず、将来に禍根を残さない万全な対策を構築して委員会として機能するように正していただきたいと願うばかりだ。

出典・独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構

機構は、2021年8月11日の八雲町議会の有害重金属含有残土の投棄場所を八雲町が買収する審議をする委員会に、捏造した資料を提出しており、審議を歪める審議妨害に相当するような事までやらかしている。町長も八雲町議会議員も、買収されているのかと疑われないよう、しっかりと現場を見て、資料を読み解き、精査してから、審議に臨み、判断をしていただきたいものだ。権力に媚びて、自分の利益誘導のための駆け引き取引していたのでは地域の住民の利益にはならない。八雲町の未来を見据えて冷静な判断をしてほしいものだ。

八雲町の財政は潤っている。あちこちの農地を町が盛んに買い、有害重金属含有残土の捨て場にしているのが現状だ。適正に処理され、管理されているのならともかく、納税者に問うことも無く、議会に諮るだけで決定し、現場は上記のような状況になっているのである。

有害重金属含有残土の投棄場所の農地は、かつては国の農業予算(税金)で住民のために整備された土地だ。1992年のリゾート反対運動の際には、牧草地が足りないとして、農業整備で必要な道路と称して、国に無断で、国の農業予算を流用してリゾート地へのアクセス道路を建設していた。このやり方に疑問を呈した住民には「農業者でもないお前達は、農業にまで口出しするのか」と役場職員が逆切れして噛みついて来たことを忘れることは出来ない。ところが、今は、農地が不要になったということなのか?八雲町は、あれほどに必要としていた農地を簡単に手放し、環境基準超えの有害重金属含有残土の捨て場にしている。情けないことだが…これが過疎化の町の悲しい現実だ。

八雲町ゆかりの作家、鶴田知也さんが八雲町に遺された言葉が遊楽部川のほとりにある。八雲町長や八雲町役場の新幹線推進室長は、この言葉を今一度、噛みしめてもらいたいものだ。

「不遜なれば未来の悉くを失う」

出典:じゃらん URL:https://www.jalan.net/kankou/spt_01346aj2200023149/

 

北斗市長に「公開質問状」を提出 … 北斗市民の会

「新幹線トンネル有害残土を考える北斗市民の会」(以下、「北斗市民の会」)は、2021年8月11日付けで北斗市長に公開質問状を提出した。

「北斗市民の会」は、新幹線トンネル工事での掘削土に含まれる膨大で高濃度のヒ素やセレン、鉛、カドミウムなど不適切な処理は深刻な問題であるとして、地下水や河川水汚染、土壌汚染が発生しないように「遮水型の保管」施設に未来永劫に保管管理していくことを求めている。北斗市・村山「きじひき高原」直下の採石跡地に、地べたに直置きしていることは、北斗市の基幹産業でもある農業用水の汚染を引き起こすとして、処分地の見直しや処分の方法についての見直しを求めている。

これまで、「北斗市民の会」は、水田など農地の水源となっている大野川の河川水や扇状地の地下水の汚染を心配して、村山の残土捨て場から流れ出している濁水を採水して分析に出し、環境基準超えのヒ素が流れ出している事実を突き止め、管理のずさんさを指摘してきた。しかし、北斗市は根拠の無い意味不明の反論を示し、「北斗市民の会」が水質調査を委託した農業団体の調査機関の信頼性にまで言及する有様で、汚染の事実を躍起となって、もみ消しにかかった。

北斗市長は、3月議会公の場で北斗市民の会を、「科学的な根拠に基づかない不適切な情報の流布をする団体」として誹謗中傷し、市長としてあるまじき発言をしている。そんな折、市長の発言が因果応報となって跳ね返ってくる事態が発生した。北斗市村山残土捨て場の地下水から高濃度のセレンが検出され、住民生活に深刻な影響を及ぼす緊急事態が5月に発覚。急遽、8世帯に井戸水の使用を停止させ、飲用水を配布する事態に発展した。

今、この時点でも地下水汚染は広がっている。一刻も早く汚染源を特定し除去しなければならない。しかし、除去しても土壌中にしみ込んだ土中の汚染は続く。一旦、汚染されたら対策は極めて困難である。その処置の難しさは、汚染発覚から3ヵ月経過した今も、機構からも北斗市からも市民や議会に対して調査報告や対策について何も示していないことからも分かる。

