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鉄道運輸機構の職員と面談…その②その③

「その①:八雲町内の全トンネル工事で発生する有害重金属含有の掘削土の全てを山崎地区山崎川源流部の沢へ投棄することについて」からの続編。

その②:各工区の沈砂池の収容能力についてと、その③:PAC処理能力について

八雲町黒岩地区の水道水源であるルコツ川上流にある新幹線工事ルコツ工区での排水処理能力不足の改善を求めた。住民の水道水源が汚染されるかどうかの重要な問題なのである。

有害重金属含有の掘削土からの浸透水を集める集水溝が土砂崩れで埋まったまま放置されている。2018年7月8日。
大雨が収まってから5時間ほど経ていても、まだ、満水状態。撮影:2018年7月5日
有害重金属含有掘削土の浸透水を集める集水溝は土砂で埋まっていた。撮影:2018年7月5日
個人所有の庭園がルコツ工区となっている。庭園の池はルコツ工区から流れ出してきた泥水で濁っていた。撮影:2018年7月5日

有害重金属含有掘削土からの浸透濁水を集水溝でA沈砂池に集めてPAC処理施設へ送って処理している。工事敷地内の有害重金属の粉塵で泥だらけになった濁水は、B沈砂池に集めてPAC処理施設へ送って処理している。両沈砂池から50%+50%で送水して処理している。「A+B沈砂池」の総収容量は995㎥。PAC濁水処理施設の処理能力は100トン(㎥)/時間である。入手したデータを表にした。

最大雨量の53㎜/時間を基準に設計しているそうだ。しかし、雨は1時間降ってピタリと止むとは限らない。53㎜/時間降った後、雨量16㎜/時間が2時間続いた場合、PAC処理3時間分の300トン(㎥)を除しても尚、A+B沈砂池には1098㎥の濁水が集まる。沈砂池から有害重金属含有の濁水が溢れ出す計算になる。何より驚くことに、機構が示す53㎜/時間雨量に耐えられるという設計条件は「初期値がゼロ」、つまり、A+B沈砂池は「カラ」という条件であることが分かった。A、B沈砂池に泥砂が堆積していたり、濁水が溜まっていたりすれば想定雨量以下でも「簡単に溢れ出す」のである。

このお粗末な設計に対して我々が指摘すると、機構職員は「ルコツ工区は長万部工事事務所の管轄だ」として説明を避けたのである。管轄は機構の都合に過ぎない。八雲町民の水道水源が汚染される危機的な最たる重要な問題なのに、おかしな対応がされたのである。機構職員で説明できると言って専門家を同席させることを拒否し、札幌から工事第三課課長補佐 落合洋則氏が面談にやってきたのだが、いざ説明できないことは管轄外だと言うのだ。核心に触れた質問には説明しない、出来ない。それでも根拠も無く問題無いと言い切る。核心をはぐらかし、言葉巧みに住民をたたみ掛ける。機構は、こういう人物に対応をさせているようだ。こんな不誠実な対応で、住民の理解と協力など得られる筈もない。水源汚染などの影響が出たときには、そのすべてを被らなければならないのは、機構職員ではなく、この地で暮らす住民たちである。このことを忘れてはいけない。「地域の住民の理解と協力」で成り立つ事業は地域の住民の安全・安心な暮らしを担保するものでなければならない。

2018年6月14日放送のHTB「イチオシ!」で重金属土問題について、「自然にあったものをここからこっちへ移動させるだけなのに、何が問題なの…」と発言したが、こういう未熟な発言をテレビで堂々と放映するものだから、「北海道民はバカでお人よし」のようなレッテルで地域住民たちが軽侮されるのである。このコメンテーターは、自然由来という言葉に騙されているのだろう。有害重金属が存在していない場所へ自然由来の有害重金属含有の掘削土を持ち込むことが問題なのだ。そこで風化が始まり、有害な作用が始まるからである。

これまで事業者や研究者側は、自然由来のという言葉を巧みに利用し、あたかも危険が無いように説明している。しかし、自然由来であっても健康被害への区別の理由がないことから環境省は平成22年に土壌汚染対策法を改正している。旧法においては、「土壌汚染」は、環境基本法(平成5年法律第91 号)第2条第3項に規定する、人の活動に伴って生ずる土壌の汚染に限定されるものであり、自然的原因により有害物質が含まれる汚染された土壌をその対象としていなかったところである。しかしながら、法第4章において、汚染土壌(法第16 条第1項の汚染土壌をいう。以下同じ。)の搬出及び運搬並びに処理に関する規制が創設されたこと及びかかる規制を及ぼす上で、健康被害の防止の観点からは自然的原因により有害物質が含まれる汚染された土壌をそれ以外の汚染された土壌と区別する理由がないことから、同章の規制を適用するため、自然的原因により有害物質が含まれて汚染された土壌を法の対象とすることとする。(平成22年3月5日付け環境省水・大気環境局長通知「土壌汚染対策法の一部を改正する法律による改正後の土壌汚染対策法の施行について」から抜粋)

