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サクラマス幼魚の越冬河川に汚染水。

北海道新幹線トンネル工事によるPAC処理後の有害重金属を含む水を、サクラマス幼魚が越冬する小さな川に排水する計画について、私たちは事業担当者に見直しを求めており、2018年12月26日に札幌工事第三課課長補佐・落合洋則氏と、八雲建設所長の樋口哲哉氏ほか数名の職員と面談することになった。

サクラマス幼魚の越冬河川にPAC処理排水管は既に敷設されていた。撮影:2018年10月17日

これまで真摯に対応されてきた担当者が転勤された後、機構の対応はガラリと変わり、報道関係者の同席を毎回拒否し、求める資料を示すこともなく面談の度に、「問題は無い」を繰り返すだけで実に不誠実な対応しかない。

前任の浦川所長は、環境負荷を軽減するために出来ることは配慮を実践し、住民や環境団体、議員や報道関係者に至るまで、嫌な顔一つせず具体的な資料を揃えて、厭わず実に丁寧な対応をされてきた。ところが、人事が変わるだけでこうも簡単に環境が危うくなる…現場人の裁量次第だということを思い知らされる。

それどころか、この侮蔑な対応しかしない樋口所長と落合課長補佐は、面談とは関係の無い話題を持ち出し、我々のホームページに発言の責任の所在として名前を表記したことについて、名前の公表は「人の命に関わる問題がある」と切り出した。「人の命は何よりも重たい」と言う。全く理解できず、意味不明だ。独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は現場の職員の命を危険にさらすような説明を住民にするように強要しているのだろうか?呆れた話である。国税を使った事業についての説明に、その説明の責任の所在を表記することがなぜ命に関わることなのか…? (国は「誰と話したのか?担当者の名前もわからないような相手と話したのか?」と言うから、表記したまでだ)莫大な血税を使用した北海道新幹線だが、地域貢献を一つの目標に掲げているのであれば、地域の基幹産業を損ない、住民生活や住民の生命を脅かすことがあってはならない筈だとこちらが言いたくなる。見直しや改善を求めて、面談を申し入れているのである。その面談を公表することが職員の命に関わるとはいったいどういうことなのだろうか…?独法・鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、落合洋則課長補佐が命の危機にさらされているというのだから、現場を適切に指導すべきではないだろうか。

くような内容で、貶める粉飾文言を交えたメールが届いた。以下(青字)は、当会「流域の自然を考えるネットワーク」の問い合わせメールに届いた機構職員の実際の文言である。

八雲建設所 樋口です。ご質問いただいた件に関して下記のとおり回答致します。

当方が専門家へ環境調査結果やその結果を踏まえた対処などについて説明を行う際、調査や対処に関することのほか、当該調査に関して関係機関や住民の方からの意見や提言がある場合は、必要に応じてそのことも含めて説明し、意見を聞くことがあります。環境調査結果やその結果を踏まえた対処について、専門家と打合せを行う一環で説明を行っていることであり、その内容を公表するものではなく、個人情報や守秘義務に関して問題となることではありません。

宮崎氏と稗田氏がネット上に弊社職員の氏名や所属部署を記載したことについて、そのことによる計り知れない悪影響や不測の事態を引き起こすおそれがあることを伝えたが、被害妄想、自業自得と言語道断で理不尽な発言を行った。さらに他の弊社職員の氏名をネット上に記載すると平然と発言した。計り知れない悪影響や取り返しがつかない事態が引き起こすおそれがあるにも関わらず、しかも、笑いながら、人を陥れようとしていると思われる発言を行うこと自体、恫喝の何物でもない卑劣な行為。

自分の名前を他の方に言われるとなると、保身なのか身勝手なのかわからないが、個人情報守れとか、守秘義務違反だと言う。甚だ矛盾している。しかしながら、当方は他の方に悪影響や不測の事態を引き起こすおそれがあると考えられることは行いません。上記の回答に対して弊社に質問された場合、弊社が回答しても堂々巡りになると判断したら、回答を行わないことを含み置きください。

機構は私たちの指摘を受けて10月30日に調査を行ったという。「魚影は薄く、ヤマメ(サクラマス幼魚)は数尾」で、すでに、漁業関係者及び魚類等に関する専門家に説明し、排水が認められたという。排水先に生息する魚類について助言した専門家が誰であるのか尋ねると、個人情報なので教えられないという一方で、「専門家は、あんたの名前を知っていた」と答えたのだ。明らかな矛盾である。

サクラマス幼魚を多数観察していた私たちは、この調査に疑問を持ち、12月16日に魚類調査を行った。その結果、機構のデータと大きく異なり、50尾前後のサクラマス幼魚の越冬集団を確認することができた。本来なら、縄張りを持ち分散して生息しているのに、冬場に水量の少ない小さな川淵にサクラマス幼魚が50尾いる事実は、越冬河川であることを示していることを説明した。すると、落合課長補佐は「違法な漁具を使用したのではないのか」と、揚げ足取りをする呆れた始末。機構の調査方法は「目視」だ。排水の温度は11~18℃、水位は10cm上昇し、水温は4℃上昇すると言う。排水先の川の水温・水量の季節変動を含め、説明を裏付けるデータや資料の提示は無い。開示請求の問い合わせにも今だ無視である。

