北海道新幹線・野田追トンネル北工区の坑道の真上の住民は、「地下からの振動や音が気になる」と言う。ダイナマイトも使用しているのだから、不快さや不安は計り知れない。開通すれば車両が通過する毎に、振動と騒音に悩まされることになる。
2021年3月20日、そのトンネル内で崩落が起き、地上は直径20mが陥没した。
北海道新聞には詳細は無いが、web記事:《佐藤正樹(キハユニ工房)》に、八雲町で行われている北海道新幹線トンネル工事の野田追トンネル北工区で、2021年3月20日、坑口から3.997km付近の地下約40mの坑内で、トンネル掘削面が崩壊して約600㎥の土砂が流入し、地上部に直径約20mの陥没が生じたという写真が添えられている。
札幌延伸を目指す独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、事あるごとに「工事の完了時期の遅れに影響はない」と説明している。陥没が発生した野田追北工区では、2018年7月17日にトンネル工事現場で死亡事故まで起きている。工事を急ぐ余りの意識の陥没こそが事故を招く。沿線住民が、北海道新幹線トンネル工事にかかわる危険と隣り合わせにいることを忘れてはならない。
トンネル工事と地上部の陥没事故は多い。2020年10月、東京都調布市で地下47mで行われていた東京外郭環状道路(外環道)トンネル工事で市道が陥没した。また、2020年6月30日には、トンネル工事で横浜市港北区大豆戸町の環状2号線で縦横約7メートルが陥没した。2016年11月8日、福岡県福岡市博多区の博多駅前付近で行われていた地下のトンネル工事で、道路が大規模に陥没したことも記憶に新しい。 地下40m以深を「大深度地下」と定義し、トンネル工事など地下利用のために、首都圏、近畿圏、中部圏において地権者の許諾を得なくても事業が着手できるように2001年に「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(大深度法)」が施行された。この「大深度法」は、トンネル掘削技術の安全性が担保された上での施行なのか、甚だ疑問だ。住民の安心、安全な暮らしよりも、事業に便宜を図る目的でしかない。
ヒ素など有害重金属含有掘削土の処分方法の安全性への疑問に加えて、トンネル工事そのものの技術的な安全性にも疑問があることが露呈した。