北海道立総合研究機構 環境・地質研究本部の遠藤祐司氏は自然由来の重金属について以下のようにも述べている。

北海道新幹線トンネル工事…まだまだ出る出る有害重金属土…疑問だらけの処分の仕方…汚染水が人体や生物、農海産物に与える危険な投棄場所…。いよいよ札幌でも有害重金属土の投棄保管場所の問題が始まる。

 

鉄道運輸機構の職員と面談…その①

2018年7月18日、北海道新幹線トンネル工事に関わる問題について独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構と町議3名と共に面談し説明を受けた。その①:八雲町内の全トンネル工事で発生する有害重金属含有の掘削土の全てを山崎地区山崎川源流部の沢へ投棄することについて その②:各工区の沈砂池の収容能力について その③:PAC処理能力について

その①:住民説明会用「2018-04-19・北海道新幹線建設工事の発生土への対応について(八雲町黒岩地区発生土受入地)」の抜粋資料。

八雲町内の工区が示され、全工区から発生する有害重金属含有掘削土を山崎川の源流部に投棄する予定と示されている。

河川の源流部すなわち地下水源への投棄は、地下水及び河川水の汚染が懸念されることから、我々は、この場所を○とした専門家からの説明を求めていたが、これを機構は拒否。替わりに職員が説明できると言って札幌から工事第三課課長補佐 落合洋則氏が面談にやってきた。

まず驚いたことに、投棄する場所を選定するにあたり、専門家は山崎川の投棄場所を見ていないということである。(先日、山崎川源流部の沢を有害重金属含有掘削土で埋める計画を取りあげたHTBテレビ「イチオシ!」では、大学教授が「地すべりはあるかも知れないが、影響は少ない」と述べている)何れも現地を見もしないでの発言である。

我々は、機構と面談する事前に、山崎川源流部の沢を埋める現場の地質を調査した。地質は7月5日に道央自動車道の八雲町黒岩で土砂崩れで通行止めになった同じ地山である。山崎川源流部でも地すべりの痕跡が多々あり、軟弱で崩れ易い地質であることが分かる。

道央道八雲町黒岩地区の土砂崩れ現場。撮影:2018年7月5日
道央道土砂崩れ現場と同じ地山の有害重金属含有掘削土で沢を埋める山崎川源流部。地すべりの痕跡がいたるところで見られている。撮影:2018年7月10日
有害重金属含有掘削土で埋める沢の地質が見られる林道。ちょっとした雨で土砂崩れが発生。地下水脈から水が噴き出して崩壊していた。撮影:2018年7月13日
土が固まったような地質で、地質は均一ではなく、礫質が見え、そこから水が浸みだしていた。つまり、地下水脈が複雑に存在していることが示唆される。撮影:2018年7月13日

崩れ面は、礫があり、すき間があり、そこから水が浸みだしていた。

Q:「有害重金属含有の掘削土で埋める沢は土を固めたような地質なので、脆く、地すべりしやすいのではないか」「有害重金属が土壌浸透することはないのか」➡A:「投棄する沢の地質は岩盤だから地すべりしない。」「岩盤だから土壌浸透することもない」

Q:「岩盤の岩質は何か…?」➡A:「・・・・・」絶句の後、詳しく説明できると公言していた機構職員は「調べてから回答する」と答えた。

この職員は「岩質が必要なのか…?」と逆に切り返してきた。専門家に代わって説明すると言っていたのに、自分たちが説明するのではなく、住民側に説明させ本題を逸らそうとする独特の話法で切り返してくる。我々は、崩壊した面から水が浸みだしている写真を示し、岩盤に水がしみ込んでいること、また岩盤の質は均一ではなく、礫が存在しているので水は均一に浸透しているのではなく「地下水脈」のように岩盤の中を流れていると指摘し、即ち岩盤の岩質を知る必要があると説明した。しかし、職員は現場の状況も岩質の意味すら理解しておらず、説明する能力は無い。どうせ、こんなことだろうと専門家から話しを聞きたいと事前に強く申し入れていたのに、この始末だ。誠実さは全く感じられない。

住民説明会用のP24の図を見ていただきたい。雨水・浸透水への対策が描かれている。まず、暗渠排水管が土砂で塞がらないという保証は無い。更にこの暗渠排水管の外を水が流れる可能性も否定できない。また、浸透水は図のように排水層のみを流れるという裏付けもない。流水には侵食作用があるのだから、暗渠排水管や排水槽の周辺を侵食すれば空洞ができ、水が滞れば水圧がかかって剥離面が生じ、その結果、陥没したり地すべりする。解説のように雨水や土壌中の水が流れる保証は一つもないのだ。この図は絵に描いた餅である。