「北斗市民の会」は「科学的根拠に基づかない不適切な情報を流布する団体」と北斗市長が言うのならば、それでは北斗市長のいう科学的根拠に基づいた説明をしていただきたいとして、以下の通り公開質問状を提出した。

 

 

 

鉄道運輸機構・第三者委員会の信頼性失墜!…地下水汚染が発生!事態は深刻。

学識経験者で構成された「第三者委員会」は、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の組織内にある。

権威者揃いの立派な独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構付属”第三者”委員会。出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構

この第三者委員会で、ヒ素やセレン、鉛、フッ素、カドミウム、六価クロムなどの重金属混じりの「発生土」や、環境基準値を越えた重金属を含有した「対策土」を地べたに直置きする投棄処分の方法を提案。地べたに直置きでも、土壌浸透途中で有害重金属が土壌成分に吸着されるので、地下水に流れ出す時点では環境基準値以下になるから問題無いとして、地中の図を示して説明している。

出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構

「地下のことは、見て来た訳では無いから分からない。一寸先は闇だ」。地熱発電事業でボーリングを手がける現場の技術者はこう語る。しかし、機構の第三者委員会はまるで地中を透視しているかのように図を示して、住民に説明している。

北斗市の村山の対策土の投棄方法を示す図。地べたに直置きする方式が選択された。出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構
村山残土捨て場の地中の構造図が、まるで透視したように描かれている。出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構
対策土から土壌中に沁みだした重金属類は土壌成分に吸着されるという第三者委員会が示した概念図。土壌成分はマイナス荷電、重金属にはマイナス荷電型もあるのに、その説明もなければ、無限に吸着できるかどうかについても説明はされていない。また、有害重金属の吸着は即ち、有害重金属を濃縮することだから、濃縮された地中の土壌が環境に与える影響についての説明もないのだ。出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構
対策土から土壌中に沁みだした有害重金属の地中の挙動について、第三者委員会は詳細な数値を示して解説している。この説明は、現場を科学的に解析していると言えるだろうか? 出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構

第三者委員会は、対策土処分地では土壌中に沁み出した有害重金属は土壌成分に吸着されるから、地下水へ流れ出す時点では薄まっており、問題は無いとしている。しかも、「予測地点の濃度は環境基準以下になることを確認しています」と明記されている。

しかし…?

①土壌成分はマイナスに荷電、一方、有害重金属の荷電はすべてがプラス荷電なのか、マイナス荷電なのかについて説明がされていない。

②吸着能力は無限にあるのか、それとも限界があるのか、これらについての説明がされていない。

③土中で土壌成分が吸着することは、言い換えれば、有害重金属を濃縮することだ。有害重金属が濃縮された地中の土壌はその後、どうなるのか?生態系や農業用水、生活用水へ影響があるのか否か、これについても説明がない。

第三者委員会の説明のどこに科学的な根拠があるというのか?

文献によれば、「人間社会の至る所で生産され、消費される重金属は環境に放出され、生態系に何らかの影響を及ぼす。低濃度で長期間にわたる汚染は生態系に対して目だたないが確実に悪影響を与えると考えられる」及び「低濃度の重金属イオンを含む多量の汚水を土壌に処理した場合、土壌は重金属イオンを能率よく吸着し、捕捉し、蓄積していき、少量の土壌に重金属イオンを濃縮する」とある。(参考:【3】土中における重金属の挙動:岡崎正規・水質汚濁研究)

北斗市では、発生土に含まれる有害重金属による地下水汚染や生活水の汚染を心配した農業者や市民が立ち上げた「北斗市民の会」の活動に対して、北斗市長は「一部の市民等による科学的根拠に基づかない不適切な情報の流布により、風評被害の発生などを大変憂慮しているところであり、厳に慎んでいただきたいと考えております」と、公の場で市民団体を誹謗中傷し、会の活動を阻止しようと躍起になっている。そんな時に、村山残土捨て場の地下水から環境基準超えの猛毒物質のセレンが検出された。第三者委員会が指南した科学的根拠に基づいた処分方法なのにである。では何故、現実に地下水汚染が発生したのだろうか?市民の訴えよりも、第三者委員会の科学的な根拠のない、不適切な処分方法に妄信した北斗市長こそ、市民の会の訴えが警鐘だったことを認識し、実害が発生したことの責任を負うべきである。

