岩知志ダムの直下で大規模な崖崩れが起きている。

日高地方、沙流川の上流にある岩知志ダムは、堆砂率全国ワースト5位にランクインされた土砂で埋まったダムである。国土交通省のHPには読み取り不明瞭なグラフと公表年度が不明で公開されている。

URL:http://www.mlit.go.jp/river/dam/main/dam/ref16/ref-p3.html

その岩知志ダムで、ダム堤体の直下、左岸の岩盤が道路もろともに大規模に崩壊した。ダムによって川底が掘り下がっているところに2016年8月31日の豪雨が起因したと思われる。以下に、崩壊前と後の写真をスライドで比較している。また、崩壊前の道路が写ったGoogle Earthの衛星写真に、崩壊した範囲を図示。その規模が分かる。

岩知志ダム直下、左岸の岩盤が道路もろともに崩壊している。撮影:2018年5月21日
崩れ落ちた道路は、より内側の草地に新設された。崩落下流の直下には国道237号線の橋が架かっている。撮影:2018年5月21日
撮影:2018年7月4日
ダム真上にあった道路は、ちぎれるように崩落。電柱も電波塔も崩れ落ちた。撮影:2018年7月4日
道路と共に崩落した電柱が斜面に横たわる。撮影:2017年8月4日
岩盤面は無数の亀裂がみられ、水が浸透している。何れ崩落面は剥離するだろう。撮影:2017年8月7日

崩壊した岩盤には無数の亀裂が見られ、水が浸透している。やがては剥がれ落ち、更に崩落は進むだろう。

岩知志ダム上流は、土砂で溜まり深いV字谷は埋まっている。左側の支流から流れ込む砂利が水面から出て見えるのは、堤体まで土砂で埋まっている証である。岩知志ダムが止めている膨大な土砂はさらに上流へ、上流へと今もなお溜め込み続けている。この状態で、岩知志ダムが崩壊すれば、膨大な土砂は一気に下流へと放出されてしまうだろう。

撮影:2018年7月4日
撮影:2018年7月4日
撮影:2018年7月4日

危険はないのか…?北海道電力広報部に聞いた。「影響は無い。崩壊地については河川管理者が見守っている」との回答だ。その河川管理者である室蘭開発建設部に問い合わせているが、今だ返事はない。

取材中、崩壊した道路を利用していた住民が「どうなるんだろうねぇ…」と不安を語っていた。ダム下流で暮らす人たちは、この予測できる危険な事実を知っているのだろうか。