更に、機構職員の傲慢さが続く…「地すべりや土壌浸透で、有害重金属が地下水や川に流れ出して汚染した場合、生物蓄積などの影響はないのか」と我々が質問すると、この職員は言葉尻を捉えて「汚染とは何をいうのか…?」「調査が先ではないか…」とたたみ込んで本題をそらしてくる。そして、なんと同席していた若い職員が「あなた方で調べたらよいではないか」と言ったのだ。住民の理解を取り付けるために丁寧な説明をすることを放棄し、無理難題をふっかけてくるのだから、もう、むちゃくちゃな話である。「専門家でなくても我々が説明できる」と言ってやってきたこの機構職員の真意は単に言葉巧みに住民を欺くものだと分かった。

機構職員は、生物蓄積は「無い」と断言している。根拠は「知見がないから」だそうだ。つまり、「知見がない」から、確認する必要が無ければ、調査する必要もないし、我々に指摘されたことに応じる必要もないというわけだ。重金属のうち「銅」は「サケの嗅覚細胞数を減少させる」ことが知られている。ならばヒ素はどうなのか、鉛はどうなのか、ふっ素はどうなのか…影響が十分に推定されることだが、何れも知見がないことを逆手に取って、「影響は無い」と言い、「文句があるならお前たちで調べろ」というわけだ。札幌へ帰ったこの職員は、北海道新幹線建設局局長にどう報告したのだろうか?このような対応をする職員を派遣するということは、局長は事業現場で起きている問題には無関心だということなのか?

北海道新幹線トンネル工事…まだまだ出る出る有害重金属土…疑問だらけの処分の仕方…汚染水が人体や生物、農海産物に与える危険な投棄場所…緊張も責任も微塵も感じていない機構職員…その②その③へつづく。

 

治山ダムが生んだ日勝峠の崩壊とペケレベツ川の荒廃

2018年4月~5月に開通した国道274号線で日勝峠を越えた。

山腹の崩壊が見られる。
崩壊した国道は補修されていたが、こうした谷は橋梁構造に出来ないのだろうか。

降った雨は山の斜面を流れる。山の斜面には起伏があり雨水は谷に集まる。この雨水の通り道に建設された国道は、川のようになった水が法面を浸蝕させ、道路もろとも崩落。谷を埋めて道路にした区間では、排水管が塞がり水が溢れ出して崩壊…。こうした場面はこれまでも何度も見てきた。雨水対策の甘さを感じる。谷は大きく跨ぐ「橋梁構造」にする対策を選択しないのは何故なのか? 管理者である同じ開発局には、山を削らず、谷を塞がず、橋で大きく跨ぐ構造にしている事例がある。それが下の写真にある知床半島のウトロから浦臼を繋ぐ国道334号線である。

知床半島の付け根、知床峠を経由してウトロと羅臼を繋ぐ国道334号線では道路が崩壊するのを避けるように山を削らず、谷を埋めず、橋梁構造にしている。こうすれば日勝峠の道路崩壊は免れただろう。撮影:2018年7月1日

峠の清水町側で目にしたのは、ペケレベツ川の荒廃だった。川の両岸が崩れ、川幅は広がっていた。川の荒廃の始まりは国道274号線からも始まっていた。十勝川水系ペケレベツ川(清水町)は、2016年8月30~31日の台風10号の豪雨で土砂・流木が市街地に押し寄せる災害が発生。家屋が流され、橋の取り付け部が流されて車が転落する犠牲者が出た。

今回、この国道の崩壊箇所と、甚大な災害があったペケレベツ川の荒廃地点が重なることについて考えてみたい。

国道274号線直下を覗き込むと、ペケレベツ川の崩壊の始まりが見られる。
両岸の崩壊が見られるペケレベツ川。

両岸が崩壊して川幅が広がったペケレベツ川には新たな砂防ダムが2基、建設されていた。

両岸が崩壊し川幅が広がった。そこに砂防ダムが2基、建設された。

このずっと下流には底が抜けた1号砂防ダムがある。すでに底が抜けているので、その直下に堤長200m規模の砂防ダムを新たに建設中である。

底抜け下1号砂防ダムと新設された堤長200m規模の砂防ダム・撮影:2018年4月29日

この豪雨で壊れた1号砂防ダムを見ていただきたい。底抜けしているから魚道もグシャグシャだ。ダムの下流は河床が下がる。この1号砂防ダムから下流全域も例外なく河床が下がっていた。増水は川岸を砂山崩しのように容易に崩壊し、川幅を広げ被災を大きくする。ダムの下流で起こる河床低下が崩壊を誘引し土砂災害を起こす。それでも尚、堤長200mクラスの大規模なダムを新たに建設するという乱暴なやり方だ。

底抜けした1号砂防ダム・ダム直下から砂利不足になるので、当然の帰結なのだ。しかし、また新たに砂防ダムを建設…自作自演の河川事業だ。撮影:2018年4月29日
底抜けした1号砂防ダムのすぐ直下に堤長200mクラスの巨大な砂防ダムを新設。撮影:2018年4月29日

ドローンで見る「ダム下流では何が起きているのか?」

ダム直下から川底が下がる。そこへ増水が押し寄せれば、「砂山くずし」状態でバタバタと川岸が崩れ、山が崩れるのが道理なのだ。その結果、川幅が2倍、3倍に広がるわけだ。撮影2018年4月29日

