鉄道運輸機構・第三者委員会の信頼性失墜!…地下水汚染が発生!事態は深刻。

学識経験者で構成された「第三者委員会」は、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の組織内にある。

権威者揃いの立派な独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構付属”第三者”委員会。出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構

この第三者委員会で、ヒ素やセレン、鉛、フッ素、カドミウム、六価クロムなどの重金属混じりの「発生土」や、環境基準値を越えた重金属を含有した「対策土」を地べたに直置きする投棄処分の方法を提案。地べたに直置きでも、土壌浸透途中で有害重金属が土壌成分に吸着されるので、地下水に流れ出す時点では環境基準値以下になるから問題無いとして、地中の図を示して説明している。

出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構

「地下のことは、見て来た訳では無いから分からない。一寸先は闇だ」。地熱発電事業でボーリングを手がける現場の技術者はこう語る。しかし、機構の第三者委員会はまるで地中を透視しているかのように図を示して、住民に説明している。

北斗市の村山の対策土の投棄方法を示す図。地べたに直置きする方式が選択された。出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構
村山残土捨て場の地中の構造図が、まるで透視したように描かれている。出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構
対策土から土壌中に沁みだした重金属類は土壌成分に吸着されるという第三者委員会が示した概念図。土壌成分はマイナス荷電、重金属にはマイナス荷電型もあるのに、その説明もなければ、無限に吸着できるかどうかについても説明はされていない。また、有害重金属の吸着は即ち、有害重金属を濃縮することだから、濃縮された地中の土壌が環境に与える影響についての説明もないのだ。出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構
対策土から土壌中に沁みだした有害重金属の地中の挙動について、第三者委員会は詳細な数値を示して解説している。この説明は、現場を科学的に解析していると言えるだろうか? 出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構

第三者委員会は、対策土処分地では土壌中に沁み出した有害重金属は土壌成分に吸着されるから、地下水へ流れ出す時点では薄まっており、問題は無いとしている。しかも、「予測地点の濃度は環境基準以下になることを確認しています」と明記されている。

しかし…?

①土壌成分はマイナスに荷電、一方、有害重金属の荷電はすべてがプラス荷電なのか、マイナス荷電なのかについて説明がされていない。

②吸着能力は無限にあるのか、それとも限界があるのか、これらについての説明がされていない。

③土中で土壌成分が吸着することは、言い換えれば、有害重金属を濃縮することだ。有害重金属が濃縮された地中の土壌はその後、どうなるのか?生態系や農業用水、生活用水へ影響があるのか否か、これについても説明がない。

第三者委員会の説明のどこに科学的な根拠があるというのか?

文献によれば、「人間社会の至る所で生産され、消費される重金属は環境に放出され、生態系に何らかの影響を及ぼす。低濃度で長期間にわたる汚染は生態系に対して目だたないが確実に悪影響を与えると考えられる」及び「低濃度の重金属イオンを含む多量の汚水を土壌に処理した場合、土壌は重金属イオンを能率よく吸着し、捕捉し、蓄積していき、少量の土壌に重金属イオンを濃縮する」とある。(参考:【3】土中における重金属の挙動:岡崎正規・水質汚濁研究)

北斗市では、発生土に含まれる有害重金属による地下水汚染や生活水の汚染を心配した農業者や市民が立ち上げた「北斗市民の会」の活動に対して、北斗市長は「一部の市民等による科学的根拠に基づかない不適切な情報の流布により、風評被害の発生などを大変憂慮しているところであり、厳に慎んでいただきたいと考えております」と、公の場で市民団体を誹謗中傷し、会の活動を阻止しようと躍起になっている。そんな時に、村山残土捨て場の地下水から環境基準超えの猛毒物質のセレンが検出された。第三者委員会が指南した科学的根拠に基づいた処分方法なのにである。では何故、現実に地下水汚染が発生したのだろうか?市民の訴えよりも、第三者委員会の科学的な根拠のない、不適切な処分方法に妄信した北斗市長こそ、市民の会の訴えが警鐘だったことを認識し、実害が発生したことの責任を負うべきである。

出典:2021年6月12日・函館新聞

出典:2021年6月12日・北海道新聞(全道版)
環境基準値を越えるセレンが検出されたのは「B-3」の地点だ。2021年6月11日に北斗市から配布された資料。
2021年6月11日に北斗市から配布された資料。
地下水を使用している住民。「この先、どのようなことが発生するのだろうか?」第三者委員会の信頼性は失墜し、その結果、地域の住民の暮らしが危機にさらされることになった。2021年6月11日に北斗市から配布された資料。
出典:Google Earth

