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ダムの影響がよくわかる暑寒別川

北海道北部の増毛町にある「サクラマス保護河川」の暑寒別川は、ダムの影響がよくわかる。1号砂防ダムは、もう砂利で満杯で、川水は堤体を乗り越えて流れている。ダム下流は、砂利の殆どが流されてしまい、川底の岩盤が剥き出しになっている。これがダムの影響の典型的な姿である。そして、川岸は浸食されて垂直の崖化し、川岸の土砂・巨石が立木もろとも流されて、川幅が異常に広がっている。

暑寒別川1号砂防ダムの下流は砂利が流されて岩盤が露出し、川岸まで流されて川幅が広がっている。撮影:2019年11月3日

「土石流防止」の砂防ダムが、その下流で新たに土砂を産出して土石流や流木を発生させている。そうして流された砂利はすぐ下流の頭首工に溜まっている。その為、頭首工から流れ出す砂利の量が極めて少なく、下流側は岩盤の露出が広がっている。

1号砂防ダムの下流の頭首工のところで、砂利が止まり、下流側に砂利が流れる量がごく僅かになっているのが分かる。撮影:2019年11月3日
頭首工の直下ではたくさんのコンクリートブロックが敷き詰められているが、土台の砂利が流されてしまったので、バラバラに壊れている。撮影:2019年11月3日
頭首工の下流側は砂利が流れてこないので、岩盤の露出が広がっている。巨石を組んで砂利を食い止めようとした痕跡があるが、悉く失敗して流されている。撮影:2019年11月3日
コンクリートブロックを敷いて、川底の砂利を止めようとした工作物があるがご覧の通りに壊れている。ダムで砂利が止められると、何をやっても壊されるのだ。税金がこうして無駄に失われている。撮影2019年11月3日
川底の砂利が失われ、川底は下がり続ける。川岸の崩壊を防ぐために自然石の護岸やコンクリート護岸にしていたが、すべて壊された。川岸の崩壊はさらに拡大している。撮影:2019年11月3日
頭首工の下流側は、川岸崩壊を防止するためのコンクリートブロックが水面のはるか上部にあり、壊されているのが分かる。川岸が崩壊すれば土砂・流木が流れ出し、災害を生み出すダムの影響は深刻である。撮影:2019年11月3日
ダムの下流では砂利が流されて、川底が下がり、さらに岩盤が露出してしまっている。川底が下がるのだから、川岸が崩壊して、そこから土砂・流木が流れ出し、下流に災害をもたらすことになる。撮影:2019年11月3日

暑寒別川は、サクラマスやサケの資源保護の為の禁漁河川である。勿論、釣りは出来ない。でも、考えていただきたい。保護を目的に釣り人を排除しているが、こんな川の状況にしておいて、サクラマスやサケの資源を保護していると言えるのだろうか?そもそも岩盤が露出した処でサクラマスやサケが繁殖出来るとでも言うのだろうか?川がこのような状況になっているのに、河川管理者は1号砂防ダムの上流に、更に複数の床固工(堤高の低いダム)を建設した。これで川全体でサクラマスやサケが産卵できないようにしてしまったのである。

釣り人が、この川でヤマメを1尾でも釣りあげれば逮捕!処罰される。しかし、河川管理者が造ったダムの影響でサクラマスやサケの資源が根こそぎ失われることになっても、誰かが罰せられることは無い。

暑寒別川

魚道を取り付けていても、産卵する場所がなければ、魚道を上っても役に立たない。ダム下流では卵を産み落としても卵が砂利ごと流されるのだから、魚が減るのは当然だ。川岸崩壊で流れ出す泥(微細な砂)やダムから流れ出す微細な砂を被り、卵は窒息して死んでしまう。

何度も言うが、この川は「サクラマス保護河川」だ。河川管理者のやるべきことは、釣り人に責任転嫁するのではなく、卵が育つように川の仕組みを蘇らせることではないか。

北海道南部せたな町「良瑠石川」や「須築川」に学ぶべきだ。

良瑠石川のスリット化は…効果絶大!

須築川ダムのスリット経過報告会と現地視察

 

 

須築川ダムのスリット経過報告会と現地視察

2020年2月14日、函館建設管理部による関係機関と協議会員を対象とした「須築川砂防えん堤報告会」が開催され、パタゴニア札幌スタッフの方と参加しました。

これまでスリット化が進むにつれ、現地を経過観察していた私たちの予想通り、報告会ではサクラマスが遡上し、上流で産卵していたことが明らかにされました。スリット化の効果が認められた訳です。

撮影:2019年11月4日

ダムの堆砂は、スリット化によって流れ出したものの、粒径は全体に小ぶりなものばかりで、下流の国道276号線(229号線)までは河床が上昇するような量には到達していないとの事。また、心配された土砂災害も無く、泥水の影響もヘドロによる水質の劣化も無いことが報告されました。

国道276号線(229号線)橋。河床低下が進行しているために、橋脚の基礎は剥き出しのまま。まだ、ここまでは十分な量の砂利が到達していない。撮影:2019年12月19日