山が大規模に崩壊して川幅が異常に広がっていることが判る。この下流には堤長278mの巨大な2号砂防ダムまであり、この堆砂は上流へ向かって広い平らな面をつくっている。その平らな面を水が流れ、溝筋が蛇行して左右の岸を崩壊させ、山崩れを発生させている。崩壊する前の川の状態はGoogle Earthで見ることができる。川筋は鬱蒼とした樹林に覆われて見えない。ダムがなければ、増水しても樹林の中に水が入り込むだけで、川岸や山を崩壊させたりするようなことは無い。2号砂防ダムの堆砂域では川岸の樹林が川岸もろともごっそりと崩れていることが分かる。

では、「ダム上流では何が起きているのか?」

ダムが溜めている堆砂域を見ていただきたい。ダムは砂で埋まり、V字谷が広く平らな面になっている。その上を洪水が流れ、澪筋が暴れて、崩壊させていることがお分かりだろう。

底抜けした1号砂防ダムの上流は堆砂で平になっている。平らな面を水は蛇行して流れる。この蛇行の流れが川岸を浸食し、山の斜面を崩壊させる。つまり、ダムが河岸を崩壊させ山崩れを誘引していることが読み取れる。撮影:2018年4月29日
ペケレベツ川2号砂防ダムの堆砂域。V字谷だったところがだだっ広い平らな面になっている。その上を澪筋が蛇行して流れている。両岸は崩壊している。

つまり砂防ダムは、ダム下流でもダム上流でも両岸を浸蝕し、山をも崩壊させる。「砂防」という名を付けられていても、実は土砂・流木災害を生み出す危険な構造物なのである。「百害あって一利無し」の災害誘発構造物(災害製造機)といったところだ。

 

須築川砂防ダムの段階的スリット検証②

せたな町の須築川砂防ダムのスリット化は段階的に行われている。昨年は第一段階として、高さ9mの堤体に間口3m×深さ3.5mのスリットがあけられた。そして、2018年2月に第二段階として、1mを切り下げるという。

須築川は北海道指定の「サクラマス保護河川(禁漁河川)」である。スリット化が終わるまではサクラマスは砂防ダムの上流に上ることは出来ない。サクラマスのライフサイクルは3~4年だ。サクラマス資源の復活を目的にしたスリット化工事に、3年以上かかれば、資源は枯渇することになる。当会は、2018年1月31日に宮崎司代表と河川管理者である渡島総合振興局函館建設管理部今金出張所へ赴き、サクラマス資源復活のため、スリット切り下げ量の増加と3年以内の完成を目指すように申し入れを行った。

第二段階のスリット化工事が終わり、2月16日に現地を視察した。申し入れが聴許されたのだろうか、切り下げ量は1.7mになっており、合計5.2mまで切り下げられた。これで全スリットまで残り3.8mだ。今年度中に切り下げが完了すれば、資源の復活が期待できそうである。

須築川砂防ダムスリット化工事現場の入口看板。漁業資源である「魚が遡上出来るようにしています」と掲げられている。撮影:2018年2月16日
工事関係者から説明を受ける当会代表宮崎司。撮影:2018年2月16日
堤体は3,5m切り下げ後、更に1,7m切り下げられた。撮影:2018年2月16日
スリット化で切り取られたコンクリート塊。撮影:2018年2月16日
これが堤体のコンクリートを切るワイヤーソーだ。太さ2cmほどのワイヤーに小さなダイヤモンド粒子を埋め込んだ鉄のリングがたくさん付いている。このワイヤーを堤体に穿った穴に通し、機械でぐるぐると回し引きしてコンクリートを切る。撮影:2018年2月16日
トラックに乗せられていたワイヤーソーを引き回す機械。意外に小型で簡単な構造をした機械だ。撮影:2018年2月16日

2月18日には、せたな町の漁師と「せたな町の豊かな海と川を取り戻す会」の人たちの現地視察に同行し、スリット切り口を確認。須築川砂防ダムは重力式ダムで、コンクリートの塊である堤体の断面は台形型。下にいくほど厚みが増し、今回切り下げた下端のコンクリートの厚みは5mある。

2018年2月18日、ひやま漁協と「せたな町の豊かな海と川を取り戻す会」が現地視察。撮影:2018年2月18日
切り下げられた堤体を視察する、早期のスリット化を願っていた漁師たち。足下の堤体の厚みは5mある。撮影:2018年2月18日

ダム堤体をドローンで上空から撮影した。工事の際に切り替えた水の流れはそのままであることが分かる。

間口3m、深さ3.5m+1.7m=5.2mまでのスリット。サクラマスのライフサイクルを考えれば、今年度に一気に下まで切り下げることを切に願う。撮影:2018年2月24日
堤体の堆砂側から望む。上方が下流側である。工事のために川水の流れが切り替えされている。撮影:2018年2月24日
本来は急峻なV字地形を流れる須築川。砂防ダムは流れて来る砂利を止めてしまう。そのため、砂利は上流へと膨大に溜まり、広い河原が形成される。

