渡島トンネル(南鶉)工区で真っ黒な粉塵。

北海道新幹線の長大なトンネルは、一本のトンネルだけではない。本坑から出る大量の掘削土を搬出するために、多くの横抗を掘り進める。その一つ、国道227号線「渡島トンネル(南鶉)工区」での粉塵について疑問を抱く。

この工区の敷地の雪が異様に真っ黒なのだ。粘土状の塊も見える。敷地内の粉塵を無造作に敷地外に投棄したかに見える。

新幹線トンネル工事では、ヒ素や鉛、フッ素など有害重金属含有の地層を掘り進むため、掘削土には環境基準を超えた有害重金属が含まれている。独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、有害重金属含有の掘削土を搬出する際には荷台から粉塵が飛散しないようにシートで覆い、かつ、トラックのタイヤに付着した粉塵(泥)を落として、敷地外に飛散しないように対策を講じると地域住民には説明している。

出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構・地元住民への説明用資料

しかし、敷地傍の雪が真っ黒なのは何故なのか?敷地内の粉塵をそのまま投棄しているとしか考えられない。交通量の多い幹線国道227号線は、函館方面と江差方面を繋ぐ。粉塵は乾燥して周辺に飛散し、通行中の車内、人体に吸引される。この真っ黒な物質が環境基準値を超えた有害重金属含有の粉塵であれば、健康被害も起こり得る。

雪が融けて国道の側溝を経由して大野川に流れ込み、汚染は広がる。流れてしまえば誰も気がつかない。この真っ黒な物質は何だろうか?機構は、粉塵の対策は万全だとしか説明しないが、実際にこのような事象を把握しておらず、検査もしない。機構が調べないのなら、知りたい者が検査するしかないのが実態だ。我々でサンプリングした粉塵は、専門機関で検査し公表する。

掘削土を運搬中のトラックの後ろを走ると、粉塵が飛散しないような対策をしているとは思われない。風でバタバタとはためくシートは粉塵を煽り立て、まき散らして走行している。

掘削土は、バタバタと煽られる。

独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は現況を確認し、即刻に改善していただきたい。