出典:2021年6月12日・函館新聞

出典:2021年6月12日・北海道新聞(全道版)
環境基準値を越えるセレンが検出されたのは「B-3」の地点だ。2021年6月11日に北斗市から配布された資料。
2021年6月11日に北斗市から配布された資料。
地下水を使用している住民。「この先、どのようなことが発生するのだろうか?」第三者委員会の信頼性は失墜し、その結果、地域の住民の暮らしが危機にさらされることになった。2021年6月11日に北斗市から配布された資料。
出典:Google Earth

「北斗市民の会」は、これまで降雨の度に、村山残土捨て場から白濁した水が、国道227号線の側溝へ入り、大野川へと流れ込んでいることを懸念して、側溝に沈殿した泥を採取して、科学的手法で環境基準を1.5倍超えるヒ素が流れ出していることを突き止めている。

村山残土捨て場の出入口付近。Google Earthの衛星写真T-3の地点で白い濁水が流れている。撮影:2021年6月4日
村山残土捨て場から流れ出す白濁水は、国道227号線の側溝へ流れ込み、大野川に注がれる。沈澱した灰色の物質で側溝は埋まっている。この堆積物から、環境基準1.5倍超えのヒ素が検出された。つまり、常時、重金属類が大野川に流れ込んでいるのだ。撮影:2021年6月4日
「T-3」集水枡で採水。撮影:2021年6月4日

「第三者委員会」は、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の内部に置かれた組織だ。組織内の会議となると、異論を挟めば解任されるかも知れないし、自分の将来を考えて発言を控えることもあり得る。会議では不都合な意見は怖くて発せられることはないだろう。第三者委員会が指南した処分方法で、地下水から環境基準超えのセレンが検出されたのだ。そればかりか、以前から日常的にヒ素が漏れ出している。一旦、地下水が有害重金属で汚染されると、汚染の広がりを調べるのは容易ではない。ましてや、汚染物質を除去するなど出来る筈もない。今後、どうするのか?有害重金属類が土壌浸透し、地下水に沁み出してくるまでにはそれなりに年月がかかる。また、膨大な量の環境基準超えの残土が運び込まれているから、地下水から有害重金属が検出されはじめると、一気に検出量は増加していく。

これで第三者委員会が指南する処分方法の科学的な裏付けが無いことが露呈した。しかし、トンネル工事は止まる筈もなく、残土の搬入先の変更の話しまでが浮上している。手際がよすぎやしないか?日常的にデータを改ざんをしている工区の情報が寄せられることがある。この現場でもデータの改ざんで数値を低くしていたが、頻繁な数値の異常な上昇に、もうこれ以上は改ざん出来ない事態に至ったのではないか。現場は汚染が広がり、手に負えないような深刻な事態に陥っているのではないかと思えば、怖ろしい。

そんな折、八雲町山崎川でも異常な事態が発生した。「山崎川が白く濁っている。上流の北海道新幹線トンネル工事現場から流れ出しているのではないか。どこに言えばよいか?」と、早朝に住民が訪ねてきた。取材に行くと、山崎工区で未処理のまま排水されていたことが分かり、住民の言う通り山崎川は、白い濁水で染まっていた。

北海道新幹線山崎工区から山崎川へ白い濁水が、未処理のまま山崎川へ排水されていた。撮影:2021年6月12日
異常に濃い濁水。撮影:2021年6月12日
このような排水が許される筈がない。撮影:2021年6月12日
排水口から約1kmほど下流の白濁した流れ。撮影:2021年6月12日

山崎川の川岸・川底は、白い物質があちらこちらにたくさん沈澱堆積している。

川底に白い物質が沈澱堆積している。撮影:2021年6月12日
川岸・川底に白い物質が沈澱堆積している。撮影:2021年6月12日
淵の底には白い物質が大量に沈澱堆積している。撮影:2021年6月12日
排水から約1km下流のところだが、川岸にも川底にも白い物質が沈澱堆積している。撮影:2021年6月12日

川岸や川底に白い物質の沈澱・堆積している量から、日常的に濁水を排水していることが読み取れる。山崎工区は、何度も未処理の垂れ流しをしている。誰かに見つかると一旦は排水を止めるが、また垂れ流しを繰り返している。今は些細な小さな環境問題だ、他人ごとだとして誰もが無関心でいると、北海道新幹線”祝”開通の暁には、沿線住民は土壌汚染・地下水汚染・河川汚染・海域汚染の負の遺産を押しつけられ、憂き目を見ることになる。

