住民の暮らし、地域の基幹産業には配慮のかけらもない独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構。ゴリ押しの北海道新幹線札幌延伸工事。
八雲町黒岩の掘削残土最終処分場「黒岩C」では、高原状になった平地に、溶出量が国の環境基準を130倍を超えるヒ素が含有する掘削残土を盛土している。流出する雨水は、大規模なホタテ養殖場となっている噴火湾へと注ぐ。
「防災科研」がHPで公開している断層図と、「GoogleEarth」の衛星写真で掘削残土の盛土地「黒岩C」を照合したところ、「活断層」の真上に位置することが分かった。
いずれも、出典は「防災科研」と「Google Earth」。
「直下に活断層があるので、不適切ではないか」と、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構に問合せたところ、「第三者委員会に諮る必要は無い」として、独断でこの活断層の上に、130倍超えのヒ素含有掘削残土を最終処分場として盛土していることが判明した。
住民説明では資料のように「第三者による委員会で審議・検討」と説明していながら、説明を反故にし、不適切な手順で進めている。まさにゴリ押しである。
130倍を超えるヒ素のほか有害重金属を含有する掘削残土を、未来永劫にこの場所に置き続ける。その間に、豪雨もあれば、地震もある。活断層は地層がズレる深刻な事態を生み出す。だが、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、『日本道路協会の「道路土工・盛土工指針(平成22年度版)」に準じて、耐震性能を有する設計をしております』と説明する。
2024年1月1日の能登半島地震では、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構が言う耐震構造を有する道路に亀裂が走り、道路はグシャグシャに崩れた。1993年7月12日発生の北海道奥尻島沖地震では、八雲町でも国道5号線の道路が崩壊した。
独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構はさらに、「地層のズレにより盛土に異常が見られた場合は、地権者と協議し必要な措置を行います」「見直しは考えておりません。」と、回答している。しかし、必要な措置を行うと言うが、そもそも、その盛土まで行く道路は通れるのか?地層のズレによって盛土が崩れた場合、回収できるのか…?
独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の危機意識は全く無い。これは、地元自治体、ホタテの大養殖場を持つ地元漁協の無関心さが招いたとも言えよう。記憶に新しい熱海の土砂災害で、被災した方が発した言葉は重い。
「無能な行政とおとなしい住民がセットになった時、悪徳業者がはびこる」