撮影:2018年12月16日・田中邦明氏

サクラマス資源は今や希少種になるほどに激減している。そのサクラマス幼魚が越冬している河川を保全するために、当河川への排水は避けるように、私たちは2つの代案を提案した。最善は立岩工区から国道の下をくぐらせて遊楽部川本流へ排水する案。もう一つは、サクラマス幼魚の越冬河川への排水管をさらに延長させて、コンクリートブロックが敷設された堤防から排水する案である。

今、八雲町遊楽部川はダムの影響で河床低下が進行しており、地下水の水位が低下して、冬でも凍らない細流が失われつつある。即ち、サクラマス幼魚が越冬できる場所が無くなってきている。機構が重金属汚染水を排水しようとしているサクラマス幼魚の越冬河川は非常に貴重な場なのである。この事実を漁業関係者や魚類専門家に伝えなければ、「排水が認められた」という機構側の解釈だけで判断を誤ることになる。私たちは再調査と、この川への排水の見直しを求めている。

サクラマス資源保護・保全のために、越冬河川を失うような事業は避けてほしいと願うばかりである。

 

 

 

良瑠石川のスリット化は…効果絶大!

2019年1月18日、ひやま漁協の漁師と釣り人、住民で結成された「せたな町の豊かな海と川を取り戻す会」の総会が、せたな町で開催された。道・町議会議員、桧山振興局、函館建設管理部今金町出張所、せたな町役場の職員が出席した。

総会の代表から「須築川砂防ダムの魚道改築の要望に対し、「流域の自然を考えるネットワーク」の宮崎代表から、魚道の改築ではサクラマス資源の回復は見込めないと指摘があり、魚道改築ではなくスリット化を求めることになった。その結果、良瑠石川の4基の治山ダムでもスリット化が実現し、管内のサケ定置網8ヶ統ある中、一番悪い漁場だった良瑠石川地区の2ヶ統が、2015年から昨年に至るまでの4年間、管内で漁獲量が1~2位になった」と報告があった。

2011年2月22日には良瑠石川の本流の下の治山ダムのスリット化工事が行われた。

2011年2月に本流下の治山ダムがスリット化されたので、この年の秋にはサクラマスとサケの産卵場が大幅に拡大した。その後、2012年3月までに全4基の治山ダムがスリット化された。従って、2011年の秋に産み落とされたサケの子どもたちは翌春、海に下り、四年後の2015年に大きく育ったサケたちがこの川に戻って来たわけだ。このサケたちが良瑠石川地区のサケ定置網で漁獲されて、漁獲増をもたらしたと言える。

2017年9月13日良瑠石川を視察。サケがそ上していた。

2017年9月13日、良瑠石川本流のスリット化した下の治山ダムの魚道を上るサケのペア。

スリット化された治山ダムの上流へ上ってきたサケ。右の円内は産卵行動中のサケ。

本流のスリット化された上の治山ダム・逆台形型のスリット化は流木が挟まることもないので、メンテナンスフリーだ。スリット化後、川は上流と下流の川石の大きさが同じになり、川が蘇ったことがよく分かる。これが逆台形型のスリット化の効果だ。

当初、治山ダムの管理者である道林務課は、ダムをスリット化すれば、「土砂・流木が流れ出し、橋が壊され、その先の集落が陸の孤島になる」として、スリット化に難色を示していた。しかし、スリット化してみれば、災害を引き起こすような土砂も流木も流れ出すことはなかった。むしろスリット化で川は蘇えり、その効果は期待以上のもので、総会では、沿岸の海藻の育ちが良くなったことが報告された。良質のコンブ・ワカメが採れるようになり、ウニが大型に育つようになったとも言う。ダムのスリット化で海藻が育つようになれば、磯焼けも解消され、やがてはニシンの群来も見られるようになることだろう。

土石流と流木が押し寄せて壊れると説明されていた橋は何らの被害もなく、健在。河床はきれいな砂利で覆われ、多くの魚の繁殖に適した河床に蘇った。

橋の下流はすぐに日本海だ。

橋をくぐればそこは日本海だ。泥水が出なくなれば、海藻の育ちもよくなる。

良瑠石川が注ぐ日本海。泥の流れ出しが減少すれば海藻が蘇る。

良瑠石川の河口。撮影:2018年11月8日。

良瑠石川の河口。撮影:2018年11月8日。

良瑠石川河口。海中の黒く見えるのはコンブにワカメ、ホンダワラなどの海藻だ。

全道でサケの漁獲が減少している最中に、サケの漁獲を増加させ、沿岸海藻の育ちが良くなり、ウニを大型に成長させるというスリット化の効用を目の当たりにした漁師たちの総会は、漁業復活の明るい兆しが見えたダムのスリット化に盛り上がり、熱気に沸いた。

 

 

写真展の開催お知らせ

パタゴニア 札幌南店に於いて、当会の活動記録「漁師と釣り人と活動家たちが川を蘇らせる~ダム撤去までの道のり」と題した写真展を2018年12月3日~30日まで開催中です。店内に展示された写真についてパタゴニア・スタッフさんたちが解説してくれます。是非、お立ち寄りください。

パタゴニアアウトレット札幌南ストア

URL:https://www.patagonia.jp/patagonia-sapporo-minami-japan/store_924604533.html

良瑠石川・ダムのスリットで川はどうなった?

