何これ珍工事…?

河川管理が川を管理すればするほどに川が壊れていく。私たちの傍から故郷の川が失われる。

真駒内川は砂利を失い、岩盤が露出するまでになった。管理者は、これ以上、残った砂利が流されないように、砂利を止める目的で、たくさんの流路工を作っているのだが…

この災害復旧工事が行われた後、どうなったのかを見ていただきたい。

災害復旧工事現場で…あらららら…?(真駒内1号橋上流)2015年11月19日
災害復旧工事が行われたが、何だこれは?(真駒内1号橋上流) 2015年11月19日
川底にコンクリートのブロックを敷き、川の石は護岸の飾りつけに使用している。おかしくないかい…?2015年11月19日
コンクリートのブロックを川底に敷き川底に必要な石は護岸の飾りつけに使用している。本末転倒である。 2015年11月19日

川底の石が足りないから、石が流れ出さないように流路工を作っている工事の筈が…?あろうことか、川底から足りなくて困っている石を、写真左(右岸)の護岸の飾りつけに使っている。この本末転倒な見せかけの復旧工事を行った管理者は、この石を直ちに川に戻さなければならない。

更に、写真左(右岸)には、砂利と土が盛られている。増水したらひとたまりも無く流されるのは自明の理である。

川底の砂利不足を解消するために、新設された下の写真の流路工を見ていただきたい。

上流の砂利が下流に流れ出さないように止めるために新設した流路工。2015年11月19日
砂利が下流に流れ出さないように砂利止めの為に新設した流路工。2015年11月19日

今後、この新設した流路工の下流で起きることは、こうだ

増水で砂利は流される。そのあとは、写真左(左岸)の盛土が、崩れて流される。そして、護岸が壊れる危険があるから対策が必要だと事業が興される。また工事が始まる。更に更に、川は壊れていく。

流路工で砂利が止められるため、下流では河床の砂利が流される。当然、左側の盛土は簡単に流される。2015年11月19日
流路工で砂利が止められるため、下流では河床の砂利が流される。当然、左側の盛土は簡単に流される。盛土が流されたら、災害復旧工事で再び補修されることになる。川底も固めるための新たな事業が起案されかねない。2015年11月19日
写真右側(左岸)の盛土も小砂利と土を盛ったもの。増水したら流されることは誰でもわかることなのだが…何度も何度も同じ事を繰り返し、土砂を運ぶ手間や土砂を保管する手間を省いている。こんなこと許されるのでしょうかね。2015年11月19日
写真右(左岸)の盛土も小砂利と土を盛ったもの。増水すれば流されることは誰でもわかることだ。何度も何度も同じ事を繰り返し、土砂を運ぶ手間や土砂を保管する手間を省いている。2015年11月19日

現場を見て「おかしい」と声を上げなければ、現場はやりたい放題になってしまう。

私たちの血税を使った無駄なこうした事業は、誰が歯止めを打つのだろうか…?(公共事業)評価委員会があるが、とても機能しているとは思われない。機能しない理由は、何故なのか?委員会の各専門分野は細分化しており、専門分野以外の人は、遠慮して切り込まないようだ。

このままでは真駒内川はやりたい放題に河川事業が乱立し、川は一層メチャクチャに壊されてしまう。実験水路のように、唯々、水を流す溝にされてしまうだろう。

河川管理者が、この真駒内川工事に手を出す前の、生きた川を蘇らせる為には、直ちに、嘘くさくて、きな臭い河川管理を是正し、責任者には責任をとっていただく訴えが必要な時が、いよいよ来ているのだ。

垂直型スリットでは、ダム下流の「河床低下」は止まらない

巨大なスリットダムのその後を取材した。近くには活火山の樽前山もある。泥流を防ぐ目的で建設されたもののようだ。しかし、現場はスリットであってもダムが泥を生成することに変わりはなく、下流の河床低下は止まらず荒廃が進んでいる。では、何故スリットしても河床低下は止まらないのか…?