流れて来る砂利を止める砂防ダムは、ダムの容積以上に、上流に向かって砂利を溜め続ける。その為、本来は存在しない広い河原が形成される。こうしたダムが止める砂利の量は、計画時のダムの容積で判断することは出来ないことがお分かりいただけるだろう。

漁師は見てきた。「砂防ダムがなかった時代、毎年、須築川は真っ黒に染まるほどサクラマスが上った」。太古から長い年月を経て水と砂利の流れがバランスよく安定した川であった証拠だ。砂防ダムが建設された後、サクラマスは激減した。サクラマスの産卵できる川の仕組みを壊してしまったからだ。漁師が願うサクラマス資源の回復は、砂利が下流へと流れ下るようにしなければ見込めない。一刻も早い全スリット化の実現に誰もが期待している。

 

 

6月14日午後6時15分からHTBテレビ「イチオシ!」で有害残土問題…

614日午後615から、HTBテレビイチオシ!

北海道新幹線トンネル工事で掘り出される「有害重金属含有の掘削土」の処分の問題がテレビで放送されます。

ぜひ、ご覧下さい。

北海道新幹線トンネル工事現場。持ち出せない有害重金属含有の掘削土は風に飛ばされないよう、雨で流れ出さないようシートで覆われ、保管されている。2018年現在、有害掘削土は写真の左手の農地に拡張し、積み上げられている。立岩工区(八雲町立岩)。撮影2017年11月2日。
北海道新幹線トンネル工事現場。立岩工区(八雲町立岩)。撮影2017年11月2日。
北海道新幹線トンネル工事現場。PAC処理された排水は遊楽部川へ流され、噴火湾に注ぐ。立岩工区(八雲町立岩)。撮影2017年11月2日。

この持ち出せなくなった有害掘削土及び八雲町内の工事で発生する全有害掘削土を八雲町黒岩地区の山崎川の源流部に投棄し、谷を埋めるという計画です。下記に住民説明用の資料を添えます。

出典・新幹線建設工事の発生土への対応について(八雲町黒岩地区発生土受入地)説明資料・平成30年3月28日・独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構・北海道新幹線建設局…以下に同資料を添えます。

独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構が責任を持つ期間は2年間とされております。

福島県喜多方市の地滑りは、ダム湖の横で発生。

福島民友ニュース(web)によれば、「…1時間に8ミリの地面の動きが観測されるなど危険性が高まっているとして、喜多方市は避難準備の情報を出していた1世帯2人に、29日午後、避難勧告を…」、「…県によると、亀裂は1日6~10センチ広がっており、場所によっては深さ約70センチの亀裂が…」とあります。2018年5月30日:福島民友ニュース⇒URL:http://www.minyu-net.com/news/news/FM20180530-274920.php

また、NHK NEWS WEB(福島)では、「…福島県によりますと、今回の地滑りが起きた地区の近くでは昭和20年ごろから同じような地滑りがたびたび起きていたということです。しかし、40年あまり前の昭和52年度にかけて地滑りの原因となる地下水の排水作業などの対策を行ったところ、その後、地滑りの被害は出ていませんでした。…」とあり、ダム湖の湛水との関わりは触れられていません。2018年5月29日:NHK NEWS WEB(福島)⇒URL:https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20180529/6050001248.html

昭和20年ごろと今回の地滑りが発生しているところは東北電力株式会社の「山郷ダム(山郷発電所)」のダム湖に面した場所となっています。地滑りが発生したのは昭和20年ごろで、山郷ダムの運用開始時期は昭和18年2月となっています。従って、本来なら「地滑り」と「ダムの湛水」との関わりについて触れられるはずなのですが、一切触れられていません。なぜなのでしょうか?山郷ダムの運用開始時期⇒URL:http://www.suiryoku.com/gallery/fukusima/yamasato/yamasato.html

奈良県川上村白屋地区では大滝ダムの湛水に伴い、ダムに面した場所で地滑りが発生し、全村民が移転を余儀なくされて、村が消滅した事例があるのです。「kabuの健康blog」さん参照⇒URL:http://kenkoulife1.blog.jp/archives/3149539.html

また、過去には、1963年のこと、イタリアの「バイオントダム」でダム湖に面した場所で地滑りが発生して土砂がダム湖になだれ込み、その結果、ダム津波が発生して甚大な被害が発生しています。URL:

衝撃の瞬間「ダム津波の脅威」

喜多方市の「地滑り」報道ではダムとの関わりに触れる情報はありませんので、気がかりです。

………

これまでの報道⇒NHK NEWS WEB(福島)とANNニュースを添えます。

2018年5月25日:NHK NEWS WEB(福島)⇒URL:http://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20180525/6050001200.html