報告会の後、段階的スリット(少しずつ切り下げていく)次の工事着手直前の現場を視察しました。

須築川砂防ダムのスリット化工事現場視察。撮影:2020年2月14日
澪筋を切り替えて、更なるスリット化工事が進められている。堤体は塗り付けたコンクリートで厚みを増していた。撮影2020年2月14日。
間口3.5mのスリット部からダム上流側へ。撮影:2020年2月14日。
須築川砂防ダムの上流側(堆砂側)からスリット部を見る。左右の管は須築川の川水を送水する管。撮影:2020年2月14日。
須築川砂防ダムの堆砂は徐々に抜けていたが、堆砂は樹林化し陸地化しているので、全量が一気に出るような心配は無かった。撮影:2020年2月14日。
堆砂の中の腐葉土などの有機質は押し固められ、ちまちまと浸蝕されて流れ出した痕跡が認められた。大量の泥やヘドロの影響が無かったのはこのためと思われる。撮影:2020年2月14日。
大きな石がゴロゴロしていた河口は、普通の砂浜のように砂礫の渚が蘇ってきている。漁港の出入口が、スリット化によって須築川から流れてきた砂利で閉塞すると言われていたが、現在その兆候は無い。撮影:2020年1月10日。

ダムのスリット化で砂利が流れてきたので、「サケがあちらこちらで産卵していたし、今まで見たことが無かったアユがたくさん産卵していた」と地元の漁師が語った。また、河口付近の海域ではスリット化が始まってから海藻の育ちがよくなり、今までにない大型のワカメが育ち、ホンダワラが密生するようになってきたとも言う。

私たちは、これからもドローン空撮による河口域の海藻の回復状況も含め、自然河川の復活、水産資源の回復など取材を続け、ダムのスリット化の効果を検証します。

 

 

トンネル残土の有害・無害の判別方法は?

今や、北海道新幹線の延伸が進むにつれて、トンネル掘削土の投棄場所や方法が問題になっている。その中でも、有害な重金属を含んでいる汚染土(機構用語「対策土」)と、そうでない土(「無対策土」)は、一体どうやって調べて選別しているのか?皆さんは、ご存知ですか?

このGoogle Earth写真の場所は、八雲町遊楽部川に注ぐ支流の「音名川」の扇状地である。川と川とが合流する扇状地は、地下水が豊富な場所だ。赤点線で囲ったところには窪地があり、いつも水が溜まっていた。

川と川が合流する扇状地は地下水豊富な場所だ。赤点線円のところに窪地があり、いつも水が溜まっていた。北海道新幹線の「新八雲駅」の正面にある。出典:Google Earth

地下水が浸みだして出来たこの窪地の水たまりをオオハクチョウやマガモなど水鳥たちが利用していた。

水溜まりで羽を休めているオオハクチョウ。撮影:2017年4月9日

ここに、北海道新幹線立岩工区のトンネル掘削土と、野田追(南)工区の掘削土が投棄されて埋められた。

オオハクチョウやマガモたちが羽を休めていた水たまりが掘削土で埋められてしまった。撮影:2019年2月7日

持ち込まれた掘削土に、有害重金属は含まれていないのだろうか?これが汚染土なら、地下水豊富な場所への投棄は土壌や地下水が汚染される懸念がある。

音名川と周辺の小高い山から流れ出す川水は、扇状地の地下へ浸透して、遊楽部川に湧き出している。こうした湧水の吹き出す川底にサケたちは産卵し、この湧水に我が子の命を託している。そして、遊楽部川の水が注ぐ噴火湾は、大規模なホタテ養殖場になっている。また、残土が投棄された扇状地帯では農家の人たちが、井戸水を生活用水に使用している。そうなると、この窪地に持ち込まれたトンネル掘削土が、有害な重金属を含んでいるかどうかは、重大な問題になる。

八雲町春日地区に立岩工区及び野田追(南)工区から掘削土が持ち込まれた。この掘削土は有害重金属が含有されているのか、いないのか…。撮影:2019年2月7日

八雲町は、「機構から無害(有害重金属は含まれていない)と聞いている」と言う。しかし、現場に投棄された掘削土を、見れば見るほどに疑問を感じてならない。それは、なぜか…?立岩工区から窪地に持ち込まれた「無害」な掘削土と、工区内で保管している「有害」な掘削土は、見た目は酷似しており素人目には区別がつかず、同じに見えるからだ。

下に「無害」と「有害」の写真を並べる。皆さんには違いが分かりますか…?