Google Earthで別々川をたどって巨大なスリットダムの位置をご覧いただき、みなさんも是非、考えてみてください。(検索:白老町社台)

流木でスリットは塞がっている。2015年11月20日。
流木でスリットは塞がっている。どの川でも垂直型スリットは流木で塞がっている。2015年11月20日。
流木で塞がるのは垂直型スリット共通の現象。欠陥スリットだ。2015年11月20日
流木で塞がるのは垂直型スリット共通の現象。欠陥スリットだ。2015年11月20日

何故、垂直型ではなく、大きく間口をスリットしないのか?河川管理者は「土砂の扞止機能を残さなければならない」と口をそろえる。説明を求めても、計算上の話だけにしかない。では、実際の現場では、この扞止機能があるとどうなるのだろうか…?

上流へと微細砂が大量に溜まり続け、樹林化する。そうなると川を流れてくる砂利は微細な砂ばかりとなる。⇒水生生物の繁殖・成育がうまくいかなくなる。そして、扞止機能があるために、下流に必要な大小の砂利が流れてこなくなる。⇒川底が下がり、川岸が崩れ、土砂災害・流木災害が多発するようになり、人命財産にまで被害を及ぼすことになる。

即ち、扞止機能とは血栓のようなものではないか。

ダムの上流では微細な砂がどんどん溜まり続ける。2015年11月20日
ダムの上流では微細な砂がどんどん溜まり続ける。2015年11月20日
微細な砂が膨大に堆砂し、増水時に下流へと吐き出される。2015年11月20日
巨大スリットダムの上流側。微細な砂が膨大に堆砂し、増水時には泥だけが下流へと吐き出される。2015年11月20日
巨大スリットダムの下流側では河床が堀下がり、川岸が崩れている。2015年11月20日
巨大スリットダムの下流側では河床が堀下がり、川岸が崩れている。2015年11月20日
巨大スリットダムの下流。川底が下がり、川岸が崩れている。2015年11月20日。
巨大スリットダムの下流。川底が下がり、川岸が崩れている。2015年11月20日。
巨大スリットダムの下流では川底が下がり、川岸が崩れている。2015年11月20日
巨大スリットダムの下流では川底が下がり、川岸が崩れている。2015年11月20日

別々川では農地整備の一環として、川筋が直線化されている。そのため多くの落差工が作られている。では、この落差工って、いったい何なのだろうか…?

流速を緩和するなどと聞いたことはあるけれど…効果ってどんな効果があるのか?みなさんも落差工のある現場を見て、是非、考えてみてください。

巨大スリットダムの下流には多くの落差工が設置されている。落差工の下流でも川底が下がり、川岸が崩れている。落差工が川を壊している姿だ。2015年11月20日
巨大スリットダムの下流には多くの落差工が設置されている。落差工の下流でも川底が下がり、川岸が崩れている。落差工が川を壊している。2015年11月20日
この落差工の下流側。川底が下がり、川岸が崩れている。2015年11月20日
落差工の下流側。川底が下がり、川岸が崩れている。2015年11月20日

みなさんの身近な川の現場をよく見て知ることで、河川管理のあり方を考えてみてください。ダムを「スリットする」ことが目的では無く、スリットすることで、川を蘇らせ安定させることが目的な筈です。間違った構造のスリットでは、川は蘇りません。扞止機能という処置はまるで血栓を作るようなものです。ダムも落差工も川を壊し続けます。改善の手法を間違えれば、いつまでも泥川で災害も引き起こす壊れた川のままなのです。相手任せでは故郷を失うことになりますよ~!

映画「ダムネーション」上映会~桧山さけ定置漁業振興協議会

■平成27年度 桧山さけ定置漁業振興協議会研修会■

日時:平成27年11月13日(金)14:30~17:00

場所:乙部町生きがい交流センター 乙部町字元町317

研修:① 歳末にむけての海難防止講習会 江差海上保安署

② 講演「ダムの何が問題なの…?」流域の自然を考えるネットワーク:稗田 一俊

③ 映画「ダムネーション」(87分)

主催:桧山さけ定置漁業振興協議会

共催:流域の自然を考えるネットワーク

協賛:パタゴニア日本支社

参加対象:函館開発建設部 渡島総合振興局 函館建設管理部 檜山振興局 北海道漁連 北海道漁連函館支店 さけます水産試験場道南支場 各町役場 桧山さけ定置漁業振興協議会 ひやま漁業協同組合 漁業者

※ 当日は漁業関係者の為の研修上映です。一般のご来場は、ご遠慮をお願い致しております。