サンルダムの建設によって、サンル川の勾配の緩い”わき水”がふんだんに湧いていそうなところのほとんどが水没する。岸辺はなだらかで、アシヨシが繁茂し、水が入りくみ、湿地もあり、ふんだんにわき水が浸みだしている水潤む多様な環境となっている。他の川でほとんど失われてしまった水辺の環境がサンルダムで水没する区間にそのまま残されている。
この水辺は、サンルダムで育つサクラマスの幼魚・稚魚・若魚・残留型の良好な生活場所になっており、かつ、洪水時の避難場所であり、越冬場所にもなっていることは間違いない。
その場所のほとんどが水没してしまうのだから、その影響は甚大で計り知れない。おそらく、サンルダム建設を推進している天塩川魚類専門家会議でも、この水辺空間の多様な生物の包容力やその役割はほとんど調べられていないだろうし、理解もされていないかも知れない。
この場所の役割が理解されていないまま、サンルダム建設にお墨付きが与えられたのであれば、間違いなく、サクラマス資源は絶滅する。
サンル川はサクラマスの産卵によし、幼魚・稚魚・若魚・残留型の生活によし、洪水の避難場所も完備、越冬場所も完備し、サクラマス資源を保全する仕組がすべて揃っている川だ。
また、サンルダムが建設されてしまったら、ダムの下流の広域でサクラマスが生活する岸辺がことごとく失われることになる。
サクラマスを支える仕組みを、サクラマスのことを知っているという人たちが意識もなく壊してしまおうとしているのだから…なにをか況んやである。次の世代になんと申し開きするのだろうか…ただ、ただ、もったいない、もったいない…それしかいいようがない。残念です。