サンルダムができればサクラマス資源は絶滅する

サンルダムの建設によって、サンル川の勾配の緩い”わき水”がふんだんに湧いていそうなところのほとんどが水没する。岸辺はなだらかで、アシヨシが繁茂し、水が入りくみ、湿地もあり、ふんだんにわき水が浸みだしている水潤む多様な環境となっている。他の川でほとんど失われてしまった水辺の環境がサンルダムで水没する区間にそのまま残されている。

この水辺は、サンルダムで育つサクラマスの幼魚・稚魚・若魚・残留型の良好な生活場所になっており、かつ、洪水時の避難場所であり、越冬場所にもなっていることは間違いない。

その場所のほとんどが水没してしまうのだから、その影響は甚大で計り知れない。おそらく、サンルダム建設を推進している天塩川魚類専門家会議でも、この水辺空間の多様な生物の包容力やその役割はほとんど調べられていないだろうし、理解もされていないかも知れない。

この場所の役割が理解されていないまま、サンルダム建設にお墨付きが与えられたのであれば、間違いなく、サクラマス資源は絶滅する。

サンル川はサクラマスの産卵によし、幼魚・稚魚・若魚・残留型の生活によし、洪水の避難場所も完備、越冬場所も完備し、サクラマス資源を保全する仕組がすべて揃っている川だ。

また、サンルダムが建設されてしまったら、ダムの下流の広域でサクラマスが生活する岸辺がことごとく失われることになる。

サクラマスを支える仕組みを、サクラマスのことを知っているという人たちが意識もなく壊してしまおうとしているのだから…なにをか況んやである。次の世代になんと申し開きするのだろうか…ただ、ただ、もったいない、もったいない…それしかいいようがない。残念です。

2013-11-18・サンル川・サンルダム建設で失われる

おかしな工事が…

遊楽部川ではこの冬、野生サケやサクラマスが河床内で息づいている時に、4件もの河川工事がおこなわれた。こんなことが現場で行われているのですから、水産資源が枯渇するのも当然のことです。

遊楽部川の上流では、下流と同じように、野生サケの産卵床を重機で踏みつぶし、河床を掘削して流路を切り替える乱暴な護岸工事がおこなわれていました。

さらに追い打ちをかけるように、泥水をそのまま流すのですから、呆れてしまいます。

河川工事では濁水処理をするように厳しく指導されているはずなのですが、現場の監督・指導が行われておらず、ごらんのように未処理の濁水が流されているのです。

函館建設管理部の職務怠慢のひどさを北海道知事は厳しく律していただきたい。これ以上繰り返さないためにも必要です。

現場には濁水処理装置へ通さずに垂れ流すホースがあった。
現場には濁水処理装置を通さずに直接川に垂れ流すホースがあった。

ぜひ、みなさんも、河川工事の現場があれば、注意してご自分の目で確かめてください。現場の監督・指導が徹底していれば、こんなことにはならないはずなのですが…

過去には、同じ北海道渡島総合振興局函館建設管理部治水課が、厚沢部町の厚沢部川の河川工事で、泥水を垂れ流していた。

事例として、その時の写真を添えます。

濁水をポンプで汲み上げていた。
濁水をポンプで汲み上げていた。その先は…    撮影は2008年03月05日

 

濁水処理が義務づけられているのに…現場の監督・指導が徹底されていないから、このようなことが見過ごされているのです。
濁水処理が義務づけられているのに…現場の監督・指導が徹底されていないから、このようなことが見過ごされているのです。なぜ、監督・指導がされていないのでしょうか。2008年03月05日

川の下流で濁り水に気がつき、濁り水をたどって行ったら、この発生源にたどり着いたのです。

2009-05-01・厚沢部川水系目名川・濁水処理せずに

こうした未配慮な工事現場からの泥水で魚たちが姿を消し、水産資源が失われていくのです。そして、ごく普通の魚たちが希少種になったり、天然記念物に指定されるのです。

サケの産卵床を壊すおかしな工事

2015年02月24日のこと、遊楽部川の護岸工事で土嚢をぶら下げた重機が野生サケの産卵床の上を走りまわり、あげくには、産卵床を掘り起こしていました。

川底の石の間でふ化して、産声を上げたばかりの小さなサケの命がことごとく踏みつぶされました。

今どきの工事としては、あり得ないような乱暴な工事です。

事業者は北海道渡島総合振興局函館建設管理部治水課です。

生物多様性保全条例を策定した北海道の同じ機関が、直々に自らの手で、小さなサケの命を踏みつぶしたのです。

コンサル会社による調査報告書では、工事区域内にはサケの産卵床が無いことになっています。つまり、工事は何らの支障もなく行えるようになっているのですから、実におかしなことです。

この場所にはわき水帯があり、サケが多数産卵しているのを目撃しています。

事業を目的にしたコンサル会社の環境調査がいかにデタラメなのか、みなさんにぜひ知っていただきたいと思います。

みなさんの知らないところで、このように乱暴な工事が行われ、誰も気がつかないうちに野生サケの資源を失ってきたのです。

サケの産卵床を掘り起こしている。

サケの産卵床を掘り起こしている。おなかに栄養の袋をつけたまだ小さく幼いサケの子どもたちは、これでは生きていけません。残念です。

 

サケの産卵床を土嚢で押しつぶし、重たい土嚢をフラ下げた重機がサケの産卵床を踏みつぶしながら行ったり来たりの作業をおこなっていた。
サケの産卵床を土嚢で押しつぶし、重たい土嚢をフラ下げた重機がサケの産卵床を踏みつぶしながら行ったり来たりの作業をおこなっていた。

 

あり得ない光景です。

砂防ダムのスリット化で、堤体の大規模な肉厚化…本当に必要な工事なのか…?

北海道渡島総合振興局函館建設管理部は、大野川水系の小さな谷川「子熊の沢川」の砂防ダムのスリット化を行った。

スリット化すれば堤体の強度が低下するとして、コンクリートで肉付けする必要があると説明するが…スリットの規模はごくわずかなのに、堤体の肉厚化の大規模さに疑問を感じるばかりだ。

本当にこれほどの肉厚が必要なのだろうか…?

過剰な工事に思えてならない。

これって、税金のムダ遣いでないかい…?

 

2015-06-01・加工済・子熊の沢川・砂防ダム肉厚化+スリット化・KAZ_0039
堤長が表示されていない。大規模に肉厚化したから、教えたくないのだろうか…?つい勘ぐってしまうのだ。

2015-06-01・加工済・子熊の沢川・砂防ダム肉厚化+スリット化・KAZ_0038

小さな谷川にそぐわないほどの大規模な砂防ダム1号、2号、3号があり、さらには1号砂防ダムの下流に4基目の大規模な砂防ダムが新設されている。国道277号線から新設された砂防ダムは見えるが、奥にある大規模な3基の砂防ダムには誰も気がつくことはないだろう。

誰も知らないところで、川が壊されて、これから大規模な災害を引き起こすような怖い川に作り変えられていることを知っていただきたい。

河川管理者らは自らで川を壊し、誰も知らない間に怖い川に変貌させてから、災害防除などの理由をつけて、次から次に国の補助事業でダム建設に励んでいることを知っていただきたい。

みなさんもぜひ、子熊の沢川をたどって、実態を知っていただきたいと思います。