「北斗市民の会」は、これまで降雨の度に、村山残土捨て場から白濁した水が、国道227号線の側溝へ入り、大野川へと流れ込んでいることを懸念して、側溝に沈殿した泥を採取して、科学的手法で環境基準を1.5倍超えるヒ素が流れ出していることを突き止めている。

村山残土捨て場の出入口付近。Google Earthの衛星写真T-3の地点で白い濁水が流れている。撮影:2021年6月4日
村山残土捨て場から流れ出す白濁水は、国道227号線の側溝へ流れ込み、大野川に注がれる。沈澱した灰色の物質で側溝は埋まっている。この堆積物から、環境基準1.5倍超えのヒ素が検出された。つまり、常時、重金属類が大野川に流れ込んでいるのだ。撮影:2021年6月4日
「T-3」集水枡で採水。撮影:2021年6月4日

「第三者委員会」は、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の内部に置かれた組織だ。組織内の会議となると、異論を挟めば解任されるかも知れないし、自分の将来を考えて発言を控えることもあり得る。会議では不都合な意見は怖くて発せられることはないだろう。第三者委員会が指南した処分方法で、地下水から環境基準超えのセレンが検出されたのだ。そればかりか、以前から日常的にヒ素が漏れ出している。一旦、地下水が有害重金属で汚染されると、汚染の広がりを調べるのは容易ではない。ましてや、汚染物質を除去するなど出来る筈もない。今後、どうするのか?有害重金属類が土壌浸透し、地下水に沁み出してくるまでにはそれなりに年月がかかる。また、膨大な量の環境基準超えの残土が運び込まれているから、地下水から有害重金属が検出されはじめると、一気に検出量は増加していく。

これで第三者委員会が指南する処分方法の科学的な裏付けが無いことが露呈した。しかし、トンネル工事は止まる筈もなく、残土の搬入先の変更の話しまでが浮上している。手際がよすぎやしないか?日常的にデータを改ざんをしている工区の情報が寄せられることがある。この現場でもデータの改ざんで数値を低くしていたが、頻繁な数値の異常な上昇に、もうこれ以上は改ざん出来ない事態に至ったのではないか。現場は汚染が広がり、手に負えないような深刻な事態に陥っているのではないかと思えば、怖ろしい。

そんな折、八雲町山崎川でも異常な事態が発生した。「山崎川が白く濁っている。上流の北海道新幹線トンネル工事現場から流れ出しているのではないか。どこに言えばよいか?」と、早朝に住民が訪ねてきた。取材に行くと、山崎工区で未処理のまま排水されていたことが分かり、住民の言う通り山崎川は、白い濁水で染まっていた。

北海道新幹線山崎工区から山崎川へ白い濁水が、未処理のまま山崎川へ排水されていた。撮影:2021年6月12日
異常に濃い濁水。撮影:2021年6月12日
このような排水が許される筈がない。撮影:2021年6月12日
排水口から約1kmほど下流の白濁した流れ。撮影:2021年6月12日

山崎川の川岸・川底は、白い物質があちらこちらにたくさん沈澱堆積している。

川底に白い物質が沈澱堆積している。撮影:2021年6月12日
川岸・川底に白い物質が沈澱堆積している。撮影:2021年6月12日
淵の底には白い物質が大量に沈澱堆積している。撮影:2021年6月12日
排水から約1km下流のところだが、川岸にも川底にも白い物質が沈澱堆積している。撮影:2021年6月12日

川岸や川底に白い物質の沈澱・堆積している量から、日常的に濁水を排水していることが読み取れる。山崎工区は、何度も未処理の垂れ流しをしている。誰かに見つかると一旦は排水を止めるが、また垂れ流しを繰り返している。今は些細な小さな環境問題だ、他人ごとだとして誰もが無関心でいると、北海道新幹線”祝”開通の暁には、沿線住民は土壌汚染・地下水汚染・河川汚染・海域汚染の負の遺産を押しつけられ、憂き目を見ることになる。

北海道は、北海道新幹線工事にかかわる環境影響評価について意見を添え、認可には環境に影響を与えることが無いようにと条件を付しているが、このような現場の状況を放置している。これまで「北斗市民の会」が、環境基準超えの汚染が発生していることを伝えても、「北海道としては検査はしない」と、道は住民の申し入れを突っぱねている。地域住民の暮らしは誰も守ってはくれない。残念ながら、行政が悪い、政治が悪いからだという前に、私たち個人個人の無関心こそが問題なのである。私たちの暮らしを見えないところでしっかりと支えてくれているのは他でもない自然環境なのである。身の回りの自然の全てが、私たちの暮らしを支えてくれているのを忘れてはならない。