2018年8月8日、治山ダム4基をスリットした良瑠石(ラル石)川が、その後どうなったのか?パタゴニア札幌スタッフと現地を踏査した。河川管理者は、ダムをスリット化すれば、流れ出した土砂や流木で下流の橋が被災し、その先の集落が孤立する危険があると説明していたが、本当にそうなったのか?

まず、2基の治山ダムをスリット化した支流へ入った。小さな砂利が目立つ程度で、川が荒れた痕跡は無い。巨石が挟まり合って川底を安定させていた。

2基の治山ダムのスリット化後、小さな砂利が増えてはいるが、土石流が流れ出したような痕跡は無い。

支流のスリット化した下の治山ダム。削岩機で削っただけだが、倒壊するような危険は無い。

左右の草が生えた土壁はダムの堆砂だ。ダムの堆砂の大半は、流れ出さずに残って草木が生え山と同化していた。「堆砂の全量が流れ出すから危険」という管理者の説明は根拠の無いもののようだ。

支流のスリット化した上の治山ダムが上流に見えてきた。辺りは小さな砂利が多少は増えたようだが、川が荒れたような痕跡は見られない。

スリット化した上の治山ダムの前で、パタゴニア・スタッフへスリット化の効果を説明する宮崎司代表。

支流のスリット化した上の治山ダムと上流側の堆砂。堆砂の大半が残っており、増水時に僅かに分散して流れ出し、草木が生えて地山と同化している。大規模に流れ出すとは考えられない。(川筋の左右の草が生えたところ全部がダムの堆砂)

支流の川は急峻だが、スリット化後にダムに貯まっていた堆砂の全量が流れ出すような事態にはなっていなかった。増水時に流れている堆砂の量は少なく、大半がそのままに残っていた。

次に本流へ入った。

本流のスリット化した下の治山ダム。砂利の流れが安定してきたところ、魚道が砂利の流下を阻害し始め、魚道下流で僅かだが河床が下がってきていた。魚道は不要だ。

砂利の流下が安定してきたところで、今度は魚道が砂利の流下を妨げるようになり、直下では僅かに河床が下がり始めている。魚道がある区間ではサケは産卵できない。撤去すればここにも産卵できるのだから、蘇った川には無用の長物である。

スリット化したダムの直下に魚道が見える。魚道がまるでダムのようである。今後は魚道による影響が現れてくるだろう。

本流のスリット化した上の治山ダム。上流と下流が繋がり、川は蘇った。

流木がすぐに詰まって役立たずの斬新な螺旋型魚道は、やはり役立たずのまま一生を終えた。

スリット化によって川が蘇り、資源が回復することを説明する宮崎司代表。

堤体で分断されていた河床は、スリット化で上流と下流が綺麗に繋がり、川が蘇っていた。

堤体天端まであった堆砂は、ちまちまと流れ出しており、全量が流れ出すようなことにはなっていない。削岩機で削った堤体も強度は保持したまま残されていた。

スリット化で上流と下流が一つに繋がった。

川を分断していたダムを切れば、上流と下流が繋がって本来のごくありふれた川の姿に蘇るのだ。

河川管理者は、ダムをスリット化すれば「堆砂の全量が流れ出すから危険だ」、「流木が橋を壊す」と説明していたが、橋を壊すような流木も無ければ、土砂災害を発生させるような土砂も流れてきていない。むしろ、砂利が流れるようになって川は安定し、元の自然の川に蘇っていた。

ダムのスリット化で川が蘇ったことで、サケやサクラマスの産卵域が広がり、水産資源が増大している。地元の漁師は「サケの漁獲が落ち込んでいるのに、この地区では漁獲量が増えた」と言う。そして「泥水が流れなくなったので、海藻の育ちがよく、良質なコンブが採れ、ウニが大ぶりになって実入りがよい」と言う。現場の漁師が実感しているスリット化の効果は絶大だ。この川にあった砂利の流れる仕組みが蘇るだけで、サケ・サクラマスの再生産の仕組みが復活し、沿岸の海藻も育ちがよくなり、水産資源が増大することが証明された。ダムのスリット実現まで苦悩した漁師や釣り人の功績である。この川が教えてくれることは絶大だ。

良瑠石川河口・微細な砂よりも礫が多く見られるようになった。

河口付近に打ち上げられた海藻は、泥が被らなくなったので綺麗だ。ただし、漁業権無き者は拾ってはいけない。ご注意を!