2018年5月25日のNHK NEWS WEB(福島)の報道によれば「喜多方市西部の高郷町で地滑りが発生し、周辺の地面が1時間あたり数ミリずつ動き続けていることがわかりました。 地滑りでできた地面の亀裂は住宅に近づいていて、喜多方市は(2018年5月)25日午前、災害対策本部を設置し、地盤の変化を観測している県とともに監視を続けています。 県などによりますと、今月2日、喜多方市高郷町の県道367号線で、道路や道路沿いの斜面に10か所ほど地滑りによる亀裂が見つかりました。…」とあります。

2018年5月25日:ANN⇒URL:

さらに、高郷町揚津の中村地区での地滑りは今なお拡大しているとのことです。

2018年5月25日のNHK NEWS WEBでは、地滑りの場所を中村地区の「周辺」や「川に沿った道…」としていますが、Google Earthで確認すると、東北電力株式会社「山郷発電所ダム」のダム湖(湛水域)の横であることが解りました。また、「県が5月20日に地盤の変化を感知する機器を設置し、その観測によると、地面は今も1時間あたり数ミリずつ動いている」とあり、早期の避難が必要となるでしょう。心配です。

 

 

厚沢部町の山中に汚染土。その処理法は他にない粗雑な扱いである。

厚沢部町鶉地区から滝野方向へ右折した山中に、厚沢部川の支流である意養川に注ぐ小さな沢がある。この沢の源流部に新幹線トンネル掘削土の捨て場がある。真っ黒な粉塵にまみれた南鶉工区で掘削している有害な重金属を含んだ掘削土は、ここに運ばれている。

鉄道運輸機構は、有害重金属含有の掘削土を小沢の源流部に捨てても、「①・有害重金属は土中の吸着層に吸着させて外に出さない。②・沈澱池をつくり、有害重金属含有の濁水対策をする。③・モニタリングをして監視する。」から問題は無いと厚沢部町民に説明している。

P14の図には有害重金属含有掘削土の下部に「吸着層」、「基盤排水層」、「明渠(きょ)排水」が描かれ、その下が岩盤になっている。

ここで問題なのが、「吸着層」で説明通りに吸着される裏付けは実験室とは異なる。流れる水は「浸食作用」があるので「基盤排水槽」や「明渠排水」の下部が浸食されて空洞化がすることが考えられ、有害重金属含有掘削土の重みで陥没すれば容易に流れ出すことが想定される。そもそも川の源流部での投棄は、汚染が広範囲に及ぶので下流一帯の居住地域までが汚染されることになる。土壌浸透して地下水が汚染し、有害重金属含有の濁水が流れ出したりした場合、どのような対策が出来るというのか。変事の際は、その時点で汚染されているわけだから、元へは戻せない。

「モニタリングをして監視する」…このモニタリングというのは概ね2年で終了する。八雲町民にはそう説明している。しかし、何故か厚沢部町の住民説明用の資料には期限が書かれていない。機構の対応は、自治体によって相違するようだ。土壌汚染の進行は緩慢なので、汚染が確認されるのは2年よりもず~っと先になる。2年のモニタリングで発見できる筈もなく、住民を欺いているとしか言いようがない。独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は真摯に住民に向き合い、危惧されるリスクを正直に説明するべきである。

捨て場近隣では井戸はないと説明しているが、これはヒ素が検出されるかもしれないと言う事を示唆している。そもそも井戸があろうがなかろうが汚染は許されない。厚沢部町は、メークイン(じゃがいも)やアユの友釣りで知られる。これらには清らかな水資源が不可欠だ。その大切な水の源流部に有害な物質を投棄することを何故、厚沢部町は決断したのだろうか?

有害重金属含有の掘削土はこの場所に置かれたまま、未来永劫雨水にさらされ続けることになる。そして、影響が露呈した場合には被害を被るのは他でもない地元住民である。その時になって声を上げても、「問題無い」とお墨付きを与えた専門家や独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構の職員も、責任を負う者はいないのである。

 

渡島トンネル(南鶉)工区で真っ黒な粉塵。

北海道新幹線の長大なトンネルは、一本のトンネルだけではない。本坑から出る大量の掘削土を搬出するために、多くの横抗を掘り進める。その一つ、国道227号線「渡島トンネル(南鶉)工区」での粉塵について疑問を抱く。

この工区の敷地の雪が異様に真っ黒なのだ。粘土状の塊も見える。敷地内の粉塵を無造作に敷地外に投棄したかに見える。

新幹線トンネル工事では、ヒ素や鉛、フッ素など有害重金属含有の地層を掘り進むため、掘削土には環境基準を超えた有害重金属が含まれている。独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、有害重金属含有の掘削土を搬出する際には荷台から粉塵が飛散しないようにシートで覆い、かつ、トラックのタイヤに付着した粉塵(泥)を落として、敷地外に飛散しないように対策を講じると地域住民には説明している。

出典:独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構・地元住民への説明用資料

しかし、敷地傍の雪が真っ黒なのは何故なのか?敷地内の粉塵をそのまま投棄しているとしか考えられない。交通量の多い幹線国道227号線は、函館方面と江差方面を繋ぐ。粉塵は乾燥して周辺に飛散し、通行中の車内、人体に吸引される。この真っ黒な物質が環境基準値を超えた有害重金属含有の粉塵であれば、健康被害も起こり得る。