写真・左は立岩工区から春日の農地に持ち込まれた無害とされる掘削土。写真・右は立岩工区内に保管されている有害重金属含有掘削土。撮影:左・2019年1月25日:右・2019年2月17日

八雲町は有害・無害を区別する方法を確認したわけではない。「機構の第三者委員会の専門家が判断しているから問題は無い」と繰り返す。疑問を訴えても、機構の説明する「言葉」を右から左に伝えるだけで、同じ答えしか返ってこない。

では、機構は「有害」「無害」をどのように区別しているのだろうか…?住民説明会で配付された料資がある。

出典:機構提供の住民説明会用の資料

資料では、工事着手前に、トンネルのルートに沿って地上から垂直にボーリングし、「採取したコアを用いて重金属等の溶出量・含有量を調査します」と、説明が添えられている。

次の資料では、実際にトンネルを掘り進めながら掘削方向に100mごとに進行方向に水平にボーリングを行い、「コア」を採取して、有害重金属の含有の有無を判別することが示されている。

トンネル掘削前のボーリング調査図。出典:機構提供の住民説明会用の資料

二段構えで確認するという分かりやすい説明資料だ。しかし、ボーリングの大きさ”直径”は説明されていない。機構に説明を求めたところ、ボーリングの直径は僅か6.6cmであることが分かった。約80㎡もの広い掘削面積に、針の穴のような極めて小さな規模である。

針の穴のようなコアであることが分かるように、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の資料に直径6.6cmのコアを入れてみた。

例え図に描くと、有害重金属含有の地層を外す可能性が極めて高いと分かる。トンネルの掘削面積に対してこんな小さなコアを抜き取って全体を判定しているというのだから、有害重金属含有の地層を外す可能性は拭えない。地層は均一な構造にはなっていない。地層中には断層もあり、物質も異なり複雑に混在し、地層の配置も重なりも単純ではない。

有害重金属含有の地層を外せば、100m区間の全部が有害重金属含有の無い地層と判断され、掘削土は無害として扱われる。そこで、機構に「有害重金属含有の地層を見落とすことがないのかどうか?」の説明を求めた。機構は、各トンネル工事現場には「地層を判別できる専門の職員」がおり、掘削面の地層を「目視」で「有害・無害の判別」をしていると言う。各トンネル工事現場には、地層を目で見て見分けることができる専門家がいると言うのである。

出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の住民説明会用の資料
出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の住民説明会用の資料

「有害・無害の判別は科学的な裏付けが無い」ということが分かった。職員個人が、目で見て判断するという恣意的な判断で決めているという信じられない恐ろしい話だ。

北海道新幹線トンネル工事にかかわる沿線市町村の住民の方たちは、科学的な裏付けが無いまま、有害・無害を判別した掘削土を市街地建物の地盤材や畑の嵩上げ、また、農地そのものに持ち込んでいることを知っていただきたい。科学的な裏付けのない判別なのだから、判断を誤れば、有害な重金属が紛れ込んだ掘削土を何らの対策をすることなく、機構が言う「無対策土」として投棄することになる。将来、汚染が確認された時には地下水や土壌に汚染が広がり、手に負えなくなる。

地下水は人間を含むすべての生きものたちの命の水である。農林水産業を支える水でもある。市町村の住民の生命・財産を守るのはその地の行政の役目だ。地域の産業を守るのも行政の仕事の筈。地元の行政の担当職員はその責任の重さを意識して、責任を持って、機構に対して科学的なデータの有無を確認し、裏付けのないものは拒否するくらいの断固たる姿勢で臨んでいただきたい。現状のように有害無害の判断を機構に丸投げにして、汚染が発覚した時には、機構という組織があるのかどうかすら分からない。つまりは責任の所在すら無くなっているかも知れない。

「汚染が発覚したら機構に補償してもらえばよい」という声も聞く。だが、重金属含有掘削土と汚染の影響の因果関係を証明することは時間と莫大な経費がかかるだけで、不可能と思った方がよい。因果関係が分かったとしても、対策や改善ができるかどうかも分からないだろう。その結果、憂き目に遭わされるのはその地で暮らす住民である。北海道新幹線の工事が遅れるから…などと言っている場合ではない。

北海道新幹線・野田追(南)工区から持ち込まれるトンネル掘削土。有害・無害の判別には、受け入れする側がしっかり確認する必要がある。

残土を投棄した後、芝やシロツメクサの種子をばらまいて植栽している。盛り付けた残土は重機で粉砕されているので、風雨・雪にさらされて効率よく土壌中に溶出していく。有害重金属含有の有無が曖昧のまま扇状地に投棄されたのだから、土中の有害成分が土壌に浸透して地下へと潜り込み、地下水に流れ込むかと思うと心配でならない。売り土地になっている場所もある。土地の所有者が変われば、管理の手は町から離れる。

芝やシロツメクサの種子を撒いている。
残土を盛り付けた上面の芝やシロツメクサの育ちは悪い。側面は残土が剥き出しのままだ。
植栽もままならず剥き出しのまま、残土を捨てた土地が売りに出されている。

住民の健康被害が出た場合、水産資源や農作物に影響が出た場合も因果関係を証明するのは住民、農漁業者側であり、莫大な費用と時間をかけて証明するのは至難の業だ。機構は、因果関係を被害者側が証明しない限り、責任は認めない。その時に機構の組織があるのかどうかすら分からない。こんな係争が起きないようにできるのは「今」しかない。今できることは、安全性の裏付けの無い掘削土の持ち込みは即刻中止させることだ。十分に時間をかけて、安全・安心が確保されるように有害・無害の判別を科学的に適性に行い、有害重金属含有掘削土は安全・安心が確保できる場所を選定して、汚染物質が土壌に浸透しないように完全に遮水した施設に保管し、常にモニタリングしながら未来永劫に保管し、万全の態勢を担保しておくことが必要だ。残土を受け入れる責任として自治体の長は、これを機構に申し入れ、未来永劫に保管・管理する責任の所在と対策を取るように機構に念書を書いてもらうぐらいは出来る筈であり、やるべきことである。