下流域は、まだダムに溜まっていた堆砂が流れているが、次第に砂利の量は減り、安定してきた。

良瑠石川の河口を望む。スリット化後に荒れた様子は見られない。

本流2基と支流2基の治山ダムをスリット化した後。川が荒れたような痕跡は無い。

 

 

 

土砂で埋まった二風谷ダム。

2018年7月4日に二風谷ダムは大雨に備えて、水位を下げるためにダム底のオリフィスゲート7門のうち5門から放流操作がされた。通称「土砂吐きゲート」と呼ばれ、深黒の泥そのものが吐き出されていた。湛水域の水位が下がったので土砂で埋まった二風谷ダムの全容が見えた。

撮影:2018年7月4日

堤体の直近まで土砂で埋まっているのが分かる。撮影:2018年7月4日

堤体の直近まで土砂で埋まっている。撮影:2018年7月4日

流木止工のロープも土砂の上に乗っかっているような状態だ。泥に埋まった流木が水面から出ている。撮影:2018年7月4日

オリフィスゲート7門のうち5門から土砂が放流されていた。撮影:2018年7月4日

清流?あり得ない放流水の色である。撮影:2018年7月4日

「二風谷ダム定期報告書概要版・平成27年3月」の二風谷ダムの仕様図から土砂の堆積状態を照合した。

 

露出した土砂のレベルは、凡そ41.0mの位置と分かる。このレベルを二風谷ダムの仕様図に当てはめて見ると…、

水面から露出した土砂の位置は、オリフィスゲート放流口の上端の5mほど上に位置していることが分かる。ということは、オリフィスゲートはすっかり泥に埋まっているのだ。泥に埋まった放流口から放流しているのだから、出てくるのは泥ばかりという訳だ。つまり、二風谷ダムは土砂で埋まっており、オリフィスゲートの放流口付近だけが土砂に埋もれた中で溝のようになっていると推測される。下記のサイトにも二風谷ダムの状況が報告されているので参考にしてください。

URL:https://www.hkd.mlit.go.jp/ky/kn/kawa_kei/ud49g700000088o0.html

土砂で埋もれた放流口から、ダムの堆砂を定期的に吐き出しているのだから、膨大な土砂が日常的に下流へと放出されている訳だ。こんな状況では、二風谷ダムの下流域で産卵するサケやシシャモ資源が枯れるのは当然である。魚類学者や生物多様性保全戦略にかかわる委員会や行政、また、水産行政は水産資源を失うばかりのこの状況をどう判断しているのだろうか。地元漁協は補償金を得ているので声を上げられないのかも知れないが、水産資源を失っては元も子もない。損害額は毎年毎年増えて補償金を遙かに超える損害とともに、取り返しがつかない禍根を残すことになる。

清流・沙流川だったころを思い出してほしい。そして、現状を直視して記憶にある清流・沙流川と比較してほしい。二風谷ダムが冒しているこの現状に黙っていないで声を上げることが必要だ。

上記のサイトでは二風谷ダムの堆砂量(貯め込んだ土砂)は大きく増えていないという。頭打ちで、増加傾向は見られていないというが、下の写真を見ていただきたい。二風谷ダムの流入部にある管理橋とその真下にある貯砂ダムだ。貯砂ダムには階段状の魚道が付属しているが、流れてきた土砂で上流側も下流側もほぼ埋まってしまい、現在は魚道は砂利の中にある。これでも二風谷ダムの堆砂量は増えていないというのだから、不思議なことである。

二風谷ダムの流入部では沙流川・額平川共に上流へ上流へと土砂が貯まり続けている。この土砂量は二風谷ダムの堆砂量に加算されないのは何故? 撮影:2018年5月21日

二風谷ダムは堆砂容量の範囲を超え、貯砂ダムも埋まり、さらに上流へ、上流へと土砂を堆積し、貯め込み続け、V字谷を埋めて河床を押し上げ平にならしている。このように上流へ上流へと堆積していく土砂量は二風谷ダムの堆砂エリアから外れているとでもいうのだろうか?明らかに二風谷ダムの影響で上流へと堆積しているのだから、これを二風谷ダムの堆砂量に含めて然るべきである。

膨大な土砂を貯め続ける二風谷ダムの現場がそこにありながら、現場の実態と乖離した、責任逃れの自己正当化した報告書でしかない。

 

 

NHKが報道した芽室川の災害の現場…②

芽室川3号砂防えん堤の下流には、4号砂防えん堤がある。更にその先には5号砂防えん堤と、その直下に4号床固工がある。

5号砂防えん堤と堆砂状況。撮影:2018年7月3日

5号砂防えん堤の直下に右岸のコンクリート擁護壁(そで部)が補修されたばかりの4号床固工がある。撮影:2018年7月3日

4号床固工の下流は河床(川底)が掘り下がって、両岸が崩壊しているのが分かる。撮影:2018年7月3日

5号砂防えん堤の下流側での補修工事。撮影:2018年6月28日

4号床固工。倒壊した右岸側のコンクリート擁護壁(そで部:写真では対岸)が補修された。手前の魚道も被災したため補修が行われていた。撮影:2018年6月28日

4号床固工の右岸側の堤体と左岸の魚道が崩壊し、補修工事が行われていた。写真から分かるように、5号砂防えん堤の堆砂域は砂利で満杯になっている。一方、4号床固工の下流側は川底が深く掘り下がっていた。

芽室川の災害を報告した書「4.芽室川・造林沢川流域の土砂動態」には、河床の「縦侵食」と「横侵食」が示されている。つまり、流下してきた土砂の扞止効果を発揮した砂防えん堤(床固工を含む)の下流側は砂利が供給されないために、川底が深く掘り下がっていることを示している。一方、扞止した土砂を貯めた砂防えん堤(床固工を含む)の堆砂域ではV字谷が土砂で埋まって平になり、その上を澪筋が左右に蛇行して流れている。蛇行した流れは左右の川岸を侵食している。報告書に示された「縦侵食」と「横侵食」は砂防ダム(治山ダム・落差工・流路工など河川横断構造物)のある川に共通した特徴を分かりやすくまとめてある。

https://www.hkd.mlit.go.jp/ky/kn/kawa_kei/splaat00000139gd-att/splaat00000139la.pdf

