設立経緯・活動趣旨
私たちが、団体「流域の自然を考えるネットワーク」として設立に至った経緯と活動の趣旨についてご説明します。
見るに見かねて現場から上げた声
私たちは、身近な自然流域で、異変を感じるようになりました。流域の軸である河川の荒廃は凄まじく、危機的状態になっていることに気が付いたのです。
私たちが、各々の活動の中で、共通して考えていたことが、自然の仕組みに無配慮な森林施業や河川改修、ダムの建設などに疑問を持っていたことでした。お互いの活動現場で起きていることを話し合う中で、実に管理者が「何も解っていないこと、何も調べられていないこと」が、解ったのです。“自然の再生産力(一次産業である水産資源など)”を損ない、資源を失わせていることも問題だと認識し合いました。
何より、地域固有の自然や生き物が、消えていくその現状は、見るに見かねるものです。私たちは現場から声を上げざるを得ない状況だと判断しました。まず、郷土の自然環境を大切に思う地域の人たちと「どうすれば良いのか」考える取り組みを始めました。
自然界のしくみを保全する取り組み
北海道渡島半島の日本海側に位置する上ノ国町奥湯ノ岱で、天然林の違法伐採が行われました。森林源流部であるブナ帯が破壊され、流域一帯は大型重機で開削した崩土で埋め尽くされました。山も川も荒廃させる不適切な施業の現場を目の当たりにすることになったのです。
このような源流部での森林の扱いが、河川荒廃の始まりになるのだと痛感しました。
と同時に、河川流域全体の水が流れる仕組み(水循環)と、そこに暮らす生物相互間の関係(栄養循環)を視野に、自然(界)の仕組みを保全することもとても大切なことだと考えさせられました。
このような保全の取り組みを達成させる為には、「現場を知る」ことが最も重要だと考え、現地での学習、現地調査による情報収集が基本であると認識しています。そして、地域固有の自然や生き物が、そこで悠久の時を生きてきた場所、その仕組みを奪うような事業に異を唱える為にも、其々の地域の人たちや活動家の人たちとで情報を共有し、柵なく穏やかに連携することも必要なことだと思っています。