北海道新幹線トンネル工事の排水が、川を殺した。

北海道新幹線トンネル工事「ルコツ工区」のその後を取材した。濁水処理施設から流される排水先のルコツ川が、ドブ化しており、以前の清流は酷い有様になっている。

URL:新幹線トンネル工事現場で、謎の配管と恫喝。 | 流域の自然を考えるネットワーク (protectingecology.org)

ルコツ工区の濁水処理施設の配管は、案の定、またおかしな配管がされていた。

ルコツ工区。白い建物が濁水処理施設。裏にルコツ川へ向けた謎の配管が2本。撮影:2023年4月28日。

ルコツ工区の下流は、清流からドブ川に変貌していた。

 

さらに下流では、濁水処理後の水を排水している。川の汚染は、排水処理が適正に行われているとは考えられない。濁水処理を行わず、送水管にも繋がっていない管から直捨てしているからだ。見つかっては、改善と再犯を繰り返す。鉄道運輸機構は業者に丸投げで汚染の事実も見て見ぬふりだ。かつて清流に群れていた魚の姿は無い。川は死に、ここで遥か昔から命を紡いできた生物は消えた。

私たちは機構と、工事着手前にルコツ川を汚染させない為の話し合いをして来た。担当職員は、群れる魚や川石にビッチリと産み付けられた卵を目の当たりにして「凄い。こんなに魚がいるんですね」と息をのみ、「排水は適正に行い、川を汚染させません」と言った。

誰も見に来ない。誰にも知られない。現場はやりたい放題だ。環境配慮などに、お金はかけない。そんな予算があれば、儲けることに知恵を絞る。「配慮は見せかけにやったふりしていれば儲かる」と…。莫大な血税を使って「環境影響評価(環境アセス)」のための調査が行われているのです。この環境アセスとは、いったいなんのための事業なのでしょうか…?

北海道新幹線のトンネル工事のどの現場でも、地域の自然を愛しみ関心のある住民や環境団体などの皆さんは、鉄道運輸機構に対して環境配慮の為の協議、嘆願の努力をなされて来られた筈だ。しかし、その現場が今、どうなっているのか?約束は守られているのか?このルコツ工区からの排水は、大規模なホタテ養殖場でもある噴火湾に注がれている。漁業者も無関心なんでしょうか?その後の”無関心”の怖さは、私たちの身の回りで進行しています。

環境配慮とは、約束を取り交わしたことで終わった訳ではない。配慮されているか確かめあってこそ、成立するものだ。皆さんの現場でも今一度、「排水処理は適正にされているか?水質に重金属汚染などは無いか?川に変化はないか?魚は元気か?」精査していただきたいと思います。