鉄道運輸機構の嘘。濁水処理は、見せかけだった。

2017年10月26日、北海道新幹線トンネル工事プラント内の視察で、トンネル掘削で出る有害重金属土を含む排水は、「しっかり、配慮して作業する」と工事責任者の所長から説明を受けていた。しかし、その視察後9日目の今日、信じられない排水が行われていることが明らかになった。

八雲町と長万部町の境界でトンネル工事が進むルコツ工区でも、「ヒ素」や「セレン」などの有害重金属含有の掘削土が、いまだ保管場所が決まらないために、工事現場敷地内に管理され、山積になっている。掘削に伴う出水や雨水によって、この有害重金属は川に流れたり土壌に潜り込む。そこで、沈澱槽で浮遊する有害重金属を沈殿させ、川に流さないように沈澱槽の底に堆積させて、堆積物は厳重に保管処理され「有害重金属が含まれていない上水」を排水する……

ところが、なんと驚くことに、沈澱物が堆積している沈澱槽の底を吸い上げて排水していたのである。少なくとも、この日まで沈澱槽の沈澱物つまり、有害重金属含有沈殿物を川に捨てていたことになる。

白濁した排水は、河床への沈澱が認められた。

黄色円内を見れば、川底に沈澱しているのが分かる。

すぐに排水は絞られたが、こんな事が平然と行われていたとは驚きである。直ちに採水した。

これまで視察の度に、鉄道運輸機構は「排水は十分に配慮して行う」と説明していたが、私たちは騙されていたことになる。

沈殿槽は単なる見せかけであり、上図のように信じられない垂れ流しがされていたのである。この事実は、大変な事態になるだろう。漁業者が懸念しているサケやサクラマス、ホタテなどの水産資源への影響どころか、有害重金属含有掘削土の評価や扱いは、人体への影響の有無を基準にしているが、もはや、それすらも危うい。国土交通省河川局、環境省、北海道は指導するだけではなく、全ての工区の排水について点検しなければならない。