トンネル排水の恐ろしい環境汚染が止まらない。

春の川には多くの魚たちがやって来る。濁水を川へ排水する北海道新幹線トンネル工事。有害重金属混じりの濁水をPACとアクリルアミドで処理し、その処理水に含まれる残留成分を放流水槽(沈澱水槽)で沈澱させて、その上水を川に流す。この処理法を怠れば、川も海も汚染させることになる。流域の環境汚染は、私たちの飲料水や海産物をも危険に曝す。

八雲町の「ルコツ工区」では、2017年に沈殿物を垂れ流していたことから、私たちの指摘を受けて、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は改善を行っている。

今はどうなっているのだろうか?2020年4月30日に現場を取材した。

北海道新幹線トンネル工事現場「ルコツ工区」からの排水口の周辺は白くなっていた。撮影2020年4月30日。

白いもやもやが漂う白濁した水が川に流れ込んでいた。この白い沈澱物は一体、どういうことなのか…?

排水は白濁し、川に流れ込んでいた。排水口の周辺は白い物質が堆積している。撮影:2020年4月30日。
排水口の周辺は白い物質が堆積し、長期間にわたり、流されていたことがわかる。撮影:2020年4月30日。

まただ!2017年と全く同じ、沈澱物を水中ポンプで吸い上げて川に排水をしていたのだ。有害重金属含有の沈殿物をである。

2017年と同様に、放流水槽(沈澱水槽)の底に沈澱させた沈澱物を水中ポンプで吸い上げて排水していた。撮影:2020年4月30日。
2017年に、改善の申し入れで増設された放流水槽(沈澱水槽)から排水されている。ところが、なんと、放流水槽(沈澱水槽)で沈澱させた沈澱物を水中ポンプで吸い上げて排水していたのだ。呆れるばかりだ。撮影:2020年4月30日。

有害重金属混じりの処理濁水を放流水槽(沈澱水槽)で沈澱させて、その上水を川に流すという改善を2017年に行い、放流水槽(沈澱水槽)を増設して配慮するという機構は、その約束を全く反故にした。沈澱した残留物をわざわざ水中ポンプで吸い上げて、川に流しているのだから、悪質極まりない。呆れた組織だ。

排水口の周辺は白い沈澱物で覆われていた。撮影:2020年4月30日。
排水と沈澱物を採取して分析する。撮影:2020年4月30日。

北海道新幹線工事の沿線の人たちは、こんな不誠実な現場があることをよく知ってほしい。

住民説明会では環境に配慮するといいながら、この有様なのだ。機構の説明は決して鵜呑みにしてはいけない。この現場が、「機構の説明は信じるな」と教えてくれている。

工事沿線地域の人たちは、常に現場を監視する目が必要だと自覚していただきたい。

2017年には放流水槽(沈澱水槽)の上水ではなく、沈澱させた沈澱物を吸い上げて川に排水していた。機構に改善を申し入れ、改善されたハズだったのだが…。撮影:2017年11月17日。

八雲町内だけでも11箇所でトンネル工事が行われ、それぞれに排水がされている。排水量は膨大だ。噴火湾では養殖ホタテ貝の斃死が問題になっている。北海道新幹線トンネル工事が始まり、排水が始まった頃と妙に符合するから気味が悪い。

指導的立場にある国土交通省および、道民の生活と安全を護る立場の北海道はこうした現場があることを知り、現場を監督し、徹底した指導を行って早急に改善をしていただきたい。そして、こうした公共事業は誰のためのものなのかを認識し、大いに反省していただきたい。

以下は2017年に残留物を吸い上げて排水していた記事。

新幹線トンネル工事の排水問題。その2

鉄道運輸機構の嘘。濁水処理は、見せかけだった。