北海道は、北海道新幹線工事にかかわる環境影響評価について意見を添え、認可には環境に影響を与えることが無いようにと条件を付しているが、このような現場の状況を放置している。これまで「北斗市民の会」が、環境基準超えの汚染が発生していることを伝えても、「北海道としては検査はしない」と、道は住民の申し入れを突っぱねている。地域住民の暮らしは誰も守ってはくれない。残念ながら、行政が悪い、政治が悪いからだという前に、私たち個人個人の無関心こそが問題なのである。私たちの暮らしを見えないところでしっかりと支えてくれているのは他でもない自然環境なのである。身の回りの自然の全てが、私たちの暮らしを支えてくれているのを忘れてはならない。

 

 

 

新幹線工事トンネル内で崩落し、地上で陥没。

北海道新幹線・野田追トンネル北工区の坑道の真上の住民は、「地下からの振動や音が気になる」と言う。ダイナマイトも使用しているのだから、不快さや不安は計り知れない。開通すれば車両が通過する毎に、振動と騒音に悩まされることになる。

出典:2021年3月23日・北海道新聞(全道版)見落としそうな小さな記事。

2021年3月20日、そのトンネル内で崩落が起き、地上は直径20mが陥没した。

出典:《佐藤正樹(キハユニ工房)》

北海道新聞には詳細は無いが、web記事:《佐藤正樹(キハユニ工房)》に、八雲町で行われている北海道新幹線トンネル工事の野田追トンネル北工区で、2021年3月20日、坑口から3.997km付近の地下約40mの坑内で、トンネル掘削面が崩壊して約600㎥の土砂が流入し、地上部に直径約20mの陥没が生じたという写真が添えられている

出典:《佐藤正樹(キハユニ工房)》
出典:《佐藤正樹(キハユニ工房)》

札幌延伸を目指す独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、事あるごとに「工事の完了時期の遅れに影響はない」と説明している。陥没が発生した野田追北工区では、2018年7月17日にトンネル工事現場で死亡事故まで起きている。工事を急ぐ余りの意識の陥没こそが事故を招く。沿線住民が、北海道新幹線トンネル工事にかかわる危険と隣り合わせにいることを忘れてはならない。

野田追トンネル(北)工区のヤードを囲う目隠し板。
野田追トンネル(北)工区の坑口。
野田追トンネル(北)工区の坑口。辺りは粉塵で真っ白だ。

トンネル工事と地上部の陥没事故は多い。2020年10月、東京都調布市で地下47mで行われていた東京外郭環状道路(外環道)トンネル工事で市道が陥没した。また、2020年6月30日には、トンネル工事で横浜市港北区大豆戸町の環状2号線で縦横約7メートルが陥没した。2016年11月8日、福岡県福岡市博多区の博多駅前付近で行われていた地下のトンネル工事で、道路が大規模に陥没したことも記憶に新しい。                        地下40m以深を「大深度地下」と定義し、トンネル工事など地下利用のために、首都圏、近畿圏、中部圏において地権者の許諾を得なくても事業が着手できるように2001年に「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(大深度法)」が施行された。この「大深度法」は、トンネル掘削技術の安全性が担保された上での施行なのか、甚だ疑問だ。住民の安心、安全な暮らしよりも、事業に便宜を図る目的でしかない。

ヒ素など有害重金属含有掘削土の処分方法の安全性への疑問に加えて、トンネル工事そのものの技術的な安全性にも疑問があることが露呈した。

 

「道民は猛毒のヒ素に…」機構の怖いまやかし。

独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の住民説明用資料には、ヒ素、鉛、ふっ素、セレンを摂取しても排泄されるから問題無いと解説されている。

出典:2016年4月14日の八雲町民用説明資料:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構
出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構(ホームページ)

機構のホームページでは載せていない「人が摂取するヒ素の量(基準値)」が、住民に配布された資料には示されている。

独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構が考える「きわめて安全なレベル」の基準値とは、6gの魚の致死量0.01mg/Lとある。0.01mg/Lのヒ素の量で6gの魚が死ぬのだから、腸内細菌はひとたまりもなく死ぬ。0.01mg/Lのヒ素を1日2リットル飲み続けるとは、毎日0.02mgのヒ素を食べて腸内に送り込み、70年間にわたり腸内細菌を殺し続けることでもある。それなのに、機構は健康に対する有害な影響は無いと説明している。

