新幹線トンネル工事現場で、謎の配管と恫喝。

北海道新幹線トンネル工事・ルコツ工区に於いて、笹薮の中にある川へ引いた2本の鋼管(パイプ)について、施工者であるJV筆頭・奥村組の所長が、「2つの沈砂池が満水になったときに、処理することが出来ないので、そのまま川に排水するために設置した」と説明している。(詳細は、排水問題その3を参照ください)

ヒ素が混じった有害重金属含有の泥水を未処理のまま川に排水するのは問題だとして、八雲町長の指示のもと、12月14日に八雲町役場新幹線推進室の職員3人と合同でルコツ工区の現地確認を行うことになったのである。

川に突きだした鋼管は取り外してある。右に塩ビの入れ物が見える。

この川の下流には八雲町黒岩地区の住民の水道水源の浄水場がある。水は、直径4m×深さ6mの井戸から地下水を汲み上げている。その上流でヒ素が混入した未処理水を流すというのだから、重大な問題である。

上の写真は11月9日にJVの所長から説明を受けて撮影したもの。下の写真は12月14日に配管を外したと説明を受けて撮影したもの。配管はパーツの1品が外されているだけで、ほとんどはそのまま残されている。これでは、いつでも使用は可能だ。
つなぎの鋼管を1本(部品一つを)外しただけである。

当日、JV筆頭・奥村組所長は、「配管は外した」と言って、雪を手で払って見せた。その写真をよく見ていただきたい。破線の1本(1部品)だけを外しただけで、配管はそのまま残されている。

配管を確認しに来た八雲町役場新幹線推進室の職員は、この配管がどのように配置され、何の目的で配置されたのか調べることもなく、質問することすらしないので、業を煮やした我々は、奥村組所長から聞いていた通り「この配管こそが沈砂池が満水になった時に、未処理の濁水を川に排水する配管だ」と説明した。すると、いきなり奥村組所長は「そんなことは言っていない」と割って入ったのである。更に、発注者の機構責任者たちの前で、「名誉毀損で訴えるぞ」と激高したのである。我々の目的は配管の事実を確認し、未処理の有害重金属含有の濁水を排水しないように、申し入れているだけのことだ。この視察前に、わざわざ配管の一部を外していたことは、法に抵触している疑念しか浮かばない。工期も予算も決まった中で、立ち止まることは施工者には出来ない。水資源を損なうと分かっていても、やるしかない。それを強いているのは機構である。こういう問題にこそ、環境債(グリーンボンド)を充てるべきだ。

この恫喝に対して、機構は高みの見物であったことにも驚く。水道水源の汚染を心配している住民に対して、発注者である機構の現場担当所長も、札幌から来ていた機構の工事課長も、恫喝した奥村組所長を制止しようともしなかったことは、何故なのか?機構がこの配管を知らなかったはずはない。そして何故、一部だけを外した配管を目の当たりにしながら、黙認しているのか?

独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構札幌の工事第四課長の三谷氏に、恫喝と不可解な配管について見解を求め、12月18日に申し入れを行った。機構からの回答は、このホームページ上で公表する。