 

 

「桜鱒の棲む川」水口憲哉:著(フライの雑誌社刊)

「ダムをやめ、川を川として活かす。乱獲はしない。何もしなければサクラマスは増える」

フライの雑誌社から気になる本が出版されましたのでご紹介します。著者は水口憲哉さんで、東京水産大学時代から原子力発電建設に関わる環境問題を長く手がけて来られた方です。

出典:フライの雑誌社

水口 憲哉(みずぐ ちけんや)
1941年生。原発建設や開発から漁民を守る「ボランティアの用心棒」として全国を行脚し続けている。著書に『釣りと魚の科学』、『反生態学』、『魚をまるごと食べたい』、『海と魚と原子力発電所』、『魔魚狩り ブラックバスはなぜ殺されるのか』、『放射能がクラゲとやってくる 放射能を海に捨てるってほんと?』など多数。千葉県いすみ市岬町在住。夷隅東部漁協組合員。資源維持研究所主宰。農学博士。東京海洋大学名誉教授。「『桜鱒の棲む川』は、今までに書いた本の中でもっとも気持ちの入った一冊です」(水口憲哉)

 

完成したサンルダム。サンル川は?サクラマスは?どうなるか。

2018年6月29日に試験湛水を開始、2019年2月11日に試験湛水が終了し、3月17日に竣工、4月から運用開始。サンルダムは完成したのである。

サンル川をせき止めたサンルダム。これでもう上流から砂利は流れて来ない。流れて来るのは泥ばかりになる。
  • 2013年11月18日

日本有数のサクラマス産卵河川として有名なサンル川に、巨大なダムが建設された。そのサクラマス資源を保全しようという魚道は、高さ46mのダム堤体に長さ440m、段差が25cmの階段が、ざっと数えて126段。更にサクラマスがダム湖に迷入しないようにダム湖を大きく迂回させて上流まで幅が3.7m、深さが1.4mの長さ7kmに及ぶ長大なバイパス水路(魚道)なのである。

サンルダム堤体からサンル川上流の魚道施設までは、延々7kmのバイパス水路(魚道)が敷設されている。
サンルダムの湛水域は広大だ。その湛水域を迂回するようにバイパス水路(魚道)が敷設されている。
サクラマスが産卵のために遡上していた支流はダム湖に水没し、その支流の上をバイパス水路(魚道)が跨いでいる。

ダム湖に注ぐ複数のサンル川支流の沢は、橋を架けてその上にバイパス水路を通しているので、サクラマスはこれらの支流で産卵することは出来なくなった。

サクラマスが産卵のために遡上していた支流の上をバイパス水路(魚道)が跨いでいる。
かつてサクラマスが産卵に上っていた多くの支流はサンルダムに水没した。つまり、本流と支流の産卵場所の多くを失ったのである。
バイパス水路(魚道)の水は、サンル川の川水を上流から取り入れた水のみだ。7kmを流れる間に水温の変動は避けられない。既に水路の底の石は泥を被っているので、水質劣化も進むだろう。魚たちは微妙な水温変化や水の臭いをかぎ分ける。この魚道を魚たちはどう判断するのか。
延長約7kmのバイパス水路(魚道)
バイパス水路(魚道)の底に敷き詰められた石。泥を被り、苔が生えている様から、水温は高いようだ。

バイパス水路(魚道)は、サンル川の上流に出口が設けられている。水路を上ってきたサクラマスは、ここからサンル川本流に入り、それぞれに産卵場へと移動して行くというシナリオだ。卵から孵化して春先に泳ぎ出し、1年の間、川で育ったサクラマス幼魚は降海するために春に川を下る。しかし、サクラマス幼魚がダム湖に入れば、ダム湖を海に見立てて、降湖型のサクラマスになってしまうのである。そこで、ダム湖に入れないようにサクラマス幼魚のすべてをバイパス水路(魚道)に導く仕掛けがされている。それは、サンル川本流の流れを堰で止め、その流れを施設に呼び込んで回転するドラムを通して、再びサンル川本流へと戻すというものだ。この回転するドラム仕掛けに、サクラマス幼魚が驚いて寄りつかないようにしているらしい。つまり、回転ドラムによって、サクラマス幼魚をふるいにかけ、バイパス水路に導くというのだ。果たして、そう上手くいくのか…?