NHKスペシャル「人体」の「万病撃退!”腸”が免疫の鍵だった」では、人間の健康をつかさどる免疫機能は腸内細菌に支えられていることが分かってきたと解説されている。腸内細菌がつかさどる人体の免疫機能という知見から0.02mgを毎日食べ続けても安全だとする機構の考え方は極めて危険な暴挙と言える。

https://www.nhk.or.jp/kenko/special/jintai/sp_6.html

機構は、ヒ素を「自然由来のヒ素」と強調し、ヒジキなどの食品にも含まれるものとして、さも安全であるかのように、道民にヒ素の危険性の核心をつかませないように、言葉巧みに扇動している。まるで「霊感商法」そのものだ。猛毒物質は厳重に保管して管理しなければならない。猛毒物質を扱う以上は、毒物取扱の資格を持った責任者を立て、厳重に管理する義務がある。

北海道新幹線工事の現状は、猛毒物質は粉塵となって舞い散り、雨ざらし、垂れ流し状態になっている。こんなずさんな工事が、毎日あちらこちらで行われているのに、国からも、北海道からも、問題視する声が上がらないのはおかしくないだろうか…?現に、水道水の水質検査では、じわりじわり…とヒ素が検出され始めているというのに…。北海道の良質な水を猛毒のヒ素で汚染させる北海道新幹線工事。近い将来、新幹線と引き換えに流域一帯のヒ素検出に道民は苦しむことになるだろう。

 

ヒ素・環境基準270倍超え!受け入れは柳沢に。

出典:北海道新聞(渡島・檜山版)2020年11月26日。
出典:北海道新聞(渡島・檜山版)2020年11月13日。

2020年11月12日に、機構は北斗市議会調査特別委員会に「条件不適土」の正体を「現在の受入地の基準値の100倍超えのヒ素を含み、溶出量は環境基準の270倍超えという残土(溶出の仕方も異なる貫入岩)」であることを明かし、2年も前から掘り出していたことを認めた。

出典:北海道新聞(全道版)2020年11月26日

11月26日の北海道新聞全道版では、重大な問題でありながら、こんな小さな記事で、ヒ素の溶出量が270倍にもなる残土には一切触れられていない。

そして、この高濃度ヒ素を含む残土の新たな仮置き場を、北斗市と機構とで決定し、その結果を調査特別委員会において機構が明らかにした。こんな大事なことを市議会にも市民にも知らせずに決定したのである。新たな仮置き場の柳沢地区は、茂辺地川に近い上磯の海岸近くであり、サケが自然産卵している流渓川に注ぐ万太郎沢川の傍に選定された。

出典:Google Earth
条件不適土の仮置き場横を流れる万太郎沢川。
出典:Google map

万太郎沢川が注いでいる流渓川。
万太郎沢川が注ぐ本流の流渓川では自然産卵し、一生を終えたサケが見られる。川でふ化したサケの子どもたちへの影響が心配だ。

条件不適土の下部に敷いた「遮水シート」から流れ出したヒ素などの毒物は、濁水処理施設で処理するとある。しかし!機構がこれまで使用している「遮水シート」は、厚さが僅か1.5㎜の樹脂製なのである。でこぼこに尖った岩石が10mも20mもこのシートに積み上げられる。「遮水シート」の行く末は明らかである。

出典:Google Earth・独法鉄道建設運輸施設整備支援機構資料

南鶉工区からは、仮置き場まで約28kmある。ダンプカー20台が一日5往復で運搬するという。一日に、(5往復=20×5×2)200回も同じ場所(下のルート図)を通過するのである。運搬経路付近の保育所から幼稚園、小学校や高校の通学通園路、住宅地、農地、憩いの場(八郎潟や温泉など)が、猛毒であるヒ素の粉塵に包まれることになる。

条件不適土の運搬経路図
残土の搬送出入口は粉塵で真っ白だ。村山残土捨て場出入口。国道227号線。
全工区において、残土の搬送路は粉塵で真っ白になっている。こうした粉塵を搬送路周辺の人たちは、否応なく吸い込まされる。八雲町熱田。

