北海道新幹線トンネル工事で排出される掘削土は、すでに農地に投棄され始めている。機構が独自に有害重金属の有り・無しを判定するボーリング調査は、直径が僅か6.6cmのコアを抜き取る判定法であり、含有層を外す可能性がある。これを指摘したところ、「現場の職員が目視で判定している」と言う。科学を逸した嘘のような主観的な判別が行われている。こうして搬出される残土の投棄場所には工事標識の看板が置かれていないので、何を投棄しているのかすら分からない。
そこで北海道のホームページから質問し、下記の回答を得た。
北海道渡島総合振興局保健環境部環境生活課としての 見解について下記のとおりお応えいたします。
質問1.当該掘削土に環境基準を超える有害重金属が含有されていても当該掘削土の投棄場所には有害物が投棄されている旨の看板等の表示は不要ということでよろしいでしょうか…?
【回答1】当課所管法令において、掘削土の堆積場に係る看板の設置・表示に関しての規定はございません。
質問2.環境基準を超える有害重金属を含有する掘削土を投棄した場所には、その掘削土の出所(履歴)や所属先(持ち主・責任者の所在・連絡先など)の表示をしなくても、法的な問題は発生しないのでしょうか…?
【回答2】質問1と同様の回答となりますが、当課所管法令において、掘削土の堆積場に係る看板の設置・表示に関する規定はございません。
質問3.環境基準を超える有害重金属を含有した当該掘削土を運搬するトラックにはそのような看板等の表示がありません。これは表示しなくてもよいのでしょうか…?。周辺に粉塵が飛び散っているので、土壌汚染や人体への吸引による健康被害が心配なので、教えてください。環境基準を超えた有害重金属物質が土壌浸透して汚染が広がる可能性や粉塵として周辺地域にばらまかれている可能性がありますので、上記のことについて確認したいので、北海道としてのご判断をご回答ください。
【回答3】当課所管法令において、掘削土を運ぶトラックへの積載物の表示に関する規定はございません。
北海道の河川や道路などの工事では残土が発生したら、その発生の理由と共に、看板を掲げているのに、膨大に出てくる掘削土については何らの表記がされないことは奇異である。そして、粉塵は飛散し放題となっている。
粉塵が飛散する現場を目撃し、大気汚染防止法の観点から、現地を管轄している檜山振興局環境生活課にも問い合わせた。
【回答】土の置き場につきましては、大気汚染防止法に基づく一般粉じん発生施設(土石の堆積場)に該当することから、当振興局で届出を受けており、***から提供いただきました情報につきましては、今後の監視業務の参考にさせていただきます。施設の種類等を掲載した届出書類については、ホームページ等で公表しておりませんが、情報公開条例による手続きをしていただければ、閲覧(無料)やコピー(有料)ができますので、ご希望される場合は、御手数をおかけしますが申請願います。
つまり、「”大気汚染防止法”に基づく一般粉じん発生施設に該当する」として、届けを受けておりながら、現場に工事看板が無いのだから、粉塵の飛散を危惧しても、どこに訴えてよいのかすら分からないようになっている。また、粉塵飛散防止の為の対策がどのように行われているのかすら誰も知ることは出来ないのだから、おかしな話である。
有害重金属含有の掘削土の運搬や投棄場所についても、「大気汚染防止法」や「土壌汚染対策法」がありながら、看板の設置が義務づけられていないのだから、一般人は知る必要が無いとでも言うのだろうか。直接被害を受けるのは粉塵を吸い込みながら暮らしている現場地域の人たちである。
大気汚染や土壌汚染によって住民(国民)の健康が損なわれることが無いように、住民(国民)の健康を守る目的で作られた国の法律でありながら、こんな扱いをするのなら、絵に描いた餅と同じで「掲げておくだけのアリバイ法律」同然である。
有害重金属含有の粉塵を否応なしに吸わされている恐ろしい状況にある。