2020年11月12日に、機構は北斗市議会調査特別委員会に「条件不適土」の正体を「現在の受入地の基準値の100倍超えのヒ素を含み、溶出量は環境基準の270倍超えという残土(溶出の仕方も異なる貫入岩)」であることを明かし、2年も前から掘り出していたことを認めた。
11月26日の北海道新聞全道版では、重大な問題でありながら、こんな小さな記事で、ヒ素の溶出量が270倍にもなる残土には一切触れられていない。
そして、この高濃度ヒ素を含む残土の新たな仮置き場を、北斗市と機構とで決定し、その結果を調査特別委員会において機構が明らかにした。こんな大事なことを市議会にも市民にも知らせずに決定したのである。新たな仮置き場の柳沢地区は、茂辺地川に近い上磯の海岸近くであり、サケが自然産卵している流渓川に注ぐ万太郎沢川の傍に選定された。
条件不適土の下部に敷いた「遮水シート」から流れ出したヒ素などの毒物は、濁水処理施設で処理するとある。しかし!機構がこれまで使用している「遮水シート」は、厚さが僅か1.5㎜の樹脂製なのである。でこぼこに尖った岩石が10mも20mもこのシートに積み上げられる。「遮水シート」の行く末は明らかである。
南鶉工区からは、仮置き場まで約28kmある。ダンプカー20台が一日5往復で運搬するという。一日に、(5往復=20×5×2)200回も同じ場所(下のルート図)を通過するのである。運搬経路付近の保育所から幼稚園、小学校や高校の通学通園路、住宅地、農地、憩いの場(八郎潟や温泉など)が、猛毒であるヒ素の粉塵に包まれることになる。
北斗市、八雲町、長万部町、黒松内町の各工区からの残土の搬送路では、猛毒のヒ素やセレンが入った粉塵が舞い散っている。
搬送路の周辺に住む人たちは、この粉塵が、猛毒で汚染されたものであることを知っていただき、粉塵が舞い散らないように厳重な運搬をさせる必要があるだろう。