北斗市、八雲町、長万部町、黒松内町の各工区からの残土の搬送路では、猛毒のヒ素やセレンが入った粉塵が舞い散っている。

搬送路の周辺に住む人たちは、この粉塵が、猛毒で汚染されたものであることを知っていただき、粉塵が舞い散らないように厳重な運搬をさせる必要があるだろう。

 

ヒ素・環境基準270倍超え!2年も隠蔽。

不都合な真実を隠し続けた「独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が、遂に認めた北海道新幹線トンネル残土の恐ろしい事実。機構は環境基準の270倍を超える溶出量の猛毒のヒ素が含まれる掘削土を2年も前から掘り出していながら、市民には教えず、知らせず、隠していたのである。

南鶉工区、天狗工区、台場山工区の3工区から出た「条件不適土」とは、ヒ素の含有量が84mg/kgで、ヒ素の溶出量は環境基準値0.01mg/Lを、なんと270倍も超える2.7mg/Lの残土であることを、市民に追究されて、ようやく認めた。

公表された天狗工区に山積みされたヒ素の量のうち、溶出量が環境基準をはるかに超えていてもヒ素含有量が<15mg/kgの残土の数値は公表されていないので、公表された数値のみを使用して算出したところ、ヒ素の全重量(最大値)= 867.25kg = 約0.87トンとなった。(ただし、残土1㎥=2.5tとし、ヒ素含有量は公表の最大値を使用)

驚くべき量である。ヒ素は空気に触れ、雨水にさらされると、僅か0.1gで人が死ぬ猛毒の「亜ヒ酸」になって流れ出す。ヒ素だけでも800万人以上が死ぬ量の猛毒のヒ素が天狗工区の狭い敷地に置かれているのだ

国道227号線沿いにある「天狗」工区。青いシートで覆われているのが、溶出量270倍のヒ素が含まれている掘削土の山。

※機構は、定量下限値(<15mg/kg)の場合はヒ素含有量は算出できないという。つまり、機構は捨てた残土が膨大であっても含まれるヒ素の全量を把握していない。捨てたヒ素の全量も分からないのに、安全だとする科学的な根拠は一体どこにあるというのだろうか…?

「改正案」とは言え、すでに、地下水へ流れ出す時には「0.01mg/L以下」になると記されている。

溶出量が環境基準をはるかに超える270倍のヒ素含有の残土の処分先も処分方法も決まっていないのに、公表された資料には「改正案」と記してはいるものの、出端から溶出量が「0.01mg/L以下」という環境基準値が示されている新幹線のためなら、人が麻痺しようが死のうが、農産物や海産物がどうなろうが知ったこっちゃないらしい。

「新幹線トンネル有害残土を考える北斗市民の会」による現地調査。

機構が、2年も前から隠し続けた高濃度ヒ素を、公表せざるを得なくなった背景には、地場産業と郷土を守るために市民が声を上げ、「新幹線トンネル有害残土を考える北斗市民の会」を立ち上げて活動を開始し、村山有害残土捨て場から環境基準の1.5倍を超える0.015mg/Lのヒ素が漏れ出ている事実を突き止めるなど、市民の関心が高く、追究したことにある。

同じく南鶉工区でも「条件不適土」の残土が、狭い工事敷地内から谷側へ崩れ落ちるように、無造作に積み上げられている。

夏には散水車で粉塵を流し、積雪期には粉塵ごと雪を谷側に押し出して捨てている。国道227号線の斜面の雪を真っ黒に染めた。黒い雪は、春には側溝に流れ出し、川に流れ込んだ。2年前、私たちが指摘していた黒い雪について、機構は無視し続けた。それから2年も垂れ流しは続き、2020年11月12日の北斗市議会の調査特別委員会で、機構担当者が工事を中断していることを報告した。

国道227号線沿い「南鶉」工区。雪を覆う黒い粉塵。
国道227号線沿い「南鶉」工区。雪は真っ黒だ。

機構は、北海道民を舐め切っている。これまで、まったく不愉快極まりない不誠実な対応ばかりして来た。専門家や数字、絵空事の資料を使っては、各自治の説明会などで平気で住民を騙し、結局のところ自治のトップと有益者だけで決済された事業が、この有様だ。ろくなことが無い。私たちの暮らし、郷土を守るには、地域住民のみんなで、しっかりと現場を見て、説明を求め、改善を求め、声を上げていくしか術はない