出典:4.芽室川・造林沢川流域の土砂動態

砂防えん堤や床固工は「重力式ダム」と言われ、流れてきた土砂では倒壊しないように、十分な重量のコンクリートブロックを横に並べて作られている。倒壊するはずが無い4号床固工の右岸側で堤体が倒壊したというわけだ。堤体を破壊するような巨石が流れてきたわけではない。また、大量の水や流木が押し寄せても、びくともしない強固な堤体だ。しかも、巨大な5号砂防えん堤の直下にあるから、土砂・流木の負荷は軽減されている筈である。こんなにも手厚く護られ、強固な筈の4号床固工のコンクリート擁護壁(そで部)と堤体の一部が倒壊したというのだから不思議だ。

では、倒壊するにはどんな場合があるのだろうか?

どんな巨体も、足をすくわれたら転倒する。同じように、いかに強固な堤体であっても、堤体の基礎が抜かれたら、支えを失い、あえなく倒壊する。

報告書「4.芽室川・造林沢川流域の土砂動態」には、扞止機能を発揮した砂防えん堤の下流側は「縦侵食」とあるから、4号床固工の下流側は川底が掘り下がる「縦侵食」が進行していたと読める。川底が掘り下がれば、4号床固工の基礎の砂利が抜かれる。この報告書から、右岸側の堤体の倒壊は堤体の基礎が抜かれて倒壊した可能性を導き出せる。

上2枚の写真は、4号床固工からず~っと下流の写真である。高さの低い床固工(落差工)の堤体が倒壊している。床固工(落差工)の下流側の川底が縦侵食されて、河床が下がり、堤体の基礎の砂利が抜かれて倒壊したと推察される。土砂を貯めていた床固工が倒壊すれば、貯まっていた土砂は一気に下流へと流れ出す。流れ出した土砂が膨大であればあるほど下流に膨大な土砂が押し寄せる。こうしたメカニズムが危険な土砂災害を生み、ややもすれば人命・財産が失われる甚大な被害を発生させるのだ。

この現場から、危険な土砂災害発生のメカニズムが見えてくる。

 

NHKが報道した芽室川の災害の現場…①

2018年7月3日、大雨に備えて災害復旧工事が中断されていた芽室川3号砂防えん堤を取材した。昨年、2017年9月1日放送のNHK「北海道クローズアップ」で、大学教授が芽室川3号砂防えん堤の直下で川底が深く堀下がった河岸に立ち、「川底に堆積していた土砂が大雨で流されて下流で土砂災害を発生させた」と解説していたその現場だ。NHKは大学教授の説を追認するようにアニメーションを作成して解説している。

十勝の災害・現場の取材を怠り、専門家任せで真相が見えないNHK記者

芽室川3号砂防えん堤直下では災害復旧工事が行われていた。元の川底の位置に戻すのではなく、深く掘り込んだ川底の位置に合わせて周辺を大規模に掘削する工事が行われていた。撮影:2018年7月3日。

大雨に備えて、工事が中断されている現場には誰もいない。撮影:2018年7月3日。

NHKの番組映像では、芽室川3号砂防えん堤の直下の川底は、細く深く堀下がっていた。その後の災害復旧工事の現場は、川底が深く堀下がった河床レベルに合わせるように、周辺を大規模に掘削して川幅を広げ、コンクリートでガッチリ固める工事をしていた。川底が深く堀下がった堤体の下流部はダム特有の河床低下の姿だ。専門家の解説は、川底に大量に溜まっていた土砂が流されたというのだが…現場を見る限り、どこに、土砂が大量に溜まっていたのだろうかと疑問を抱く。なぜなら、川底の地層そのものが深く浸蝕されていたからである。

元々の河床(川底)はかなり上だ。写真のように水が流れているのは深く堀下がった遙か下方になっている。ここに膨大な土砂が溜まっていたというのだ。信じがたい説明だ。 撮影:2018年7月3日。

川底が堀下がった両岸には元の河床(川底)の位置を示す大小の石が堆積した地層が見えている。大小の石の層の下の地層が侵食されて深く掘り込まれている。そしてその地層の両岸が崩れ落ちたり、立木が倒れ込んでいるのだった。ドローンで上空から3号砂防えん堤の前後を調べた。

芽室川3号砂防えん堤の堆砂域は上流へ上流へと広がっており、川幅は異常なほど広く、平になっている。この平になった堆砂面を流路が左右に暴れ回って、左右両岸を浸食しているのがわかる。撮影:2018年7月3日。

手前の橋は、上流から流れてきた流木で塞がって、橋の取り付け部が流されたと思われる。この橋の下流に災害復旧工事中の芽室川3号砂防えん堤が見える。さらに、3号砂防えん堤の下流は流路が狭まっているのがよく分かる。川底が深く侵食されていると分かる。撮影:2018年7月3日。