サンル川から魚道施設に水を導くために設置された堰。上流側では、堆砂が上流に向かって溜まり始めている。増水したら容易に堰を越流するだろう。サクラマス幼魚も越流と共にダム湖に向かい、やがて湖沼型のサクラマスが出現することは目に見えている。

2019年11月2日に、この施設のすぐ上手の橋の上から観察したが、サクラマス幼魚をえり分ける施設へ本流の水を送り込むために造られた堰が、あまりにも低いもので驚いた。

サンル川上流の魚道施設に本流の水を呼び込み口。本流の水をせき止める堰の高さを見ていただきたい。低い!そして、堰の手前には堆砂が溜まっている。増水時には簡単に越流するだろうから、サクラマス幼魚は容易にダム湖に流れ込み、湖沼型サクラマスが出現することになるだろう。十分な検討がなされた施設とは思われない。

莫大な税金を投入したサクラマス資源の保全策の問題点。

1.サクラマス幼魚がバイパス水路(魚道)施設の堰を越えて、ダム湖に流れ込むことは免れない。何故ならサンル川の流れをバイパス水路(魚道)施設に呼び込むための堰には、既に堆砂が溜まっていて増水すれば、ひとたまりも無くこの堰を越流するからだ。サンルダム管理所長は「堆砂は取り除き、工事等で使用する」と言っているが、砂利を取り除くのは平水時である。だが、砂利が流れついて堆積するのは増水の時であるから、越流は免れない。サクラマス幼魚はダム湖へ流れ込むことになり、やがて降湖型のサクラマスが誕生してしまって漁獲は激減するだろう。

2.サクラマス幼魚は、1年の間、川に残り厳冬期を過ごす。越冬場所が随所に多くあったのだが、ダムの湛水によって悉く失われた。越冬環境に関する配慮はされていないのである。

左がサンル川。右に見えるのがバイパス水路(魚道)。サンル川の川岸にはアシヨシが張り出し、魚の越冬場所がたくさん見られていた。また、沼地や湿地があり、湧き水が多いことから、サクラマス幼魚の一大越冬場所になっていた。そこが水没してしまった(下の写真)のである。
良好な越冬場所(上の写真)が湛水域になり、水没してしまった。もっとも、サクラマス幼魚はこの場所への立入が禁止されている訳で、入ることは出来ない。
  • 撮影:2017年7月31日

3.サンルダムの126段もの階段魚道をどのくらいの数のサクラマスが上るのだろうか。魚道の下に100きたものが、100上がれば魚道の効果ありと言えるだろうが、それは誰も確認出来ない。魚道を上れなかったサクラマスや上らなかったサクラマスが、ダム直下にある一の沢川に押し寄せて産卵することになるだろう。そこには太古から繰り返し産卵を営むサクラマスがいるのに、新参者と競合し重複産卵し、互いに減らし合う事になるから資源は減少することになる。共にダム下の本流で産卵しているサクラマスも、重複産卵によって減少することになるだろう。

サンルダム直下。魚道の入口は左側の隅っこにある水路だ。サクラマスが100来たものが100上るという裏付けは全くない。1尾でも上れば効果有りと容認されるのだ。おかしな科学がまかり通る今流行の「忖度」魚道そのものである。上らない、上れないサクラマスは、やむを得ず付近で産卵する。他のサクラマスと産卵が競合し、互いに減らし合うことになる。大きな問題なのだが、何故か誰からも声が上がらない。
橋から見た一の沢川。水辺はなだらかで、石は苔むしている。しかし、ダムの影響で川底の砂利が流れ出すようになり、川底は下がり、川岸に段差が出来て崩れるようになっていくことだろう。ここもサクラマスの産卵場所は不安定になり、資源は減少することになるだろう。
水面までなだらかな水辺の一の沢川。サンル川の川底の砂利の減少と共に、河床の砂利が失われ、段差が出来てくるだろう。また、苔むした石もなくなる。こうした変化はダムの影響の特徴なので、ぜひ着目していただきたい。
サンル川と一の沢川の合流点。一の沢川の河床の砂利が流れ出すようになると橋と道路の取り付け部にある「橋台」の基礎部が次第に剥き出しになってくる。また、川岸にも段差が表れてくる。河床低下を視覚的に捉えることができるので、ぜひ、着目していただきたい。

サンル川は濁りの少ない川である。岩盤の上の砂利がサクラマス資源を支える要になっている。ダムによって下流に流れる砂利は、完全に止められてしまった。しかし、ダム下流の流れは砂利を運ぶ「掃流力」があるので、ダム下流の本流の川底の砂利が持ち去られることになる。岩盤の川であれば、露盤化し、そこに支流があれば、支流の砂利まで抜かれていくことになる。ダム管理者が「堰に溜まった堆砂は取り除き、工事等で使用する」と言っていることは、川の砂利がサンル川の河床を安定させる役割を担っていることに気が付いていないと言う事である。こうした意識でいる限り、やがてサンル川には、続々とコンクリート構造物が造られることになり、川は壊されていくだろう。