雪が融けて国道の側溝を経由して大野川に流れ込み、汚染は広がる。流れてしまえば誰も気がつかない。この真っ黒な物質は何だろうか?機構は、粉塵の対策は万全だとしか説明しないが、実際にこのような事象を把握しておらず、検査もしない。機構が調べないのなら、知りたい者が検査するしかないのが実態だ。我々でサンプリングした粉塵は、専門機関で検査し公表する。

掘削土を運搬中のトラックの後ろを走ると、粉塵が飛散しないような対策をしているとは思われない。風でバタバタとはためくシートは粉塵を煽り立て、まき散らして走行している。

掘削土は、バタバタと煽られる。

独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は現況を確認し、即刻に改善していただきたい。

 

 

厚沢部川の河道拡幅は、川津波を彷彿とさせる。

出典:平成28年度・第3回公共事業評価専門委員会・議事録から抜粋

事業主体者・北海道渡島総合振興局函館建設管理部による「厚沢部川水系広域河川改修事業」総事業費・国費200億円(道費90億円)は、現在、次々に不具合が生じて、新たなる工事を追加しなければならなくなる「工事のための工事」が見て取れる。公共事業を再評価した専門家たちの追認作業によって事業費は、224億7千万円(道費101億1千1百万円)に膨らんだ。

 

北海道・平成28年度・公共事業再評価総括表
(拡大)北海道・平成28年度・公共事業再評価総括表

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上流からの水は本川にゆっくりと集まる。支流ごとに流れる水の時間差があるからだ。ところが、この厚沢部川改修工事は先ず上流域の各支流の川幅を拡幅したのである。その結果、短時間に大量に本川に一気に水が集まるようになった。本川の下流域では、水位が上昇して堤防から越流する危険性が高まったのである。そこで、河畔林を伐り払い、河原や川岸を掘削して下流域一帯の川幅を大規模に拡げることになった。拡幅された川の様相は一変し、恐ろしささえ感じる。厚沢部川の下流域の海抜は、ゼロに等しい。住宅が密集し水稲栽培が行われている。「川幅が大きく拡がったことで、川を遡ってくる津波は強大なものとなり甚大な被害を被るのではないか」と、住民の不安の声を聞く。

1993年7月12日、奥尻島付近を震源とする北海道南西沖地震で津波が発生し、日本海側の集落が大きな被害を受けた。また、7年前の東日本大震災では津波が川を上流へと遡り、海から遠く離れた上流で堤防から水が溢れ出し家屋を飲み込み、多くの犠牲者を出した。川を遡る「川津波の怖さ」は、2018年3月4日「NHKスペシャル・”川津波”~震災7年 知られざる脅威~」で取りあげられ、その危険性を明らかにしている。

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586023/index.html

2012年10月4日に行われた説明会で、「こんなに川幅を広げて直線化したら、津波が一気に川を遡る。海域に近い厚沢部町市街地は、大丈夫なのか?」と質問すると、厚沢部町副町長は、机をドンと叩いて、「そんなことは、河川工事が終わってからの話で、今そんなことを言ってもらっては困る!」と烈火の如く激怒したのである。

伐採前の河畔林。鬱蒼とした河畔林は堤防を浸蝕されないように護る保護帯の重要な役割がある。撮影:2012年5月28日(基栄橋から上流、市街地方向を見る)
河畔林はすべて伐り払われた。更に、川岸を掘削して川幅を広げたことで、水流が堤防に直接当たるようになり、堤防が浸蝕されて決壊する危険性が増した。撮影:2017年11月15日(基栄橋から上流、市街地方向を見る)
厚沢部川の河道は大幅に拡幅された。海に近い市街地に、津波が一気に侵入し易くなった。拡幅工事によって、川津波の危険性が増したと言える。撮影:2018年3月27日(基栄橋から上流の市街地方向を見る)

こうした河道拡幅はインフラにも影響を与える。市街地に架かる松園橋も例外ではない。「松園橋上流一帯の河畔林を皆伐して川岸を掘削し、河道を拡幅すれば、松園橋が崩壊する危険がある。何れ補強しなければならなくなる」と指摘すると、副町長と地区長はガハハハッと笑って踏ん反り返ってこう言った。「そんなこと絶対あり得ないから、ほっといてくれ」

その後、松園橋の上流側の河畔林は皆伐された。そして、川岸を掘削して川幅を拡げるに従い、左岸の浸食が急速に進んだ。松園橋の左岸の高水敷にあった道路は崩壊して無くなり、その崩壊は橋台に迫っていったのである。