休工中の芽室川3号砂防えん堤の災害復旧工事現場。撮影:2018年7月3日。

芽室川3号砂防えん堤直下では川底が細く堀下がっているのが分かる。また、左右両岸を大規模に掘削して、掘り下げている様子もよく分かる。撮影:2018年7月3日。

芽室川3号砂防えん堤の上流では膨大な堆砂が溜まっており、上流へ上流へとさらに溜まり続け、川幅が平に広がり、平になった堆砂面を流路(澪筋)が左右に蛇行しているのが見られた。流路(澪筋)がぶつかった川岸がそれぞれに浸食されている。こうして、この3号砂防えん堤の堆砂域で発生した土砂や流木が橋に押し寄せて、橋の間口を塞ぎ、流水が橋の取り付け部へ流れ出し、橋の取り付け部の道路を流したと思われる。一方、堤体にも流木や土砂が大量に押し寄せているが、堆砂域の立木に土砂や流木が止められ、堆積している。つまり、上流から流れてきた土砂と流木は、えん堤の堆砂域で大半が止まり、堤体から下流へ流れ出した土砂・流木はそう多くは無かったことを物語っている。その証拠が堤体直下から見られる「川底が(侵食されて)深く堀下がった姿」だ。即ち、3号砂防えん堤の下流側に大量の土砂が堆積していたとは考えられない。仮に3号砂防えん堤から膨大な土砂が流れ下ったとすれば、堤体の下流側は土砂で埋まっていなければならないからだ。

3号砂防えん堤のずっと上流には堤高3mの2基の「床固工」があり、上流から流れてきた大量の土砂で埋まっている。

上流から流れてきた大量の土砂と流木で堤高3mの芽室川2号床固工は、埋まっている。撮影:2018年7月3日。

その更に上流には堤高3mの芽室川1号床固工があるが、ここも上流から流れてきた土砂・流木で埋まっていた。撮影:2018年7月3日。

以上のことから、上流から流れてきた土砂・流木の多くは流速が弱められる芽室川3号砂防えん堤で止められた結果、堤体の下流では土砂供給が少ないため、河床低下が急速に進み、堤体直下の叩き台や魚道の基礎が抜かれて、グシャグシャに崩壊したと思われるのだ。3号砂防えん堤の下流域へ到達したという土砂・流木は、3号砂防えん堤の下流で進行している河床低下によって両岸が崩壊した結果、そこから発生した土砂・流木が押し寄せたものと言えよう。

一方、NHK「北海道クローズアップ」の報道は、河床に大量に堆積した土砂が災害の原因としている。だから、河床に堆積した土砂が今後も流れ出すだろうから、この土砂が下流に流れてこないように、土砂を止めるダムを更に建設する必要がある…と、結論づけている。芽室川3号砂防えん堤が、河床低下を促進させ、このことが土砂・流木を発生させて災害を引き起こしたという本質とは異なるものとなっている。3号砂防えん堤前後の特徴ある状況を自らの目でしっかりと観察し、疑問を投げかけて、そこから読み解く正確な検証を行って報道をしていただきたい。

 

 

「南富良野町の水害」その後…②

空知川上流のルオマンソラプチ川。上流で被災した南富良野町串内地区の町営育成牧場へ通じる橋は補修され、すぐ上に巨大な治山ダムが建設された。その更に上流にも2基の治山ダムが建設された。

手前が補修された串内育成牧場へ通じる橋。すぐ上に治山ダムが建設された。撮影:2018年5月14日

建設された治山ダム直下に、石積みの床固工が敷設されている(円内)。撮影:2018年5月14日

建設された治山ダム直下に、「石積み床固工」が敷設された。治山ダムは砂利を止める。そのため、その下流では川底の砂利が流されて川底が下がる。石積み床固工もダムと同じ作用があるので、より一層下流の川底を掘り下げることになる。そればかりか、石積み床固工は両岸をも浸食させることは、今や常識になり誰もが知る厄介な構造物である。治山ダムだけでも川を荒廃させるというのに…川底の浸蝕を促進させ両岸をも浸蝕させる石積み床固工を、一体誰が発案し、敷設させたのか?まさか専門家の発案とは思われない。しかも、その先には補修したばかりの橋がある。わざわざ橋を再被災させる為のあり得ない改修方法である。

建設された治山ダムと石積み床固工のすぐ下流には補修されたばかりの橋がある。橋の取り付け部の基礎が岩盤に固定されていない(赤丸)。基礎の砂利が抜かれて再被災する。撮影:2018年5月14日

補修された橋と道路の取り付け部は岩盤に固定されていない。新設したダムと床固工の影響で、河床は必ず下がる。橋と道路の取り付け部は砂利が抜かれて崩落するだろう。

橋のすぐ上に治山ダムを建設したことは大きな間違いである。いくつかの橋が流木で被災したことから、流木を止めるつもりで治山ダムを建設したのなら、大きな過ちだ。治山ダム+石積み床固工で、流木は止められない。むしろ河床低下を促進させて橋を流し、川岸を崩して新たに土砂・流木を生み出すばかりで、災害を拡大させるだけである。