サンル川が注ぐ名寄川の合流点付近の川岸に堆砂している礫は、微細な砂やシルト分が見られず、粗い礫になっている。

サンルダムの下流、名寄川との合流点付近。サンル川の方には大小の砂利が多く見られるが、合流地点の名寄川は岩盤が露出しているところが多い。
サンル川と名寄川の合流点から100mほど下流の名寄川の右岸。学生がいる側がサンル川の流れが強く影響し、ここにある砂礫はサンル川から流れてきたものと思われる。
水辺の砂を一握り採取してみた。微細な砂やシルト分は全くない。粗い礫砂で、さらっとしている。
近くの川で、水辺の砂を見てほしい。こんなにもさらっとした礫砂はどこにもないだろう。微細な砂やシルト分が見られない良質な川だ。
流れる水にはうっすらとお醤油を薄めたような色が。流域の林床土壌を抜けてきた栄養分豊富な水。川の幸、海の幸を支える大切な水質だ。

サンル川の良さは、微細な砂やシルト分が少なく、森林土壌を抜けてきた栄養豊かな水が流れているところにある。サンル川が育むサクラマスは豊穣な川の証でもある。そこにサンルダムを建設してしまったことは、取り返しがつかぬ失政である。サクラマスが減少するばかりか、巨大なダムの底には膨大な泥が溜まり続け、ひいては名寄川から天塩川、沿岸に至るまで広域に影響を与え、不毛の川に変えてしまうことだろう。近年、毎年のように想定を超える豪雨があり、各ダムは「異常洪水時防災操作」による緊急放流を行い、その下流を水没させて人命財産を奪っている。川の水は集めず分散させればエネルギーは小さく被害は軽微で済むが、その水のエネルギーを膨大に集めて、わざわざ破壊力を高めてから緊急放流する。すなわち「異常洪水時防災操作」によって流入量と同じ量を短時間に放流するため、下流では水位が急激に上がるので、破壊力が増大するのだ。ダムは、まさに百害あって一利無しのやっかいな代物である。

 

進む農地への残土投棄…看板すら無い。

北海道新幹線トンネル工事で排出される掘削土は、すでに農地に投棄され始めている。機構が独自に有害重金属の有り・無しを判定するボーリング調査は、直径が僅か6.6cmのコアを抜き取る判定法であり、含有層を外す可能性がある。これを指摘したところ、「現場の職員が目視で判定している」と言う。科学を逸した嘘のような主観的な判別が行われている。こうして搬出される残土の投棄場所には工事標識の看板が置かれていないので、何を投棄しているのかすら分からない。

残土が投棄されている場所の出入口には何を持ち込んでいるのか、看板もないので、誰も知ることはできない。国道227号線(厚沢部町鶉の農地)
農地の表土を剥がして、そこに掘削土を投棄。
農地の表土を剥がして、その上に掘削土を直に投棄。
投棄されている掘削土は重機で踏みつぶされて粉塵化されている。

そこで北海道のホームページから質問し、下記の回答を得た。

北海道渡島総合振興局保健環境部環境生活課としての   見解について下記のとおりお応えいたします。

質問1.当該掘削土に環境基準を超える有害重金属が含有されていても当該掘削土の投棄場所には有害物が投棄されている旨の看板等の表示は不要ということでよろしいでしょうか…?

【回答1】当課所管法令において、掘削土の堆積場に係る看板の設置・表示に関しての規定はございません。

質問2.環境基準を超える有害重金属を含有する掘削土を投棄した場所には、その掘削土の出所(履歴)や所属先(持ち主・責任者の所在・連絡先など)の表示をしなくても、法的な問題は発生しないのでしょうか…?

【回答2】質問1と同様の回答となりますが、当課所管法令において、掘削土の堆積場に係る看板の設置・表示に関する規定はございません。

質問3.環境基準を超える有害重金属を含有した当該掘削土を運搬するトラックにはそのような看板等の表示がありません。これは表示しなくてもよいのでしょうか…?。周辺に粉塵が飛び散っているので、土壌汚染や人体への吸引による健康被害が心配なので、教えてください。環境基準を超えた有害重金属物質が土壌浸透して汚染が広がる可能性や粉塵として周辺地域にばらまかれている可能性がありますので、上記のことについて確認したいので、北海道としてのご判断をご回答ください。

【回答3】当課所管法令において、掘削土を運ぶトラックへの積載物の表示に関する規定はございません。

北海道の河川や道路などの工事では残土が発生したら、その発生の理由と共に、看板を掲げているのに、膨大に出てくる掘削土については何らの表記がされないことは奇異である。そして、粉塵は飛散し放題となっている。

残土を運び込むトラックが入るたびに、写真のように粉塵が舞い上がる。
残土は農地に直置きであり、重機で踏み固めて平にならしているので、膨大な量が粉塵化している。強風で煽られるだけでも飛散する。
投棄された残土。粉塵化しているのが分かる。
投棄された残土。粉塵化されている。
運搬しているトラックから降ろされると、重機で前後に踏みつぶして、平にならされていく。こうして粉塵が生成され、粉塵の量は膨大になっていく。
農地に膨大に投棄される掘削土。強風にさらされるだけで膨大な量の粉塵が舞い上がる。本流に支川が合流するところにある農地。扇状地であり、地下水が豊富なところだ。有害重金属含有掘削土が含まれていれば、土壌浸透して土壌成分に吸着される間もなく、有害重金属成分は地下水に流れ出すことになるだろう。そもそも学識経験者等の第三者による委員会が言う有害成分が土壌成分に吸着されるから問題無いとする条件は、どのような成分の土壌で、土壌の厚みがどのくらいあって成り立つのか、全く説明されていないのである。

