巨大なスリットダムのその後を取材した。近くには活火山の樽前山もある。泥流を防ぐ目的で建設されたもののようだ。しかし、現場はスリットであってもダムが泥を生成することに変わりはなく、下流の河床低下は止まらず荒廃が進んでいる。では、何故スリットしても河床低下は止まらないのか…?
Google Earthで別々川をたどって巨大なスリットダムの位置をご覧いただき、みなさんも是非、考えてみてください。(検索:白老町社台)
何故、垂直型ではなく、大きく間口をスリットしないのか?河川管理者は「土砂の扞止機能を残さなければならない」と口をそろえる。説明を求めても、計算上の話だけにしかない。では、実際の現場では、この扞止機能があるとどうなるのだろうか…?
上流へと微細砂が大量に溜まり続け、樹林化する。そうなると川を流れてくる砂利は微細な砂ばかりとなる。⇒水生生物の繁殖・成育がうまくいかなくなる。そして、扞止機能があるために、下流に必要な大小の砂利が流れてこなくなる。⇒川底が下がり、川岸が崩れ、土砂災害・流木災害が多発するようになり、人命財産にまで被害を及ぼすことになる。
即ち、扞止機能とは血栓のようなものではないか。
別々川では農地整備の一環として、川筋が直線化されている。そのため多くの落差工が作られている。では、この落差工って、いったい何なのだろうか…?
流速を緩和するなどと聞いたことはあるけれど…効果ってどんな効果があるのか?みなさんも落差工のある現場を見て、是非、考えてみてください。
みなさんの身近な川の現場をよく見て知ることで、河川管理のあり方を考えてみてください。ダムを「スリットする」ことが目的では無く、スリットすることで、川を蘇らせ安定させることが目的な筈です。間違った構造のスリットでは、川は蘇りません。扞止機能という処置はまるで血栓を作るようなものです。ダムも落差工も川を壊し続けます。改善の手法を間違えれば、いつまでも泥川で災害も引き起こす壊れた川のままなのです。相手任せでは故郷を失うことになりますよ~!