想定を超える増水があっても、河畔の樹林の全部が流されるわけではない。流れてきた流木を捕捉する重要な役割を担っている。撮影:2918年5月15日

流木を捕捉している。撮影:2918年5月15日

河畔林は膨大な量の流木を捕捉しており、流木を捕捉する重要な役割を担っているのがよく分かる。撮影:2018年5月15日

多くの流木を捕捉している。撮影:2918年5月15日

河畔の樹林は、洪水に耐えられなかった立木が流れ下るが、一方では写真のように混み入った樹林が、多くの流木を捕捉する。樹林が捕捉した流木は、水衝部で樹林に張り付き、やがて自然の護岸にもなる。想定を超えた増水で新たな流路ができたが、流木の捕捉能力は維持されている。むやみに治山ダムを建設しないで、川の安定化を見守り、川の復元力に任せるべきだったのではないだろうか。川の仕組みを抑え込む強引なやり方は返って災いを大きくする。

串内の下流では、写真のように岩盤で囲まれた両岸の樹林が押し流された痕跡が落合地区まで至る所で見られた。串内から下流は両岸が岩盤で狭められた回廊のようになっている。増水時にはこの区間で水位が上昇して両岸を浸食し、樹林が流されたと思われる。下流の流木被害は串内で発生した流木ではなく、串内の下流で発生した流木と考えるのが理にかなっている。どのような検証が行われたのか、知りたいところだ。しっかりとした検証がされていれば、串内の治山ダムの建設は不要だっただろう。

右から流れているのがルオマンソラプチ川。串内牧場のずっと下流のトマム川(左手から流れている)との合流点。両岸は岩盤で流路が狭められている。撮影:2018年5月19日

落合の採石場付近のルオマンソラプチ川。両岸が岩盤で囲まれ、狭い回廊となっている。撮影:2018年5月19日

串内の治山ダムは5基建設する計画だが、現在、串内牧場へ続く橋のすぐ上の治山ダムの他1号床固工、2号床固工の合計3基が建設された。

1号床固工。撮影:2018年5月14日

2号床固工。撮影:2018年5月14日

串内の町営育成牧場は森林を皆伐した牧草地となっている。その為、降雨に対する保水能力は著しく低くなっていることは言うまでもない。2016年8月16~31日の総雨量は888㎜だ。それでも、川沿いには樹林が多く残されている。幾度かの洪水の洗礼の後、流木の発生は減り、やがては落ち着く筈だっただろう…しかし、新しい治山ダム建設と樹林を伐採し川幅を広げたことで、むしろ自然の理に反して、浸食を促進させることになったことを危惧する。今後、どのように変遷していくのか、取材を続ける。

 

 

「南富良野町の水害」その後…①

「伝えられない二つの真実。南富良野町幾寅の水害」:(2016年10月10日の当HP記載)甚大な水害から2年を経た。南富良野町幾寅の空知川では堤防が強化された。河畔林を皆伐し、川底の石は大小ともに取り除かれ、河道は大幅に広げられた。

空知川の破堤した堤防は補修された。残った河畔林はすべて伐り払われ、河床の砂利をさらって河道は大幅に広げられた。  撮影:2018年5月20日

川底の砂利をさらって、川幅が広げられた。撮影:2018年5月20日

川底の砂利をさらって川幅が広げられた。撮影:2018年5月20日

川底の砂利をさらって川幅が広げられた。撮影:2018年5月20日

この改修で、気がかりなことがある。確かに川幅を広げると効率よく水が集められ、下流へと送られる。しかし、その先に水を貯める金山ダム湖があり、今よりも一層速く貯水面が上昇するからだ。洪水時にダムは下流の水害防止のために貯水する。貯水面は確実に上昇し、市街地へと迫っていくことになる。北海道開発局では下記のような資料を公表している。

出典・北海道開発局・平成28年8月北海道大雨激甚災害を踏まえた今後の水防災対策のあり方(案)平成29年2月27日

堤防が強化された空知川。幾寅市街、そして金山ダム湖が見える。撮影:2018年5月20日。

図示されているように、金山ダムが洪水を貯め込めば貯め込むほど貯水面が上昇し、幾寅市街地へ迫っていくことが分かる。

水害当時の金山ダム湖の貯水と放流のグラフを見てほしい。

出典・北海道開発局・平成28年8月北海道大雨激甚災害を踏まえた今後の水防災対策のあり方(案)平成29年2月27日

平成29年2月27日に公表されたこのグラフから、8月31日の午前0時過ぎに流入量がピークに達し、貯水量は急激に増加していることが分かる。住民の話では、午前1時30分過ぎには濁水が市街地に流れ込み、押し寄せてきた洪水から逃げたと言う。つまり、午前1時30分にはすでに破堤していたことが伺える。しかし、開発局は破堤した時刻を午前4時40分としており、住民の声とのズレがある。洪水で水位が上昇していた空知川は、金山ダムの貯水面の上昇に伴って水位が一層押し上げられていたと言える。加えて、破堤した場所は右カーブした左岸で、元々そこにあった河畔林は2007年6月に皆伐している。ここから下流側の左岸にある河畔林に夥しい流木が押し寄せ、水位をせり上げたことは間違いない。こうした状況が競合して水位が急上昇し、堤防から溢水したといえる。上の読売新聞社が撮影した濁流写真は、破堤してから8時間後の写真だ。金山ダムの貯水面が、かなり下がってからの写真であることに留意していただきたい。