粉塵が飛散する現場を目撃し、大気汚染防止法の観点から、現地を管轄している檜山振興局環境生活課にも問い合わせた。

【回答】土の置き場につきましては、大気汚染防止法に基づく一般粉じん発生施設(土石の堆積場)に該当することから、当振興局で届出を受けており、***から提供いただきました情報につきましては、今後の監視業務の参考にさせていただきます。施設の種類等を掲載した届出書類については、ホームページ等で公表しておりませんが、情報公開条例による手続きをしていただければ、閲覧(無料)やコピー(有料)ができますので、ご希望される場合は、御手数をおかけしますが申請願います。

つまり、「”大気汚染防止法”に基づく一般粉じん発生施設に該当する」として、届けを受けておりながら、現場に工事看板が無いのだから、粉塵の飛散を危惧しても、どこに訴えてよいのかすら分からないようになっている。また、粉塵飛散防止の為の対策がどのように行われているのかすら誰も知ることは出来ないのだから、おかしな話である。

有害重金属含有の掘削土の運搬や投棄場所についても、「大気汚染防止法」や「土壌汚染対策法」がありながら、看板の設置が義務づけられていないのだから、一般人は知る必要が無いとでも言うのだろうか。直接被害を受けるのは粉塵を吸い込みながら暮らしている現場地域の人たちである。

大気汚染や土壌汚染によって住民(国民)の健康が損なわれることが無いように、住民(国民)の健康を守る目的で作られた国の法律でありながら、こんな扱いをするのなら、絵に描いた餅と同じで「掲げておくだけのアリバイ法律」同然である。

北斗市の村山工区の出入口。粉塵がついたまま運搬トラックが出入りするので、道路は粉塵で真っ白になっている。大野新道の路面も真っ白だ。粉塵が広域に飛散し、住民や通行車両のドライバーはこの粉塵を吸い込んでいることになる。大気汚染防止法は全く機能していない。

有害重金属含有の粉塵を否応なしに吸わされている恐ろしい状況にある。

 

 

映画「ARTIFISHAL」上映会のお知らせ

ダムネーションに次ぐパタゴニア映画の秀逸作!

「 ARTIFISHAL 」上映会

主催:88プロジェクト(八雲) 協力:パタゴニア日本支社

日時:2019年11月30日 開場:16:30

場所:カミヤクモ321(二海郡八雲町上八雲321)

予約・お問い合わせ:090-6201-9144

  定員:30

【道路地図】

写真展とサイエンスカフェのお知らせ・羽幌町「北海道海鳥センター」

羽幌町「北海道海鳥センター」に於いて、第二弾「漁師と釣り人と活動家たちが川を蘇らせる~ダム撤去までの道のり」の写真展を開催します。初日の9月10日には、サイエンスカフェで「サクラマス資源を蘇らせる」と題した講演会を行います。

写真展の開催期間:2019年9月10日(火)15:00~ 10月31日(木)まで

 

はぼろ「サイエンスカフェ」:2019年9月10日(火)18:30~20:00

 

 

「良い渓流なのに残念です…」小鶉川の今。

2019年6月19日、当会のHPに以下の投稿が寄せられた。

「先日,厚沢部の小鶉川に行ったところ,取水堰堤の下流でグランドキャニオン化が進んでいて驚きました。今後どうなっていくのか不安です。良い渓流なのに残念です…」

頭首工の魚道建設から10年。厚沢部町の鶉川支流「小鶉川」の今を取材した。

撮影:2006年10月4日 
砂利がたくさんあったのに、すっかり流されて岩盤が露出した。撮影:2019年6月26日
撮影:2006年8月1日  ↓
魚道とダム(プール)で砂利が止められると、見事に砂利が流され、岩盤が露出してしまった。撮影:2019年6月26日
撮影:2006年10月4日 ↓
「ここにあった砂利ないよ~。これじゃサクラマス産卵できねぇじゃん」小作ブツブツ…。撮影:2019年6月26日

当時、魚道建設の検討会で砂防学の中村太士・大学教授は、「河道に張り出すような魚道建設は止めよう」と発言していたが、魚類の専門家と称する妹尾優二氏が、砂利が溜まらないという安田式台形断面型魚道と、その魚道に上らせるためのダム(プール)建設が必要だと提案し、北海道檜山振興局はそれを採用して2009年に建設した。

厚沢部川水系小鶉川

 

砂防学の専門の大学教授が提案した河道に張り出さないコの字型魚道がすでに取り付けられてあるのに、魚の専門家はそれでは不足としてダムを2つも建設させたのだ。

役に立たない魚道が残り、その魚道に上らせるために必要として建設されたダム(プール)は、砂利を止めてしまった。その結果、下流側では川底の砂利が失われ岩盤の露出は広がり、サケもサクラマスも産卵する砂利も場所も失ってしまった。