URL:http://protectingecology.org/information-2/assabugawa

川岸は河畔林に覆われており、堤防や松園橋の橋台は護られていた。撮影:2011年11月10日
川岸を覆っていた河畔林がすべて伐られ、川岸も削られた。増水時には左岸(右側)を水流が中るようになったので、松園橋の橋台周りが見る見るうちに浸蝕されてしまった。撮影:2014年4月24日
川岸はどんどん浸蝕される。急速に橋台付近まで浸蝕され始める。撮影:2013年3月30日
河畔林を皆伐し、川岸を掘削した後、松園橋の橋台付近がどんどん浸蝕され始めた。とうとう土のうで、橋台を護るまでになった。撮影:2015年4月28日
松園橋の橋台へ向かって浸蝕は続いた。撮影:2017年10月27日

そして、2018年3月22日の厚沢部川取材で目にしたのは、副町長たちが「あり得ない」と言っていた松園橋の左岸の取り付け部(橋台)を保護するための護岸工事が遂に行われていたことである。

松園橋の左岸の取り付け部を保護するための護岸工事。撮影:2018年3月22日
立派なコンクリート護岸が完成した。撮影:2018年3月27日

事業そのものが引き起こす被害が発生するようになり、それがまた、新たな工事を創出している。国費200億円を使い切って、尚も事業費を膨らませる。この河川改修の在り方は、次の工事を生み出すための布石に見えてくる。まるで打ち出の小槌だ。なるほど、だから副町長たちは、危険性の指摘に「津波の話は今するな」、「橋が壊れるわけがない、ほっといてくれ」と言ったのか。

厚沢部川の豊かな餌資源や河畔林をよりどころに野鳥が集う。オジロワシ、ヤマセミ、シマアオジたち……厚沢部川の尺アユ、水産業を支えるサケやサクラマス、風物詩ともいえるカーバイトの明かりで川面が光る夏の夜のカワヤツメ漁やモクズガニ獲り……故郷を愛しんできた住民の楽しみは、北海道が誇れる生き物たちと共に、厚沢部川から消えてしまった。

 

排水先からヒ素が検出。沈砂池を検証する。

北海道新幹線トンネル工事ルコツ工区での濁水処理の稼働が開始される直前、2017年4月27日に排水先になるルコツ川とロクツ川の合流点を撮影。安定した川底の砂利は、多くの魚たちの営みと産卵を育んでいる。美しい自然河川だ。住民の飲用水でもある。ところが、工事が始まると、濁水や微細砂が堆積するようになったのである。

2017年4月27日に撮影したルコツ川(左)とロクツ川(右)の合流点。

2017年11月14日には、白濁した酷い状態になった。上空から撮影したところ、トンネル工事現場のルコツ川から流れていることが分かった。ロクツ川との合流点へ行ってみると、これまで見られなかった(4月27日撮影)微細な砂が大量に堆積していた。この堆積物は直ちに採取し、専門機関に分析を依頼した。

撮影:2017年11月14日

● 検液の作成方法:平成3年環境庁告示第46号(溶出試験)による方法

その結果、微量ではあるが「ヒ素」が検出されたのである。これは、「謎の配管」(12月20日当HP記事)で、JV筆頭奥村組加藤所長が説明した沈砂池A及び沈砂池Bから未処理のまま濁水を川に排水する目的で敷設された配管から、実際に垂れ流していたことを示唆している。

この沈砂池A及び沈砂池Bの貯水容量について、独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構が示すデータについて検証する。

設計条件のうち、全沈砂池がカラであっても、8,250㎡の敷地の土壌が目詰まりすれば、流出係数0.5は1.0に近づき、流出係数1.0の場合はA+B沈砂池の全容量は1,026,61㎥となり、PAC処理量100㎥を減じても926.61㎥なので、沈砂池の余裕はわずかに68.39㎥でしかないことが分かる。従って、時間雨量57㎜を超えれば、PAC処理量100㎥を減じても、1,004,09㎥となり、沈砂池の全貯水量995㎥を軽く超えて沈砂池から濁水が溢れ出すことになる。

撮影:2018年1月14日
撮影:2018年1月14日

設計条件の前提は、沈砂池Aおよび沈砂池Bがカラの状態、つまり、貯水量がゼロという条件なのだから、現実的には常時メンテナンスが実施されて、常に全沈砂池がカラの状態が維持されていなければならない。写真のように現場では積雪あり、結氷ありの沈砂池となっている。さらに貯水あり、堆砂ありで、カラの状態が維持されることはあり得ない。

撮影:2018年1月14日

従って、機構が説明するような設計条件は、あくまで前提であり現実的ではない。また、この配管には濁水を吸い上げる水中ポンプが取り付けられていたことから、11月14日の濁水流出の痕跡が裏付けられる。この川にはルコツ工区以外から濁水が流れ出すような背景は全く存在しない。

八雲町と長万部町の最近10年間の時間最大雨量の変遷を示す。

最近では、スコールのように短時間に大量の雨が降ることが多い。過去40年のアメダスから最大降雨量を設計条件としているが、最大値53㎜は、2013年のつい最近のことである。

私たちは、これまで何度もルコツ工区の沈砂池の規模が不足していること、PAC処理施設の処理能力が不足していることを訴えているが、機構は頑なに改善を拒否している。北海道の自然、水資源・水産資源を犠牲にした新幹線トンネルの闇は深い。