これに対し、北海道開発局札幌開発建設部は「平成28年度・平成28年台風大10号による南富良野町幾寅築堤の被災状況とその特性・6.被災メカニズム(下流決壊箇所)の(3)ダム貯水位の影響」で、「金山ダムの最高貯水位と幾寅市街地の地盤高の差は4~5m程度あり、かつ、空知川は急勾配であるため、金山ダムの貯水位は幾寅市街地までは及ばない」とし、「堤防の決壊を確認した直後に、大平橋下流で射流が発生していた」という理由で、射流の写真(8月31日AM5時ごろ撮影)を添えて、それを説明している。だが、金山ダム湖の最高貯水位(345m)は市街地に水が押し寄せた8月31日1:30のデータではなく、何故か水が引いた後、約20時間後の21:00のデータを使っている。その上、金山ダム湖の水位データが、遠く離れた流入部のデータと同じであるはずもなく、おかしなデータなのである。

出典:右の文献の一部を拡大したもの・平成28年度・平成28年台風大10号による南富良野町幾寅築堤の被災状況とその特性・6.被災メカニズム(下流決壊箇所)の(3)ダム貯水位の影響北海道開発局札幌開発建設部

出典:平成28年度・平成28年台風大10号による南富良野町幾寅築堤の被災状況とその特性・6.被災メカニズム(下流決壊箇所)の(3)ダム貯水位の影響北海道開発局札幌開発建設部

午前1時30分、金山ダムは下流の洪水被害を防止するために貯め込めるだけ洪水を貯め込んでいた時間だ。洪水調節のための放流は、金山ダムへの流入量がピークを超えた午前5時40分から始めたという。実際は、破堤時刻の午前1時30分には貯め込んでいた金山ダムの貯水面は上昇の一途にあり、幾寅市街地へ迫っていた筈だ。また、「射流」があったという説明も辻褄が合わない。実際に破堤した時刻から約5時間も経過し、貯水面の水位が既に下がっている午前5時頃の確認となっているのである。市街地の冠水や破堤時に貯水面が影響していないという説明に整合性がない。

もう一つ、腑に落ちないことがある。北海道開発局は冠水した幾寅市街地をドローン映像で公表しているが、金山ダムの貯水面が写っている映像・写真は一切ない。金山ダムの貯水面と幾寅市街地が冠水した関連性に関わる映像は、公開できないということだろうか。下流域の水害防止を目的に放流を我慢した。そのためにダムの貯水面の水位が上昇。破堤を誘引し、幾寅市街を水没させ、甚大な被害を発生させたことは拭えない。今後、このような水害を起こさないために、隠すことなく正確な検証が必要である。

 

 

岩知志ダムの直下で大規模な崖崩れが起きている。

日高地方、沙流川の上流にある岩知志ダムは、堆砂率全国ワースト5位にランクインされた土砂で埋まったダムである。国土交通省のHPには読み取り不明瞭なグラフと公表年度が不明で公開されている。

URL:http://www.mlit.go.jp/river/dam/main/dam/ref16/ref-p3.html

その岩知志ダムで、ダム堤体の直下、左岸の岩盤が道路もろともに大規模に崩壊した。ダムによって川底が掘り下がっているところに2016年8月31日の豪雨が起因したと思われる。以下に、崩壊前と後の写真をスライドで比較している。また、崩壊前の道路が写ったGoogle Earthの衛星写真に、崩壊した範囲を図示。その規模が分かる。

岩知志ダム直下、左岸の岩盤が道路もろともに崩壊している。撮影:2018年5月21日

崩れ落ちた道路は、より内側の草地に新設された。崩落下流の直下には国道237号線の橋が架かっている。撮影:2018年5月21日

撮影:2018年7月4日

ダム真上にあった道路は、ちぎれるように崩落。電柱も電波塔も崩れ落ちた。撮影:2018年7月4日

道路と共に崩落した電柱が斜面に横たわる。撮影:2017年8月4日

岩盤面は無数の亀裂がみられ、水が浸透している。何れ崩落面は剥離するだろう。撮影:2017年8月7日

崩壊した岩盤には無数の亀裂が見られ、水が浸透している。やがては剥がれ落ち、更に崩落は進むだろう。

岩知志ダム上流は、土砂で溜まり深いV字谷は埋まっている。左側の支流から流れ込む砂利が水面から出て見えるのは、堤体まで土砂で埋まっている証である。岩知志ダムが止めている膨大な土砂はさらに上流へ、上流へと今もなお溜め込み続けている。この状態で、岩知志ダムが崩壊すれば、膨大な土砂は一気に下流へと放出されてしまうだろう。

撮影:2018年7月4日

撮影:2018年7月4日

撮影:2018年7月4日

危険はないのか…?北海道電力広報部に聞いた。「影響は無い。崩壊地については河川管理者が見守っている」との回答だ。その河川管理者である室蘭開発建設部に問い合わせているが、今だ返事はない。

取材中、崩壊した道路を利用していた住民が「どうなるんだろうねぇ…」と不安を語っていた。ダム下流で暮らす人たちは、この予測できる危険な事実を知っているのだろうか。