この石が下流で必要とされるのに、魚道で止められた。撮影:2019年6月26日
流れ下っていた砂利が、さらに下流のダム(プール)で止められてしまった。撮影:2019年6月26日

サクラマス資源の保護目的の魚道に加え、ダムを建設したのだから、他の川同様に、ダムの下流で砂利が失われて岩盤が露出することは目に見えていた。それを知らない筈は無いと思うのだが、見事に岩盤を露出させ、産卵場を消滅させた魚の専門家と称する妹尾優二氏。魚の産卵の仕組みや魚の産卵場を形成する川の仕組みを知っているとは到底思われない。多くの川でダムの下流を観察していれば、こうなることは事前に予測できることだ。行政に”忖度”する専門家恐るべしだ。このままではサクラマスはいなくなるし、川岸が崩壊し、土砂・流木災害発生の兆しすら見える。サクラマスや川からしっぺ返しを受けるのは魚の専門家ではなく、他でもない地元の人たちなのだ。

川底の砂利が失われ、岩盤が露出している。ご覧のように水流を受ければ、基礎が抜かれ「砂山くずし」のように川岸が崩れることになる。大雨が降れば土砂流木が流れ出し。災害が発生することになる。こんな現場があちらこちらの川で見られる。撮影:2019年6月26日

露盤化してサクラマスが産卵できなくなったばかりではない。川底が掘り下がり、左右岸から砂利が転がり出しはじめている。このままでは大雨の時には川岸が「砂山くずし」のように崩壊するのは目に見えている。サクラマス資源を減らすばかりか、土砂・流木がこうして流れ出し、土石流災害や流木災害を発生させることになり、流域の住民の生命財産を脅かすことになるのだ。

ではどうすればよいのか?魚道に魚を上らせるとして建設したダム(プール)が砂利を止めているのだから、この2つのダムを撤去することが必要だ。小さな構造物だと思われるかも知れないが、写真で見てお分かりのように、小さな作用が「チリも積もれば山となる」の例え通り、下流側の砂利を一掃し、岩盤を露出させた。今後は河岸が崩壊し、土砂流木が流れ出す。災害を起こす前に一刻の猶予もない。

まずは事業者による現地確認が必要である。そのために北海道檜山振興局に現地調査を申し入れたが、「事業が終了し、厚沢部町に移管されており、現地調査することなど出来ない」と回答。こんな対応では道民の生命財産を守ることなど出来ないし、基幹産業の水産資源すら守ることも出来ない。北海道としてこうした対応が適切かどうかについて更に説明を求めたが、「当方が行う事業では、譲与後においては、構造物などに関する全ての権限が譲与先に移りますため、道には現地調査の要否判断を含め、一切の権限がないことをご理解いただきたいと存じます」と言う事だ。しかし、構造物の所有・管理の面ではなく、構造物の影響によって下流で発生している「河床低下」及び「路盤化」については別事象である。構造物との因果関係の面から調査するべきではないか。

 

ダム下流で繰り返される補修工事…現地からの報告

天塩川支流のオカホナイ川に関する情報が、ダムの問題に取り組んでいる長谷部真さんから届いた。この工事は「河床低下が原因して、川岸が崩壊するようになり、河床が掘り下がって橋脚の基礎が剥き出しになるようになったための補修工事ではないか」との見解だ。

工事標識には国道275号線の工事「…常盤橋補修外一連工事」となっている。しかし、…一連工事とは何処の工事なのか?、工事発注者である旭川開発建設部へ問い合わせたところ、天塩川に注ぐ小さな支流「オカホナイ川」に架かる国道40号線の「岡穂内橋」の補修工事であることが解った。この標識では、一般の人には支流の橋の工事だとは分からない。どこの工事なのか解りやすい丁寧な表記をして頂きたいものだ。

長谷部さんから送られてきた岡穂内橋の写真では、橋脚の基礎が剥き出しになっていることが解る。河床低下が進行し、これまでにも補強工事がされていたことが伺える。

河床(川底)が掘り下がり、上流にある護岸の基礎は、水面から出て剥き出しになっている。水面は護岸より遙か下にあり、河床低下が進行していることが読み取れる。こうした川の上流には必ずダムがある。Google Earthで見ると、川幅が広がった所がある。

Google Earthでは解らないが、国土地理院の古い空中写真で見ると、ダムがあることを確認することができる。

1974年~1978年に撮影されたこの空中写真では2基のダムが写っている。Google Earthの写真の堆砂が見える場所は、この2基のダムより上流であることから、更に上流にもダムがあることは間違いない。

ダムの下流では河床低下が進行し、河岸崩壊、山脚崩壊(山崩れ)、道路崩壊、橋梁崩壊などの災害が数多く発生している。ダムが砂利を止める影響によるものだ。道路管理者は河川管理者と協議し、根本から災害を防ぐために、その原因となる河床低下を引き起こすダムの見直しを考える必要がある。縦割り行政で互いの権益に触れないような対応をしていたのでは、人の命はいくつあっても足りない。人命財産を守るという大義名分があるのだから、現場をしっかりと検証して、真摯に取り組んでいただきたい。